
「築年数が古くなってきたから、そろそろ全面的に直したい」「でも予算が読めず、何から手をつければいいのかわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
フルリフォームは内容や築年数によって金額に幅があるため、相場を把握したうえで計画を立てると安心です。
この記事では、戸建てとマンションに分けてリフォーム内容ごとの相場や実際のリフォーム事例をご紹介します。費用を抑えるためのポイントや、フルリフォームで活用できる可能性のある優遇制度も解説します。リフォーム計画を立てる前に、ぜひ参考にしてください。
1.フルリフォームの費用相場
フルリフォームの費用は、建物の種類や築年数、工事する範囲によって大きく変わります。
ここでは、戸建てとマンションそれぞれの費用相場を、築年数や工事内容ごとにわかりやすく解説します。
戸建てフルリフォームの費用相場
まずは、戸建てについて、築年数別におすすめのリフォーム内容と費用相場を確認しましょう。
築年数目安 | 費用相場 | おすすめリフォームの内容 |
---|---|---|
築10年 | 50万〜100万円前後 | ・水回りの部品交換 ・クロスの張替え |
築20年 | 300万〜500万円前後 | ・水回り設備の交換 ・クロス・床張替え ・屋根や外壁の塗装 |
築30年 | 1000万円前後 | ・内装のみ全面リフォーム ・屋根や外壁の塗装 |
築40年以上 | 1500万円前後 | ・内装や外装のフルリフォーム ・耐震補強 |
出典:https://www.reform-guide.jp/topics/zenmenreform-hiyou/
築10年では、設備や内装はまだ比較的新しいものの、壁紙の汚れや水回り部品の劣化が見られるため、部分的な交換が中心になります。
築20年になると、キッチンや浴室といった水回り設備が寿命を迎えるほか、紫外線や風雨による外壁・屋根の塗装劣化も進むため、全体的なリニューアルが必要になるでしょう。
築30年を超えると、目に見えない配管や構造部材にも老朽化が生じ、断熱性能の低下や耐震性の不安も出てくることから、配管や断熱材の刷新も含めた大規模なリフォームや耐震補強が推奨されます。
築40年以上では、新耐震基準が適用されていない住宅がほとんどどなり、断熱や防水性能も時代遅れな場合が多いため、構造体(柱や基礎部分)以外を一新するフルリフォームが最適です。
戸建てのスケルトンリフォーム費用相場
延坪(建物各階の床面積の合計) | 費用相場 |
---|---|
20坪(66㎡) | 1000万〜1400万円 |
25坪(82.5㎡) | 1200万〜1600万円 |
30坪(99.9㎡) | 1350万〜1800万円 |
40坪(132㎡) | 1600万〜2100万円 |
50坪(165㎡) | 1900万〜2500万円 |
※木造軸組み工法の建物の場合
※税別
※時勢により相場は変動することがあります
出典:https://www.reform-guide.jp/topics/skeletonreform-hiyou/
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/381
構造体(柱や基礎部分)以外を一新するフルリフォームは、「スケルトンリフォーム」と呼ばれます。内装や設備をすべて新しくする大規模な工事で、新築に近い住まいを実現できるのが大きな魅力です。
戸建てのスケルトンリフォームにかかる費用は、上記のように延べ床面積によって異なります。さらに、使用する設備や素材のグレードによっても変動します。
【注意】法改正で大規模リフォームに制限が出る可能性も!
