
ボタン1つでたくさんの食器を洗える食洗器は、家事にかかる時間を大幅に短縮してくれる人気の設備のひとつです。
しかし一方で、「毎日使用すると電気代がかさむのでは?」「手洗いのほうが経済的なのでは?」と疑問に思っている方も多いでしょう。
今回は食洗器を使用するとどれくらいの電気代がかかるのか、手洗いと比較してどちらが経済的なのかを分析します。
食洗器を設置する際に使える補助金制度についてもご紹介しますので、現在食洗器を使用している方だけではなく、今後食洗器の設置を検討している方も、ぜひ参考にしてください。
目次
1.食洗機にかかる電気代。手洗いではどちらがお得?
食洗器は食器洗いのたびに電気を使うため、「便利になった分光熱費がかさんでしまうのでは?」と考えている人も多いのではないでしょうか。
まずは食洗機を使用したら、どれくらいの電気代がかかるのか、手洗いと比較してどちらがお得なのかを、具体的な数字を基に比較してみましょう。
1-1.食洗機にかかる電気代
食洗器には、シンク下やキャビネットなどに組み込む「ビルトインタイプ」と、キッチンの上に置いて使用する「卓上タイプ」の2つの種類があります。ここでは国内某メーカーから発売されているビルトインタイプ・卓上タイプの食洗器使用時の電気代を比較します。
食洗器のタイプ | ビルトインタイプ | 卓上タイプ |
---|---|---|
1回あたりの消費電力 | 約0.48〜0.52kWh | 約0.67〜0.77kWh |
1回あたりの電気代 | 約14.88〜16.12円 | 約20.77〜23.87円 |
1回あたりの電気代(平均) | 約15.5円 | 約22.32円 |
※電気料金目安単価:31円/kWh(2022年7月22日改定)
仮に毎日朝と夜の2回食洗器を使用した場合、1カ月間・1年間の電気代の概算は下記のようになります。
食洗機のタイプ別電気代の比較 ※ガス代・水道代を除く試算による
【ビルトインタイプ】
1回あたりの電気代(平均)15.5円×1日2回使用×30日=930円
1年間の電気代=930円×12カ月=11,160円
【卓上タイプ】
1回あたりの電気代(平均)22.32円×1日2回使用×30日=1339.2円
1年間の電気代=1139.2円×12カ月=16,070.4円
電気代だけを見ると、ビルトインタイプが11,160円、卓上タイプが16,070.4円と、卓上タイプより、キッチンに埋め込むビルトインタイプのほうが、5,000円ほど安くなっています。
ただし、上記の試算においては、ビルトインタイプでかかるガス代が含まれていないことに注意してください。
1日2回使用した場合のビルトインタイプのガス代の平均は年間5,000〜6,000円です。光熱費トータルでみると、ビルトインタイプ・卓上タイプに大きな差はありません。
1-2.食洗機と手洗いの光熱費を比較
次に、食洗器を使用した場合と手洗いのみの場合、光熱費にどれくらいの違いがあるのかを比較します。
資源エネルギー庁のシミュレーションによると、1日2回の食器洗いで必要な光熱費は、食洗機の場合と手洗いの場合で以下のような差があります。
食洗機の場合 | 手洗いの場合 | |
---|---|---|
1年間の使用料 | 電気:525kWh 水道:10.80㎥ |
ガス:81.62㎥ 水道:47.45㎥ |
1年間の光熱費 | 約19,090円 | 約25,560円 |
※給湯器(40℃)、使用水量65L/回(冷房期間は、給湯器を使用しない)の手洗いの場合と給水接続タイプで標準モードを利用した食器洗い乾燥機の場合の比較
食洗機を使用した場合、年間約6,470円もの光熱費を節約できる計算です。
上記のシミュレーションからも、毎日食器を手洗いし続けるより食洗機を取り入れたほうが、長期的に見て大幅な節約になるということがお分かり頂けるのではないでしょうか。
2.食洗機の電気代を節約するコツ
手洗いよりも食洗器を使用したほうが、電気代の節約になることはわかりました。しかし毎日使う以上は、もっと電気代を節約する方法を知りたいという方もいることでしょう。
ここでは食洗機の電気代を節約するための、具体的なコツを3つご紹介します。
2-1.食器はまとめて洗う
