
「便座が古くなって変色してきた」「汚れが落ちない」「トイレが狭くて使いにくい」などのマンションのトイレのお悩みは、リフォームで解決できます。
マンションのトイレリフォームでは、便器の交換や配管の改善に加え、壁紙や床材の改装、収納や手洗い器の設置など、トイレ空間を快適にするさまざまな工事が可能です。さらに、デザイン性の向上やバリアフリー化にも対応できます。
快適で使いやすいトイレ空間を実現するには、どのような選択肢があるのでしょうか。今回は、費用相場別のマンションのトイレリフォームのアイデアやおすすめのトイレ、施工事例をご紹介します。
目次
1.【費用相場別】マンションのトイレリフォーム方法
トイレリフォームには、便器の交換や壁紙・床材の改装、配管の変更など、さまざまな工事が含まれます。
使用するトイレ本体や壁紙、床材のグレードなどによって費用が大きく変わるため、予算内で最適なリフォームを計画することが大切です。
リフォーム範囲は次の3パターンに分けられます。
リフォーム箇所 | 費用目安 | 内容 |
---|---|---|
便器のみ | 40万円以下 | トイレの便器だけを交換するリフォーム |
便器+壁&床 | 40万円~ | 便器の交換に合わせて床や壁紙も新しくするリフォーム |
トイレ全体 | 便器、床、壁紙に加えて手洗い器や収納部分、拡張も含むリフォーム |
ここでは、費用相場別にリフォーム方法を紹介します。予算や目的に応じたリフォームを計画する際に参考にしてみてください。
①40万円以下
予算が40万円以下の場合、便器本体の交換が最優先事項です。便器を最新型に交換することで、節水性能の向上やトイレ掃除のしやすさ、快適機能の追加などが実現できます。
ただし、配管や排水方式によって設置可能な便器が異なる場合があるため、事前に適合性をしっかり確認しておくことが大切です。
②40~80万円
40〜80万円のリフォームでは、便器本体の交換に加え、壁紙や床の張り替え、手洗い器、収納スペースの設置が可能です。
便器だけではなくその周辺のリフォームを行うことで、便利性を大きく向上させることができます。
③80万円以上
80万円以上のリフォームになると、本体の交換に加え、機能性の高い壁紙や床材を採用する余裕もできます。
例えば、調湿消臭できるエコカラットなどを使用すると、トイレの湿気や臭いを効率よく軽減し、清潔で快適な空間を維持できます。
ほかにも、バリアフリー化や間取り変更も可能です。よりデザイン性を重視したトイレ空間にするなど、リフォームの幅が広がります。
2.トイレの種類とおすすめトイレ
ここでは、種類別にトイレの特徴やおすすめの製品を解説します。
トイレ本体の種類は、主に4つ。
同じ種類のトイレでも、グレードによって価格に違いがあります。
ひとつずつ見ていきましょう。
①組み合わせトイレ:6~30万円
組み合わせトイレは、リーズナブルな価格帯で導入できることが特徴です。
費用は6~30万円程度でリフォームできるため、コストを抑えたい方や、シンプルな機能で十分な方におすすめです。
(1)組み合わせトイレとは
組み合わせトイレは、便器・タンク・便座がそれぞれ独立しており、必要に応じてパーツを交換できる柔軟性の高いトイレです。
各パーツが分離しているため、故障した際に部分的な交換が可能で、メンテナンスコストを抑えられます。また、便座を最新のウォシュレットに交換するなど、使用状況に合わせたカスタマイズが簡単です。
使い勝手やコストパフォーマンスを重視する方に最適な選択肢です。
(2)おすすめの組み合わせトイレ
■TOTO ピュアレストEX

超節水の4.8L洗浄や凸凹や隙間を押さえた掃除しやすい形状、トルネード洗浄などが特徴のタンク式便器。
手洗いの有無は選択できます。
■LIXIL アメージュ

さまざまな排水方法や幅広い排水芯に対応でき、ニーズに合わせて選べる組み合わせトイレ。
がんこな水垢や汚物を落とせる「アクアセラミック」や、便器のふちを無くした構造で、お掃除が簡単にできます。
②一体型トイレ:14~35万円
一体型トイレは、デザイン性と機能性を両立させた製品が多く、近年人気の選択肢となっています。費用は14~35万円で、選ぶ商品によって大きく異なります。
(1)一体型トイレとは
一体型トイレは、便器とタンク・便座が一体化したデザイン性と機能性を兼ね備えたトイレです。各パーツが一体化しているため、シームレスなデザインで掃除がしやすく、見た目もスッキリしています。
また、最新の技術を採用した製品が多く、高機能なウォシュレットや節水機能が搭載されているものが多くあります。
掃除の手間を減らしたい方や最新技術を取り入れたトイレを検討している方に最適な選択肢です。
(2)おすすめの一体型トイレ
■TOTO GGシリーズ

