【事例付】屋根カバー工法とは?葺き替えとの違い

屋根カバー工法

「屋根カバー工法って、どんな工事方法?」
「自分の家が屋根カバー工法に適しているかわからない」

このようにお考えではありませんか?

屋根カバー工法とは、既存の屋根の上に新たな屋根をかぶせる工事方法です。
屋根カバー工法はすべての屋根に適応する工事ではなく、屋根の特徴や築年数によって向き・不向きがあります。

この記事では、屋根カバー工法に適した屋根や費用相場、実際に行われた施工事例もご紹介し、屋根カバー工法について完全解説しています。
あなたのリフォームしたいリフォームが屋根カバー工法に合っているかどうか判断できるほか、工事に用いる屋根材の比較検討も可能となっていますので、ぜひ参考にしてください。


1.屋根カバー工法とは?

屋根カバー工法とは、既存の屋根の上に新しい屋根材をかぶせる施工方法のことです。「重ね葺き」や「カバールーフ工法」などとも呼ばれ、スレート屋根や軽量金属屋根など平板の屋根材で施工できます。

新しい屋根材にはガルバリウム鋼板の他、アスファルトシングルやジンカリウムといった軽量な物が採用されています。屋根カバー工法は広く行われているリフォーム工事ですが、屋根の状態によってはおすすめできないため、現状を確認して判断する必要があります。

1-1.葺き替えとの違い

屋根カバー工法と屋根の吹き替えの違い

屋根のリフォームでは、「葺き替え」という施工方法もあります。葺き替え工事は、既存の屋根材を撤去してから新しい屋根材を葺き替える施工です。既存の屋根材を撤去する際に下地の補修やメンテナンスを行うこともあります。

葺き替えによる屋根リフォームが適しているケース

  • 下地材が傷んでいる
  • すでに屋根カバー工法で施工している
  • 瓦屋根を使っている

2.屋根カバー工法のメリット

屋根カバー工法の主なメリットとして、以下4点が挙げられます。

  • 低コスト
  • 工期が短い
  • 防音性や断熱性が高い
  • アスベストの飛散リスクが少ない

それぞれのポイントについて解説します。

2-1.低コスト

屋根カバー工法は、既存の屋根を撤去するための廃材処分費用や人件費がかからないため、葺き替えに比べて安価です。
また、屋根材自体が長持ちしやすく、長期的なコストも抑えられる可能性があります。

2-2.工期が短い

屋根カバー工法では既存屋根の撤去や廃材処分が不要な分、工期も短縮されています。
屋根の形状や大きさにもよりますが、早ければ葺き替え工事の約半分の工期で施工できるケースもあり、工事中の不便さやストレスも軽減されるでしょう。

2-3.防音性、断熱性が高まる

屋根カバー工法により屋根が二重構造になるため、防音性や断熱性がアップします。「屋根にあたる雨音が気になる」「屋根からの冷気や熱気で室温が保たれにくい」といったお悩みを解消したい場合にも有用です。

2-4.アスベストの飛散リスクが低い

2004年以前に建てられた多くのスレート系屋根材にはアスベストが含まれており、撤去する際には健康への影響に配慮して、飛散を防ぐ処理を行う義務があります。また、処分の手続きや費用も必要なのですが、屋根カバー工法なら新しい屋根を被せられるため、アスベスト飛散のリスクを回避できます。


3.屋根カバー工法のデメリット

メリットが多い屋根カバー工法ですが、デメリットもあります。ここでは、主に以下2つのデメリットについて解説します。

  • 屋根が重くなり耐震性に影響する可能性がある
  • 瓦屋根や劣化が激しい場合は施工できない

各項目について見ていきましょう。

3-1.屋根が重くなり耐震性に影響する可能性がある

既存の屋根に新しい屋根材を重ねるため、屋根が重くなり、場合によっては耐震性が低下する可能性があります。よく使われるガルバリウム鋼板は軽量で、屋根全体に施工しても耐震強度には影響しにくいことが多いですが、不安な場合は業者に相談してみましょう。

