「築30年を過ぎたから屋根材が寿命なのではと心配」
「葺き替えが必要と言われたけれども重ね張りでもいいのでは」
このようにお悩みではないでしょうか?
屋根は、家全体を雨や直射日光から守ってくれる存在です。そのため本当に葺き替えが必要なほど劣化しているなら、今すぐリフォームをしないと家全体の寿命を縮めることにもなりかねません。
そこで今回は、屋根の葺き替えが必要か判断する目安を解説します。葺き替えにかかる費用や期間、使える屋根材の種類などもご紹介しますので、屋根リフォームのご参考にしてください。
目次
1.葺き替えが必要な屋根はすぐリフォームすべき!
住宅を直射日光や雨から守っている屋根の劣化を放置していると、家全体の寿命を縮めてしまうことになりかねないため早急に葺き替えが必要です。しかし「どの程度劣化すると葺き替えが必要になるのか」、判断が難しいですよね。
ここでは葺き替えが必要な屋根と、重ね葺き(カバー工法)で対応できる屋根、そして部分補修で問題ない屋根の見分け方を解説します。
1-1.葺き替えが必要な屋根の状態
屋根の葺き替えが必要かは、劣化症状の程度で見分けます。具体的には以下のような症状が見られたら、できるだけ早く葺き替えが必要です。
【屋根の葺き替えが必要な状態】
- ひび割れや欠けが広範囲に見られる
- スレート屋根の耐水性が落ちて柔らかくなっている
- すでに雨漏りが発生している
上記のような症状は、屋根材が寿命を迎える時期によく見られます。そのため基本的には屋根材の寿命にあわせ、葺き替えを検討します。
しかし定期的な塗装メンテナンスをしていなかったり、台風や地震などの自然災害に遭ったりすることで上記のような症状が見られる場合には、耐用年数に達していなくても葺き替えが必要です。
屋根材 | 耐用年数 |
---|---|
日本瓦 | 50~100年 |
銅板 | 60年以上 |
ガルバリウム銅板 | 20~30年 |
スレート | 20~30年 |
トタン | 10~20年 |
アスファルトシングル | 20~30年 |
▼劣化したスレート
▼瓦屋根の方は下記の記事も参考にしてください。
1-2.重ね葺き(カバー工法)で対応できる屋根の状態
既存の屋根の上に新しい屋根材を張る「重ね葺き(カバー工法)」という方法もあります。重ね葺き(カバー工法)は、「屋根材の劣化が全体的に進んでいるものの、防水材や下地は健全である屋根」に対して施工が可能です。
下地からすべてを作り直す葺き替えと違い、重ね葺きでは既存の屋根をはがさないため下地の様子を確認できません。そのため屋根の上と屋根裏の両方から、下地の状態が悪くないかを確かめて、問題ないと判断された場合にのみ重ね葺きが可能です。
重ね葺きで対応できるかの判断は難しいので、リフォーム会社に調査を依頼しましょう。
1-3.部分補修で対応できる屋根の状態
「台風で飛来物があり割れ欠けが発生した」、「地震で屋根材が部分的にズレた」など、屋根の一部だけしか傷んでいない屋根は部分補修で対応できます。
また屋根に使用されているのが粘土瓦である場合には、「葺き直し」も可能です。粘土瓦は寿命が長いため、瓦そのものではなく防水シートや下地が先に傷んでしまう場合があります。そういったケースでは、瓦を取り外して防水シートのみを取り換え、再度瓦を葺き直すことができるのです。
2.屋根の葺き替えにかかる費用
屋根の状態が全体的に悪く、葺き替えが必要なときにかかる費用は、既存の屋根材と新しく使用する屋根材の種類によって異なります。よく行われる葺き替え工事の費用目安は以下のとおりです。
現在の屋根材 | 葺き替える屋根材 | 費用 |
---|---|---|
瓦 | 瓦 | 100〜240万円 |
スレート(コロニアル) | 90〜200万円 | |
ガルバリウム鋼板 | 100〜210万円 | |
アスファルトシングル | 100〜200万円 | |
スレート | スレート | 70〜200万円 |
ガルバリウム鋼板 | 100〜200万円 | |
アスファルトシングル | 90〜190万円 |
それぞれの屋根材の特徴については、後ほどご紹介します。
3.屋根を葺き替えるメリット・デメリット
屋根を葺き替えることには、メリットもあればデメリットもあります。両者を確認してみましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
・家の寿命が延びる ・家の外観を一新できる ・耐震性が向上する場合がある |
・費用が高い ・施工中に雨漏りするリスクがある |
葺き替えのメリットは、下地からすべてやり直すことにより屋根の性能を刷新するため、家の寿命が延びることです。外観も当然新築同様によみがえります。また、既存の屋根材よりも軽いものへと変更すると、耐震性が上がることも葺き替えのメリットです。
一方葺き替えは既存の屋根材や下地材の撤去費用が発生するので、カバー工法よりも高額です。さらに屋根材が一時的に取り払われるため、施工中は雨漏りのリスクがあります。葺き替え工事をするときには、施行期間の天気なども考慮することが大切です。
4.葺き替え後の屋根はどんな屋根にするべき?
