
毎年厳しさを増す夏の暑さ。冷房をフル稼働させても部屋が涼しくならず、電気代の高さに頭を悩ませた方も多いのではないでしょうか。
実は、夏に室内へ侵入する熱のうち約7割は窓から入り込むため、根本的に暑さを和らげるなら窓の断熱対策が欠かせません。
マンションの窓は「共用部分」にあたるものの、内窓設置などであれば管理組合の承認を得て実施できるケースが多くあります。
今回は、マンションで可能な窓リフォームの施工方法や費用相場をわかりやすく解説。費用を抑えるコツや注意点も紹介するので、ぜひ参考にして今年の夏を快適な空間で過ごしましょう。
目次
1.マンションの窓リフォームの可否は管理規約をチェック
マンションで窓リフォームができるかは、管理規約の内容によって決まるため、最初に確認が必要です。マンションの窓は「共用部分」に該当し、個人の判断では交換できません。
基本的には、管理組合が修繕積立金を使ってまとめて窓のリフォームを行うのが一般的ですが、理事長からの許可が下りれば、個人でリフォームを実施できるケースもあります。
以下に、標準的な管理規約の例をまとめました。
第22条 共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するものとする。
2 区分所有者は、管理組合が前項の工事を速やかに実施できない場合には、あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けることにより、当該工事を当該区分所有者の責任と負担において実施することができる。
ここで紹介したのはあくまでも標準的な内容のため、必ず自宅マンションの管理規約を確認しましょう。
なお、内窓設置のように「室内側=専有部分の工事」とみなされるリフォームであれば、承認が下りやすい傾向にあります。
事前に大規模修繕工事の時期を確認!
マンションで窓リフォームを検討する際は、事前に管理組合へ大規模修繕工事の予定時期を確認しておきましょう。一般的に12〜15年程度の周期で実施される大規模修繕で、窓やサッシの交換が計画されている可能性があるためです。
大規模修繕の予定があればそのタイミングを待つことで、個人負担なくリフォームできる可能性があります。逆に、確認せずリフォームを進めてしまうと、直後に大規模修繕が入れば費用が二重にかかってしまうおそれも。
計画を立てる前に、修繕スケジュールを問い合わせておくと安心です。
2.マンションで夏を快適に過ごすなら「内窓リフォーム」がおすすめ
マンションで夏の暑さ対策に取り組むなら、内窓リフォームがおすすめです。既存の窓の室内側にもう1枚の窓を追加する工法で、窓と窓の間にできる空気層が外からの熱の侵入をしっかりカットしてくれます。
マンションの窓は基本的に共用部分にあたりますが、内窓は室内側の専有部分への設置とみなされるため、多くのマンションで管理組合の承認が下りやすい点もメリットです。1窓あたり約1時間で施工が完了し、外壁工事も不要なので近隣への影響も最小限に抑えられます。
さらに、カバー工法より費用を抑えられるうえに断熱効果も高いため、マンションの窓リフォームで多く選ばれている工法です。
>>内窓を設置することによる効果とは?光熱費を抑えて固定費を減らそう
窓リフォームには「暑さ対策以外の効果」もある
窓リフォームは、夏の暑さ対策だけでなく、暮らしの質を高めるさまざまな効果も期待できます。おもな副次的効果は、以下の5つです。
- 電気代の節約:断熱性能が上がり、光熱費を抑えられる
- 冬の寒さ軽減:暖気が逃げにくくなり、ヒートショックのリスクを下げられる
- 結露の防止:窓表面の温度が安定し、カビやダニの発生を抑えられる
- 防音効果:外の騒音が約半分に軽減され、静かな住環境を保てる
- 防犯性の向上:侵入に時間がかかり、空き巣への抑止効果を得られる
いずれも夏の暑さ対策と同時に得られるため、内窓リフォームを機に住まい全体の快適性が大きく向上します。
3.【施工方法別】マンションの窓リフォームの費用相場・特徴
マンションの窓リフォームには、おもに以下3つの施工方法があります。
- 内窓設置|マンションでも実施しやすい
- ガラス交換|使い勝手はそのままに断熱性が上がる
- 外窓交換(カバー工法)|サッシの断熱性も上げられる
ここからは、それぞれの工法の費用相場と特徴を順番に解説していきます。
3-1.マンションでも実施しやすい「内窓設置」
| 費用 | 1窓あたり約6〜15万円 |
