
マンションのリフォームには制限が多く、注意点を把握しないとうまくいきません。というのも、マンションによって管理規約が定められており、リフォームできない箇所や注意が必要な部分があるからです。
それら全てをしっかり把握しておかないと、リフォームそのものができない可能性もあります。
また、注意点を把握していなかったことで、リフォーム後に近所トラブルに繋がることも珍しくありません。リフォーム後もその部屋には住み続けることになるので、近隣との関係悪化は避けたいですよね。
そこでこの記事では、マンションリフォームにおける9つの注意点を全て詳しく解説しています。記事を読めばマンションリフォームにおける注意点がわかり、トラブルを避けることができます。
記事を読んで、満足のいく安全なマンションリフォームを行いましょう。
>>【価格帯別】マンションのリフォーム事例10選!失敗例から学ぶ注意点も
目次
1.マンションリフォームを成功させるために、会社選びを妥協せず行う
マンションを行う上で一番注意しなければならないことは、リフォーム会社選びです。
マンションリフォームが満足いくものになるかどうかは、リフォーム会社選びで決まるといっても過言ではありません。
マンションリフォームの経験が豊富な会社を選ぶか選ばないかでは、リフォームの完成度や満足感などが大きく違うからです。
マンションリフォームが得意な会社に依頼すれば、周囲に不快な思いを抱かせず自分の満足のいくリフォームを行うことが出来ます。しかし、会社選びを疎かにしてしまうと、
- 工事中の配慮が足りず、近所や管理会社とトラブルになることがある
- 解体後予想外の状態による対応が遅れ、予定していた完成時期から遅れる
- 現場管理がずさんで、プランしていた色や素材と違った仕上がりになる
などの問題が生まれる可能性があります。
マンションリフォームを成功させるためには、リフォーム会社選びを妥協せずに行いましょう。
マンションのリフォームが得意な会社は、以下のような特徴があります。
- リフォームができる・できないが図面や現地を見てある程度判断できる
- 管理規約に詳しく、制限がある中でベストなプランを提案してくれる
- マンションの構造を熟知している
- 管理組合や周辺住民との付き合い方が分かっている
うまくリフォーム会社が見つけられない場合は、我々リフォームガイドでもコンシェルジュがお客様ひとりひとりにあった会社をご紹介しています。ご利用は無料なので、気軽にご利用ください。
2.管理規約によって希望通りにリフォームできない場合がある
マンションリフォームでは、管理規約によってリフォーム内容が制限されていることがあるため、希望通りにリフォームできない場合があります。
以下の3つの工事が管理規約で制限されることが多いです。
- ガスや電気周りの工事
- キッチン全体やシンクの移動
- 床材の変更
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1.ガスや電気周りの工事
ガスや電気周りの工事は制限されることがあります。主にキッチンでの「IHヒーターへの変更」と「レンジフードの移動」が難しい場合があります。なぜなら、マンションだと1つの家庭における電力供給量が限られているからです。
IHヒーターへの変更
IHヒーターは200Vの電圧が必要なものも多く、電気容量を上げる必要が出てきます。IHヒーター以外の調理器具も利用する場合には50アンペア程度は欲しいところですが、マンションによっては管理組合への確認が必要になります。特に古いマンションの場合は建物全体への電気供給量に制限があり、難しい場合もあります。
レンジフードの移動
レンジフードを移動させるには排気ダクトを繋ぎなおす必要があります。マンションによってはもともとの構造上、希望の位置までダクトを繋げられないことがあるので、レンジフードの移動が自由にできない場合があります。
移動できる前提で間取りを考えていたけど排気ダクトの構造によって実はできなかった、と後になって気づくことがあるかもしれません。
そのようなことを防ぐためにも、マンションでガスや電気周りのリフォームの検討を始めたら早いタイミングで施工会社に相談するのが良いでしょう。
2-2.キッチン全体やシンクの移動
マンションの場合は戸建てと異なり、キッチンの位置を動かすことが難しい場合があります。排水管の位置が固定されてしまっていることもあるからです。