2025年4月に改正建築基準法が施行され、木造2階建てや、200㎡超の木造平屋で大規模リフォームをすると建築確認申請が必要になりました。具体的には、主要構造部(壁・柱・梁・床・屋根・階段)のいずれかを2分の1以上修繕する場合に建築確認申請が求められます。
これにより、これにより、現行の建築基準法に適合していない建物は、適合するようにリフォームすることが求められるようになりました。さらに、再建築不可物件※については、建築確認申請が不要な範囲内でしかリフォームができなくなりました。希望のリフォームができない可能性があるため、リフォーム会社によく相談が必要です。
※現行の建築基準法が定める接道義務(家を建てる土地が幅4m以上の道路に2m以上接していなければならないとする法律)を満たしていない物件
▼法改正について詳しくはこちら


マンションフルリフォームの費用相場
続いて、マンションの築年数別に、おすすめのリフォーム内容と費用の相場を紹介します。
築年数 | 費用相場 | おすすめのリフォーム内容 |
---|---|---|
築10年 | 40万〜50万円前後 | クロス張り替え※1 |
築20年 | 200万円前後 | 水回りの全入れ替え※2 |
築30年 | 620万円前後 | 水回りの全入れ替え※2 クロス張替え※1 フローリング張替え※3 キッチンの移動※4 和室から洋室へ※5 |
築40年以上 | 700万〜1300万円前後 | スケルトンリフォーム |
※1 70㎡ 3LDKの全面をスタンダードの商品でリフォームする前提
※2 ユニットバス、キッチン、洗面台、トイレ、給湯器でミドルグレードのものに入れ替えた前提
※3 70㎡ 3LDKの全面をスタンダードの商品でリフォームする前提
※4 独立型の壁付けキッチンをオープンスタイルの対面キッチンにするリフォームの前提
※5 6畳の和室で畳からフローリング、押入れからクローゼット、襖から引き戸へのリフォームの前提
出典:https://www.reform-guide.jp/topics/mansion-reform-hiyou/
築10年のマンションでは、住宅設備はまだ比較的新しく、表面的なクロスの張替え程度で印象を大きく変えられる段階です。
築20年になると、浴室やキッチンなどの水回りが経年劣化で不具合を起こしやすくなるため、水回り設備の入れ替えを検討する人が多くなります。
築30年を超えると、内装だけでなく床材や間取りの使い勝手も、現代の生活スタイルに合わなくなってきます。そのため全面的な内装の刷新やキッチン位置の変更、和室の洋室化といった改修が必要になるでしょう。
築40年以上では、内装をすべて撤去し間取りから考えなおすスケルトンリフォームを選ぶケースが増えます。配管や断熱性能など、見えない部分の改修も含めた抜本的な更新が求められます。
マンションのスケルトンリフォーム費用相場
以下は、マンションのスケルトンリフォームの費用相場です。
面積 | スケルトンリフォームの費用相場 |
---|---|
50㎡ | 650万〜850万円 |
60㎡ | 750万〜990万円 |
70㎡ | 840万〜1120万円 |
80㎡ | 920万〜1240万円 |
90㎡ | 990万〜1350万円 |
100㎡ | 1050万〜1450万円 |
※㎡単価 約12.5万〜15万円で計算(費用提供:あなぶき興産|実際のマンションリノベーション施工例より)
出典:https://www.reform-guide.jp/topics/mansion-renovation-hiyou/
提供:あなぶき興産
マンションは戸建てと違い、構造部分が共用部にあたるため、柱や梁の移動はできませんが、それ以外の専有部分は一新することが可能です。間取り変更はもちろん、同時に断熱性や遮音性を高めるなど、暮らしやすさを追求できる点が魅力といえるでしょう。
ただし、水回りの変更については、必ずしも希望通りにできるとは限りません。配管スペースが共用部にあたるケースが多く、管理規約や構造上の制約によっては、配管の移動が制限される、あるいは禁止されている場合もあります。そのため、設計段階で施工会社と十分にすり合わせることが大切です。


2.リフォーム内容別の費用相場
続いて、キッチンや浴室といった水回りから、内装、外装まで、それぞれのリフォーム内容と相場を紹介していきます。
水回り(キッチン・浴室・トイレ・洗面)のリフォーム費用相場
まずは、水回り(キッチン、浴室、洗面台、トイレ)のリフォーム費用相場を見ていきましょう。
場所 | 内容 | 費用相場 |
---|---|---|
キッチン | キッチン交換 | 62万〜400万円 |
壁付けキッチンから対面キッチンにリフォーム | (上記に加え)20万〜150万円 | |
浴室 | ユニットバスを交換 | 60万〜120万円 |
在来浴室(タイル張り)をユニットバスにリフォーム | 70万〜150万円 | |
洗面 | 洗面台交換・内装リフォーム | 15万〜35万円 |
トイレ | トイレ交換・内装リフォーム | 15万〜75万円(クロス貼替え込み) |
水回りのリフォーム費用は、設備の種類やグレードによって大きく差が出ます。たとえば、最新機能を備えたモデルは費用が高くなる一方、標準仕様や型落ち製品を選べばコストを抑えることが可能です。
また、キッチンの位置変更や在来浴室からユニットバスへの交換など、リフォームの規模が大きくなると金額も高額になりがちです。しかし、家事動線やメンテナンスのしやすさといった利便性を優先しないと、「変えておけばよかった」と後悔するかもしれません。
水回りリフォームでは、将来の使いやすさまで見据えて、設備の選定や工事内容を検討することが大切です。
