汲み取り式(ぼっとん)トイレのリフォームに使える補助金・助成金

昔ながらの汲み取り式トイレは、電気を使わずコストが低いというメリットがあるものの、臭いや使いづらさなどのデメリットも多くあります。特に子どもや高齢者がいる家庭では落下の危険もあるため、リフォームを検討する方も多いでしょう。

しかし汲み取り式トイレを水洗トイレにリフォームしたくても、費用がネックとなり踏み切れない方もいるはずです。そこで今回は、汲み取り式トイレをリフォームする際に使える補助金制度を4つ解説します。


1.汲み取り式(ぼっとん)トイレリフォームの方法と費用相場

補助金の話に入る前に、まずはトイレリフォームの方法と費用相場を確認しておきましょう。ご自宅によって設置できるタイプや費用が異なるため、まずはどのケースに該当するのか知っておくと、リフォームの目途が立ちやすくなります

汲み取り式トイレをリフォームする方法には、以下3つがあります。

  • 簡易水洗トイレ
  • 水洗トイレ(下水道直結)
  • 水洗トイレ(浄化槽)

それぞれ費用が異なりますので、順に見ていきましょう。

簡易水洗トイレ:約30~60万円

汲み取り式(ぼっとん)トイレを簡易水洗トイレにリフォームする費用相場は約30~60万円です。

簡易水洗トイレとは、汲み取り式と仕組みは同じでも、水を流して排泄物を処理するタイプ。イベント会場などでよく見かける、仮設トイレに近いイメージです。

下水道工事や浄化槽を設置する必要がなく、比較的リーズナブルにリフォームできます。ただし、汲み取り式と同じく便槽に排泄物をためるため、バキュームカーに汲み取ってもらう仕組みは変わりません。便槽がいっぱいになるスピードが早いことから、ウォシュレットの設置も不向きです。

水洗トイレ(下水道直結):約50~100万円

汲み取り式(ぼっとん)トイレを水洗トイレ(下水道直結)にリフォームする費用相場は約50~100万円です。

下水道直結の水洗トイレは、汲み取り式のように便槽を必要とせず、下水道に排泄物を送り込むタイプなので衛生的です。下水道が通っている地域であれば、下水道工事により使えるようになります。

ウォシュレットの設置も可能で、簡易水洗タイプよりもトイレの種類が豊富です。節水型や機能性に優れたトイレを設置できるなど、さまざまなタイプに対応できます。ただし便槽を撤去し、下水道工事をするため、簡易水洗トイレよりも費用が高額になります。

水洗トイレ(浄化槽):約100~200万円

汲み取り式(ぼっとん)トイレを水洗トイレ(浄化槽)にリフォームする費用相場は約100~200万円です。

下水道が通っていない地域でも、一般的な水洗トイレを設置したい場合は、浄化槽タイプの水洗トイレがおすすめです。浄化槽とはトイレの汚水など生活排水をためて、微生物の働きによりきれいな水に変える装置のこと。敷地内に設置できるため、下水道は不要です。

下水道直結の水洗トイレのように、ウォシュレット機能や機能性に優れたトイレを設置できるのもメリット。ただし、浄化槽設置だけで100万円前後必要です。浄化槽の大きさによって費用が変わりますが、他のタイプよりも高額になる点に変わりはありません。


2.汲み取り式(ぼっとん)トイレリフォームに使える補助金

上記のリフォーム方法や費用相場を踏まえて、汲み取り式トイレリフォームに利用できる補助金制度4つを解説します。ご自身の場合はどの補助金が使えそうか確認してみましょう。

2-1.介護保険の住宅改修費支給

適した人 介護認定を受けている人
支給上限額 14~18万円
(20万円の支給限度のうち、1~3割が利用者負担になる)
要件 ・和式トイレを洋式トイレにリフォームする
・手すりを設置する
・段差の解消 など

要支援・要介護認定を受けた人がいれば、トイレリフォームに対して介護保険から補助金が支給されます。20万円が支給限度で、そのうち1~3割が利用者負担となるため、14~18万円が上限金額となります。