少量の食器を複数回に分けて洗うより、できるだけ多くの食器をまとめて洗うと電気代の節約になります。
一般的な食洗器は、1回あたり食器40点・小物20点ほどを想定して設計されています。つまり通常モードで回す場合、お皿が1枚でも40枚でも、一度に使用する電力は同じということです。
洗い物が少ない場合は、すぐに食洗器にかけず水につけておき、あとでまとめて洗うといいでしょう。
2-2.乾燥機能を使わない
食洗器に搭載されている乾燥機能は、非常に多くの電力を消費します。可能であれば、乾燥機能をオフにして自然乾燥を利用するか、または乾燥機能の使用を最小限に抑えることで、電気代を節約できます。
食洗器は洗浄の際に高温のお湯を使用するため、使用後に扉を少し開けておけば、余熱で食器をが乾燥させやすくなります。
2-3.電気代が安い時間帯に使用する
電力会社や契約しているプランによっては、時間帯によって電気代の単価が異なる場合があります。
23時から翌朝7時くらいに夜間料金が適用されていることが多く、この時間帯に食洗機を使用することで、電気代を節約することが可能になります。
食洗器の中にはタイマー機能が搭載されている製品もありますので、上手に活用するといいでしょう。
3.食洗機を使うメリットは電気代以外にも
食洗機を導入することは、電気代の節約だけでなく、日常生活においてもさまざまなメリットがあります。
3-1.手洗いより汚れが落ちやすい
食洗器を使用することで、手洗いでは落としきれない頑固な汚れや油も、効率的に落とせる点が1つ目のメリットです。
食洗機は、高温のお湯と専用の洗剤を使用して食器を洗浄します。食洗器で使用するお湯の温度は60度ほど。手洗いでは扱えない温度で洗えるので、食器がツルツルピカピカになるのは大きな魅力でしょう。
また、食洗機は食器を均一に洗浄できるため、洗い残しが少なく、清潔な食器を保つことができます。
3-2.手荒れが軽減される
食洗機を日常的に使用することで、洗剤やお湯を触ることによる手荒れを軽減できる点もメリットの1つ。水に触れる時間を短くできるので、洗い物のあとの手がカサカサ、という悩みからも解放されます。
特に皮膚が敏感な方や、冬場に手荒れを起こしやすい方にとって、食洗機は手肌を守る強い味方となります。手を洗剤から守りながら、日々の家事負担を減らすこともできるのです。
3-3.食器の除菌もできる
食洗機を使用することで、食器やカトラリーなどの除菌効果も期待できます。
食洗器では手洗いでは扱えない高温のお湯をしようするため、洗浄と同時に除菌も行えます。洗ったらそのまま乾燥させられるので、雑菌の温床になりやすい布巾で拭く必要もありません。
また小さなお子様のいる家庭では、お子様が使うおもちゃや哺乳瓶などのアイテムの除菌にも利用できる点も魅力。家族の健康を守れるのも、食洗器を導入する大きなメリットです。


4.食洗機の設置に補助金は出る?
これから食洗器を設置する方に活用していただきたい制度に、「子育てエコホーム支援事業」という補助金制度があります。
これは国土交通省が主体となって進めている事業で、エコフレンドリーな住宅設備の導入を促進することを目的としています。
補助金の支給対象となる新築工事・改修工事にはさまざまなものがあり、ビルトインタイプの食洗器のほか、掃除しやすいレンジフード、浴室乾燥機の設置も対象です。また、家全体の断熱性の向上や、住宅内のバリアフリー化なども推奨されており、人にも環境にも優しい住まいづくりに一役買ってくれる制度と言えます。
詳しい補助金の申請条件や支給額、申請方法については、こちらの記事を参考にしてください。


5.まとめ
食洗器を上手に活用することで、光熱費を節約できるだけでなく、日々の家事の手間を減らしたり、手荒れを防いでくれたりとさまざまなメリットを得られます。
食洗器にもサイズや機能、デザインなど、さまざまなタイプがあり、補助金制度を活用するかによってもトータルコストは大きく変動します。
できるだけコストを抑えて食洗器を設置したいなら、リフォームガイドの利用がおすすめです。キッチン周りのリフォームに精通し、補助金事業に登録した会社のみを紹介することができますので、手間なくご自身に合ったリフォーム業者が見つかりますよ。