内装(壁紙・床・扉・窓)のリフォーム費用相場
続いて、室内の印象を大きく左右する内装のリフォームについて見ていきましょう。
場所 | 内容 | 費用相場 |
---|---|---|
壁紙 | クロスの張替え(8畳) | 5.4万〜8.6万円 |
床 | フローリングの張替え | 9.6万〜21.2万円 |
ドア | 室内ドアの交換(ドア枠ごと) | 10万〜26万円 |
窓 | 断熱窓に交換(カバー工法) | 5万〜20万円(サイズによる) |
間取り | 和室を洋室にリフォーム※ | 55万円〜 |
※6畳の和室で畳からフローリング、押入れからクローゼット、襖から引き戸へのリフォームの前提
壁紙やフローリングの費用も、使用する素材の種類やグレードによって大きく変わります。たとえばフローリングであれば、合板タイプは比較的安価ですが、防音機能付きの無垢材を選ぶと費用は高くなります。
また、間取り変更では和室を洋室にするリフォームが人気です。畳や襖を撤去してフローリングや引き戸に変更することで、現代のライフスタイルに合った空間に生まれ変わります。
住まい全体の統一感や快適性を高めるためにも、デザイン性と機能性のバランスを意識して計画しましょう。
外装(外壁・屋根・ベランダ)のリフォーム費用相場
最後に、建物の外観や耐久性に直結する外装のリフォームについて見ていきましょう。
リフォーム方法 | 費用相場 |
---|---|
塗装 | 60万〜150万円 |
カバー工法(重ね張り) | 150万〜220万円 |
張替え | 200万〜260万円 |
リフォーム方法 | 費用相場 |
---|---|
塗装 | 50万〜80万円 |
カバー工法(重ね葺き) | 80万〜180万円 |
葺き替え | 100万〜240万円 |
外壁や屋根のリフォームは、見た目を整えるだけでなく、雨風から住まいを守るという重要な役割があります。工法には「塗装」「カバー工法(重ね張り)」「張替え」があり、建物の劣化状況に応じて選ぶことが一般的です。
塗装は軽度な劣化への対処に向いており、費用も比較的抑えられます。中程度の劣化には、既存の外装材の上から新しい素材をかぶせるカバー工法が有効です。劣化が激しい場合や耐久性を重視するなら、古い素材をすべて撤去して新しく張替える方法が適しています。
長期的に安心して暮らすためにも、外装の状態をしっかり確認し、必要なメンテナンスを検討することが大切です。
3.フルリフォームの施工事例
フルリフォームでは、築年数だけでなく、工事の内容や使用した設備によってリフォーム金額が大きく変わります。この章では戸建てとマンションのフルリフォーム事例を、低価格帯~高価格帯までの3種類ご紹介していきます。
築19年・マンションフルリフォーム事例【370万円】
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もともとの設備を活かし、リメイクシートなどを活用することで安価にフルリフォームした事例です。こだわりの雑貨やインテリアが映えるナチュラルな空間に生まれ変わっています。
費用 | 370万円 |
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築年数 | 19年 |
リフォーム箇所 | ・水回りの設備交換 ・クロスとフローリングの貼り替え |
間取り変更 | なし(1LDK) |
出典:https://www.artreform.com/example/4214/
築20年・マンションフルリフォーム事例【650万】
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壁や床の張替えと共に、浴室や洗面所、キッチンのリフォームをおこないました。和室とリビングの間にあった壁と引き戸も取り払い、風通しのよい開放感のある空間に。とくに収納にこだわり、家族構成や生活スタイル、収納する物などにあわせた設計になっています。
費用 | 650万円 |
---|---|
築年数 | 20年 |
リフォーム箇所 | ・水回り設備の交換 ・内装の張り替え ・間取り変更 |
間取り変更 | 3LDK → 3LDK+WIC・納戸 |
出典:https://www.reform-guide.jp/topics/case/saitama-i-mansion/
築35年・マンションフルリフォーム事例【1,000万】
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中古物件を自由にデザインするため、スケルトンリフォームをおこないました。リビングだけでなく洗面台やトイレ、お風呂まで妥協せず、シックで高級感のある住まいに仕上がっています。
費用 | 1000万円 |
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築年数 | 35年 |
リフォーム箇所 | ・スケルトンリフォームによる大規模な間取り変更 ・水回り設備の交換 ・内装全面取り替え |
間取り変更 | 2LDK→1LDK |
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/470
築45年・戸建てリフォーム事例【690万円】
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築45年の木造2階建てを、住宅の耐震強度を確保しながら、水回りの入れ替えやオール電化工事などを施した事例です。和室は構造壁や柱は残しつつ、床をフローリングに張替え白壁にすることで、明るい洋室に生まれ変わっています。
費用 | 690万円 |
---|---|
築年数 | 45年 |
