
玄関まわりは訪問者が最初に目にする、家の顔ともいえる大切な空間です。玄関ドアを交換することで、外観イメージは大きく変わることでしょう。
外からの見た目だけでなく、玄関の中の使い勝手をよくするリフォーム、断熱性・防犯性の向上も一緒に検討してみませんか。
今回は、玄関ドア交換、玄関の収納リフォーム、土間のリフォーム、玄関を広げるリフォーム、バリアフリーリフォームなど、それぞれの目的に沿ったリフォーム費用や事例を紹介します。
目次
1.玄関ドアの交換リフォーム
最新の玄関ドアは、断熱性能が高いため、家の断熱性を上げるために玄関ドアを交換するケースは多く見られます。ここでは、玄関ドアの交換リフォームの費用とドアの種類について解説します。
1-1.ドア交換の費用
玄関ドアの交換リフォーム費用は、20万から60万程度が相場です。価格に差があるのは、ドアの仕様によって費用が変わるためです。
項目 | 費用相場 |
---|---|
玄関ドア本体・部品 | 15万〜45万円 |
工事費・撤去処分費 | 5〜15万 |
なお、開き戸から引き戸に変えるなどドアの種類を変える場合や、開口寸法を調整する場合には、枠から新しく変えるリフォーム工事が必要です。
この場合は工法が異なるため、リフォーム費用も高くなります。
玄関ドアのリフォーム費用に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。


(豆知識)ドアの防犯性を高めるには
ドアの防犯機能は日々進化しています。現在は1ドア2ロック(1つのドアに2つの鍵が付いている)が基本ですが、特殊な器具を鍵穴に入れて開錠する犯罪行為「ピッキング」や、鍵を使わずに締まっている状態のサムターンを回す「サムターン回し」の対策になるようなタイプもあります。
防犯性を高めたい方は、鍵穴がなくスマートフォンやリモコンが玄関の鍵になるタイプの玄関ドアもおすすめです。玄関ドアのグレードやサイズ、仕様にもよりますが、電子錠対応の玄関ドアの価格帯は30万円〜が目安です。
1-2.ドアの種類
玄関ドアを交換するのに、ドアの種類を選ぶ必要があります。玄関ドアは大きく分けて「開き戸」「引き戸」の2種類があります。
開き戸
押したり引いたりすることで開け閉めできるドアです。引き戸と比べ断熱性が高く、間口が狭い玄関でも取り付けられます。、デザインが豊富にあり、間口が狭い玄関でも取り付けられるため、リフォーム向きのドアといえます。開き戸には、片開きドアと親子ドアの2種類があります。
片開きドア
狭いスペースにも設置しやすいのが特徴です。
親子ドア
大きさの異なる扉(親扉と子扉)が2つ向かい合っている形のドアです。
普段は子扉にロックをかけておき、大きな荷物を搬入する際は両方の扉を開放して間口を広げられます。
袖付き片開きドア
片開きドアに袖が付いたタイプです。
袖に窓などのデザインが付いているものが多く、光を取り入れることができるので、玄関が明るく開放的になるのが特徴です。親子ドアとは異なり、袖側を扉のように開くことはできません。
両開きドア
左右に同じ大きさのドアが2枚あるタイプの玄関ドアです。開放感がありラグジュアリーな雰囲気になりますが、広い玄関スペースが必要になります。
引き戸
開閉が楽なので、高齢者に好まれます。また広い開口部が得られるため、車いすも通りやすくバリアフリーリフォームでよく取り入れられます。
引き違い扉
2枚の引き戸があり、左右にどちらでも開閉できるタイプです。
一般的な住宅でよく見かけるタイプの扉です。
片引き扉
1枚の戸を左右に滑らせて開閉するタイプの扉で、開けたときに邪魔にならずすっきりとした印象になります。
最近はモダンなデザインの商品が多く見られるようになりました。
両引き込み扉
扉自体を左右の壁側に引き込むタイプです。
玄関の開閉口を広く使うことができます。
▼玄関ドアを引き戸にリフォームしようとお考えの方は、こちらの記事を参考にしてください。


