
この記事では、助成金や補助金を受けられる外壁(屋根)塗装・リフォームの種類や、お住まいの自治体が助成金事業を提供しているかどうかを調べる方法を紹介します。
助成金・補助金を受け取る一般的な手順や申請時の注意点なども解説しますので、参考にしてみてくださいね。
ただしすべての自治体が、外壁の塗装やリフォームに対する助成金制度を設けているわけではありません。また制度がある場合でも、適用を受けるにはさまざまな条件をクリアする必要があります。
目次
1.助成金(補助金)が出る外壁(屋根)塗装・リフォームとは
外壁塗装や外壁リフォームに対する自治体の助成金・補助金は、主に以下の3種類に分けられます。
1.「遮熱塗料」を使用した外壁(屋根)塗装
室内温度の上昇を防いで省エネ性能を向上させるために、太陽光を反射させることで熱の吸収を抑制する塗料(遮熱塗料)を外壁や屋根に塗装する工事です。
2.外壁(屋根)の「断熱リフォーム」
住宅の断熱性能を向上させるために、壁や床、天井などへの断熱材の新規埋設や追加、断熱性の高い窓への更新、内窓の取り付けなどをおこなう工事です。
詳しくは「6-4.国の補助金制度もチェックしておく」をご覧ください。
3.一般的な外壁(屋根)塗装・リフォーム
省エネや断熱性能の向上ではなく、住宅の長寿命化などを目的におこなわれる一般的な工事です。
外壁塗装や外壁リフォームで使える助成金は、主に1や2のような「省エネ・断熱」目的の工事を対象とするのが一般的です。「省エネリフォーム助成金」や「断熱改修助成金」などの名称で、助成金を出している自治体が多いです。
また3のように、省エネや断熱を目的としない外壁塗装や外壁リフォームを、「住宅改修助成金」など一般的な住宅リフォームの助成金に含めている自治体もあります。
2.外壁塗装・外壁工事の助成金例【令和6年度】
自治体が外壁塗装や外壁リフォームに対しておこなう助成金・補助金事業は、どのような内容なのでしょうか?いくつか例を挙げて紹介します。
2-1.遮熱塗料を使用した外壁(屋根)塗装の助成金例
自治体|事業名 | 対象工事 | 補助額 |
---|---|---|
品川区|住宅改善工事助成事業 | 遮熱塗装 | 工事費用(税抜)の10%、上限20万円 |
台東区|高反射率塗料施工助成金制度 | 高反射率塗料(遮熱塗料)を使用した塗装 | 工事費用(税抜)の20%、上限15万円 |
足立区|省エネリフォーム補助金 | 遮熱塗装 | 補助対象経費(税抜)の3分の1に相当する額、上限5万円 |
建物の外装への蓄熱を抑制し、夜間の大気中への放熱を緩和する(ヒートアイランド対策)ほか、室内の温度上昇を軽減し、夏場のエアコンの使用量を削減する省エネ効果が期待できます。
(例)東京都品川区|住宅改善工事助成事業
環境やバリアフリーに配慮したリフォーム工事をおこなう場合に利用できる助成金制度です。
外壁塗装は遮熱塗料を使用した塗装のみが対象です。工事費用(税抜)の10%、上限20万円が補助額となります。
また、同時にその他のリフォーム工事をおこなった場合も、助成対象であれば助成金を受け取れる可能性があります。気になっている箇所があるなら、併せて補修を検討してみるとよいでしょう。
2-2.外壁の断熱リフォームの助成金例
自治体|事業名 | 対象工事 | 補助額 |
---|---|---|
台東区|窓・外壁等の遮熱・断熱改修助成金制度 | 遮熱・断熱改修 | 工事費用(税抜)の20%、上限15万円 |
世田谷区|世田谷区環境配慮型住宅リノベーション推進事業補助金 | 外壁等の断熱改修 | 工事経費の10%、上限40万円 |
札幌市|住宅エコリフォーム補助制度 | 外壁全体の断熱改修(札幌市が定める熱抵抗値に適合させるもの) | 24万円/戸 |
(例)札幌市|住宅エコリフォーム補助制度
省エネ改修やバリアフリー改修をおこなう場合に支給される補助金です。
外壁に関しては、外壁全体に断熱改修をおこなった場合が対象となります。工事完了後、札幌市が定める熱抵抗値の基準をクリアした場合に、一戸当たり24万円が支給されます。
なお、その他の工事も併せて行う場合は、一戸当たり50万円が補助額の上限となります。
2-3.一般的な外壁(屋根)塗装・リフォームの助成金例
自治体|事業名 | 対象工事 | 補助額 |
---|---|---|
渋谷区|住宅簡易改修支援事業 | 屋根・外壁などの改修および模様替えをおこなう外装工事 | 工事費用(税抜)の20%、上限10万円 |
大田区|住宅リフォーム助成事業 | 長寿命化を目的とする屋根・外壁塗装 | 助成対象額の10%、上限20万円 |
川越市|住宅改修補助金制度 | 外壁の改修(塗装含む) | 工事費用(税抜)の5%、上限額は5万円 |
(例)東京都大田区|住宅リフォーム助成事業
大田区の住宅リフォーム助成事業では、住まいの長寿命化を目的とする、一般的な外壁塗装や外壁の改修で助成金を受け取れます。
