
「リフォーム」と「リノベーション」。どちらの言葉を使えばいいのか迷ったことはありませんか?
「“リノベ”って聞くけど、大規模な工事のこと?」「フルリフォームで間取りも変えたいけど、それってリノベーションになるの?」など、疑問をもつ方も多いかもしれません。
実は、この二つの言葉に明確な線引きはありません。同じ工事を「リフォーム」と言うことや、「リノベーション」と言うこともあります。しかし、言葉の定義や使われ方には少し違いがあるため、違いを知っておくことで業者とのコミュニケーションを円滑にできるはずです。
この記事では、両者がどう使い分けられているのか、リフォームやリノベーションを考える上で知っておきたいポイント、費用相場までわかりやすくご紹介します。
理想の住まいを叶えるためのヒントとして参考にしてみてください。
目次
1.リフォームとリノベーション|言葉の定義上の違い
リフォームを検討し、情報収集や業者に相談する際「どちらの言葉を使えばいいの?」と悩む方もいるでしょう。
最初に説明した通り、リフォームとリノベーションに明確な線引きはありませんが、言葉の使われ方や定義に少し違いがあります。
ここでは、それぞれの言葉が一般的にどう使われているのかをご説明します。
1-1.リフォームとは
出典:https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=1853
リフォームとは、一般的には「老朽化した建物を全体または部分的に新築時の状態に回復させる」ことを表します。
経年劣化によって傷んだ箇所や汚れてしまった部分を修繕し、新築時のような見た目や使い心地を取り戻すのが主な目的。たとえば、壊れた設備の交換や、傷んだ壁紙や床材の張り替え、汚れが落ちないキッチンやお風呂の入れ替えなどが当てはまります。
工事の規模も幅広く、小さな箇所の修繕から間取り変更を伴うような大がかりな工事までさまざま。工事の内容や場所によって「全面リフォーム」「水回りリフォーム」「外壁リフォーム」など、具体的な呼び方をされる場合もあります。
住まいの老朽化が気になり始めたときに、まず検討されやすいのが「リフォーム」でしょう。
〈リフォームと呼ばれる工事の例〉
- 古い壁紙や床材の張り替え
- 老朽化したキッチンや洗面台などの水回り設備交換
- 賃貸住宅の原状回復
- 外壁屋根の塗装 など
1-2.リノベーションとは
出典:https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=1853
リノベーション協議会によると、リノベーションについて下記のように書かれています。
リノベーションとは、中古住宅に対して、機能・価値の再生のための改修、その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修を行うこと。 (引用:リノベーション協議会)
住まいを元に戻すのではなく、間取りや内装・水回りなどを暮らしに合わせて再構築し、現代的な住まいへと生まれ変わらせるのが目的です。
配管や電気設備などの目に見えない部分まで更新されることが多く、快適さや安全性、資産価値の向上につながる点が魅力でしょう。部分的な修繕というより、家全体を見直すような“中〜大規模な工事”を指すのが一般的です。
〈リノベーションと呼ばれる工事の例〉
- 古い家の間取りの変更
- 水回り設備の移動
- 家全体の断熱化
- 家全体の耐震補強 など
2.リフォームとリノベーションの工事内容に明確な線引きはない!
「リフォーム」と「リノベーション」は、実際の工事内容によってはほとんど違いがなく、線引きがあいまいです。例えば、間取りの変更までおこなう全面リフォームは、リノベーションと呼ばれることもあります。
また、古い家をおしゃれに改修するような工事が得意な会社が、「リノベーション」という言葉をブランディングとして使っているケースもあります。
言葉にとらわれるよりも「家族構成や暮らし方、予算に合った工事は何か」を見極める事が大切です。
業者選びが大事!要望のヒアリング力や提案力がある業者を選ぼう
そして満足のいく住まいを実現するには、必要な工事を一緒に考え、最適な提案ができる依頼先を選ぶことがポイント。
依頼先を選ぶ際は施工実績をチェックし、自分の理想に近い提案をしてくれる業者かどうかを見極めましょう。
3.リフォームやリノベーションを考えるなら知っておきたいポイント
これまでお伝えしたとおり、リフォームやリノベーションを検討するときは、「リフォーム」や「リノベーション」という言葉にとらわれず、具体的な工事内容を話し合うようにしましょう。
そのために、リフォームやリノベーションについて知っておきたい基本的なポイントを解説します。これらを知っておくことで、依頼先から提案を受ける際にも、自分たちに本当に必要な工事内容なのかを見極めやすくなります。
3-1.マンションの場合、リフォームやリノベーションしても希望の間取りにならない可能性も