2.玄関の収納リフォーム
玄関ドアをリフォームすると、玄関まわりも一新したくなるものです。予算に余裕があれば、玄関の収納リフォームも検討してみてください。収納量をアップさせることで、いつのまにか増えた家族の靴もすっきりと片付くでしょう。
2-1.玄関の収納リフォーム費用
玄関収納を交換、もしくは増設する場合の費用相場は5〜50万円です。費用の目安に幅があるのは、工事内容や追加する玄関収納のサイズによって変わるためです。使用用途や収納したいものの量に応じて、収納リフォームを計画しましょう。
2-2.玄関の収納リフォーム事例
玄関の収納リフォーム事例を、3例紹介します。
- カウンター型と天袋を組み合わせた玄関収納
- オーダーメイドの壁面収納
- 土間収納
オーダーメイドの収納を設置することで、空間を無駄なく活用できますが、予算を抑えたいときは既製品をおすすめします。
カウンター型と天袋を組み合わせた玄関収納
※横にスクロールできます


出典:http://www.8044.co.jp/gallery/231
収納スペースを増やすため、天袋の収納棚を増やしました。引き戸の靴収納も開き戸に交換し、使い勝手がよくなりました。
費用 | 7万円 |
---|---|
築年数 | 30年 |
工期 | 2日 |
オーダーメイドの壁面収納
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/233
玄関の収納不足のため、天井までの高さがある全面収納にリフォーム。オーダーメイドで設置しています。
費用 | 27万円 |
---|---|
築年数 | 13年 |
工期 | 1日 |
土間収納
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/414
土間収納は、土間の一角に設けたオープンな収納スペースです。
3.玄関の土間リフォーム
玄関の土間リフォームでよくあるものとして、このような工事があります。
- タイルの張り替え
- 土間の面積を広げる
3-1.玄関の土間リフォーム費用
玄関の土間部分のタイルのひび割れが気になる場合は、タイルの張替えを検討しましょう。土間の面積や、使用するタイルのサイズや種類によって異なりますが、5〜15万円が相場です。
土間部分の面積を広げるリフォームは、解体する床の範囲や、壁や天井の内装工事が発生するかどうかで費用は変わってきます。工事内容にもよりますが、30〜120万円が相場です。
3-2.玄関の土間リフォーム事例
玄関の土間をリフォームした事例として、以下の事例を紹介します。
- 土間のタイルの張替え
- 土間の面積を広げるリフォーム
土間タイルの貼り替え
※横にスクロールできます


出典:https://39reform.com/2022/06/08/%E7%8E%84%E9%96%A2%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%AB%E5%BC%B5%E6%9B%BF/
費用 | 10万円 |
---|---|
工期 | 2日 |
土間の面積を広げる
玄関の土間を広くする方法には、以下の2種類があります。
- 玄関に隣接する部屋の一部を使って拡張する
- 廊下の面積を減らして拡張する
※横にスクロールできます


