
ローンを利用して自宅の外壁塗装を検討しているものの「住宅ローン利用中でも借りられるのだろうか」「どのローンを選ぶべきなのだろうか」などの不安や悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
外壁塗装でローンを利用する場合、一般的にはリフォームローンを使います。なお、住宅ローン返済中でもリフォームローンの利用が可能です。
この記事では、外壁塗装でローンを利用する場合のメリット・デメリット、選び方をくわしく解説します。また、ローンを利用する際の注意点なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.外壁塗装におけるローンのメリット・デメリット
ローンを利用すれば手元資金がなくても工事できますが、支払総額が増えるなどのデメリットもあります。
ここでは、外壁塗装でローンを利用する際のメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
まずはメリットを解説していきます。
①まとまった資金がなくても外壁塗装ができる
外壁塗装は費用相場が100万円前後と高額ですが、ローンを利用すれば手元資金がなくても工事が可能です。
ローンを利用することで月々の返済に分散できるため、金銭的な負担を減らすことができます。
一般的な外壁は10年程度での塗装が必要です。手元資金がなくても適切なタイミングで外壁塗装をできるのは、ローンを利用する最大のメリットといえるでしょう。
②長期的に費用を抑えられる
ローンを利用して適切なタイミングで外壁塗装をすることによって、長期的に費用を抑えられます。
外壁塗装をあと回しにすると外壁の劣化が進行し、大規模な修繕が必要になる可能性も。
たとえば、外壁にひび割れがおきて雨漏りするなどが考えられます。ひどい場合は雨漏りによって内装のリフォームが必要になることもあるでしょう。
適切なタイミングで対処できれば、将来の高額なリフォームを避けられたり住宅の寿命を延ばせたりする可能性が高まります。
③グレードの高い塗料を選択できる
ローンを利用することで、高額なハイグレードの塗料やコーティングなどの選択肢も増えるでしょう。
最近では高性能な塗料やコーティングが増えており、汚れや劣化に強く耐久性を向上させる外壁塗装も可能です。一般的な塗料は耐用年数が10年前後ですが、ハイグレードのものは20年程度もつものもあります。
ローンを利用してハイグレードの塗料を選択できれば、トータルでのコストを抑えられる可能性もあるといえるでしょう。
④ほかの出費に備えられる
ローンを利用すれば手元資金を残しておけるため、以下のようなほかの出費に備えられます。
- 子どもの進学費用
- 自動車の購入費用
- 住宅のほかのメンテナンス
さまざまなライフイベントでの出費や予期せぬ出費に備えられるのは、ローンを利用するメリットの1つです。
デメリット
ここからはデメリットを見ていきましょう。
①支払い総額が増加する
ローンを利用する場合、金利による利息が加算されるため現金一括払いと比較して支払い総額が増えることが最大のデメリットです。
たとえば、金利4.0%で100万円を借りた場合、10年間の返済で約22万円の利息が上乗せされます。また、同じ条件で返済期間が5年長くなればさらに約11万円が上乗せされます。
ローンは金利が高くなればなるほど、返済期間が長くなればなるほど支払い総額が増加するため、月々の返済額とのバランスを考慮しなければなりません。
②ほかのローンに影響する
ローンを利用すると、ほかで借入が必要になったときの審査に影響します。
ローンの審査では、どの程度の借入があるのかが見られます。借入が多い場合は、将来ローンを申し込んだときの審査に通りにくくなる可能性が高まるでしょう。
外壁塗装に限りませんが、ほかのローンに影響するのはデメリットの1つです。
③申請手続きに手間がかかる
ローンの申請には複雑な手続きが必要になることが多いため、手間がかかります。