リフォーム箇所 | ・水回りの入れ替え ・和室→洋室への変更 ・オール電化 ・玄関アプローチ |
間取り変更 | 不明 |
出典:https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=446
築30年・戸建てリフォーム事例【940万円】
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間取り改善と耐震補強のためにインナースケルトンリフォーム(外壁や屋根はそのままに、建物の内部だけを解体するリフォーム)を実施した事例です。北側にあったリビングダイニングを南側に移設したため、光が差し込む心地よい空間になりました。
費用 | 940万円 |
---|---|
築年数 | 30年 |
リフォーム箇所 | ・インナースケルトンリフォームによる大規模な間取り変更 ・水回り設備と階段の取り替え ・耐震補強工事 |
間取り変更 | 3LDK→2LDK |
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/380
築40年・戸建てリフォーム事例【1,650万円】
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築40年のお家をスケルトンリフォームで耐震補強し大幅な間取り変更をおこないました。外装は軽くて丈夫なガルバリウム鋼板を採用。内装ともに白を基調としたスタイリッシュなデザインに仕上がっています。
費用 | 1,650万円 |
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築年数 | 40年 |
リフォーム箇所 | ・スケルトンリフォームによる大規模な間取り変更 ・水回り設備の交換 ・内装全面取り替え ・屋根と外壁の塗装 ・耐震補強工事 |
間取り変更 | 不明 |
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/372
4.フルリフォームの費用を抑えるコツ
フルリフォームは費用が大きくなりがちなため、計画段階での工夫が重要です。ここでは、予算内で満足度の高いリフォームを実現するためのポイントを紹介します。
設備や材料のグレードを下げる
リフォーム費用を抑えるためには、設備や仕上げ材のグレードを見直すことが有効です。とくに水回り設備は高機能モデルを選ぶと一気に費用が跳ね上がりますが、標準仕様や型落ち品を選べば大幅にコストを削減できます。
たとえば、ハイグレードなキッチンは見た目や機能に優れていますが、使い方によってはオーバースペックになることも。最近の標準モデルは機能性やデザイン性も十分に優れており、日常的な使用に不便を感じることはほとんどありません。
設備や材料を選ぶときに「コストパフォーマンス」を重視すれば、費用を抑えた満足度の高いリフォームにつながります。
ローンを組む場合は金利を抑えられる方法を選択する
フルリフォームで多額の資金が必要となりローンを組む場合は、工夫次第で総支払額を抑えることが可能です。
たとえば中古住宅を購入してリフォームする場合は、リフォーム費用を住宅ローンに組み込めば、リフォームローンよりも低金利で借りられる可能性があります。すでに住宅ローンを返済中の方は、リフォーム費用を含めて借り換えるのも選択肢のひとつです。
いずれも審査や手続きに時間がかかるため、早めに金融機関やリフォーム会社に相談して、より有利な条件で資金計画を立てましょう。


相見積もりをすることが何よりも重要
フルリフォームを依頼する際、複数社から相見積もりを取ることは、費用を抑えるうえで欠かせません。同じ工事内容でも、会社によって提案内容や見積もり金額に大きな差が出ることは珍しくないためです。
なお、フルリフォーム前提で中古住宅を購入する場合、不動産会社がリフォーム会社を紹介してくれるケースもありますが、その場合は相場より高めになる傾向があります。
そのため、購入前のローン審査では不動産会社経由の見積もりを活用しつつ、物件購入が決まった後には自分でもリフォーム会社を探して相見積もりを取り、費用や内容を比較検討するのがおすすめです。
5.耐震や省エネリフォームなどは補助金や減税制度が活用できる
フルリフォームでは、耐震補強や断熱改修、省エネ設備の導入といった工事を検討する機会も多いでしょう。これらの機能向上リフォームは、国や自治体の補助金制度や減税制度の対象となる場合があります。
たとえば「先進的窓リノベ事業」では最大200万円/戸、「子育てグリーン住宅支援事業」では最大60万円/戸など、制度によっては数十万円から100万円以上の補助が受けられることもあります。ほかにも多くの補助事業が展開されており、対象や条件、申請時期は制度によって異なるため、あらかじめ確認するとよいでしょう。
具体的な補助金の種類や要件については、下記ページで詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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6.まとめ
フルリフォームは、物件種別や築年数などによって、工事内容も費用も大きく変わります。水回りや内装の交換から耐震補修まで、住まいの状態に応じた工事を選ぶことが、満足度の高いリフォームへの第一歩です。
また、補助金や減税制度を上手に活用すれば、負担を抑えながら理想の住まいを実現することも可能です。費用を抑える工夫や会社選びのポイントを押さえつつ、無理のない計画を立てていきましょう。
リフォームガイドでは、経験豊富な専任コンシェルジュが、信頼できるリフォーム会社をご紹介しています。まずはお気軽にご相談ください。