下の図のように配管の位置や造りによって、移動の容易さは異なってくるので注意が必要です。
上図の左側のように、床下に多少余裕がある場合はキッチンの移動が可能です。ただしどこまで移動できるかは床下の余裕がどこまであるか次第になります。
一方で右図のように床下に隙間がない作りの場合は排水管を動かすことが難しいので、キッチンの位置を変更することも難しくなります。(技術的に可能ではある場合もありますが、手間がかかる分費用が高くなります)
1980年代前半以前のマンションは構造的にキッチンを動かすことが難しいものが多く、2000年代以降のマンションは床下にスペースが確保されていて、キッチンを動かしやすい構造になっているものが多いようです。
しかしキッチンの移動が出来る場合でも、移動範囲には制限があります。例えば上図の左のように床下にゆとりが無い場合は、遠くに移動させることは難しいです。配管には水の流れのためにも多少の傾きが必要で、移動によってその傾きが無くなってしまうことは避けなければいけません。そのために左図のような場合は、大幅なキッチンの移動は出来ません。
反対に上図の右のようにゆとりがある場合は、多少遠くに動かしても十分な傾きが確保できるので問題がありません。
マンションの構造によって移動範囲は異なってきますので、本格的なプランニングに入る前に、まずは施工場所をリフォーム会社に見せて相談するのが良いでしょう。
>>マンションのキッチンリフォーム事例7選!費用や注意点も徹底解説
2-3.床材の変更
マンションの床材の種類の変更が出来ない可能性があります。各マンションの実態に応じてそれぞれの管理規約が存在し、規約内でリフォームに関する設備や建材に関して制限されることがあるからです。
多くのマンションでは管理規約の中で階下住民への生活音の配慮として遮音等級が定められています。そのため、この基準を満たす防音性のある床材を使用しなければなりません。
遮音等級とは下の階にどれくらい音が響くかを表したもので、L-40(物音がかすかにする程度、住人の気配を感じるが気にならない)もしくはL-45(スプーンを落とすと少し音がする、大きな音を立てると分かる)を使用することが多いです。
マンションのリフォームに得意な会社であれば、管理規約も把握してリフォームしてくれるので安心です。そのため、リフォーム会社選びは妥協せずに行ってください。


また、以上のリフォームとは別に管理規約でリフォーム機器の搬入や組み立て・工事時間に関する制約が定められていることもあります。
機器の搬入の際はマンションの共用部分に緩衝材などをつけてガードしたり工事期間を長引かせすぎたりしないなど、リフォーム会社側が気を付けなければならないものですが、リフォームを行う施主側として一度目を通しておきましょう。
3.窓や玄関は共用部分になるためリフォームできない
マンションには共用部と呼ばれる、自分たちだけのものではない部分があります。多くのマンションでは窓や玄関ドアがそれに当てはまります。
もしもそのことを知らずに玄関ドアをリフォームしてしまったり、窓を勝手にリフォームしてしまったりすると多額の賠償金を請求される恐れがあります。
共用部分をリフォームしたければ、リメイクシートを活用してリフォームすることもできます。玄関ドアの内側にシートを貼ることで、簡単に部屋の雰囲気を変えることが出来ます。また、窓にステンドグラス風のシートなどを貼ってオシャレな雰囲気にすることも可能です。
(リメイクシート)
他にも、窓はカバー工法などでリフォームを行うことが出来る場合があります。
共有部分は正確に把握しておくことが必要ですが、マンションリフォームが得意な会社であれば可能な範囲でのリフォームを提案してくれるでしょう。
▼マンションリフォームでできること・できないことについては、こちらの記事で解説しています。


4.管理組合に申請を出さなければいけない
リフォームを行う前に、管理組合に申請を出さなければいけません。
マンション管理者からリフォームの許可を得るまでにかかる期間を許可申請期間と言います。準備の行程のうち、もっとも時間を要します。
工事開始からおよそ2〜3週間ほど前に許可を得る必要があるので、プランの検討と同時進行で進めるとよいでしょう。マンションによってこの期間は変わるので、余裕を持って進めるようにしましょう。
なお、小規模な水回りリフォ―ムなどでは、この期間は大幅に短縮されます。
5.近隣住民に周知する必要がある