助成対象額の10%、上限額は20万円です。
3.お住まいのエリアに外壁塗装・外壁リフォームへの助成金があるかを確認する方法
ここでは住んでいるエリアに外壁の塗装・リフォームに対する助成金があるかを調べる方法を紹介します。
3-1.市区町村の公式ホームページで確認する
各市区町村は、補助金や助成金制度の情報をまとめたページを公開しています。住宅に対する補助金・助成金制度については「住宅・環境」や「住まい・暮らし」などのカテゴリーに入れられていることが多いようです。ただし自治体により異なるため、トップページの検索窓で「補助金」「助成金」などのキーワードを入力して探すのが早道です。
3-2.市区町村の窓口に問い合わせる
各市町村の窓口に直接問い合わせるのも方法のひとつです。代表番号に電話をかけると案内窓口につながるのが一般的であるため「住宅改修の補助金制度について知りたい」と伝え、関係部署につないでもらいましょう。
3-3.住宅リフォームの補助金・助成金サイトで探す
一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会では、地方公共団体が実施している住宅リフォーム支援制度を検索できます。支援制度検索サイトにアクセスし、地図をクリックしてお住まいの市区町村を絞り込んでいきましょう。
なお省エネルギー、環境対策など支援の内容によってさらに細かく条件を指定できますが、どこに振り分けられていても見つけられるよう、未選択のまま検索することをおすすめします。
地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
※なお新年度の情報は、例年7月頃に更新されます。またすでに終了している制度が掲載されている場合もあるため、最新の情報は各自治体のサイトなどで確認するようにしましょう。
3-4.都道府県別・外壁塗装助成金の記事はこちら
リフォームガイドでも、外壁塗装助成金を提供している自治体やその内容を、都道府県別にまとめています。以下のエリアに該当する方はぜひご利用ください。


















4.助成金・補助金を受け取る条件
外壁塗装や外壁リフォームで自治体の助成金・補助金を受け取る「条件」には、以下のようなものがあります。
4-1.申請者や建物についての条件
- 対象の建物がある自治体に住民登録をしている
- 税金を滞納していない
- 申請者が所有者かつ居住者である
- 住むことが目的の建物である
- 非社会的な組織とのつながりがない
申請者や建物については申請条件のハードルは高くなく、自治体内に居住し納税義務を果たしている人が住む家に対する工事であれば、基本的には申請可能な場合が多いです。
4-2.施工業者や施工金額についての条件
- 市内の施工業者が工事をする
- 工事費が○万円以上の場合
このように、施工業者や工事金額の条件が含まれる場合も多くあります。条件を満たさない業者や制度に詳しくない業者に工事を依頼してしまうと補助金を受け取れなくなる可能性があるため、業者選びは慎重に進めましょう。
4-3.工事内容についての条件
助成金対象となる工事内容についてはそれぞれ異なります。自治体のホームページや窓口でよくお確かめください。
5.助成金・補助金を受け取る手順
ここでは、自治体から助成金や補助金を受け取る一般的な手順を紹介します。
5-1.住宅がある自治体の補助金・助成金を調べる
外壁塗装や外壁リフォームに対する補助金・助成金制度は、すべての自治体が提供しているわけではありません。まずはお住まいの自治体に希望する制度があるかどうかを、「お住まいのエリアに外壁塗装・外壁リフォームへの助成金があるかを確認する方法」で紹介した方法で調べましょう。
なお自治体によっては、省エネ、断熱、長寿命化などの目的に応じ、複数の補助金・助成金制度を用意しているケースもあります。よく内容を比較して、どの制度を利用するとより多くの助成金を受け取れるのか調べましょう。
5-2.助成金を使った外壁塗装・外壁リフォームに詳しい業者を見つける
助成金を使っての外壁塗装・リフォームは、制度に詳しい業者を選ぶことが大切です。
なぜなら助成金を使う工事の場合、交付決定通知が届くまで工事を待ってもらう、工事中に記録用の写真を撮ってもらうなど、業者の協力が不可欠であるためです。
助成金制度に詳しい会社かどうかは、ホームページなどで判断することは難しい場合が多いです。ご自身で判断がつかない場合は、リフォームガイドにご相談ください。
リフォームガイドでは、ヒアリングや審査を通して会社の実情を把握し、お客様のご希望に合った塗装会社・リフォーム会社をご紹介しています。補助金・助成金制度を使ったリフォームの実績がある会社をご紹介することも可能です。
詳しくはこちらの記事も参考にしてください。


5-3.「工事前」に申請する
補助金や助成金を受け取るために絶対に覚えておいていただきたいのが、ほとんどの自治体が「着工前の申請」を条件としていることです。