便器とウォシュレットの段差や隙間を最小限にしたお掃除のしやすいデザインのトイレです。
足元までスリムな形と、広々と感じられる便座を実現しました。
タンク上の手洗いは、大人から子供まで手が洗いやすい高さと深さに設計。水はねもしにくく、いつでも気持ちよく洗えます。(GG-800のみ)
■LIXIL アメージュシャワートイレ

充実の衛生機能とベーシックな快適機能を搭載した一体型トイレ。
がんこな水垢や汚物も落とせる「アクアセラミック」やお掃除しやすい手洗い、便座の形状などが特徴です。
プラズマクラスター搭載でいつでも除菌ができます。
③タンクレストイレ:20~60万円
タンクレストイレの設置費用は、20~60万円程度です。
節水・節電効果が高く、タンク式トイレよりも水道代や電気代を抑えられる点や、タンクがない分設置スペースを削減でき、狭いトイレ空間でも広く感じられる点が魅力です。
一方で、他のトイレに比べて初期費用が高くなってしまう傾向があります。
(1)タンクレストイレとは
タンクレストイレは、タンクを持たず、直接水道から水を供給する仕組みを採用したトイレです。スリムでスタイリッシュなデザインと節水性能の高さが特徴。タンクがないため、トイレの設置スペースをコンパクトに抑えることができます。
デザイン性や機能性を重視し、限られたスペースを有効活用したい方におすすめです。リフォーム時には、水圧や設置条件を確認したうえで導入を検討しましょう。
(2)おすすめのタンクレストイレ
■パナソニック アラウーノS160シリーズ

アラウーノS160シリーズは、機能が充実したベーシックシリーズです。
ふたが自動で開閉する「便ふたオート機能」や2種類の泡と高い洗浄力を持つ水流で洗浄する「激落ちバブル&オート洗浄」、おしっこ汚れを抑える構造の「トリプル汚れガード」などが特徴。
また、停電時の排水も可能で、万が一の時にも安心です。
■LIXIL サティス

日本を代表する「グッドデザイン賞」をはじめとして、さまざまな受賞実績を誇る人気モデル。
背面から便器と床をほんのりと照らす「ほのかライト」で、夜中のトイレも快適です。
また、ワイドスクエア便座によって、便座の座面積が約10%アップ。ゆったりとした座り心地を叶えました。
④システムトイレ:30~80万円
システムトイレは、一体化された収納キャビネットにより、掃除用具やトイレットペーパーをまとめてトイレ空間内に収納できます。
タンクも隠すことができるので、スッキリとしたトイレ空間を保てることがメリットです。
一方で、手洗い器が一体化しているタイプが多いため工事費が高く、リフォーム費用は30~80万円ほどが目安です。
(1)システムトイレとは
システムトイレとは、トイレ本体に手洗い器や収納キャビネットがついているもの。
収納力と機能性を兼ね備えているため、限られた空間を効率よく活用したい方やデザイン性を重視する方におすすめです。
(2)おすすめのシステムトイレ
■LIXIL Jフィット

4種のカラーと2つの型から選べるバリエーション豊富なキャビネット。配管やコードを隠して見た目をスッキリさせることができます。
トイレ本体には「アクアセラミック」や「フチレス形状」などの快適・キレイ機能も搭載。
収納力やデザイン性、機能性にも優れたモデルです。
■TOTO レストパル