マンションの場合、大幅な間取り変更を含むリフォームやリノベーションで必ずしも希望通りの間取りにできるとは限りません。構造上抜けない「構造壁」があったり、配管の位置が変えられなかったりといった建物の制約があるためです。
また、管理規約によって工事内容に制限がある場合があり、思い描いていたプランが実現できないケースも。事前に管理会社へ確認し、マンションリフォームの実績がある会社へ相談すると安心です。
3-2.築年数が古い家は目に見えない部分まで全面リフォーム・フルリノベーションが必要なケースも
築年数が古く、家の見えない部分(配管や柱・基礎など構造部分)の劣化がある場合は、目に見えない部分まで改修する全面リフォームやフルリノベーションが必要になることがあります。
スケルトンリフォームと呼ばれる方法で、古くなった配管や電気設備などの“目に見えない部分”まで一新することも。
このような大規模な工事は初期費用が多くかかりますが、将来的な修繕やメンテナンスにかかるコストを抑えられる可能性があります。
さらに、建物の基本的な性能を高めると、住みやすくなるだけでなく資産価値の維持や向上につながるケースも。長い目で住まいづくりを考えるなら、検討する価値は十分にあるでしょう。
大規模な修繕工事で用いられる「スケルトンリフォーム」
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/381(戸建て) / 提供:あなぶき興産(マンション)
骨組みだけを残して住宅を解体し、内装・外装を新築のようにすべて新しくつくり直す工事(マンションの場合は一室をコンクリートが見える状態まで全て解体し内装をつくり直す工事)を指すスケルトンリフォームは、リノベーションでよく用いられる工事方法の一つです。
間取りや内装・外装デザイン、設備等全てをライフスタイルにあわせて自由に変更することができます。また、築年数の古い物件でも耐震性や断熱性を高める工事ができ、家の機能性の向上が可能です。
詳しくは関連記事をご覧ください。


3-3.将来的なライフプランを考えて今は部分リフォームという手も
リフォームやリノベーションは、すべてを一度に変える必要はありません。
たとえば、「今は水回りだけを使いやすく整える」「子どもが成長したタイミングで間取りを見直す」などライフステージに合わせた「段階的リフォーム・リノベーション」で、無理なく賢く住まいをアップデートしていく考え方も良いでしょう。
4.リフォーム・リノベーションの費用相場
リフォームやリノベーションを考えるうえで、やはり気になるのが費用について。ここでは、それぞれの工事にかかる費用の目安についてご紹介します。
4-1.部分リフォーム・部分リノベーションの費用相場
国土交通省「令和5年度 住宅市場動向調査報告書」によると、リフォームにかかる費用は平均 137 万円。ただし、実際の金額は工事箇所や内容によって大きく異なります。
主なリフォーム箇所ごとの費用相場をご紹介しますので、ご自身の希望と照らし合わせながら予算のイメージの参考にしてみてください。
内容 | 費用相場 |
---|---|
壁紙の張り替え(壁+天井)(6畳) | 7~24万円 |
フローリングの張り替え(6畳) | 10~20万円 |
キッチンの交換 | 50~300万円 |
浴室の交換 | 50~200万円 |
洗面台の交換 | 16~50万円 |
トイレの交換 | 19~36万円 |
外壁塗装 | 90~160万円 |
屋根塗装 | 20~80万円 |
こちらも参考にしてください
4-2.全面リフォーム・フルリノベーションの費用相場
一般的に、全面リフォーム・フルリノベーションは1㎡あたり8~22万円が目安とされていますが、あくまで参考として考えるようにしましょう。
実際の費用は、住まいの種類(戸建てかマンションか)、工事の範囲、内容の複雑さなどによって大きく変わります。
以下に、代表的な工事内容ごとの費用相場をまとめましたので、参考にしてみてください。
内容 | 費用相場 |
---|---|
全面リフォーム (スケルトンリノベーション) |
【マンション】650~1,450万円 |
【戸建て】1,000~2,500万円 | |
家全体の断熱化 | 【マンション】70~80万円 |
【戸建て】105~500万円 | |
家全体の耐震補強(戸建て) | 100~200万円 |
出典:https://www.reform-guide.jp/topics/skeletonreform-hiyou/
5.まとめ
リフォームとリノベーションは、言葉の使い方や定義があいまいで、専門業者の間でも呼び方が異なることもあります。
言葉にこだわらず「自分たちの暮らしにとって、どんな工事が本当に必要なのか」を見極めて、希望に的確に対応してくれる依頼先を選びましょう。
「自分に合った会社を手早く探したい」「安心して相談できる相手がほしい」と感じたら、ぜひリフォームガイドをご活用ください。
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