申し込みの際は外壁塗装の見積書が必要だったり、収入確認書類などを用意したりしなければなりません。また、工事前に申請しなければならないため、外壁塗装業者や金融機関とのスケジュール調整も必要です。
必要書類の準備やスケジュールの調整などの手間がかかるのはデメリットといえるでしょう。
2.外壁塗装で利用できるローンの借入方法と選び方
外壁塗装で利用できるローンは、銀行や信販会社のものが主流です。
これらのローンを申し込む際に相談すべきところは、以下の4つがあります。
相談先 |
おすすめできる方 |
---|---|
住宅ローンを利用中の方 |
|
|
|
|
|
スムーズに手続きを進めたい方 |
ここでは、相談先別の借入方法を紹介します。
①住宅ローンの借入先
住宅ローンを利用中の場合は、まずはその借入先に追加でローンを組めるか相談するのがおすすめです。
一度審査に通っていることから、返済状況によっては柔軟に対応してくれる可能性があります。審査に通りやすくなったり、金利の優遇を受けられたりするかもしれません。
現在の返済負担が多く追加のローンが難しい場合は、外壁塗装の費用を住宅ローンに上乗せして借り換えるという選択肢もあります。
月々の返済額や総返済額など、なにを重視するか相談した上でどのローンにするのか決めましょう。
②銀行
銀行のローンは、以下のような特徴があります。
- 金利が低め
- 審査が厳しい
- 手続きが複雑
- 借入限度額が高い(有担保型の場合)
また、有担保型と無担保型の2種類があり、違いは以下のとおりです。
有担保型 |
無担保型 |
|
---|---|---|
担保 |
あり |
なし |
金利の目安 |
年0.8%〜2.5% |
年0.9〜14.0% |
借入限度額 |
1,000万〜1億円 |
500万〜1,000万円 |
返済期間 |
最長35年程度 |
最長15年程度 |
審査期間 |
1週間〜1カ月 |
数日〜2週間 |
手続き |
複雑 |
簡単 |
外壁塗装は500万円をこえるようなケースが少ないため、手続きが簡単でスムーズに進められる無担保型がおすすめです。
銀行のローンは、審査が厳しいものの金利が低い傾向にあります。安定した収入があり、できる限り月々の返済を抑えたい方に適しています。
ただし、銀行は選択肢が多くひとつひとつ調べるのは手間がかかるため、手間を省くためにも比較サイトなどを参考にするとよいでしょう。
③信販会社
信販会社のローンは、以下のような特徴があります。
- 金利が高め
- 銀行に比べて審査がゆるめ
- 手続きが簡単
- 返済期間が短め
信販会社とは、個人の信用をもとに商品代金などを立て替える「信用取引」を行う金融機関のことを指します。
信販会社のローンは、銀行よりも審査が早く手続きを進めやすい一方で、金利が高いことがデメリットです。すぐに資金が必要な場合や銀行の審査に落ちた方におすすめします。
なお、銀行と同様に選択肢が多いため、一つひとつ調べるのは手間がかかります。効率よく調べるために、比較サイトなどを参考にしてみてください。
④外壁塗装業者(リフォーム会社)
外壁塗装の依頼を検討している業者へローンを相談してみるのもよいかもしれません。業者によっては、提携ローンを用意している場合があります。
銀行や信販会社へ直接申し込む場合と金利が大きく変わるわけではありませんが、手続きを代行してくれるのでスムーズに進められるでしょう。
手続きなどの手間や時間をかけたくない方は、外壁塗装の依頼を検討している業者に相談するのがおすすめです。
ただし、金利が高い可能性があるため、丸投げにするのではなく内容の確認やほかのローンとの比較をしておきましょう。
3.外壁塗装でローンを利用した場合のシミュレーション
外壁塗装でローンを利用する場合、あらかじめどのくらいの返済負担になるのかを把握しておいたほうが返済計画を立てやすいといえます。
ここでは、以下の条件でローンを組んだ場合の返済シミュレーションを見ていきましょう。
【借入額】50万円・100万円・200万円
【金利】2%・4%・6%
【返済期間】10年
<借入額:50万円の返済シミュレーション>
金利 |
月々の返済額 |
利息額 |
総返済額 |
---|---|---|---|