その場合、工事を開始してから、あるいは工事後に申請しても、補助金や助成金は受け取れません。制度を利用すると決めたら、そのことを業者に伝えたうえで手続きを進めましょう。
5-4.外壁の塗装・リフォーム工事をする
自治体から交付決定通知が届いたら工事を始めます。
補助金や助成金を利用する場合、工事をした証拠を残すために作業状況を撮影するなど記録に残す必要があります。基本的には業者が対応してくれますが、念のため確認しておくと安心です。
工事が完了したら、報告書を作成して提出します。制度に詳しい業者なら、報告書の作成もサポートしてくれるでしょう。
5-5.報告書の提出・審査
報告書を提出したら、交付の適否を判断する審査がおこなわれます。場合によって、調査員が直接現場を確認することもあります。
問題がなければ交付決定通知が届くので待ちましょう。
5-6.助成金を受け取る
問題なく進めば、交付決定通知を受け取ってから1カ月程度で補助金や助成金が振り込まれるのが一般的です。
このように助成金を利用しての外壁の塗装・リフォームは、業者に依頼して助成金を受け取るまでに3ヵ月〜半年程度、工事の規模によってはそれ以上かかります。許可が下りるまでの「待ち」の時間も見込む必要があるため、早め早めに進めましょう。
6. 助成金・補助金を申請する場合の注意点
補助金や助成金は、条件を満たしたうえでしっかり準備すれば、誰でも受け取れるものです。ここでは、知識不足・準備不足で受け取れなかった・・・と後悔しないよう、覚えておくべき注意点をまとめました。
6-1.助成金・補助金は申請受付期間が限られている
自治体や国の補助金・助成金は、年度ごとに申請受付期間が決められており、年度内ならいつでも申請できるわけではありません。
年度の終わりになると申請受付が終了している可能性が高くなるため、早めに計画を立てることが大切です。
6-2.申請期間内であっても、予算に達した時点で終了する
補助金や助成金はその年度の予算が決められており、予算がなくなり次第受付を終了してしまいます。応募者が多いと早い時期に予算が尽きることも考えられるので、助成金を利用しての外壁塗装や外壁リフォームは早めに業者に相談しましょう。
なお自治体によっては、公募状況を公開しているところもあります。詳しくはお住まいの市町村のホームページで確認するか、問い合わせてみるとよいでしょう。
6-3.助成金・補助金を受けられる条件をしっかりチェックしておく
補助金がもらえると思って進めていたら審査が通らなかった・・・とならないように、条件はしっかりと確認することが大切です。
特にチェックが必要なのは、以下の項目です。
- 業者の指定はないか
- 外壁塗装・外壁リフォームのみで補助は受けられるのか
- 塗装の場合、塗料の指定はないか
細かな条件を見落とさないためにも、補助金を使った工事の経験が豊富な業者に相談することをおすすめします。
6-4.国の補助金制度もチェックしておく
住宅に対しては、自治体だけではなく国もさまざまな補助金・助成金制度を設けています。外壁塗装に対する単独の制度はないものの、断熱リフォームについては国の制度を利用したほうが、より高額な助成金を受け取れる可能性が高くなります。
国と自治体の助成制度は、内容によっては併用できない場合もあるため注意が必要です。後悔しないためにもあらかじめよく調べておきましょう。よくわからない場合は、自治体の担当部署、もしくは助成金や補助金に詳しい業者に相談することをおすすめします。


7.助成金がないエリアでも外壁塗装・外壁リフォームの費用を抑える方法
助成金がないエリアで外壁塗装の費用を抑えたいときには、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」をおすすめします。
外壁塗装の工事には「定価」はないため、同じ内容で見積もりを依頼しても、業者によって出す金額は異なります。そのため1社だけの見積もりで決めてしまうと、もっと安く塗装工事をしてくれる業者と出会うチャンスを逃してしまうかもしれません。
とはいえ「費用は抑えられたものの、工事の質が悪かった…」という結果は避けたいですよね。そんなときには、お住まいのエリアに対応できる優良企業だけをご紹介するリフォームガイドをご利用ください。リフォームガイドでは、登録時に一定の基準を設けているため、経営が不安な会社や実績が乏しい会社を紹介することはありません。
8.まとめ
外壁塗装や外壁リフォームで利用できる自治体の補助金や助成金の多くは、省エネ改修に関するものです。特に塗装については、遮熱・断熱塗料を使えば制度を適用できる自治体が増えています。
なお適用を受けるには、自治体内の業者に限る、工事前に申請が必要など、定められた条件を満たさなければならないため、事前に確認することが大切です。助成制度を利用しての施工事例が多い業者が見つかれば安心して任せられるので、探してみるとよいでしょう。