
家にある開閉できない、嵌め殺し(はめごろし)の窓(=FIX窓)。「この窓を開けて、風を通せたらいいのに」「夏は暑いし、冬はカビやすくて困っている」「ガラスの外側が掃除できずに汚れてきた」などの悩みをお持ちではないでしょうか。
今回は嵌め殺しの窓に関する、さまざまな悩みを解決するリフォーム方法を詳しくご紹介します。自分の家にはどのリフォーム方法が適しているのか、ぜひ考えてみてくださいね。
目次
1.嵌め殺しの窓(FIX窓)とは?
嵌め殺しの窓とは、窓枠にガラスを直接はめ込んだ、開閉できない窓のこと。固定(FIX)されている窓という意味から「FIX窓」とも呼ばれます。
1-1.主に採光・眺望目的で採用される窓
嵌め殺しの窓をつくる主な目的は、外からの自然光を取り込むこと。例えば「吹き抜けの高いところに設置して光を取り込む」「明るくしたい階段の踊り場に設置する」といったパターンです。また窓の外に広がる美しい景色や庭を眺めるために設置されることもあるでしょう。
1-2.防犯性・安全性が高いのがメリット
嵌め殺しの窓はしっかり固定されていて開閉できないため、戸締りが不要です。明るさはほしいけれど防犯面が気になる家の北側や、トイレや脱衣所などの水回りに設置されることもよくあります。また開いた窓から人や物が落下する心配もないため、2階以上のベランダがない場所に窓がほしいときの選択肢にもなるでしょう。
1-3.換気ができないのはデメリット
嵌め殺しの窓の注意点は、窓開け換気ができないこと。そのため「洗面所に湿気がたまってしまう」「吹き抜けに熱がこもってしまう」「ここが開けば気持ちよく風を通せたのに」と不満を持ち、リフォームを検討される方が少なくありません。
1-4.外側の掃除がしづらい場合も
また嵌め殺しの窓は、室内からガラスの外側を掃除できないのもデメリット。1階であれば屋外に出て掃除をすればいいものの、2階以上でベランダもないとなると、なかなか自分で掃除するのは難しいでしょう。「業者に清掃を頼むのも費用がかさむ」「汚れがたまっているので何とかならないだろうか」とリフォームを検討される方もいます。
2.目的別|嵌め殺しの窓の主なリフォーム方法
嵌め殺しの窓でよくある「夏の暑さ・冬の寒さ・結露・カビ・換気不足・掃除のしづらさ」などの悩みは、次のようなリフォームで解決できます。
2-1.カビや隙間を改善するなら「ビート交換」
ビートとは、窓ガラスの周りについているゴムのようなパーツのこと。年数が経つと縮んで隙間があいてしまったり、カビが生えて汚くなったりします。
劣化が進むと見た目が悪いだけでなく、隙間から雨水が入ってくることも。カビや隙間が気になったらリフォーム会社に連絡して、新しいビートに交換してもらいましょう。
2-2.ガラスが割れたら「ガラス交換」
窓ガラスはある程度丈夫にできていますが、台風のときに強風で飛んできたものがぶつかるなどして割れることもあります。そのままだと危険なので、早急にガラス交換をしましょう。
2-3.断熱性を高めるなら「断熱性能の高いガラス・サッシに交換」
夏に窓からの強い日差しで室内が暑くなったり、冬にひんやりと冷気が伝わってきたりすることも。そんなときは窓ガラスやサッシを断熱性能の高いものへ交換するリフォームで改善できるでしょう。
古い住宅では「単板ガラス」という1枚ガラスが使われていることがほとんど。外からの熱や日差しを伝えやすく、室内の熱も外へ逃しやすくなっています。複層ガラスやLow-E複層ガラスに交換することで、断熱性能が高まります。
・複層ガラス
ガラスを2枚重ねたペアガラスや、3枚重ねたトリプルガラスなど。ガラスの間に空気層をつくり、保温性を高めます。
・Low-E複層ガラス
複層ガラスの内側を特殊な金属膜でコーティングすることで、さらに熱の伝わりを抑えたガラス。夏は外から熱を入れにくく、冬は室内の熱を逃しにくくなり、紫外線をカットする機能もあります。


2-4.断熱性を高めるなら「内窓設置(二重窓)」
窓の断熱性を高める方法として、今ある嵌め殺しの窓の内側にもうひとつ内窓を設置する方法もあります。窓が二重になって保温性が高まるのはもちろん、防音性も高められるリフォームです。開閉窓を二重にすると開閉の手間も2倍になってしまいますが、嵌め殺しの窓なら使い勝手が悪くなる心配もありません。