2.0% |
4,600円 |
52,000円 |
552,000円 |
4.0% |
5,062円 |
107,440円 |
607,440円 |
6.0% |
5,551円 |
166,120円 |
666,120円 |
<借入額:100万円の返済シミュレーション>
金利 |
月々の返済額 |
利息額 |
総返済額 |
---|---|---|---|
2.0% |
9,201円 |
104,120円 |
1,104,120円 |
4.0% |
10,124円 |
214,880円 |
1,214,880円 |
6.0% |
11,102円 |
332,240円 |
1,332,240円 |
<借入額:200万円の返済シミュレーション>
金利 |
月々の返済額 |
利息額 |
総返済額 |
---|---|---|---|
2.0% |
18,402円 |
208,240円 |
2,208,240円 |
4.0% |
20,249円 |
429,880円 |
2,429,880円 |
6.0% |
22,204円 |
664,480円 |
2,664,480円 |
50万円の返済シミュレーションでも、金利が2%上昇するだけで約5万円も総返済額が増えてしまいます。
今回は返済期間10年でのシミュレーションですが、15年にして100万を借りると、金利2%の場合は総返済額が6万円近く増えることに。
金利や返済期間が少しでも変われば総返済額が大きく変わるので、しっかりと把握した上で返済計画を立てましょう。
4.外壁塗装でローンを利用する場合の手順
外壁塗装をする際にローンを利用する場合の手順は、以下のとおりです。
- 外壁塗装業者の見積書を取得
- ローンの申し込み・仮審査
- 必要書類の準備・本申請
- 本審査
- ローンの契約
- 工事完了後返済開始
銀行の場合は本審査通過後1〜2週間、信販会社は本審査通過後から数日で融資を受けられることが多い傾向にあります。
5.外壁塗装でローンを利用する際の注意点
滞納や未払いがある場合、解消するなどの対策をせずにローンを申し込むと、審査に通過できなくなってしまいます。
また、しっかりと返済計画を立てておかなければ、将来の負担が大きくなることも。
そうならないためにも、外壁塗装でローンを利用する際の注意点を見ていきましょう。
①無理のない返済計画を立てる
ローンを利用する場合は、慎重に返済計画を立てましょう。
今後の収入やライフイベントでの出費などを考慮した上で返済計画を立てなければ、将来の返済が厳しくなることもあります。
また、一般的な外壁の塗料は耐用年数が10年前後のため、ローンの返済期間を10年以内に設定するなども考慮しなければなりません。
無理のない返済計画を立てた上で、ローンを利用するようにしましょう。
②審査に通らない可能性がある
ローンを申し込んだら必ず審査に通るというわけではありません。ローンを利用するためには、各借入先が定めている審査基準を満たす必要があります。
審査基準には、以下のようなものがあります。
- 年収
- 勤続年数
- 返済負担率
- 過去の返済履歴
返済負担率とは、年収に対して住宅ローンなどの返済額が占める割合のことをいい、高ければ高いほど審査に通りにくくなります。
また、滞納や未払いがあれば審査に通過できないため、解消しておかなければなりません。
なお、銀行よりも信販会社のほうが審査に通りやすいですが、落ちる場合もあるでしょう。クレジットカードやキャッシング枠を解約することで、審査に通過しやすくなる可能性があるため、できる限りの対策をしておきましょう。
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③工事前にローンを申し込む
工事がはじまってからではローンの申し込みができないため、融資を受けられません。そのため、工事前にローンを申し込む必要があります。
外壁塗装を依頼する業者へローンの利用を伝えた上で、スケジュールを調整しましょう。なお、申し込みには見積書なども必要です。
ローンの利用を決めたら早めに申請するようにしましょう。