和式トイレを洋式トイレにリフォームするだけでなく、トイレ内に手すりを設置する費用や、段差解消工事費用も対象です。

介護保険を利用して汲み取り式トイレリフォームを考えているのであれば、一度ケアマネジャーに相談しましょう。

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2-2.地方自治体の補助金

適した人 自治体によって対象者が異なる
支給上限額 2~20万円前後
※自治体によって異なる
要件 ・汲み取り式(ぼっとん)トイレのリフォーム
・浄化槽設置 など

汲み取り式トイレのリフォームに、補助金を交付してくれる自治体もあります。

対象者は汲み取り式トイレを水洗トイレにリフォームする方なら誰でも可能な場合もありますし、高齢者のみなど限定されることも。

お住まいの地域が補助金制度を実施しているかどうか、自治体の窓口に問い合わせるとよいでしょう

またトイレリフォームにともなう浄化槽の新設にも、自治体から補助金が交付される場合も。
ただし、トイレの排水のみを処理する単独浄化槽ではなく、生活排水すべてを処理する合併浄化槽にする必要があるなど、自治体によって要件が異なります。詳細はお住まいの自治体にお問い合わせください。

【自治体による補助金の例】

北海道増毛郡増毛町「水洗トイレ改造等工事」
名称
「水洗トイレ改造等工事」
補助金額
10万円
条件
汲み取り式トイレリフォームと浄化槽を下水道に接続するため工事費が30万円以上
広島県東広島市「小型浄化槽設置整備事業補助金」
名称
「小型浄化槽設置整備事業補助金」
補助金額
浄化槽設置:54.8万円(上限)
浄化槽宅内配管工事:30万円
汲取り便槽の撤去:9万円
条件
住宅に設置されている単独浄化槽または汲み取り式トイレを廃止して、小型浄化槽を設置する人

2-3.子育てエコホーム支援事業

適した人 断熱リフォームを含む複数箇所のリフォームを考えている人
支給上限額 20~60万円/戸 ※条件により異なる
・節水型トイレ(掃除しやすい):2.2万円/台
・節水型トイレ(上記以外):2万円/台
要件 ・令和5年11月2日以降に着工し、令和6年12月31日までに完了する
・補助金額が5万円以上の工事
・売買契約額が100万円(税込)以上

【1~3のいずれかのリフォームが必須】
(1)開口部の断熱改修
(2)外壁・屋根・天井または床の断熱改修
(3)エコ住宅設備の設置

【1〜3を実施すると補助対象】
(4)子育て対応改修(ビルトイン食洗機・宅配ボックスなど)
(5)防災性向上改修(防犯安全ガラスへの交換)
(6)バリアフリー改修(手すり設置、段差解消など)
(7)空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
(8)リフォーム瑕疵保険等への加入

子育てエコホーム支援事業を利用する場合、汲み取り式トイレのリフォームは直接の要件になりませんが、節水型トイレにリフォームすることで(3)「エコ住宅設備の設置」を満たすことになります。

ただし、トイレリフォームの補助金額は1台あたり最大2.2万円と、支給要件である5万円以上の補助金額にはなりません。一度に3台以上も水洗トイレにリフォームすることは稀なので、窓や外壁などの断熱リフォームや、子育て対応改修など別のリフォームを同時に行う場合に適する補助金です。

汲み取り式トイレを含む、複数箇所のリフォームを考えている場合はぜひ利用してみましょう。(予算終了次第で終了するため、早めの検討をおすすめします)

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参考/国土交通省|子育てエコホーム支援事業

2-4.長期優良住宅化リフォーム推進事業

適した人 ・耐震リフォームや断熱リフォームなどで家の性能を向上させたい人
・子育て世帯
支給上限額 長期優良住宅認定なし:80万円/戸
長期優良住宅認定あり:160万円/戸
※三世代同居対応改修工事/若者・子育て世帯/既存住宅を購入し改修工事を実施する場合は50万円を上限に加算
要件 ・工事前のホームインスペクション
・リフォーム履歴と維持保全計画の作成
・構造の劣化対策、耐震性、省エネ対策の3つを満たす

長期優良住宅化リフォーム推進事業を利用して、汲み取り式トイレのリフォームをしたいのであれば、子育て世帯が適しています。トイレトレーニングで親子が入れる広さに拡張すると、補助対象となります。