シンプルなデザインながら多機能なモデル。
トイレ本体の機能は「きれい除菌水」や「トルネード洗浄」「フチなし形状」など充実、便座のきれいを保てます。
空間の広さに応じて収納やカウンター、手洗い器の有無を選ぶことができるモデルです。
3.マンションのトイレリフォームの事例
本章ではマンションのトイレリフォーム施工事例をご紹介します。
事例1:利便性を兼ね備えた明るく開放的なトイレ空間へ
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出典:https://www.8044.co.jp/gallery/743
マンションを購入し賃貸住宅から引っ越しを計画したものの、部屋全体の暗さを感じていた施主様。明るく開放的なLDKにリフォームすると同時に、洗面所やトイレも一新されました。
トイレはタンクレスに変更し、手洗器やカウンターを設置。壁や床などの内装も交換したことで、以前よりも明るく開放的で便利なトイレ空間になりました。
費用 | トイレ工事:27万円 ※リフォーム全体にかかった費用:548万円 |
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工期 | 1.5ヶ月 ※リフォーム全体にかかった工期 |
製品 | パナソニック アラウーノ |
事例2:収納力とデザイン性の高い便利なトイレ空間へ
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出典:https://www.8044.co.jp/gallery/1693
施主様は築44年のマンションを相続し、家全体をリフォームしました。
トイレはデザイン性が高く、お手入れが簡単な一体型を採用。便座の奥を浮かせられる構造により、通常掃除が難しい本体と便器の隙間の汚れも手軽に拭き取れるようになっています。
また、上部や足元には収納スペースを設置。以前は床に直に置いていたものを収納できるようになり、スッキリとした空間を実現しました。
費用 | トイレ工事:32万円 ※リフォーム全体にかかった費用:1039万円 |
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工期 | 2ヶ月 ※リフォーム全体にかかった工期 |
製品 | LIXIL アメージュZA |
事例3:バリアフリーを重視したこだわりのトイレ空間
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出典:https://www.8044.co.jp/gallery/130
高齢のご両親が使いやすい空間にしたいとのご希望から、リフォームを検討された事例です。
タンクレストイレの採用により、奥行きが広く取れ、ゆったりと使えるトイレを実現。
また、手すりやカウンター、手洗い器を設置することで、使いやすく便利なトイレ空間になりました。
費用 | 55万円 |
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工期 | 1日 |
製品 | ー |
4.マンションのトイレリフォームの注意点
マンションでトイレリフォームを行う際には、いくつか注意点があります。
この章では、ひとつずつ詳しく解説しますので、リフォーム前に押さえておきましょう。
①管理規約によってリフォームに制限がある
マンションのトイレをリフォームする際は、管理規約に従う必要があります。
マンションにおいては、共用部にあたる配管の移動は原則不可。そのため、トイレ交換や内装のリフォームはできても、トイレの移設や増設は、基本的に認められていません。
事前に管理規約を確認し、規約に合った計画を立てましょう。
②水圧が低いとタンクレストイレが選べない
マンションでは上層階になるほど水圧が低くなる傾向があり、タンクレストイレの設置が難しい場合があります。
設置を検討されている方は、事前に水圧を確認して適切な製品を選ぶようにしましょう。
水圧は自身で確認する方法もあります。気になる方は以下を参考にして、自宅の水圧をチェックしてみてください。
自宅で水圧を確認する方法
①まずは、浴室のシャワーから最大の水量で水を出し、水の強さを確認してください。
判断の目安は以下の表のとおりです。
強すぎる | 水圧に問題なし |
---|---|
強くないまたは少し弱いが問題なく使用できる | ②の確認方法へ |
弱い | 低水圧対応トイレを検討 |
水圧が一定ではない | 低水圧対応トイレを検討 |
②①で水圧が「強くないまたは少し弱いが問題なく使用できる」に当てはまった場合は、バケツに4Lの目印をつけ、浴室の水栓を使い、10秒間で4L以上の水が溜まるかを測ります。
判断の目安は以下のとおりです。
4L以上水が貯まる | 水圧に問題なし |
---|---|
4L以上水が貯まらない | 低水圧対応トイレを検討 |
水圧の問題はブースターポンプで解決できるケースもあるので、設置を検討することもおすすめ。ただし、追加工事が必要になるため、費用や工期が増加する可能性があり注意が必要です。
③排水方式によって選べるトイレが限られる
マンションでは、既存のトイレの排水方式によって設置できるトイレが制限されることがあるため、自宅トイレの排水方法を確認しておきましょう。
トイレには「床排水」と「壁排水」の2種類の排水方法があります。これらは配管がどこにあるかによって簡単に見分けることができます。
比較的新しいマンションでは床排水方式が主流となっていますが、古いマンションのトイレにおいては壁排水方式が採用されていることもあります。
また、壁排水には「後ろ抜き」「左右抜き」「室内排水立管」の3種類の排水タイプがあります。その中でも立て管に排水するタイプは選べるトイレが限られるので、その点でも注意が必要です。
さらに、壁排水の種類によっては、設置後にトイレ本体が長くなる場合もあります。そのため、スペースが狭くなることがある点への考慮も必要になるでしょう。
希望するトイレの設置ができるかどうか、詳しくは一度リフォーム会社へ確認してみてください。
④コンセントがない場合は追加工事が必要になることも
古いマンションでは、トイレに電源コンセントが設置されていないことがあります。
そのため、電源が必要なウォシュレットや暖房便座を設置するには、電気工事を計画に含める必要があるでしょう。
コンセント設置工事を行う場合は、その分追加で費用がかかりますので注意してください。
⑤リフォーム中はトイレが使えない
トイレリフォーム中は、トイレが使用できなくなる期間が発生します。
工事の一般的な期間は便座の交換だけであれば半日から1日程度ですが、床や壁の改修工事がある場合、1~2日程度の期間が必要です。
事前に代替手段を計画し、工事期間を快適に過ごせるようにしましょう。
5.マンションのトイレリフォームを成功させるポイント
マンションのトイレリフォームを成功させるには、空間の使い方や予算を考えたり、信頼できる業者を選んだりすることが重要です。
この章では、そのポイントについて具体的に解説しますので、トイレリフォームの際に是非お役立てください。
①便座や収納などの大きさとトイレ空間のバランスを考える
トイレ空間の設計では、便座や収納の大きさと広さのバランスを重視することが大切です。大きすぎる便座や収納を設置すると、窮屈で使い勝手が悪くなる可能性があります。
一般的には、便座の先から壁まで50cm以上確保できると良いとされているため、トイレ空間に対する便座の大きさをよく検討しましょう。
また、将来的にバリアフリー化を検討する場合、手すりの設置や車いすでの出入りが可能なスペースを確保しておくと安心です。
さらに、タオル掛けや収納の配置にも配慮し、狭く感じないよう工夫しましょう。
②使える補助金を確認する
トイレリフォームの際には、国や自治体の補助金制度を活用できる場合があります。
公式サイトや専門の窓口で最新情報を確認し、適用できる補助金があれば積極的に活用しましょう。
過去の例としては、国が実施する「子育てエコホーム支援事業」でトイレなどのリフォーム費用の一部が補助されました。
2025年度にはこの制度の後継事業として「子育てグリーン住宅支援事業」の実施が発表されています。この制度は昨年度同様、エコ住宅設備やバリアフリー改修などが条件になるため、トイレのリフォームに適用できる可能性も。
しかし、2024年度の制度と条件が変更されている箇所があるため、事前によく確認しておくとよいでしょう。