出典:https://www.8044.co.jp/gallery/1647
この事例では、玄関スペースを広げるために、玄関と隣接している寝室の壁の位置を移動して廊下の幅を広げました。
また、玄関から土間続きで使える部屋を新設し、趣味のアウトドア用品の収納場所を確保しています。
4.玄関を広げる・増築リフォーム
玄関を広げる・増築リフォームの4つのパターンとそれぞれの費用相場をまとめました。
施工内容 | 費用 |
---|---|
既存の玄関を広くする | 30〜50万円程度 |
既存の玄関を残して第二玄関を増築する | 120〜250万円程度 |
既存の玄関を潰して新規玄関を増築する | 200〜250万円程度 |
二階に玄関を増築する | 100~120万円程度 |
出典:https://www.reform-guide.jp/topics/genkan-zouchiku/
ここでの費用はあくまで目安で、どこにどのくらいの面積の増築なのか、設置する玄関ドアは何を選ぶのかなどで、費用は異なります。
正確な金額は、実際に施工業者に現場を見てもらい、やりたいリフォームを伝えた上で見積もりを取って確認しましょう。
5.玄関のバリアフリーリフォーム
高齢者や車いすやつえを使う家族がいる場合は、玄関まわりでの転倒やけがを防ぐためにも、バリアフリーリフォームを検討しましょう。
玄関のバリアフリーリフォームには、以下のような工事があります。
- 引き戸にする
- 段差を解消する
- 滑りにくい素材のタイルにする
- 手すりを設置する
5-1.玄関のバリアフリーフォーム費用
玄関のリフォーム工事は既存の状態や工事内容、選ぶ建材や製品によって異なります。以下の費用は、あくまでも一般的な相場です。
施工内容 | 費用 |
---|---|
開き戸から引き戸にする | 15万円~(ドアのサイズや種類によって異なる) |
スロープを設置して段差を解消する | 1mにつき10万円~ |
滑りにくいタイル(床材)に張り替える | 10万円~(床材によって異なる) |
手すりを設置する | 1カ所につき3万円~ |
5-2.玄関のバリアフリーフォーム事例
ここでは、玄関のバリアフリーリフォームの事例として、以下の例を紹介します。
- 開き戸から引き戸に変更
- 玄関ドアの交換とスロープの設置
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
開き戸から引き戸にバリアフリーリフォーム
※横にスクロールできます


出典:https://www.8044.co.jp/gallery/475
玄関を引き戸に変えるほか、手すりも付けて車いすでの生活に対応できるようにリフォームしました。
費用 | 101万円 |
---|
玄関ドアと外階段のバリアフリーリフォーム
※横にスクロールできます


出典:https://www.8044.co.jp/gallery/823
玄関の開口部を広げ、親子ドアに変更。スロープを付け、車いすのまま上がれるようにした事例です。
費用 | スロープ工事 4万円 ドア工事 12万円 |
---|
6.玄関と外まわりのリフォーム
玄関のリフォームと一緒に、駐車場やアプローチなど、玄関の外まわりも一緒にリフォームを考えられる方も多いでしょう。例えば2世帯で住むために玄関やアプローチ部分を増設したり、駐車スペースを舗装する工事などです。
ここでは、玄関と外回りのリフォームにかかる費用の目安と、リフォーム事例を紹介します。
6-1.玄関と外回りのリフォーム費用
玄関と外回りのリフォームでは、駐車場のためにコンクリートで舗装するケースや、二世帯住宅にするために玄関を増設するケース、防犯のためにアプローチや門扉を新しくするケースなどがあります。
玄関の種類や工事範囲によっても費用は大きく異なりますが、費用相場は50〜100万円程度です。
6-2.玄関と外回りのリフォーム事例
玄関と外回りのリフォーム事例を、2例紹介します。
- 庭をコンクリートで舗装し駐車場にする
- 2世帯住宅化に伴う玄関・アプローチの増設
庭をコンクリートで舗装し駐車場にする
出典:https://freshhouse.co.jp/case/23915/
コンクリートはデザインの選択肢も豊富なため、玄関からのアプローチと一体化したおしゃれなデザインにすることができます。
世帯住宅化に伴う玄関・アプローチの増設
※横にスクロールできます