|---|---|
| メリット |
|
| デメリット |
|
内窓リフォームは、既存の窓の内側にもう1枚窓を設置する工法です。窓と窓の間に空気層ができることで、外からの暑さ・寒さ・騒音が伝わりにくくなります。
既存の窓を壊す必要がなく、1窓あたり1時間程度で施工できる手軽さが特徴です。それぞれの窓にロックがつくため防犯性も向上します。
ただし、窓の開閉が2回必要になる点には注意が必要です。
>>【事例あり】マンションで二重窓(二重サッシ・内窓)を取り付けるリフォームの費用相場
3-2.使い勝手は変わらず断熱性が上がる「ガラス交換」
| 費用 | ガラス1枚あたり約4〜15万円 |
|---|---|
| メリット |
|
| デメリット |
|
ガラス交換リフォームは、既存の単板ガラス(一枚ガラス)を、複層ガラスや真空ガラスなどの高性能ガラスに交換する工法です。ガラスとガラスの間に空気層や真空層ができることで、断熱性や防音性が向上します。
ガラスのみを交換するため、内窓のように見た目や使い勝手が変わらない点がメリットです。
ただし、他の工法と比べて効果は限定的です。十分な効果を得るには、なるべく性能の高いガラスを選ぶ必要があります。
3-3.サッシの断熱性も上げられる「外窓交換(カバー工法)」
| 費用 | 1窓あたり約10〜30万円 |
|---|---|
| メリット |
|
| デメリット |
|
外窓交換リフォームは、窓をサッシごと丸ごと交換する工法です。
既存の枠に新しい窓を被せる「カバー工法」であれば、外壁を壊さず室内側から施工できます。
この方法は、ガラスだけでなくサッシの断熱性も向上させられる点が最大のメリットです。
アルミサッシを樹脂サッシなどに交換することで、寒さや暑さを防ぎ、結露も軽減できます。内窓のように使い勝手が変わることもありません。
ただし、建物の外観や性能に影響するため、マンションでは管理規約により許可が下りず実施できないケースも多いです。
マンションの内窓リフォームは予算50万円以内に収まる
マンションの内窓リフォームでは、すべての窓を施工しても補助金を活用すれば予算50万円以内に収まるケースがほとんどです。ただし、窓の多い角部屋などは50万円を超えるケースもあります。
実際にエール住研の矢部さんへ取材した際にも、以下のようなコメントをいただきました。
すべての窓を施工するのはハードルが高いという場合は、西日が強いリビングや日中長く過ごす部屋など、優先順位の高い窓から始めるのも1つの選択肢です。
また、補助金額や条件は毎年変動するため、検討中であれば早めに見積もりを依頼し、実質負担額を把握しておくと安心です。
なお、活用できる補助金制度については次章で解説しているので、参考にしてください。
4.マンションの窓リフォームの費用を抑える方法
マンションの窓リフォームは、工夫しだいで費用負担を軽減できます。おもな方法は以下の2つです。
- 補助金制度を活用する
- 複数の業者に見積もりを依頼する
それぞれ詳しく解説します。
4-1.補助金制度を活用する
窓リフォームは国の補助金制度が充実しており、うまく活用すれば自己負担額を大きく抑えられます。
2026年度にマンションで活用できる代表的な補助金制度は、以下の表のとおりです。
| 補助金制度 | 補助上限額 | おもな対象工事 |
|---|---|---|
| 先進的窓リノベ2026事業 | 最大100万円/戸 |
|
| みらいエコ住宅2026事業 | 最大100万円/戸 |
|
| 既存住宅の断熱リフォーム支援事業 | 集合住宅:最大15万円/戸 ※玄関ドア改修ありで上限20万円 |
高性能建材を用いた断熱リフォーム |
| 各自治体の補助金 | 自治体により異なる | |
とくに注目したいのが「先進的窓リノベ2026事業」です。窓リフォーム単独で活用でき、補助額も最大100万円/戸と大きいのが特徴です。
なお、補助金制度には予算枠や申請期限が設けられており、年々補助額も縮小傾向にあるため、検討中であれば早めに動き出すことをおすすめします。
また、補助金事業に登録した施工業者でなければ申請できない制度が多いため、業者選びの段階で登録状況を確認しましょう。
以下の記事で各補助金制度の詳しい内容を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
>>【2026年度最新版】窓の断熱リフォームに使える補助金を解説!