屋根の葺き替えでは、既存の屋根と同じ種類、もしくは軽いもののなかから、好みの屋根材を選べます。
ここでは主な屋根材の種類について、市場シェアや特徴、メリット・デメリットを紹介します。
4-1.市場の屋根材シェア
現在日本の屋根市場においてのトップシェアは、約64%を占める「金属」屋根です(矢野経済研究所2020年の調査データより)。ここ10年ほどで粘土瓦が出荷量を落とすのと反比例するかのように、金属屋根は出荷数を伸ばし続けています。一方スレート屋根は、出荷量に大きな変動がありません。
データ元:日本金属屋根協会
金属屋根が大きくシェアを伸ばしているのは、リフォームに際して住宅の軽量化を図り、耐震性を上げるニーズが高まっているのも一因とされています。
4-2.屋根材各種の特徴、メリット・デメリット
ここからは、主な屋根材の特徴やメリット・デメリットをご紹介します。
瓦
昔ながらの粘土瓦は、粘土を焼いて作られる陶器製の瓦です。デザイン性が高く、断熱性・防音性にも優れています。耐用年数も50〜100年と長いことが特徴です。
一方粘土瓦はほかの屋根材と比較すると重く、住宅の重心が上がるため耐震性が低くなるデメリットがあります。価格も8,000〜12,000円/㎡と高額です。
なお屋根を葺き替えるときには、既存の屋根材と同じ種類、もしくは耐震性を高めるために軽い種類を選ぶのが基本です。そのため、たとえば軽いスレートから重量のある瓦への葺き替えが行われることは、一般的にはありません。
スレート(コロニアル)
スレートは、セメントを原料とした板状の屋根材を指します。セメントであるため安価で、4,500円〜8,000円/㎡程度です。瓦と比較すると軽量なこともメリットです。
一方材料であるセメント自体は耐水性に乏しく、表面の塗装の防水性が落ちると劣化が進みやすくなります。そのため10年に1度程度の塗装メンテナンスが欠かせません。
水がたまりやすい構造をしているので、しっかり勾配を取らないと雨漏りするリスクもあります。耐用年数は20〜25年程度と、瓦よりは短めです。
スレート(コロニアル)について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
ガルバリウム銅板
ガルバリウム鋼板は、アルミニウムと亜鉛を主原料とした屋根材を指します。今回ご紹介する屋根材のなかではもっとも軽量なので、ほかの屋根材から葺き替えると耐震性を上げられます。耐用年数は約30年程度、単価は6,000円〜9,000円が相場です。
ガルバリウム鋼板のデメリットは、デザイン性が低いことです。金属であるため表面塗装が劣化するとサビが発生するリスクもあります。そのためスレートと同様に、10年に1度程度のメンテナンスが必要です。
ガルバリウム鋼板について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
アスファルトシングル
アスファルトシングルは、ガラス繊維にアスファルトを浸透させたものを基材とし、表面に石材を吹き付けた屋根材です。軽量であるため耐震性が高く、平面だけではなく曲面にも使用できることから、どんなデザインの屋根にも対応できるのがメリットです。
一方アスファルトシングルは軽量なので、風で吹き飛びやすいことには注意が必要です。単価は5,000円〜7,000円/㎡、耐用年数は20〜30年とされています。
アスファルトシングルについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
5.屋根の葺き替え工事にかかる期間
屋根の葺き替え工事にかかる期間は、屋根の面積や形状、劣化状況などに左右されます。一般的に屋根の葺き替え工事は、以下のように進みます。
- 足場の組み立て
- 既存屋根の撤去
- 下地処理
- 防水シートの取りつけ
- 新規屋根材の取りつけ
- 足場の解体
上記の一連の工程に、7〜10日は必要です。
ただし工事期間中に雨が降るなどした場合は、工期が延びる可能性があります。葺き替え工事を依頼するときには、気候の変化にも注意しましょう。
6.屋根の葺き替えを依頼する業者の選び方ポイント
屋根の葺き替えを依頼するときには、自社で施工している地元の業者を選ぶことがポイントです。
葺き替え工事では、既存の屋根を一度すべて取り払う工程が入ります。急な天候の変化があったとき、工事を依頼している業者が近くにあると安心感が違います。また、地元業者なら地域の気候の特徴もつかんでいるので、屋根材の選定や工事の日程なども、適切なアドバイスが期待できるでしょう。
工事の依頼先を選ぶときには、複数の業者から見積もりをもらう「相見積もり」を行うことも大切です。見積もりを見比べて相場を把握し、提案されたプランの内容を比較することで業者を選びやすくなります。
「葺き替えが必要か、カバー工法でも可能か」を知りたいけど、業者に相談するのが億劫・・・という場合
葺き替えが必要かどうか、重ね葺き(カバー工法)での施工が可能かどうかの判断をする場合も、まずは業者に見てもらう必要があります。ご自身で会社を探すと、その後契約を持ちかけられると断りにくいですし、相見積もりのために何社も探すのは大変ですよね。
リフォームガイドでは、お近くの優良施工会社を複数ご紹介し、お断りもリフォームガイドを通してできるので、気まずい思いをすることもありません。
完全無料でお客様のリフォーム会社選びをサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
7.まとめ
屋根の葺き替えについて、必要かの見極め方やメリット・デメリット、屋根材の選び方などをご紹介してきました。
屋根の葺き替えを検討するほど劣化しているようなら、早急に対応が必要です。屋根が機能を果たさなくなり雨水が家に侵入するようになると、家の構造自体が劣化してさらに大きなリフォームが必要になるかもしれません。
リフォームガイドでは、業者選びのプロとして、お客様のエリア近くにある優良なリフォーム会社を無料でご紹介しています。まずはお気軽にご登録ください。
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