またマンションでは屋外に面した窓は管理規約上、共有部分として工事不可なこともありますが、内窓であれば専有部分の工事として実施しやすいでしょう。




2-5.開閉できる窓に交換するなら「カバー工法」
開閉できない嵌め殺しの窓を、開閉できる窓にリフォームすることも可能です。換気や掃除ができなくて困っている方はぜひご検討ください。直接手が届かない高所には、リモコンやチェーンを使って開閉する窓を選ぶとよいでしょう。
カバー工法とは、窓枠を残してサッシとガラスを取り外し、上から新しい窓枠をかぶせるリフォームです。外壁の補修が必要な「はつり工法」とは違って、短時間でサッシとガラスを交換できます。
窓の開閉方法はさまざま
窓にはさまざまな開閉方法があるので、場所や用途によって使い分けましょう。
・引き違い窓
左右にスライドして開く窓。窓を小さく開けたり大きく開けたりして、通風量を調整できます。お子様でも開閉が簡単です。リーズナブルで日本では最もよく使われます。
・上げ下げ窓
上下にスライドして開く窓。洋風住宅でよく取り入れられるデザインです。屋外側のガラスは掃除しづらい構造なので、1階やバルコニーのある場所に向いています。
・縦すべり出し窓
窓を押して、横側が外にすべり出すように開く窓。外壁に沿って吹く風をキャッチしやすいので、積極的に換気をしたい場所によく使われます。屋外側のガラスの掃除もしやすいです。
・横すべり出し窓
窓を押して、下側が外にすべり出すように開く窓。開けると庇のようになって雨が吹き込みにくく、屋外側のガラスの掃除もしやすいです。トイレや脱衣所、高所などでよく使われます。
・内倒し窓
窓を引いて、上部を室内側に倒すように開く窓。窓が全開にならないため防犯効果が高く、すりガラスなら開いた状態でも外からの視線を遮ることができます。外に出っ張らないので、窓のすぐ外に隣家や物がある場所にも適しています。
・外倒し窓
窓を押して、上部を室外側に倒すように開く窓。煙や熱気を外に出しやすい形状で、高所によく設置されます。
2-6.窓が不要なら「窓を塞いで壁にする」
「ガラスの掃除が面倒」「西日が入ってきて眩しい」「隣家や道路からの視線が気になる」などの理由で窓自体をなくしたい場合は、嵌め殺しの窓を塞いで壁にすることもあります。窓は断熱上の弱点になるため、壁にすることで住宅の保温性が上がるのもメリットです。
窓を塞ぐには、下記2つの方法があります。
・既存の窓を残したまま塞ぐ方法
室内側をフラットに仕上げるのに邪魔になる部分があれば、その部分の窓枠のみ取り外します。石膏ボードやベニヤ板などを貼って穴を塞ぎ、室内側を壁紙などで仕上げたら完成です。天窓や隣家が近い場所など、屋外側があまり見えない部分であれば既存の窓サッシは残したままでもよいでしょう。
・既存の窓を撤去して塞ぐ方法
窓枠やサッシ、ガラスを取り外し、穴の空いたところに壁の下地を組みます。断熱材を入れたら石膏ボードやベニヤ板などを貼って穴を塞ぎ、外側を外壁材、室内側を壁紙などで仕上げたら完成です。
窓があった部分だけに新しい壁紙を張ると、周囲の壁紙との色の違いが気になってしまうことも。既存の壁紙の色褪せがひどい場合は、壁一面もしくは部屋全体の壁紙を張り替えるのもよいでしょう。
3.嵌め殺しの窓を開閉できる窓に変える注意点
嵌め殺しの窓を、開閉できる窓にリフォームすると換気や掃除はしやすくなりますが、一方でデメリットを生じることもあります。
嵌め殺しの窓は開閉するための部材がついていないシンプルな構造なので、窓枠を最小限にしてガラス面を広くとることができます。開閉できる窓に変えると、ガラス面が狭くなってしまうのが一つのデメリットです。
また最近の窓は気密性に優れていますが、開閉機能がつくとどうしても鍵の部分やスライドする部分にわずかな隙間ができてしまいます。完全に密閉された嵌め殺しの窓に比べると、気密性が落ちるというデメリットもあるでしょう。気密性が下がるということは、冷暖房効率に影響がでたり、花粉やホコリが侵入したりする可能性があるということです。とくに引き違い窓や上げ下げ窓のようにスライドする窓は隙間ができやすいため、気密性を確保したいなら隙間のできにくいすべり出し窓などを選ぶのもよいでしょう。