3-2.瓦屋根や劣化が激しい場合は対応できない

屋根カバー工法は、瓦屋根や劣化が激しい屋根には施工できないため注意が必要です。すでに雨漏りを放置して時間が経っている場合や、屋根材自体の浮き沈みが見られる場合には、下地材の張り替えや補修が必要になります。


4.屋根カバー工法に向いている屋根/向いていない屋根

【屋根カバー工法をする前のチェック事項】
 屋根カバー工法に
向いている屋根
屋根カバー工法に
向いていない屋根
築年数の目安築15~30年未満築30年以上の屋根
元の屋根の状態退色や割れ・欠け、
コケやカビの繁殖が目立つ
(下地の傷みはなし)
下地の劣化が激しい
元の屋根の種類フラットな屋根凹凸のある瓦屋根
屋根の工事歴過去に屋根カバー工法の工事をしていない過去に屋根カバー工法の工事をしている

ここからは、屋根カバー工法に向いている屋根・向いていない屋根について解説していきます。

一般的に屋根カバー工法に向いている屋根は、築15~30年未満の屋根です。
しかし、屋根のリフォームを成功させるためには、それぞれの屋根に合わせて適切な工事方法を選ばなければいけません。
不適切な工事方法で屋根をリフォームすると、かえって倒壊や破損のおそれがあり、危険です。

ご自身のリフォームしたい屋根が屋根カバー工法に適しているか、以下の内容を参考に確認してみてください。

4-1.屋根カバー工法に向いている屋根

屋根カバー工法に向いている屋根は、この2つです。

  1. 築15~30年未満の屋根
  2. 屋根カバー工法の施工条件に合致した屋根

[1]築15~30年未満の屋根

築15年を超えた家の屋根は退色や割れ・欠け、コケやカビの繁殖が目立つようになるため、屋根カバー工法での工事に適しているといえます。

築15年までの家の屋根であれば、劣化は部分的なひび割れや色褪せ程度で、塗装工事で修繕できるケースが多いでしょう。
また、築30年を超える家の屋根の場合は下地の激しい劣化が考えられますので、葺き替え工事の方が適しているケースが多くなります。

[2]屋根カバー工法の施工条件に合致した屋根

屋根カバー工法には、施工できる条件が2つあります。

  • フラットな屋根である
  • 過去に屋根カバー工法の工事経験がない

屋根カバー工法の工事を過去に行ったことのある屋根の場合は、再び屋根カバー工法で施工することはできないので、注意しましょう。

2-2.屋根カバー工法に向いていない屋根

一方、屋根カバー工法に向いていない屋根の特徴としては、この3点が挙げられます。

  1. 下地の劣化が激しい屋根
  2. 凹凸のある瓦屋根
  3. 屋根カバー工法の工事を過去に行ったことのある屋根

[1]下地の劣化が激しい屋根

築年数が15~30年の屋根であっても、元の屋根の下地が激しく劣化していた場合には屋根カバー工法での工事は向きません。

下地が激しく劣化した屋根の場合、新しい屋根を固定できず、無理矢理工事をしたとしても、数年ほどで再び工事が必要になってしまいます。

下地の劣化具合はご自身で判断せず、リフォーム会社に直接確認してもらうようにしましょう。

[2]凹凸のある瓦屋根

凹凸のある瓦屋根の場合は屋根カバー工法の工事ができません。
凹凸のある屋根だと上から新たに屋根材を被せることができないためです。

また、瓦屋根は屋根材の中でも特に重く、重ねると耐震性・耐久性が非常に低くなってしまうため、工事は不可能です。

[3]屋根カバー工法の工事を過去に行ったことのある屋根

屋根カバー工法の工事を過去に行ったことのある屋根の場合は再び工事ができず、葺き替え工事となります。

屋根カバー工法で工事をした経験がない方も、リフォームしてから20年以上同じ場所に住み続ける場合、再度屋根のメンテナンス周期を迎える可能性があるため、工事方法は慎重に選ぶようにしましょう。


