
住宅の外壁材には金属系や窯業系などさまざまなものがあり、どれを選べばいいのか、メーカーはどこがいいのか悩むことはありませんか?
外壁のメーカーは、企業によって取り揃えや特色、費用相場にも違いがあります。
そこで今回は、外壁材を扱うメーカーと外壁の特徴、費用感まで徹底解説します。また外壁材を選ぶポイントまで紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1.サイディング外壁材を扱うメーカー
日本サッシ協会の「2023年3月版住宅用建材使用状況調査(※)」結果によれば、外壁仕上げは「窯業サイディング」が全体の78.4%、さらにサイディング全体の割合を見ると85.3%となっており、大多数を占めていることが分かります。一方でモルタルは7.3%と少なく、前年から0.3ポイント減少しています。
そこで、ここでは「窯業系サイディング」と「金属系サイディング」のメーカーごとの特徴と1㎡当たりの費用感をまとめてみました。
メーカーのなかでも機能、グレードによって費用は異なります。実際には見積を依頼して、予算に合わせて選びましょう。
※2021年8月〜2022年の調査時点までに建てられた、全国都道府県(沖縄を除く)の居住専用の木造並びにプレハブ住宅が対象
種類 | メーカー | 特徴 | 1㎡当たりの費用感 |
---|---|---|---|
窯業系サイディング | ニチハ | 市場シェア率57.2%(※1) | 7,500~10,000円 |
ケイミュー | 業界No.2のシェア率(※2) | 6,500~11,000円 | |
旭トステム外装 | 比較的価格が安い | 6,000~10,000円 | |
金属系サイディング | アイジー工業 | 高いシェア率/デザインが豊富 | 6,300~9,700円 |
ニチハ | リアルな質感 | 8,900~10,000円 | |
旭トステム外装 | 比較的価格が安い | 6,000~9,000円 | |
樹脂系サイディング | 旭トステム外装 | 洋風の仕上がり | 7,200〜12,000円 |
ゼオン化成 | 立体感がある | 75,000〜10,500円 | |
木質系サイディング | チャネルオリジナル | 100%天然木 | 12,000〜36,000円 |
(※1)2023年度(2023年4月~2024年3月)(一社)ニチハ株式会社webサイトより
(※2)ケイミュー株式会社webサイト「数字で見るケイミュー」より
サイディング外壁については、以下の記事でも詳しく解説しています。


1-1.窯業系サイディングを取り扱うメーカー
窯業系サイディングとは、セメント素材と繊維素材を原料として板状にした外壁素材です。熱によって変形しにくく、デザインが豊富という特徴があります。
窯業系サイディングでおすすめのメーカーには以下があります。
ニチハ株式会社
ニチハ株式会社は、窯業系サイディング市場で国内シェア57.2%(※)を誇るメーカーです。外壁材の種類は800以上と、取り揃えが豊富なことでも有名です。
(※)2023年度(2023年4月~2024年3月)(一社)ニチハ株式会社webサイトより
窯業系サイディング分野での同社の強みは、全ての商品に付いている「マイクロガード」機能と、豊富なデザイン性です。
「マイクロガード」とは、空気中の水分を使って外壁の表面に薄い水の膜をつくります。水の膜によって汚れのもとを外壁から隔離し、雨が降った際に流すことで外壁表面を美しく保つ機能です。費用感としては、7,500~10,000円/㎡程度です。
ニチハ株式会社の窯業系サイディングは、豊富なデザインの素材から選びたい人に適しています。
ニチハ株式会社の窯業系サイディング
- プレミアムシリーズ(耐候性が高い塗料を塗った高品質)
- フュージェ(継ぎ目が目立ちにくい)
- モエンエクセラード16(色やデザインが豊富)
- モエンサイディングS18(柄の深掘りが可能)
- モエンサイディングM14・W14(多種多様なデザインと色)
- COOL(「鏡面」や「光沢を出さない表面」を実現)
ケイミュー株式会社
ケイミューは、2003年にクボタと松下電工(現パナソニック)の外装建材部門が統合して設立された外壁材・屋根材・雨といの総合外装メーカーです。
