
ライフスタイルの変化にともなって家が手狭になると
「部屋を広くしたい!」
「もう一部屋欲しい!」
と思いますよね。
・2世帯にしたい
・お風呂や洗面など水回りを広くしたい
・リビングを広くしたい
・防音室を作りたい
こういった要望を満たすには、家を建て替えることなく部屋を増やせる増築が効果的です。10畳の増築で、生活空間がとても豊かになります。
この記事では、10畳の増築にかかる費用の目安や、階数や場所による価格の違い、増築を検討する際に注意しておくべき点などを解説していきます。
目次
1.10畳の増築にかかる費用
一口に10畳の増築といっても、どこに増築するのか、木造か鉄骨か、などによって費用は大きく変わります。
以下4パターンの費用の目安をご紹介します。
・1階に10畳増築
・2階に10畳増築
・1,2階それぞれに10畳増築
・離れを10畳増築
1-1.1階に10畳増築
1階を増築する場合、1畳あたりの価格は、木造で約35~40万円、鉄骨で約50~56万円です。10畳の増築費用の目安は以下のとおりです。
1階に木造で増築 | 約350~400万円 |
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1階に鉄骨で増築 | 約500~560万円 |
一般的に、1階の増築工事には基礎工事が含まれていますが、敷地によっては重機が使えず、手作業が増えて人件費が余分にかかってしまう場合があります。その際は高額になる可能性があるので注意が必要です。倉庫や収納のように内装工事が要らない場合は、安くなります。
1-2.2階に10畳増築
2階を増築する場合、1畳あたりの価格は、木造で約60~70万円、鉄骨で約75~85万円です。土台となる1階部分に耐震性を確保するための補強工事が必要になり、費用が上がります。10畳の増築費用の目安は以下のとおりです。
2階に木造で増築 | 約600~700万円 |
---|---|
2階に鉄骨で増築 | 約750~850万円 |
これらはあくまでも空間の増築費用です。例えば、トイレや浴室など水回りの増築では、配管工事や設備機器などの費用が別途かかります。予算を立てる際には気をつけましょう。


1-3.1,2階それぞれに10畳増築
1階と2階に10畳ずつ増築することで合計の延べ床面積が増えるので、坪単価を下げられる可能性があります。
一般的に、延べ床面積が大きくなるほど坪単価は下がります。基本的な運搬費や人件費、設備費などは延べ床面積の大小でそれほど変わらないめ、面積が小さくなれば割高になるのです。ただし、1階と2階を合わせた増築では解体部分が増えるため、場合によっては補修箇所が多くなり、その分費用が上がる可能性はあります。
1-4.離れを10畳増築
離れは、既存の壁の取り壊しや補修の必要がないため、比較的費用を抑えられる傾向があります。組み立て式のプレハブ工法は、木造の在来工法よりも低価格です。10畳の増築費用の目安は以下のとおりです。
離れを木造で増築 | 約270~500万円 |
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離れをプレハブで増築 | 約250~330万円 |


(補足)軽量鉄骨の家の場合
ただし、土地の状態や状況により庭の樹木の伐採、整地、基礎、地盤工事などが必要になると、価格は上がります。
ハウスメーカーの軽量鉄骨の場合、増築は同じハウスメーカーに依頼する必要があります。ハウスメーカーによって建てられた家の多くは、独自の構造計算に基づいて設計されているため、他の業者は手を付けられないからです。競合がないこともあり、高額になる傾向があります。
2.10畳の増築によくある追加工事の費用
設備や配管が必要な水回り、特殊な機能を持たせた防音ルームなど、増築の用途や目的によって追加工事の費用がかかります。
2-1.水回り設備費用
キッチンや洗面台、トイレや浴室といった水回りの設備を設置する場合、導入する機器の本体価格に加えて配管工事の費用がかかります。既存の給排水管から施工箇所までの距離が長くなったり、設備機器のグレードを上げたりすると高額になりやすいので、要検討箇所です。費用の目安は以下のとおりです。
キッチンの設置 | 約30~150万円 |
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洗面台の設置 | 約10~50万円 |
トイレの設置 | 約15~50万円 |
浴室の設置 | 約50~150万円 |
2-2.防音ルームにする
一般的に防音性能を向上させると価格が上がります。例えば、グランドピアノよりも音量の大きなドラム演奏用の防音ルームの方が高額です。
グランドピアノ用の防音ルーム | 約50~200万円 |
---|---|
ドラム用の防音ルーム | 約150~300万円 |
防音ルームは、床・壁・天井を2重、3重構造にし、防音ドアや2重サッシにするため、材料費や作業代が高めです。組み立て式の簡易防音室であれば低価格で抑えることも可能ですが、少なくとも50万円程度は見ておきましょう。
2-3.玄関を新設
玄関を新設する場合、施工内容や設置場所によって費用が変わります。また、使用するドアや床材、タイル工事などによっても費用にかなりの差が出ます。
主な新設方法は4種類あり、費用の目安は以下のとおりです。
既存の玄関を広げる | 約30~40万円 |
---|---|
既存の玄関を残して新たに玄関を増築 | 約25~30万円 |
既存の玄関を取り壊し、新規に玄関を設置 | 約30~45万円 |
2階に玄関を設置 | 約100~120万円(別途、足場や外階段の設置費でプラス50~100万円程度必要) |
2-4.離れをつなぐ渡り廊下を設置
「2棟を渡り廊下でつなげて2世帯住宅にしたい」といった場合には、50万円~200万円程度かかります。基礎工事の有無や廊下の長さなどによって費用に差があり、壁材や床材、断熱材などを高品質にすれば、より高額になります。
3.10畳の増築をする際に必要な手続きにかかる費用
増築には、建築費以外に「確認申請」「増築登記」「固定資産税の増額」といった費用がかかります。それぞれについて解説します。
3-1.「確認申請」にかかる費用
床面積が10㎡を超える場合の増築では確認申請が必要です。10畳の増築はこれにあたるため、自治体から許可が下りないと増築できません。
確認申請には、中間検査(工事中に行う検査)と完了検査(工事終了後に行う検査)の申請費用もかかります。
確認申請 | 5,600円 |
---|---|
中間検査 | 9,400円 |
完了検査 | 14,000円 |
確認申請の手続きは一般的に業者や建築士に委任する場合が多く、費用は15~20万円程度です。見積もりの際、増築費に申請手続き費用が含まれているかどうかを確認しましょう。


