
リフォームや新築の際に、壁付けキッチンと対面キッチンどちらにするか迷う人も多いでしょう。壁付キッチンは省スペースで換気扇や窓を配置しやすく、ニオイや煙を逃がしやすいなどのメリットがあります。集中して作業したい場合にも便利で、目隠しや収納を工夫することで、実用性がありすっきりとしたキッチンに仕上げることが可能です。
本記事では、壁付けキッチンのメリットとデメリットとともに、配置の注意点についてレイアウト実例を踏まえて解説します。要望に合ったキッチンを実現するために、ぜひ参考にしてください。
目次
1.壁付けキッチンとは?
壁付けキッチンとは、キッチンの正面が壁を向いているキッチンスタイルです。ウォール型キッチンとも呼ばれ、日本の住宅で以前から多く採用されてきたキッチンでもあります。
対して、リビングやダイニングに向くようにキッチンの正面を配置するタイプは、対面キッチンと呼ばれます。
2.壁付けキッチンのメリット
壁付けキッチンには、省スペースや実用面などさまざまなメリットが期待できます。ここでは、主な5つのメリットについて見ていきましょう。
2-1.省スペースで設置でき、部屋を広々使える
壁付けキッチンは、部屋の壁に沿ってキッチンを配置するため、限られたスペースを有効活用できます。また、アイランドキッチンや対面キッチンなどに比べてデッドスペースができにくく、キッチンと隣接するリビングやダイニングスペースを広く使用できます。
面積を節約しつつ、キッチン本体と冷蔵庫、人が作業する最小限のスペースを確保できるでしょう。
2-2.集中して調理できる
キッチンの正面が壁を向いているため、調理に集中しやすい点も壁付けキッチンのメリットです。対面キッチンなどではリビング・ダイニングを向いているため、テレビや家族の様子などが視界に入り作業を中断してしまう可能性もあります。
一方、壁が正面にあれば注意を引くものが視界に入りにくいため、1人で黙々と作業できるでしょう。短時間で効率的に料理を終わらせたい場合にも便利です。
2-3.においや音、煙が部屋に広がるのを防げる
壁付けキッチンでは換気扇も壁付けになるため、調理中のにおいや音、煙が空間に広がることをある程度回避できます。対面キッチンの場合、コンロ上には換気扇を設置するものの、湯気や煙の発生場所が部屋の中心に近いため、部屋に広がりやすい傾向があります。
一方、壁付けキッチンでは換気扇や窓を使って空気の入れ替えをスムーズに行うことができます。また、壁付けキッチンではシンクや調理中の水、油がはねる方向が壁なので、お手入れもしやすいでしょう。
2-4.換気扇や窓を配置しやすい
壁付けキッチンでは、目の前の壁に窓を配置できるため、日中は日差しの差し込む明るいキッチンが実現します。外の景色を眺めながら料理でき、窓際でハーブや野菜を育てて、摘み立ての食材を料理に入れるといった使い方も可能です。
窓があるキッチンのリフォームにも壁付けタイプが向いています。また、換気扇の設置でも、対面キッチンに比べて簡単な作業で完了するため、施工費用を抑えられる可能性があります。
2-5.配膳がしやすい
壁付けキッチンの後ろにダイニングテーブルを配置するレイアウトを取りやすいため、作業効率の良い動線を確保できます。調理したものを、振り返ってダイニングテーブルに配膳でき、食べ終わった後も食器をシンクにスムーズに片付けることが可能です。
また、ダイニングテーブルにパソコンや料理の本を置いて、レシピを見ながら調理するといった使い方もしやすいでしょう。キッチンの後ろに小さな棚やカウンターを設置して、配膳台や収納として使うといったアレンジも可能です。
3.壁付けキッチンのデメリット
壁付けキッチンは狭い空間にも設置しやすく、換気や配膳など多くのメリットが見込めますが、デメリットもあります。ここでは、壁付けキッチンに関して考えられるデメリットを3つ紹介します。
3-1.料理中にテレビを見たり家族と対話がしにくい
壁が正面であるため、調理中はリビングやダイニングにいる家族やお客様とコミュニケーションが取りにくいというデメリットがあります。対面キッチンでは、作業をしながら小さい子供やペットを見守ることができますが、壁付けキッチンではいちいち手を止めて振り向かなければなりません。
壁付けタイプは作業に集中しやすい分、テレビを眺めながら食器を洗いたい方や、夕食の準備中にダイニングテーブルの家族と会話をしたい方には不向きでしょう。
3-2.キッチンの中が外から見えやすい
壁付けキッチンがリビングやダイニングとつながっている場合、キッチンが丸見えになりがちです。対面キッチンのようにキッチンへの視線を遮るものがないため、洗い物や調味料といった生活感のあるものが見えてしまいます。