5.屋根カバー工法にかかる費用

ここからは、屋根カバー工法にかかる費用を解説していきます。

屋根カバー工法の工事にかかる費用は、30坪ほどの住宅で80~250万円程度です。価格が変動する理由としては、この2点が挙げられます。

  • 屋根面積の違い
  • 屋根材料の違い

以下の表で屋根材別にかかる費用を解説しています。

【屋根材別 カバー工法費用】
屋根材価格(単位:万円)
ガルバリウム鋼板80~120
アスファルトシングル110~150
ジンカリウム鋼板150~250

※30坪・屋根面積80㎡の住宅


6.屋根カバー工法で使用される屋根材

ここからは、屋根カバー工法に用いられる屋根材の特徴や耐用年数について解説していきます。

屋根カバー工法で用いる屋根材は、既存の屋根の上に重ねるため、軽量である必要があります。
屋根材によってそれぞれ特徴は異なりますので、ご自身の考えるリフォームプランに合った屋根材を選びましょう。

6-1.ガルバリウム鋼板|もっとも一般的

特徴アルミニウムと亜鉛を主材とした屋根材
耐用年数30年程度
メンテナンス周期10~20年
メリット軽量で耐震性が高い
デメリット
  • デザイン性が低い
  • 錆びやすい
こんな人におすすめ
  • 定期的にメンテナンスが可能な方
  • 高い耐震性を求める方

6-2.アスファルトシングル|デザイン性が高い

特徴薄いシート状で主に石粒が付着している屋根材
耐用年数20~30年
メンテナンス周期10年前後
メリット
  • 軽量で耐震性が高い
  • 平面、曲面どちらにも対応できデザイン性が高い
デメリット風で吹き飛びやすい
こんな人におすすめ屋根の価格だけでなくデザイン性にもこだわりたい方

出典:https://www.reform-guide.jp/topics/yanezai/#1

6-3.自然石粒付きジンカリウム鋼板|断熱性・遮音性が高い

自然石粒付きジンカリウム鋼板イメージ

出典:https://freshhouse.co.jp/case/24290/

特徴金属屋根の一つ。ガルバリウム鋼板と素材はほぼ同じだが、石粒がコーティングしてある
耐用年数30~50年
メンテナンス周期原則不要
メリット
  • メンテナンス費用を抑えられる
  • 断熱性、遮音性が高いほか、海沿いの家の塩害にも強い
デメリット
  • 表面の石粒が落ちやすい
  • 太陽光パネルが設置できない
こんな人におすすめ追加費用はなるべくかけず安全性の高い屋根を設置したい方

スレート(コロニアル、カラーベストとも呼ばれます)という屋根材は、屋根カバー工法の新しい材料として使用できません。重量が重く、上からかぶせる工事に不向きなためです。
また、割れる危険性が高く、メーカーが不可としているため、万が一の際保証を受けられません。

今章で紹介した三つの屋根から工事を検討してみましょう。

屋根材についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

屋根材の種類と特徴、あなたに適した商品の選び方を知ろう
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7.屋根カバー工法の施工事例

ここからは、実際に行われた屋根カバー工法の施工事例をご紹介します。

築年数や用いた屋根材、施工費用など事例によりそれぞれ異なりますので、ご自身の希望するリフォームの参考にしてください。

7-1.屋根カバー工法 施工事例その①

施工費125万円
工期2週間

以前塗装工事の経験がありましたが、今回は劣化があったため屋根カバー工法の工事を行いました。ガルバリウム鋼板を素材とした屋根材が用いられたため、遮音性に優れています。

出典:https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=436

7-2.屋根カバー工法 施工事例その②

施工費100~300万円
工期1カ月程度

こまめにメンテナンスを続けてきた屋根ですが、外観の一新・メンテナンス性向上を目的に工事を行いました。ジンカリウム鋼板を素材とした屋根材を用いたことにより、断熱性の高い重厚感のある仕上がりになりました。