部屋同士が隣接しているマンションのリフォームでは、工事の騒音や振動などの負荷は戸建のリフォーム以上です。近隣の方々への配慮は怠らないようにしましょう。事前に工事期間をお知らせするなど、挨拶回りを行うことで住民トラブルを回避できます。
どれだけの範囲に挨拶を行うべきかですが、上3軒、下3軒、隣2軒には挨拶をするのが一般的です。「苦情が本当に心配だ」という方は、2つ隣の方まで挨拶をしておくとより安心でしょう。
6.予期せぬ追加費用がかかることがある
予期せぬリフォーム工事が発生し追加費用がかかることがあります。
床や壁リフォームにおける下地補修の有無など、解体しないと劣化状態がわからないことがあります。それによってプランを立て直した結果、以前よりも費用が高くなってしまうなど思わぬ形で費用がかかることがあるからです。
他にも、集合住宅ですと他の住民からのクレームによって工期が伸びたりして、その分の仮住まいや預け荷物の費用がかかることもあります。
ある程度余裕を持った見積もりや予算設計をしておくことが重要です。リフォーム会社に工期が延びる可能性があるかどうか、その場合どのくらい延びるか、確認しておきましょう。
マンションリフォームの実績がある会社であれば、ある程度の発生しうる問題を把握できるため、解体前に不確かなことは「こういう場合は工期がこのくらい延びるかもしれない」と事前に教えてくれるはずでしょう。
7.間取り変更が構造によってできない場合がある
マンションでは、間取りの変更リフォームが行えない場合があります。マンションの構造によって、壁の工事が出来ない可能性があるからです。
マンションには、主にラーメン構造と壁式構造があります。間取り変更が出来ない可能性があるのは壁式構造です。
壁式構造はラーメン構造と違って、壁そのものが構造体の役割を担っています。そのため、壁を撤去してしまうと安全性に問題が出てくるからです。壁式構造でも間取り変更が出来る例外もありますが、リフォーム前にご自宅の構造をチェックして、リフォーム会社にも希望のリフォームが出来るかどうか確認してもらいましょう。
8.フルリフォームの場合、仮住まいが必要になる
フルリフォームのように期間が長く家具等の撤去が必要なリフォームでは、仮住まいや荷物を預ける場所を確保しておく必要があります。
水回りだけのリフォームのような、小規模なリフォームでは必要ありません。
仮住まいでは住んでいる最中の費用に加え、仮住まいに入居・退居する2回分の引っ越し費用がかかります。また、短期間の引っ越しであっても光熱費の利用停止・郵送物の転送などの手続きもしなければいけません。
リフォーム内容・期間や費用面と照らし合わせて用意するようにしましょう。
>>マンションリフォームにかかる期間を徹底解説!
9.【中古物件】購入前の詳細なリフォーム見積もりは難しい
中古マンションのリフォームの場合、購入前に売り主から現地調査の許可が出なかった場合は、詳細なリフォーム見積もりが難しくなります。
図面から判断した大体の見積もりを行うことは可能ですが、詳細な金額ではなく概算になります。
中古物件購入からのリフォームを考えているのであれば、まずは不動産屋にリフォーム費用の概算を聞いてみましょう。提携しているリフォーム会社があるはずですので、大まかなリフォーム費用が分かります。
正確な見積りは、物件「契約後」にリフォーム会社に現地調査をしてもらい、出してもらいましょう。
>>【プロ監修】中古住宅リフォーム完全ガイド!費用~流れまで徹底解説
10.まとめ
マンションリフォームを行う際の注意点は以下の9つです。
- マンションリフォームを成功させるために、会社選びを妥協せず行う
- 管理規約によって希望通りにリフォームできない場合がある
- 窓や玄関は共用部分になるためリフォームできない
- 管理組合に申請を出さなければいけない
- 近隣住民に周知する必要がある
- 予期せぬ追加費用がかかることがある
- 間取り変更が構造によってできない場合がある
- フルリフォームの場合、仮住まいが必要になる
- 【中古物件】購入前の詳細なリフォーム見積もりは難しい
この中でも特に大事なのはリフォーム会社の選び方です。9つの注意点全てをしっかり把握し、マンションリフォームが得意な会社に依頼することがリフォームの成功のカギと言えるでしょう。
リフォームガイドでは注意点を踏まえたうえで皆様に合った適切なリフォーム会社を紹介しています。マンションリフォームを行う予定の方は、ぜひご利用を検討ください。