来客時に、普段のものをすぐに片付けることは難しく、散らかっている印象を与える可能性もあるでしょう。キッチンの天板に置くものは最小限にするなど、日頃から散らからないよう配慮する必要があります。また、キッチンカウンターを設置して目隠しする方法も有用です。
3-3.家電・食器棚の配置に工夫が必要
壁付けキッチンの後ろに、ダイニングテーブル以外の物は置きにくいケースもあります。対面式キッチンの場合、壁側に食器棚や冷蔵庫、炊飯器などの調理家電を置くレイアウトが主流ですが、壁付けキッチンではサイドに多少ものを置ける程度のスペースしかないため、工夫が必要です。
収納付きカウンターをキッチンの背面、ダイニングテーブルの隣に設置し、食器棚として使うことも可能です。また、軽量でコンパクトなアイテムは、キッチンワゴンに入れておくと作業効率も上がるでしょう。間取りを考える際にキッチンの側にパントリーを設置する対策もおすすめです。
4.壁付けキッチンのレイアウトパターン
壁付けキッチンには、いくつかレイアウトパターンがあり、一般的なのがI型キッチンとL型のキッチンです。ここでは、それぞれのキッチンタイプについて紹介します。
4-1.I型の壁付けキッチン
出典:https://freshhouse.co.jp/case/29049/
I型の壁付けキッチンは、コンロ、シンク、調理台が横一列に並んだキッチンスタイルです。設置スペースが小さめで、日本の住宅でよく見かけるレイアウトでもあります。
冷蔵庫をサイドのスペースに設置すれば、壁一面に調理スペースをまとめることが可能です。動線が横一列でコンパクトなため、ダイニングやリビングのスペースを確保しやすいでしょう。ただ、作業スペースが狭くなりやすいため、どの壁面をI型キッチンに使うかよく検討する必要があります。
4-2.L型の壁付けキッチン
出典:https://freshhouse.co.jp/case/1751/
L型の壁付けキッチンは、壁のコーナー部分にL字型に配置されたキッチンです。シンクとコンロの間、ちょうど調理台の中央あたりで直角になっており、シンク側とコンロ側両方が壁に付いているタイプと、どちらか一方が壁側で、もう片方が対面キッチンになっているタイプが見られます。
横移動が多いI型に比べて動線がコンパクトなため、作業効率性が高くなります。調理スペースを広めに確保しやすいですが、角の部分がデッドスペースになりやすいため工夫が必要です。
5.【実例で紹介】壁付けキッチンのリフォーム工夫ポイント
ここからは、壁付けキッチンの配置におけるポイントを事例付きで紹介します。実際にリフォームで壁付けキッチンにした事例を踏まえて、施工のポイントを詳しく説明しますので、自宅のキッチンを検討する際にぜひお役立てください。
5-1.家事動線を意識する
壁付けキッチンのレイアウトを決める時は、家事動線を意識しましょう。調理中はシンクから冷蔵庫、調理台からコンロなど、数ヵ所を行ったり来たりします。シンクからコンロまでの距離が遠い、もしくは冷蔵庫がキッチンから離れている場合、移動距離が増えて効率が悪くなってしまいます。
特に、I型キッチンでは横移動の動線が長くなりやすいため、キッチンで実際にどのように動くかを考慮し、作業効率の良い配置を考えることが大切です。
作業台を広く取ることで使い勝手の良さを大幅に向上したリフォーム事例です。既存のキッチンパネルや吊戸棚を活かしたため、コストを抑えられています。また、引き出しを採用し、大容量で整頓がしやすい収納ができました。レンジフードもフラットタイプへ変更し、見た目にもすっきりした印象を受けます。
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/205
壁付けのI型キッチンをリフォームし、シンクとコンロの位置を離すことで作業台の広さを確保し、調理中の動線をコンパクトにまとめています。また、勝手口や階段下パントリーを設置して、光を多く取り込める機能的なキッチンが実現しました。
出典:https://freshhouse.co.jp/case/12774/
5-2.キッチン前の壁を有効活用する
壁付けキッチンでは、キッチンはもちろん壁のデザインによっても印象が大きく変わります。一般的には壁パネルを設置しますが、石調タイルやモザイクタイルを貼るだけでもおしゃれに仕上がります。スパイスラックや吊るすタイプのシェルフなど見せる収納を使えばデザイン性が高くなる上、収納を増やすことが可能です。
また、リビングやダイニングからキッチンが丸見えになってしまう場合の対策として、生活感を抑える効果も期待できます。