出典:https://freshhouse.co.jp/case/24290/

7-3.屋根カバー工法 施工事例その③

施工費100~300万円未満
工期1カ月程度
施工面積71~90㎡

屋根材が色落ちしてしまっていたため、屋根カバー工法でメンテナンスを行いました。以前より機能性が向上したほか、スタイリッシュな見た目に仕上がっています。

出典:https://freshhouse.co.jp/case/2659

7-4.屋根カバー工法 施工事例その④

施工費205万円
築年数30年
工期21日
施工面積102㎡

【母屋】

母屋部分と増築したばかりの部分とで屋根の劣化状態に差があったため、別々の工事を行いました。母屋は金属屋根を重ね葺きし、耐久性がアップしました。

【増築部分】

増築部分は劣化が少なかったため塗装のみ行いました。母屋部分と同じ色合いの塗料を採用し、統一感のある仕上がりになっています。

出典:http://www.8044.co.jp/gallery/298


8.屋根カバー工法の工事でよくある質問

ここからは、屋根カバー工法の工事を検討する上でよくある質問にお答えします。

工事を行う前に知っておきたいことをリフォームのプロが解説していますので、ぜひ参考にしてください。

[Q1]屋根カバー工法のメンテナンス周期は?

屋根カバーを施工したら、次の工事がいつ頃を想定しておけばいいの?
A:10年を目安にメンテナンスを行いましょう。その時の屋根材の劣化状況にもよりますが、塗装を行うことが多いですよ。
回答

屋根カバー工法で用いられる屋根材は耐用年数が長く、耐久性に優れていますが、より長持ちさせるためには耐用年数より前にメンテナンスを行う必要があります。

雨漏りをはじめとした劣化の症状がなくても、定期的にメンテナンスするようにしましょう。

屋根のメンテナンスについてもっと詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてください。

屋根のメンテナンス費用から工事が必要な時期までチェック!
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[Q2]屋根カバー工法の工期は?

屋根カバー工法の工事期間は、何日くらい見ておけばいいの?
A:1週間弱の工期を想定しておきましょう。ただし、作業人数や工事面積によって工期は異なりますので、正確な工期は見積もり依頼時にリフォーム会社にご確認くださいね。
回答

 

また、雨天の場合は屋根の工事を行うことはできません。梅雨の時期や、雪の多い地域では冬を避けてリフォームを検討しましょう。

[Q3]火災保険は使えない?

保険会社から、屋根の工事には保険が使えることがあるって聞いたことがあるけど、カバー工法でも使えるのかしら?
A:カバー工法かどうかに関わらず、工事の理由によっては火災保険が適用できる可能性があります
回答

「風災補償」「雪災補償」などの特約がついた火災保険に加入していた場合、台風や突風、積雪、雹などで住宅が被害を受けた場合でも修理費用を補償してもらうことができます。

火災保険が利用できる可能性のある被害事例は以下の通りです。

  • 強風によって屋根材が飛散した
  • 強風で飛ばされてきたものが屋根に当たり屋根材が破損した
  • 強風で棟板金が破損した
  • 強風や雪で雨どいが歪んだ
  • 雹によって屋根の破損や割れが生じた

※「強風=最大瞬間風速20メートル以上」などの基準が設けられています。

上記のような理由で屋根カバー工法の工事を検討しているという方は、保険会社に適用になるかどうか鑑定を依頼してみましょう。


9.まとめ

屋根カバー工法とは、既存の屋根の上に新たな屋根をかぶせる工事方法です。葺き替えに比べて低コストかつ短工期で施工でき、アスベスト飛散のリスクも回避できます。ただ、屋根の重さが増えることで、耐震性に影響する可能性もあるため、事前に調べておくと安心です。

一般的に屋根カバー工法に向いている屋根は、築15~30年未満の屋根です。

ただし、以下のような場合は屋根カバー工法での工事ができません。

  • 下地が激しく劣化している
  • 既存の屋根が凹凸のある瓦でできている
  • 一度屋根カバー工法で工事をしたことがある

屋根カバー工法にかかる費用は、屋根の面積や用いる屋根材の種類によって異なります。

【屋根材別 カバー工法費用】
屋根材価格(単位:万円)
ガルバリウム鋼板80~120
アスファルトシングル110~150
ジンカリウム鋼板150~250

※30坪・屋根面積80㎡の住宅

屋根カバー工法の工期はおおよそ1週間弱ですが、悪天候時は工事ができませんので注意しましょう。
屋根カバー工法の工事を行った場合、10年に一度のメンテナンスが必要です。
また、屋根カバー工法では火災保険が適用になる可能性があることも理解しておきましょう。

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