④外壁材によっては非効率になる
耐久性の高い外壁材を使用している場合は、ローンを組んでまで早期に塗装する必要がない可能性があります。
一般的な外壁材の耐用年数は10年前後ですが、20年以上と高耐久なものもあります。
たとえば、タイルは劣化しにくい外壁材のため、外壁塗装を数年延期しても影響は少ないでしょう。
使用している外壁材の耐用年数を家を建てた業者などに確認し、外壁塗装の適切な時期を把握しておきましょう。
⑤業者がローンを提案してこない場合がある
現金のほうが受け取りが早くなるため、すべての外壁塗装業者がローンを提案してくれるわけではありません。
提案してこないのは小規模な業者に多くみられるので、ローンを組めなさそうな場合は規模の大きい業者への依頼を検討してみましょう。
ただし、大規模な業者でも銀行より手続きが簡単な信販会社のローンを勧めてくる可能性もあります。ご自身の希望に対して柔軟に相談に乗ってくれるような業者を見極めることが大切です。
6.ローン以外で外壁塗装の費用を抑える方法
ローンを組む場合でも、外壁塗装の費用は抑えたいものです。
以下のような方法で、費用を抑えられる可能性が高まります。
- 訪問営業の業者は避ける
- 相見積もりで優良業者を探す
- 自社施工の会社に依頼する
- コストパフォーマンスに優れた塗料を使う
- 職人を若手にして人件費を節約する
また、住宅ローンを利用している場合は、追加融資ができないかも確認するとよいでしょう。金利を優遇してくれる可能性があるため、トータルで費用を抑えられるかもしれません。
これらの方法で活用できるものがないか、こちらで確認してみましょう。
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7.外壁塗装で使えるお得な制度
外壁塗装をする場合は、以下の制度を活用できる可能性があります。
- 自治体の補助金・助成金制度
- 住宅ローン減税制度
それぞれ解説していきます。
①自治体の補助金・助成金制度
外壁塗装をする場合は、以下の工事で自治体の補助金・助成金制度を活用できる可能性があります。
- 遮熱塗料を使用した外壁塗装
- 外壁の断熱リフォーム
- 一般的な外壁塗装・リフォーム
すべての自治体で利用できるわけではなく、利用できる自治体であっても利用するための条件があります。
ただし、補助金や助成金制度はリフォーム費用の支払いがローンであった場合、併用の対象外となることが多いです。併用できるかどうかはあらかじめ各自治体に確認しておきましょう。
外壁塗装で活用できる補助金・助成金制度を知りたい場合はこちらで確認してください。


②住宅ローン減税
外壁塗装をする際に、一定の条件を満たすことで住宅ローン減税の活用が可能です。
住宅ローン減税とは、ローンを利用して住宅の取得やリフォームをした場合に、年末のローン残高の0.7%が所得税や住民税から最長10年間控除される制度のことを指します。
おもな要件は、以下のとおりです。
- 工事費用が100万円超
- 自己所有かつ自ら居住する住宅
- 工事完了から6カ月以内に入居
- 床面積が50㎡以上
- 年間所得が2,000万円以下
- 住宅ローンの返済期間が10年以上
ほかにも細かな要件があるため、利用する際は自治体や外壁塗装業者へ問い合わせましょう。
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8.まとめ
ローンを利用することで手元資金がなくても外壁塗装ができる一方で、支払い総額が増えるなどのデメリットもあるため、適切に選択しなければなりません。
住宅ローンを利用中の場合、まずはその借入先に相談するのがよいでしょう。安定した収入があり月々の返済額を減らしたい場合は金利の低い銀行へ、早めに融資を受けたい場合は手続きが簡単な信販会社へのローン申し込みを検討しましょう。
ローンを利用する際は、相見積もりをする、コストパフォーマンスに優れた塗料を使用するなどの工夫で費用を抑えられるケースがあります。本記事で紹介したポイントを参考に、無理のない返済計画を立てた上で外壁塗装をしましょう。