
トイレは狭い空間ですが、手すりの設置や段差解消に加え、ドアの位置や開き方、便座の位置などバリアフリーのために考えられるリフォームはたくさんあります。
ここではトイレのバリアフリー化で考えたいリフォーム内容や費用、ポイントをお伝えします。
目次
トイレのバリアフリーリフォームの内容・費用
トイレのバリアフリーリフォームの内容ごとに、気をつけたいポイントや費用を詳しくお伝えします。
リフォーム項目 | 費用 |
---|---|
手すりの設置 | 2万円~ |
段差解消 | 2千~10万円(工事方法による) |
ドアの変更 | 10~20万円 |
床材の変更 | 2~10万円 |
補助便座の設置 | 2万円~(介護保険の福祉用具購入費支給の対象になる場合も) |
昇降便座の設置(便器のかさ上げ) | 10万円~ |
手洗いコーナーの設置 | 8万~150万円(スペースを広げる場合は高くなる) |
和式トイレを洋式に変更 | 30~50万円 |
押入れなどをトイレにリフォーム | 55万円~(押し入れの位置による) |
※金額については、家の状況や設置する物の内容によって変わってきます。
手すりの設置
トイレは比較的狭いスペースで便座の立ち座りや、衣類の脱ぎ着などの動作を行わねばなりません。そのため、手すりは使う人に合った高さや場所に設置することが大切です。トイレの手すり設置のポイントをお伝えします。
①ドア開閉時、体を支えるための手すり
ドア開閉時もバランスを崩しやすいタイミングです。こちらの手すりは、ドア枠や壁に手垢で汚れている場合があれば、その位置を目安に設置することをおすすめします。
②便座の立ち座り、座った姿勢を安定させるための手すり
I型やL型の手すりが一般的です。写真のようにI型の手すりとペーパーホルダーを組み合わせ、L型の役割を果たしているものもあります。
縦の手すりは、立ち座りの動作を支え、横の手すり(もしくはペーパーホルダー)は座った体勢を支えます。
いずれにしても、利用される方の身体状況を把握してからの取り付けを心がけましょう。
また、手すりを設置する位置によってはペーパーホルダを届きにくい位置に移動させなければならない場合もあります。そんな時はペーパーホルダーと一体型の手すりを利用すると良いでしょう。
段差の解消
トイレの出入り口の段差は解消することをおすすめします。ドア横に手すりがあったとしても、足腰の弱った高齢者や障害を抱えた方にとっては不便なものです。段差を取り除くには、トイレ床のかさ上げや敷居の撤去が必要です。
ドアの変更
トイレのドアは車椅子の方でも自力で開閉しやすいよう、引き戸にすることをおすすめします。また、中で万が一のことがあった場合に備えて、外からも鍵があけられるタイプにしましょう。
さらに、ドア(出入り口)の位置も重要です。便座横に設置することで出入口から便座までの移動が楽になります。
便座のかさあげ
便座に腰掛ける動作が辛いと感じる方へのリフォームです。便座の位置を高くすることで、足腰の負担を軽減しながら腰掛けることができるようになります。
便座のかさあげには下記のような方法があります。
- 便座と便器の間に補高部材を挟むことでかさ上げする
- 便座が電動で上下し、立ち座りの動作を補助する装置
- 便座の高いトイレに交換する
ペーパーホルダーの変更
弱い力で、片手でもペーパーを切ることができるペーパーホルダーがあります。
また、ペーパーを取り替えることが億劫な方には予備のペーパーもセットできる、2つの紙巻器のあるペーパーホルダーがあります。
ペーパーホルダーを支えにして立ち座りをする方もいらっしゃるため、耐荷重なものにすると良いでしょう。
>>ペーパーホルダーの上にカウンターを設置し耐荷重にした事例
床材の変更
転倒防止など安全性を重視するだけでなく、清潔さを維持しやすい床材にリフォームすることも大切です。
濡れても滑りにくく、かつスリッパ無しでも不潔感や抵抗感を生まない清潔感のある素材や色合いを選ぶことがポイントです。また、汚れや水に強い掃除がしやすい床材を選びましょう。
おすすめの素材はクッションフロアです。ビニール系の素材でクッション性があり、水にも強い特徴があります。また、柄の種類も豊富でお好みのトイレ空間を演出してくれます。機能性、デザイン性、どちらにも優れた床材です。
洗浄レバー・ボタンの変更
見落としがちですが、洗浄レバーや温水洗浄便座などのボタンの位置が不便ではないか、たくさんあるボタンが見にくくはないかを確認してみてください。
たとえば洗浄レバーへ手を伸ばしにくいという状況であれば、位置を変更したり自動洗浄にすることで解消できます。
リフォームポイントは以下の通りです。
- 自動洗浄タイプや手をかざすタイプのものに変更
- 洗浄ボタンを付ける
- 温水洗浄便座等のボタンはペーパーホルダーの上部など、押しやすい位置に設置する
- 大きな字、見やすく分かりやすいデザインのボタンを選ぶ
手洗いコーナーの設置
トイレから洗面所までの距離がある場合に、手洗い器をトイレ内に設置すると移動が短くなるため便利です。
また、ボタン洗浄と組み合わせれば、手洗いや洗浄のために後ろを向く動作が減り、転倒の危険も減らすことができます。
和式トイレを洋式に変更
和式トイレでかがむ体勢は足腰の弱った方にとって非常に困難です。洋式トイレにすることで、体への負担は各段に軽減します。
大掛かりな工事にはなりますが、バリアフリーリフォームとしては必須リフォームといえます。
出典:https://www.8044.co.jp/costs/10
和式から洋式トイレへのリフォームをさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。