ただし、トイレをリフォームするだけでは要件を満たさないため、建物の劣化対策や耐震リフォーム、省エネ対策の3つを行い、建物自体の性能を向上させなくてはなりません。トイレリフォームと同時に、家全体のリフォームを考えている方におすすめしたい制度です。

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参考/国土交通省|令和6年度長期優良住宅化リフォーム推進事業

▼店舗・事業者向けの「和式トイレから洋式トイレ」へのリフォームで使える補助金もあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

トイレを和式から洋式にリフォームする際に使える補助金【2024年版】ー費用や事例もー
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3.汲み取り式(ぼっとん)トイレのリフォームの補助金申請の流れと注意点

補助金申請の流れは、制度によって異なります。さらにそれぞれ注意点がありますので、詳しく見ていきましょう。

3-1.介護保険の住宅改修費支給

①ケアマネジャーに相談
②ケアマネジャー同席のもと、工事プラン確認&契約
③自治体窓口に申請
④完成後施工業者に支払い
⑤自治体に補助金申請
⑥補助金支給

【注意点】

介護保険の場合、要支援・要介護認定を受けている方が対象となります。業者はご自身で探すことも可能ですが、工事プランの打合せなどはケアマネジャーの同席が必要ですので、まずはケアマネジャーに相談してみましょう。

また汲み取り式トイレのリフォーム後に申請しても、補助金は支給されませんので、注意しましょう。

3-2.地方自治体の補助金

①自治体窓口に相談
②施工業者に見積もりを依頼
③自治体窓口に事前申請
④申請許可後、契約&施工
⑤自治体窓口に交付申請
⑥補助金支給

【注意点】

まずは汲み取り式トイレリフォームに対する補助金制度があるかどうか確認し、自宅は対象となるか自治体に相談が必要です。

さらに自治体に事前申請して許可が下りてからでないと、工事をはじめられません。許可が下りる前に施工すると対象外となりますので、手順を守りましょう。

※自治体によって流れが異なるケースがありますので、詳細は自治体の窓口にお問い合わせください

3-3.子育てエコホーム支援事業

①「子育てエコホーム支援事業登録業者」に工事の相談
②工事請負契約の締結&共同事業実施規約の締結
③施工
④施工業者が交付申請の予約を行う(任意)
⑤工事代金の支払い
⑥施工業者が交付申請を行う
⑦交付決定通知
⑧施工業者が実績報告書送付
⑨支給額決定&施工業者に交付
⑩施工業者より補助金の還付

【注意点】

子育てエコホーム支援事業の登録業者でないと、制度が利用できないため、必ず登録業者に依頼しましょう。

また補助金は一旦施工業者に交付されます。施工業者から利用者のもとへ振り込まれるか、工事費用の一部と相殺するのかは、業者に確認しましょう。

基本的に国が主導の他事業と併用できません。自治体の制度と併用できるかどうかは自治体によって異なるため、可否は窓口にお問い合わせください。

▼リフォームで使える補助金や、併用できるかどうかは下記で詳しく解説しています。

【2024年度】リフォームで使える補助金8種類!申請方法も解説
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3-4.長期優良住宅化リフォーム推進事業

①長期優良住宅化リフォーム推進事業登録業者に工事の相談
②ホームインスペクションの実施
③工事内容の決定&住宅登録
④施工業者が交付申請手続き
⑤交付決定通知
⑥施工
⑦施工業者が完了実績報告手続き
⑧現地調査
⑨支給額決定&施工業者に交付
⑩施工業者より補助金の還付

【注意点】

こちらも登録業者に発注した場合のみ、制度が利用できます。契約前に必ず登録業者であるか確認しましょう。子育てエコホーム支援事業と同じく、他の国の補助金制度とは併用できません。


4.まとめ

汲み取り式トイレをリフォームする際、費用が高額になることもあります。少しでも費用負担を抑えるのであれば、補助金制度を活用しましょう。

今回紹介した「介護保険」「自治体の補助金」「子育てエコホーム支援事業」「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、それぞれ要件が異なります。誰でも使えるわけではないので、自分が対象となるかどうかよく確認することが大切です。

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