窯業系サイディング市場では、2023年度において業界2位のシェア実績(※)があり、1,100種類以上の多彩な種類があります。
(※)ケイミュー株式会社webサイト「数字で見るケイミュー」より
ケイミュー株式会社の強みには「光セラ」機能があります。「光セラ」は光触媒機能によって太陽光で汚れを落とすことが可能です。また、セラミックによって色あせしにくい性質も魅力といえるでしょう。費用感としては、6,500~11,000円/㎡程度です。
ケイミュー株式会社の窯業系サイディングは、外壁表面に汚れをつきにくくし、色あせを避けたい人に適しています。
ケイミュー株式会社の窯業系サイディング
- 光セラ(太陽光で汚れを落とす、色あせしにくい)
- 親水パワーコート(雨で汚れを浮き上がらせて流す、色あせしにくい)
- 親水コート(雨で汚れを浮き上がらせて流す)
旭トステム外装株式会社
旭トステム外装株式会社は、2004年に旭硝子(現AGC)とトステム(現LIXIL)の外装事業を統合して設立された住宅外装材メーカーです。
旭トステム外装株式会社の強みは、色あせに強い「フッ素コート」機能です。また、価格が全体的に安いのも魅力の1つでしょう。費用感としては、6,000~10,000円/㎡程度です。
旭トステム外装株式会社の窯業系サイディング
- SHiZEN(シンプルなデザインと耐久性を備えた商品)
- AT-WALL(多彩なデザインがある無石綿の商品)
1-2.金属系サイディングを取り扱うメーカー
金属系サイディングとは、断熱材の表面に金属を施した板状の外壁材です。サイディングのなかでも特に軽量で耐震性が高いという特徴があります。
金属系サイディングでおすすめのメーカーには以下があります。
アイジー工業株式会社
アイジー工業株式会社は、金属系外装材の国内有数の企業であり、金属サイディング市場で高いシェア率を誇る企業です。
同社の金属系サイディングは「アイジーサイディング」と呼ばれます。ストライプ模様やれんが風模様、木目調などさまざまな模様が選べるため希望のデザインが見つかりやすいでしょう。
「アイジーサイディング」はガルバリウム鋼板の外壁材です。さびにくく気候の変化にも強い特徴があります。さらに変色・赤さび・穴に対して、10年や20年といった独自の保証が付いているのも魅力の1つでしょう。
また、「アイジーサイディング」には、価格が安い「ベーシックシリーズ」が存在し、全体的な費用感としては、6,300~9,700円/㎡程度と、金属系サイディングでは手頃な価格です。
アイジー工業株式会社の金属系サイディングは、コストパフォーマンスを求めている人に適しているでしょう。
ニチハ株式会社
ニチハ株式会社の金属系サイディングは「センターサイディング」と呼ばれます。
「センターサイディング」には、セルフクリーニング機能が付いているほか、フルカラーのインクジェット塗装によってれんがやブロックのリアルな質感を追求するといった特徴があります。他にも、赤さびや穴あきに対して10年の保証があるというのも魅力的です。
費用感としては、8,900~10,000円/㎡程度です。
ニチハ株式会社の金属系サイディングは、赤さびを心配する人や、れんがやブロックのリアルな質感を求める人に適しています。
旭トステム外装株式会社
旭トステム外装株式会社には、金属系サイディング「Danサイディング」があります。
セルフクリーニング機能のほか、最大で5mmの溝がある深い陰影をつくり出せる魅力的なガルバリウム鋼板です。塗膜保証が10〜15年あるというのも強みの1つです。
費用感としては、6,000~9,000円/㎡程度です。
旭トステム外装株式会社の金属系サイディングは、深い陰影があるデザインを求める人に適しています。
1-3.樹脂系サイディングを取り扱うメーカー
サイディングを検討する際は、樹脂系サイディングも検討してみましょう。ここでは、代表的なメーカーと、それぞれの特徴を紹介します。
旭トステム外装株式会社
旭トステム外装株式会社の樹脂サイディングの商品名は「WALL-J」です。
耐久性が高く、塩害や凍害に強いのが特徴で、海の近くや寒い地域でも採用できます。また耐衝撃性が高く、凹みにくい性質があり、汚れても水洗いできれいになるため、メンテナンスも簡単です。
色あせや変色しにくく、表面色の部分的な変色や退色に対しては30年保証が付いています。費用感としては、7,200〜12,000円/㎡程度です。