トイレを新設する
トイレに十分なスペースが確保できない、寝室からトイレの距離が遠いなどのお悩みがある方は、トイレを別の場所に新設するリフォームも検討できます。
押入れやクローゼットだった場所をトイレにリフォームしたり、空間を仕切ってトイレを作ることができます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。


2.トイレのバリアフリーリフォーム事例
車椅子のためトイレを拡張、手洗い器を設置
車椅子生活になってしまいリフォームを検討した事例です。隣の洋室のクローゼットを半分解体し、トイレ空間を倍の広さに拡張しました。
入口のドアは特注サイズを使用。手洗いまで車椅子で楽に移動できるよう、トイレ内に手洗い器も設置しました。
体重をかけられるよう手すりとカウンターを設置
もともと和式だったトイレを洋式にリフォーム。立ち座りの際体重をかけても安心できるよう、手すりとペーパーホルダー上のカウンターを取り付けました。
出典:https://freshhouse.co.jp/case/11820/
▼トイレのバリアフリー・介護リフォームについてはこちらで解説しています。あわせてご覧ください。


3.トイレのバリアフリーリフォームで使える補助金
介護保険の住宅改修費支給制度を使えば、20万円を限度額として、14~18万円の給付を受けることができます。
住宅改修の種類は下記のとおりです。
- 手すりの取付け
- 段差の解消
- 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
- 引き戸等への扉の取替え
- 洋式便器等への便器の取替え
- その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
参考資料:介護保険における住宅改修|厚生労働省
自治体独自に住宅リフォームに関する助成金を用意している場合もあります。お住まいの都道府県や市区町村のホームページや窓口で調べてみるとよいでしょう。


またトイレのリフォームで使える補助金はこちらの記事でまとめています。あわせてご確認ください。


4.まとめ
トイレのバリアフリーリフォームについて、工事内容ごとにポイントや費用を解説しました。住む方の身体状況はもちろんのこと、将来も考えてリフォームの計画をしましょう。
また補助金・助成金制度を活用すると、お得にリフォームができます。ご自身のリフォームで使えるものがあるかを事前に調べておくとよいでしょう。
最後に、バリアフリーリフォームは、設計から施工まで専門知識が必要な分野です。そのため、リフォーム会社選びは非常に重要になります。リフォーム会社選びでお困りの際は、リフォームガイドをぜひご利用ください。