
「趣味に使える部屋が欲しい」
「2世帯で住めるよう、同じ敷地内に増築したい」
「家族が増えたので部屋が足りない」
ライフスタイルの変化で、離れを増築して生活空間を広げたいと考えていませんか?
土地に余裕があれば、離れの増築は簡単にできると思うかもしれません。しかし、法律上のさまざまなルールが絡んでくるため、小規模でも建てられない場合や、欲しい設備の設置ができない場合があります。
そこで今回は、離れの増築をする際に、知っておくべき基礎知識や費用について詳しく解説していきます。
目次
1.自分の家に離れの増築はできるのかチェックしよう
離れの増築を検討する際は、まず自分の敷地に建てられるかどうかのチェックをしましょう。法規制を満たしているか、水廻り設備を設置するのか、といったことを確認することで、増築プランの方向性が決まります。
1-1.離れを増築できる場合・できない場合
敷地にスペースが余っていても、自由に増築できるわけではありません。離れを増築するには、以下3つの条件をすべて満たしている必要があります。
① 住居用の離れではない
増築する離れは、水廻り3点セット(キッチン・トイレ・浴室)のうち、いずれか1つでも欠けていなければなりません。つまり、住居としての機能が不十分で、母屋がなければ生活が成り立たない建物、ということです。
建築基準法上「一つの敷地には一つの建物」しか建てられません。水廻り3点セットが揃っていると一つの建物とみなされてしまうので、同一敷地内に増築ができないのです。住居用の離れの判断基準は自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
② 建ぺい率や容積率に余裕がある
母屋と離れを合計した建築面積・延べ床面積から算出された建ぺい率・容積率が、敷地に定められている基準値以内かどうか、確認しましょう。数値がオーバーしている場合には、増築できません。
それぞれの算出方法は以下のとおりです。
建ぺい率 | 建築面積/敷地面積×100 |
---|---|
容積率 | 延べ床面積/敷地面積×100 |
建ぺい率と容積率の上限は地域によって異なるので、役所の都市計画課などに問い合わせてみましょう。
③ その他、高さ制限などの条件をクリアしている
道路斜線制限や隣地斜線制限、北側斜線制限といった、建物の高さに関わる条件をクリアしていなければなりません。
条件は自治体によって異なるため、市区町村の都市計画課などに問い合わせて確認しましょう。その地区に関係する規制について指導してもらえます。
1-2.住居用の離れにしたい!敷地を「分割」、「分筆」する条件は?
「一つの敷地に一つの建物」というルールがあるため、水廻り3点セット(キッチン・トイレ・浴室)を備えた住宅用の離れの増築では、「分割」または「分筆」をして、敷地を2つに分けなければなりません。
分割と分筆の違いは、以下のとおりです。
分割 | ・確認申請で提出する図面上で、敷地を2つ以上に分けます。 |
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分筆 | ・敷地を2つ以上に分けて、それぞれの所有者を登記します。 |
分割は建築確認申請の手続きで行えますが、土地の分筆は手続きが複雑なため、土地家屋調査士などの専門家に問い合わせましょう。分割や分筆をするには、建ぺい率や容積率、高さ制限といった敷地にかかる諸条件をクリアし、さらに、分割・分筆後の敷地が幅4m以上の道路にそれぞれ2m以上接している必要があります。(4m未満の道路でも認められる場合もあります)
2.離れの増築をする際に知っておくべき注意点
離れを増築する際、守らなくてはならない法的なルールや、知っておくべき注意点があります。それぞれについて解説していきます。
2-1.増築は、基本的に自治体に建築確認申請をする必要がある
離れを建てる際は、基本的に自治体で建築確認申請を行います。ただし、以下の場合には確認申請をせずに増築することが可能です。
- 増築する離れの床面積が10㎡以下
- 敷地が防火地域および準防火地域に指定されていない
2-2.増築後は登記が必要
増築工事が完了してから1カ月以内に登記の申請が必要です。登記を怠ると売却しづらくなったり、相続の際に手続きが煩雑になったりすることがあります。後々もめないためにも、登記しておきましょう。
2-3.母屋とつながる渡り廊下も作りたい場合
渡り廊下で母屋と離れをつなげる際、母屋の大規模な改修が必要になったり、壁をくりぬけなかったりすることがあります。プランを見直さなければならない場合があるので、母屋について事前に以下の項目を確認しておきましょう。
- 現在の建築基準法に適合しているかどうか
母屋が「既存不適格」(現行法に適合していない)場合、母屋全体の改修が必要です。大掛かりな工事になることで費用が上がり、工期が長くなることを頭に入れておきましょう。 - ハウスメーカーで建てられたかどうか
ハウスメーカーは独自の工法で建ててるため、メーカー外の業者は壁をくりぬけません。 - ツーバイフォーで建てられたかどうか
ツーバイフォーは建物の構造的な制約があり、外壁を自由にくりぬけません。
一般的な木造軸組工法は、柱や梁などを「軸」として建てるのに対し、ツーバイフォー(2×4)と呼ばれる工法では、壁・床・天井の「面」で組み立てた家になります。そのため、家を支える面となる壁に穴をあけることはできません。