出典:https://freshhouse.co.jp/case/24834/
二世帯住宅にするため、新しく玄関と玄関アプローチを作った事例です。
小さなお子さまでも上りやすいよう、段差の低い安全なアプローチとなっています。
7.玄関リフォームの費用を抑えるコツ
玄関リフォームを検討している方のために、費用を抑えるコツを4つ紹介します。
- 相見積もりを取る
- 安価な素材やドアを選ぶ
- 妥協できる部分とできない部分を明確にする
- 補助金を活用する
それぞれ、詳しく解説していきます。
7-1.相見積もりを取る
リフォームを依頼する際は、複数の業者へ相談し、相見積もりを取りましょう。相見積もりとは、より条件の良い相手先を見つけるために、同じ内容の見積もりを複数社へ依頼して比較することをいいます。
どちらが良心的な料金を提案しているのか判断するには、工事内容や建材、製品などの条件をなるべくそろえることがポイントです。ただし安過ぎる見積もりには注意し、追加工事が発生する可能性があるのか確認しましょう。
業者によってはメーカーが限定されているケースもあるので、使用したい設備や商品があれば、先に伝えておくとスムーズです。
7-2.安価な素材やドアを選ぶ
予算を抑えたいときは、本体価格の安い玄関ドアや素材を選びましょう。人件費を削るのはなかなか難しいですが、製品や建材のグレードを下げることで、予算内に収めやすくなります。メーカーによって玄関ドアの価格帯が異なることもあるため、予算を抑えたい旨を業者に相談するのも1つの方法です。
ただし、費用を抑えることばかり重視してしまうと、性能やデザイン性に欠け、満足度も低くなる恐れがあります。
何のためにリフォームするのか分からなくなってしまわないよう、リフォームで実現したいポイントは諦めないようにし、家族でよく話し合った上で決めましょう。
7-3.妥協できる部分とできない部分を明確にする
理想の全てを実現しようとすると、予算オーバーになりかねません。リフォームにかかる費用を抑えたいときは、まず希望や条件に応じて優先順位を決めます。
例えば玄関ドアの性能やデザインを重視するのか、リフォームする範囲なのか、よく検討した上でリフォーム内容を決めるとよいでしょう。
一度にリフォームした方が、長い目で見るとお得なこともあります。業者に予算を伝えて、見積もりの中で一緒に工事した方がよい項目があれば、教えてもらってください。
7-4.補助金を活用する
玄関リフォームは、要件を満たすことで補助金が使えるケースがあります。予算の上限や期限が決まっていることが多いため、補助金の活用を検討する場合は、直近の状況や申込期日に注意しましょう。
補助金は、工事が始まる前にリフォーム業者に相談し、利用したい旨を伝えておくとスムーズに進められます。玄関リフォームで使える補助金については次章で解説します。
8.玄関リフォームで使える補助金
玄関は、家の外と中をつなぐ開口部で熱の出入りがしやすいため、断熱性を上げる玄関ドアのリフォームでは、補助金が使える可能性があります。
また、バリアフリー目的で開き戸から引き戸に変更するなどの場合も、補助金対象のリフォームになります。
以下は、2024年の玄関ドアリフォームで使える補助金をまとめたものです。
補助金制度(全国対応) | 玄関ドアのリフォームのみで申請可能 | リフォームの目的 |
---|---|---|
子育てエコホーム支援事業 | 〇 | 断熱性能向上/(介護・バリアフリー) |
介護保険の高齢者住宅改修費用助成制度 | 〇 | 介護・バリアフリー |
先進的窓リノベ事業 | × | 断熱性能向上 |
次世代省エネ建材支援事業 | × | 断熱性能向上 |
断熱リフォーム支援事業 | × | 断熱性能向上 |
長期優良住宅化リフォーム推進事業 | × | 断熱性能向上/介護・バリアフリー |
※子育てエコホーム支援事業は、必須工事である断熱・省エネ工事と同時に行う場合にのみ、介護・バリアフリー目的のリフォームも対象となります。
※ほかにも自治体独自の補助金制度が用意されている場合があります。
それぞれの制度について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。


9.まとめ
玄関のリフォームについて総合的に解説しました。
ドアの交換のみであれば、約20万円~、1日程度でリフォームできることもあります。玄関を増築する、土間を拡張する、玄関の外まわりも工事するなどの場合は、したいリフォームや物件の状態によって費用や工期はさまざまです。リフォーム会社に現地調査してもらい、見積もりを出してもらいましょう。
見積額の妥当性を判断するためにも、相見積もりがおすすめです。リフォームの内容によっては補助金が活用できるので、要件や申込期限を確認してみましょう。
リフォームガイドでは、あなたのご希望条件とマッチした、お近くのリフォーム会社を無料でお探しします。
リフォーム会社から、直接営業電話がかかってくることはありません。まずは第三者の立場である弊社が相談をお受けしますので、お気軽にご登録ください。