
「増築時には確認申請が必要です」そのような話を聞かれた方は多いかもしれません。
しかし具体的に確認申請とは何か?どのような手順で進めればよいか?という点については疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
確認申請の知識がない方でもわかりやすいよう解説します。
目次
1.増築時に必要な確認申請とは何か?
住まいを増築しようとした場合、多くのケースで確認申請が必要となります。この確認申請とは何かというと、「行政に対して増築の許可を得るために必要な申請行為」となります。確認申請自体は施主が自ら行ってもよいのですが、専門的な書類が多く専門知識が必要とされるので、現実問題としては難しいでしょう。
増築をしてもらうリフォーム会社や設計事務所に確認申請自体も行ってもらうのが一般的です。増築や改築の経験豊富な信頼できる建築士やリフォーム会社を探してお願いするのがお勧めです。
2.増築のできない建物とは
住まいを増築しようとした場合に、希望通りに増築できない可能性があります。法律的には建築基準法などの制限を受けるので、プランを立てる際には専門家に相談しながら進める必要があります。増築できないケースとしては以下のようなことが考えられます。
建ぺい率いっぱいの建物
新築時に建ぺい率の限度いっぱいまで建てた物件は、建築後に建ぺい率自体が緩和されていない限り、増築を行うのは難しいです。
3階建てへの増築
元々2階建てだったものを3階建てに増築するのは難しい場合が多いです。これは基礎部分のつくりが異なるため、3階建てを想定していない造りになっていることが多いからです。
異なる工法での増築
工法の違いは、地震時などの揺れの違いにつながり、接続部分に通常以上の負担がかかってしまいます。そのため新たな空間を別工法で増築するのは、難しい場合が多いのです。
既存不適合建築物(今の「建築基準法」に合わない建物)
既存不適合建築物とは、建物を建築した当時は建築基準法の基準に適合していたのですが、その後の法改正によって改正後の基準に適合しなくなった建物のことを言います。
具体的には昭和56年6月以前に建てられたものは現行法に適合していないため、既存不適合建築物となっています。 また、各自治体の条例によって定めているケースもあるため、事前にリフォーム会社の建築士などに確認するようにしましょう。
3.建築確認申請の不要な増築
どんな法律にも例外があるように、建築基準法でも確認申請が不要なケースがあります。その場合は2つの条件を同時に満たす必要があります。
1つ目は10㎡以下の増築であること、そして2つ目は建物所在地が防火地域、準防火地域以外、つまり無指定地域にあることです。この2つの条件を満たす場合には確認申告が不要となります。
ちなみに防火指定というのは、都市計画法に基づいて各地方自治体が独自に定めているエリアのことです。火災に強い街づくりを目的とした制度ですので、密集地や繁華街ほど厳しい指定になっています。そのため東京都心部では多くの住宅エリアが防火地域に指定されています。
4.建築確認申請は自分でできるのか?
増築時の確認申請を自分でやりたいと思われる方もいらっしゃるかもしれません。専門的な知識をかなり必要とするので、一般的には建築士にお願いするのが普通です。ご自身でやりたい場合は以下の条件を満たしているかどうかをご確認ください。
- 住宅の検査済証がある
- 住宅が木造で100㎡以下である
- 自分で構造計算ができる
ちなみに構造計算には専門の計算ソフトを利用するのが一般的で、最終的に提出する構造計算書は数十頁から多い場合は数千頁に及ぶことがあります。
5.建築確認申請の費用
一般的な住宅であれば、行政や建物の広さによっても費用は異なりますが10,000円~19,000円程度が多いようです。また確認申請には中間検査申請や完了検査申請にも費用が掛かります。以下の表は東京都都市整備局が出している手数料です。住宅の階数や広さ、申請先によって費用は異なってきますので、その点はご注意ください。
リフォーム会社や建築士に申請をお願いする場合は、15万~25万が相場になります。単に申請だけをお願いするということは基本的にはできないので、リフォームの見積もりの中に含まれている場合もありますし、申請代行費のように表示されている場合もあります。
6.増築と建築確認申請の手順
ここでは増築や確認申請に関する手順をご説明いたします。先に述べたように、専門的知識をお持ちでない場合は建築士に確認申請をお願いするのが一般的なので、建築士と一緒にどのように進めるのが良いかという観点でご説明いたします。
①リフォーム会社&建築士を探す
最終的な目的は増築になると思いますので、増築のできるリフォーム会社を探します。選ぶポイントとしては、社内に建築士が居る、増築や改築のリフォーム実績が豊富であることなどを重視してリフォーム会社を選ぶようにしましょう。
リフォーム会社の選び方をより詳しく知りたい方は下記の記事をご参照ください。 増築実績の豊富な会社を見つけたら、実際に2社~3社に増築のプランと見積もりを提出してもらってください。費用とプランをじっくり比較して1社と契約することからスタートします。


②詳細プラン&確認申請書類作成
契約した会社と約1ヶ月から2ヶ月をかけ細かいプランを詰めていきます。ここでしっかりと出来るだけ具体的な要望を伝え、納得いくプランを作ってもらうことが非常に大切になってきます。リフォーム会社の建築士がプランと合わせて役所に提出する確認申請書の書類の作成も行います。
③確認申請書提出
役所に確認申請書を提出し、審査をしてもらう期間となります。役所にもよりますが1週間~2週間程度で審査結果が戻ってきます。
④増築開始
確認申請の許可が下りたらようやく増築作業がスタートです。リフォームの最中にも役所が審査に来る場合もあります。
⑤完了検査
リフォーム終了後に住まいに法的な問題がないことを証明するのが完了検査です。確認審査時に出された書類の通りにリフォームが行われたかなど検査します。
ここまでが一連の流れになります。役所とのやり取りは基本的にリフォーム会社の建築士が担当しますので、お互いの相性の良さなどもリフォーム会社選びの大切なポイントです。
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