4-2.複数の業者に見積もりを依頼する
窓リフォームを依頼する際は、必ず複数の業者から相見積もりを取りましょう。同じ工事内容でも業者によって価格や提案内容に差が出るため、相見積もりで適正価格を把握すれば、無駄な出費を防げます。
とはいえ、自分で複数の業者を探して比較するのは想像以上に手間がかかるもの。
なるべく会社探しや比較の手間を省いてリフォームを進めたい場合は、一括見積もりサービスの活用も検討してみましょう。
たとえば、リフォームガイドは以下のような特徴があります。
- 厳しい審査をクリアした優良リフォーム会社のなかから、マンションの窓リフォームに強い業者を無料で複数社紹介できる
- 補助金申請の実績が豊富な業者も紹介できるので、契約後は面倒な手続きも安心して任せられる
- リフォーム会社からしつこい営業を受ける心配がない
プロのコンシェルジュに希望の内容を伝えるだけで、お住まいの地域のリフォーム会社をご紹介、相見積もりの取得まで伴走してサポートしています。
補助金の予算枠を逃さないためにも、まずはお気軽にご相談ください。
5.マンションの窓リフォームの流れと期間
マンションの窓リフォームは、計画から完了まで1ヶ月半〜2ヶ月程度かかります。全体の流れと期間の目安は、以下の表のとおりです。
| 流れ・期間 | ポイント |
|---|---|
| ①業者選び (約3日〜1週間) |
|
| ②現地調査・見積もり (約1〜2週間) |
|
| ③管理組合へ工事の申請 (約2〜3週間) |
|
| ④工事 (約1〜2日) |
|
| ⑤補助金の交付申請 ※補助金制度により申請タイミングは異なる (業者が代行) |
|
とくに、管理組合への申請は2〜3週間と時間がかかるため、夏本番に間に合わせたいのであれば逆算して早めに動き出しましょう。
>>リフォームの現地調査とは?実際の流れ・7つの確認すべきポイントを解説
6.マンションで窓リフォームをするときの注意点
マンションで窓リフォームをするときの注意点は、以下の4つです。
- 近隣住民へ配慮する
- 部品交換のみでもDIYは避ける
- カバー工法は開口面積が小さくなる
- ガラス交換だけだとサッシの結露は止まらない
1つずつ見ていきましょう。
6-1.近隣住民へ配慮する
マンションでの窓リフォームは、騒音や振動、職人の出入りなどで近隣住民に影響を与えるため、事前の挨拶や配慮が欠かせません。
とくに、両隣・上下階の住戸には以下のような内容を伝えておくと、トラブルを防ぎやすくなります。
- 工事日程
- 時間帯
- 作業内容
外窓に手を入れるカバー工法は騒音や粉塵が出やすいため、ていねいに周知する必要があります。挨拶回りはリフォーム業者が代行してくれるケースも多いので、契約前に対応範囲を確認しておきましょう。
トラブルを避けるためにも、しっかり対応しておきたいところです。
6-2.部品交換のみでもDIYは避ける
マンションの窓は共用部分にあたるため、たとえクレセント錠やゴムパッキンなど小さな部品の交換であっても、個人の判断でDIYするのは避けてください。
無断で部品を交換すると、管理規約違反でトラブルに発展する可能性があります。
また、サッシは精密な構造になっており、DIYで触ると気密性や防水性が損なわれ、雨漏りや結露の原因になることも。
「これくらいなら自分で」と思える内容でも、必ず管理組合に相談のうえ、専門業者へ依頼しましょう。
6-3.カバー工法は開口面積が小さくなる
カバー工法は既存のサッシ枠の上から新しい枠をかぶせる工法のため、リフォーム後は窓の開口面積が少し小さくなります。とくに小さな窓で採光が少ない部屋の場合、リフォーム後に「思ったより暗くなった」と感じることもあります。
開口面積が気になる場合は、内窓設置やガラス交換など、ほかの施工方法と比較検討してみてください。
リフォーム後の開口サイズや採光の変化は、現地調査の段階で業者に具体的に確認しておきましょう。事前に把握しておけば、施工後のギャップを防ぎやすくなります。
6-4.ガラス交換だけだとサッシの結露は止まらない
ガラスだけを交換しても、サッシ部分の結露は止まらない可能性があります。結露はガラスだけでなく、サッシの表面温度が低いことでも発生するためです。
とくにアルミサッシは熱伝導率が高く、外気の冷たさが室内側に伝わりやすい素材です。そのため、ガラスが高性能になっても、アルミサッシが冷えれば結露は残ったままになってしまいます。
サッシの結露までしっかり解消したい場合は、樹脂サッシへの交換ができる「カバー工法」または既存の窓の内側に新設できる「内窓設置」を検討してみてください。
7.まとめ
今回は、マンションで実施できる窓リフォームの施工方法や費用相場、費用を抑える方法を解説しました。マンションの窓は「共用部分」にあたりますが、管理組合の承認を得ることでリフォームが可能です。
夏の暑さのおもな原因は窓からの熱のため、窓の断熱リフォームを行うだけでも暑さ解消につながります。とくに内窓リフォームはマンションでも実施しやすく、補助金制度を活用すれば50万円以内に収まるケースがほとんどですので、迷っている方は積極的に検討してみるとよいでしょう。








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