そして注意したいのが、窓を設置している場所によっては、開いた窓から人や物が落下してしまう危険があるという点。とくに2階以上の高い場所を開閉窓にする場合はよく確認しましょう。外にバルコニーのない大きな窓や、子どもがくぐり抜けられそうな地窓などは、開かない嵌め殺しの窓のままにするか、塞いで壁にするほうが安心です。
4.嵌め殺しの窓のリフォーム費用相場
リフォーム方法 | 費用の目安 |
---|---|
ビート交換 | 約1〜2万円 |
ガラス交換 | 約2〜5万円 |
内窓設置 | 約4〜15万円 |
カバー工法 | 約4〜15万円 |
窓を塞いで壁にする | 約10〜50万円 |
嵌め殺しの窓のリフォーム費用は、窓のサイズや性能によって大きく変動します。
また2階以上の窓で、足場を設置して作業しなければならない場合は、足場代として10〜20万円程度の追加費用が発生するため注意が必要です。同じく足場が必要な外壁塗装・外装リフォームなどをこの機会に実施するのも手でしょう。
窓は家のなかで最も外気温の影響を受けやすい箇所の一つ。費用対効果の非常に高いリフォームだといわれているので、寒さや暑さが気になる方は優先して取り組むのがおすすめです。
5.嵌め殺しの窓のリフォーム費用をなるべく安くする方法
嵌め殺しの窓のリフォームには、まとまった費用が必要になることも。少しでも費用を抑えながら、お得にリフォームしたいですよね。ここからはリフォーム費用を安くする方法について解説します。
5-1.補助金を活用する
まずチェックしたいのが補助金制度です。窓の高断熱化リフォームは、省エネや地球環境にも貢献するため、国や自治体が積極的に補助金制度を用意しています。当初のリフォームの目的が換気などの場合でも、結果的に断熱性が上がれば対象となる可能性があるのでぜひ確認しましょう。
例えば2025年に実施が予定されている「先進的窓リノベ2025事業」では、1戸あたり最大200万円が還元されます。うまく活用することでリフォーム費用を補助金でまかなえるとてもお得な制度です。
補助金制度によっては、窓の高断熱化などの省エネリフォームとあわせて実施することで、子育てや同居向けのリフォームまでが補助金の対象になるものも。これを機に窓リフォームだけでなく、他の気になっている箇所の工事をまとめて検討してみるのもよいかもしれません。
窓リフォームが対象となる補助金
・子育てグリーン住宅支援事業
・先進的窓リノベ2025事業
・既存住宅における断熱リフォーム支援事業
・次世代省エネ建材の実証支援事業
・長期優良住宅化リフォーム推進事業
※2025年3月時点の情報です。
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5-2.相見積もりを取る
リフォーム費用を安く抑えるには、複数社から見積もりをとる「相見積もり」がおすすめです。なぜならリフォームには「定価」が存在せず、同じような工事内容でもリフォーム会社によって料金が異なるため。2〜3社の料金をまとめて比較することで、リフォームの相場感を知り、高すぎる金額での契約を避けることができます。
このとき、窓リフォームが得意な会社を選んで見積もりを依頼するのもポイント。窓リフォームが得意な会社であれば、適切な工事や補助金を提案してもらえるでしょう。
また材料を購入するメーカーともつながりが深いため、材料費も抑えられる傾向にあります。材料費が安いということは、そのぶんリフォーム費用も安く抑えられる可能性が高いでしょう。
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6.まとめ
「開閉できない」という点が長所でもあり、ときには短所になることもある嵌め殺しの窓。
「ここを開けて換気したいな」
「夏の日差しの暑さや、冬の寒さをどうにかしたい」
「窓まわりのカビやガラス面の汚れが気になる」
そんなお悩みがでてきたら、リフォームを検討してみてはいかがでしょうか。
窓まわりのリフォームは、内窓設置やカバー工法など半日〜1日程度で終わる工事も多くあります。手頃なリフォームでありながら、暮らしの質がぐんと上がるのが特徴です。
今回は5つのリフォーム方法をご紹介しましたが、窓の状態や予算によっても適したリフォーム方法は変わってきます。気になる方は、ぜひ一度リフォーム会社に相談してみてくださいね。