3-2.「増築登記」にかかる費用
増築により床面積が変わると、変更があった日から1カ月以内に「建物表題変更登記」の申請を行わなければなりません。土地家屋調査士に依頼すると、費用は約7~10万円ほどかかります。自分で申請してコストを削減することも可能ですが、登記用の図面を描く必要があります。
3-3.固定資産税の増額
増築で床面積が増えると、基本的に固定資産税は上がります。税額は、家屋調査によって新たに付けられる評価額に基づき「評価額×1.4%」で算出されます。
費用の目安は以下のとおりです。
木造の場合 | 工事費の約4割×1.7% |
---|---|
鉄筋の場合 | 工事費の約4割×2% |
4.増築を検討する際の注意点
増築する際、既存の建築物について確認しておく項目がいくつかあります。
・建ぺい率と容積率が上限に達していないか
・ハウスメーカーが建てたかどうか
・既存不適格建築物にあたるかどうか
それぞれについて解説します。
4-1.建ぺい率・容積率の範囲内でしか増築できない
既存の建物が、地域ごとに決められた「建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)」や「容積率(敷地面積に対する延床面積の割合)」の上限にすでに達している場合は、それ以上増築ができません。
容積率(%)=延床面積/敷地面積×100
建ぺい率と容積率の上限は地域によって異なるので、役所の都市計画課などに問い合わせてみましょう。
4-2.ハウスメーカーで建てた家は増築が難しい
ハウスメーカーで建てた家は形式適合認定を受けている場合が多く、増築が難しくなります。形式適合認定とは、住宅の型式(建築材料、主要構造部、建築設備など)をあらかじめ審査し、認定してもらう制度です。メーカー独自の工法として、型式の資料は企業秘密とされています。つまり、メーカー外の業者は建物に関する資料を手に入れられず、壁を壊すなどの大規模な改修ができなくなるのです。
4-3.「既存不適格建築物」の場合、大がかかりなリフォームになる
既存不適格建築物とは、法令などの改正により現行の建築ルールに合わない部分が生じている建築物のことです。増築する家が既存不適格建築物の場合、現行の基準に合わせる必要があり、工事が大がかりになる可能性があります。
5.増築を依頼する業者は慎重に選ぶべし!
増築は建物の躯体を触る工事となるため、専門知識や豊富な経験が必要です。構造を熟知していない下手な業者に任せると、大事な柱を抜いてしまったり、多額の追加費用が発生したり、万が一トラブルが生じた場合に、きちんと対応してもらえなかったりする可能性があります。
5-1.増築の実績があるかどうかを確認
業者によって施工技術やプランの提案内容は異なります。そのため、できるだけ過去に増築の実績が多い業者選びをすることが、とても重要です。蓄積されたノウハウがあるため相談がスムーズに進みやすく、安心して工事を任せられます。
5-2.複数社に見積依頼
見積もりは複数社に依頼して比較検討することをおすすめします。単に費用が安いという理由で業者を選んでしまうのは危険です。悪徳業者の場合、手抜き工事や想定外の追加費用を請求される可能性があるからです。
また、見積もり内容は自分で見比べても分かりづらい部分があるため、直接業者から工事内容の説明を受けることが大切です。不明点があれば質問して解消しておきましょう。見積もりの際の対応をきちんとしてくれるかどうかは、業者選びの重要なポイントです。
6.まとめ
増築は、階数や場所によって費用に大きな差が出ます。定価が決まっているわけではなく、業者によって知識や施工技術に違いがあるからこそ、適正な価格できちんとした工事をする業者選びが重要です。
ご紹介した費用は、あくまでも目安ですので、正確な費用は業者に依頼して現地調査をしてもらい、見積もりを出してもらいましょう。複数社に見積もりを依頼できるリフォームガイドでは、実績のある業者を厳選してご紹介しています。ぜひご活用ください。
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