「ドラマに出てきそうな空間」というこだわりのリフォーム事例です。上部収納の代わりにフレームシェルフを設置し、植物やアートを飾って見せる収納となり、おしゃれなカフェ風のキッチンに仕上がっています。
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/1637
暗くて使い勝手の悪いキッチンをリフォームし、こだわりのおしゃれな壁付けキッチンを実現した事例です。キッチン正面の壁にはモザイクタイルをアクセントとして施工し、彩り鮮やかな明るいキッチンが実現しています。
また、サイドにスリット状の壁を設置することでキッチンの閉鎖感を解消し、リビング・ダイニングとのつながりも生まれています。
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/333
5-3.収納スペースを確保する
壁付けキッチンで課題になりやすいのが、収納スペースの確保です。空間に余裕があれば収納付きカウンターを設置することで食器や調理器具、カトラリーなどをまとめて収納できる容量を確保できるでしょう。また、キッチンワゴンなども収納を増やすのに役立ちます。
L型の壁付けキッチンのリフォーム事例です。L型でデッドスペースとなりやすいコーナー部分にも収納があり、天板下の空間を有効活用しています。吊戸もあるため収納力が高いため、使い終わったらすぐに定位置にしまうことですっきりとしたキッチンを維持できるでしょう。
出典:https://freshhouse.co.jp/case/21605/
5-4.目隠し対策をする
壁付けキッチンの中が丸見えにならないように、目隠し対策を行いましょう。ついたてやパーテーション、ブラインド、引き戸などさまざまな方法があり、設置するだけで効率的に目隠しできます。ゴミ箱などキッチン用品は悪目立ちする場合もあるので、リフォームの際にシンクや作業台の下に隠すか、収納ユニットの下に収めるダストワゴンの設置も検討してみましょう。
ワインレッドのキッチンに合わせて設置された重厚感ある黒のカウンター収納が、リビング・ダイニング側への目隠しとして機能しています。下準備や配膳などの作業に使いやすい高さで、使いやすい家事動線を実現しています。
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/506
I型キッチンの端にカウンターを付け、目隠しをしつつ、リビング・ダイニングに目が届くような間取りにした事例です。アクセントタイルでキッチンとの統一感が出ています。
出典:https://freshhouse.co.jp/case/26794/
5-5.リビング・ダイニングスペースもイメージしておく
壁付けキッチンから続くリビング・ダイニングのレイアウトについてもイメージを固めておくことをおすすめします。特に対面型キッチンから壁付けキッチンにするケースでは、省スペース化により他のエリアが広くなるため、使い方や過ごし方の選択肢が増えます。キッチンからの移動や家具の置き場所などを考えて、レイアウトを決めましょう。
既存のダイニングキッチンと隣の和室、収納を加えて大きなLDKへと変更したリフォーム事例です。キッチンスペースにもともとあった窓と、新しく設置した窓によりキッチンの奥まで光が入り、明るいスペースになりました。作業性が高く、移動しやすい広々としたL型の壁付けキッチンが実現しています。
出典:https://freshhouse.co.jp/case/16079/
6.壁付けキッチンのリフォーム費用
壁付けキッチンのリフォーム費用は、メーカーや商品の仕様などに加えて、既存のキッチンタイプによって異なります。
壁付けから壁付けへリフォームする場合の相場は約50〜150万円です。キッチンの位置を変えず、似た機種へ変更するだけだと100万円未満で収まるパターンが多いでしょう。一方、対面型から壁付けへのリフォームでは間取りの変更が伴うため、約100〜200万円と比較的高額になります。
キッチンの仕上げ材や食洗機などの設備グレード、規格品かオーダーメイドかによっても金額は変わります。予算や要望に合わせて、最適なキッチン形式を施工業者と相談しながら検討しましょう。
7.まとめ
壁付けキッチンは、コンパクトなスペースにも配置しやすく、ニオイや煙が広がりにくいといったメリットがあります。一方で、家族とのコミュニケーションや収納スペースなどの課題が出やすいですが、収納カウンターの設置などで対策できるでしょう。
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