ゼオン化成株式会社
ゼオン化成株式会社の樹脂系サイディングは、高い耐久性で寿命が長く、洗練されたデザインが魅力です。外壁に立体感があることで陰影ができ、外観に深みのある表情と高級感を表現できます。
樹脂サイディングには、「グレイン」「ニューカラー」「ロイヤル(よこ張り・たて張り)」があります。塩害や凍害、さび、酸性雨に強く、長時間使用しても変色に悩むこともありません。耐衝撃性に優れ、軽量なため建物への負担が少ないこともメリットです。
また加工の際にシーリングを必要としないため、メンテナンス時に手間がかからず、コストも抑えられます。
費用感としては、75,000〜10,500円/㎡程度です。
1-4.木質系サイディングを取り扱うメーカー
次に、木質系のサイディングを扱うメーカーと特徴を紹介します。
チャネルオリジナル株式会社
チャネルオリジナル株式会社は、自然素材を活用した建築資材の開発・生産・販売を行う企業で、特に木質系サイディングに強みがある企業です。
同社の木質系サイディングは「ウイルウォール」といい、100%天然木のサイディングパネルです。外壁は下地材に通常不燃材を使用しますが、ウィルウォールは各種外壁構造の防火認定を取得した木製外壁材のため、不燃材が不要なのが特徴です。
準防火構造、防火構造、準耐火構造45分の国土交通省認定を受けており、準防火地域に対応しています。天然の素材は火災による延焼を心配して敬遠される傾向がありますが、ウイルウォールに万が一火災が起きても燃え広がらない、燃え移らない安全性が魅力です。
2.外壁材のメーカーを選ぶ際のポイント
外壁材のメーカーを選ぶ際は、どのようなことを重視したらよいのでしょうか。最後に、外壁材のメーカーを選ぶ際に重視したいポイントを紹介します。
後悔しないためにも、よく検討した上で決めるようにしましょう。
2-1.販売実績の多いメーカーを選ぶ
外壁材のメーカーを選ぶ際は、販売実績が多いメーカーを選ぶことをおすすめします。長年の実績により豊富な製品ラインアップをそろえていることが多いため、好みや予算に合う商品を見つけられるでしょう。
また、アフターサポートや保証制度が整っている傾向があります。また販売実績が多いということは、施工実績も多いということになります。リフォーム業者も、このメーカーの商品を使った施工に慣れており、特徴をよく把握していることが期待できます。施工写真などがあれば、参考のために見せてもらってください。
実績が多ければ、実際に施工した人の評判や口コミを参考にできるのも利点です。
2-2.複数社に見積もりを取り、おすすめメーカーを聞く
外壁のリフォームを検討する際には必ず複数社に見積もりを依頼して、相見積もりを取りましょう。かかる費用を比較できるだけでなく、おすすめの外壁材メーカーを聞くこともできます。
施工実績が豊富な会社であれば、今までの経験からおすすめしてくれるため、参考にできるでしょう。複数の会社がおすすめするメーカーだと、なお信頼感があります。
ただし、ご自身でもメーカーのホームページに記載してある情報や、実際に施工した人の口コミなども参考にし、判断するようにしましょう。
訪問営業の業者には注意
いきなり家に訪問してきて営業するような業者は、どのような業者かよく確認できない場合は、避けた方が無難です。
優良業者なら、事業所の住所やホームページで営業していることを確認できるはずです。訪問業者がすべて悪徳業者とは限りませんが、すぐに契約することは避け、必ず事業元が確認できてから依頼しましょう。


3.まとめ
今回は外壁リフォームを検討している方向けに、外壁材を扱うメーカーや外壁材の特徴、費用感、外壁材を選ぶ際のポイントを解説しました。
外壁材は、家の外観イメージに大きく影響します。後悔しないためにも、費用の安さだけでなく耐久性やメンテナンスのしやすさ、デザイン性も重視するようにしましょう。
外壁材のメーカー選びに迷ったら、複数のリフォーム会社に見積もりを依頼し、外壁について相談してみてください。なるべく多くの情報や口コミを参考にして、最終的には自分の判断で決めることをおすすめします。
材料だけではなく、サイディングの張り替え工事費用を知りたい場合はこちらの記事を参考にしてください。
サイディングの工事に関する詳しい費用について紹介しています。