③マンションリフォームの経験が豊富な業者を選ぶ
トイレリフォームの成功には、信頼できる業者選びが欠かせません。特にマンションのリフォームは戸建てと勝手が違う点がいくつかあるため、マンション特有の制約や技術的な課題に対応できる業者を選ぶことが重要です。
トイレリフォームの場合は、過去にマンションのトイレリフォーム経験が豊富な業者を探しましょう。また、見積もり時に工事内容やスケジュールを詳しく説明してくれる業者であれば、より安心して任せることができます。
リフォーム会社探しは紹介サイトを活用するのもおすすめ
どうやって探したら良いかわからないという方は、リフォーム会社紹介サイトを活用して探すのもおすすめです。
紹介サイトでは、お住まいの地域に対応できるリフォーム会社を一括で比較することができます。
リフォームガイドでは、会社の紹介だけでなく見積もり依頼や契約までの会社とのやり取りも代行していますので、初めてでリフォーム会社探しに不安がある方はぜひご活用ください。
6.まとめ
本記事では、費用相場別のマンションのトイレリフォームのアイデアやおすすめのトイレ、施工事例をご紹介しました。
マンションのトイレリフォームを成功させるには、管理規約を確認し、経験豊富な業者と予算や目的に応じた適切なリフォームを計画することが大切です。
記事で紹介した内容をもとに、まずは理想のトイレのイメージを描き、リフォームの計画を進めてみてはいかがでしょうか。