
せっかくキッチンをリフォームするのであれば、おしゃれで快適な自分だけの空間を作りたい!
そんな方に人気なのが、自分の好みに応じて完全オーダーメイドできる「造作キッチン」です。
とはいえ、「システムキッチン」のような、一般的に普及している商品を取り入れた方がコストパフォーマンスは良いのかも、自分の好みだけで造作キッチンを作って失敗したらどうしよう…。と心配になる方も多いでしょう。
今回は造作キッチンの特徴やメリット・デメリットを中心に、システムキッチンとの違いや、リフォーム時の注意点について解説します。
おしゃれなキッチンを作りたい方のために、実際の施工事例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.造作キッチンとは?
造作キッチンは、家のキッチンスペースの広さや使用する人の好みに合わせ、サイズ・素材・機能・デザインをオーダーメイドで作り上げるキッチンです。
1-1.システムキッチンとの違い
システムキッチンは、住宅設備メーカーが販売しているキッチン製品そのもののことで、その中でも一枚板の天板に、シンク・コンロ・収納・作業台が一体になっているものを指します。
メーカーが用意するカタログの中から、サイズ・形・色・素材・設備・器具・オプションを選び、好みに応じてカスタマイズするタイプのキッチンです。
一方造作キッチンには、決められたデザインや仕様というものがありません。使用する素材、サイズ、配置に至るまで一から設計し、オーダーメイドで作り上げていきます。


1-2.オーダーメイドキッチンとの違い
カスタマイズ可能なキッチンは、オーダーメイドキッチン(オーダーキッチン)と呼ばれることもあります。
造作キッチンとオーダーメイドキッチンに明確な違いはなく、キッチンメーカーや施工会社が使う表現の違いと考えていいでしょう。
オーダーメイドキッチンを専門に扱うメーカーもあり、好みのデザインのメーカーを探してみるのもいいかもしれません。


2.造作キッチンのメリット
リフォーム時に造作キッチンを選択することで、大きく分けて以下4つのメリットを得られます。
- 自分で自由に設計できる
- 一体感のあるダイニングキッチンになる
- 自分の体格や動作に合わせたキッチンとなる
- キッチンスペースの広さにぴったり合うキッチンにできる
2-1.自分で自由に設計できる
造作キッチンの最大の魅力は、そのカスタマイズ性にあります。システムキッチンは、量産商品のため、規格サイズがあり、気に入った商品があってもサイズがピッタリ合わなかったり、違うメーカーのパーツを組み合わせることができません。
一方造作キッチンは、個々の生活スタイル、作業動線、空間の利用方法に合わせてキッチンを設計できるため、調理の効率が大きく向上します。
1番使いやすい場所にシンクやコンロ、カトラリーや調味料の収納棚をつくったり、食洗器を組み込んだりすることも可能です。デザインについても、スタイリッシュにしたい、モダンにしたい、特定の色を使いたいなど、市販品では難しいニーズにも対応できます。
このように自分の理想とするキッチンを現実のものにできるのは、造作キッチンならではの利点です。
2-2.一体感のあるダイニングキッチンになる
造作キッチンは、リビングやダイニングエリアとの一体感を出したい場合にも適しています。
システムキッチンでは天板やシンクの素材が限られていたり、扉の色は用意されたものから選ぶしかなかったりすることが多く、リビングやダイニングのインテリアデザインと調和しにくいケースも少なくありません。
その点造作キッチンであれば、家全体のインテリアデザインに合った素材や色、家具や他の室内装飾と完全に合わせることが可能です。
一体感のあるデザインは、空間をより広く開放的に感じさせる効果もあるため、ゆとりのある生活空間を作りたい場合にもぴったりです。
2-3.自分の体格や動作に合わせたキッチンとなる
使う人の身長や動作の癖、調理スタイルに合わせてカウンターの高さや設備の配置を調整できるというのも、造作キッチンを選ぶメリットの1つ。
システムキッチンやオーダーメイドキッチンでも、台の高さや幅、シンクの位置などをある程度選べますが、選択肢に限りがあるのが実情です。
造作キッチンの場合は、キッチンのサイズを細かく指定でき、収納の数・大きさ・場所も自由に決められます。自分に合ったキッチンは、長時間作業しても疲れにくいだけでなく、調理時間の短縮にもつながります。
2-4.キッチンスペースの広さにぴったり合うキッチンにできる
ご自宅のキッチンが狭く、システムキッチンでは選べる商品が限られる場合や、気に入ったシステムキッチンがあってもご自宅にピッタリ入るサイズがない場合に、造作キッチンであればピッタリサイズのキッチンを作ることができるのもメリットです。
3.造作キッチンのデメリット・注意点
造作キッチンは、カスタマイズ性とデザインの自由度から人気の反面、設置するデメリットや注意点も存在します。
- 価格が高くなりやすい
- 事前に完成形を確認できない
- リフォームを依頼してから完成までに時間がかかる
- 造作キッチンを扱う会社は限られる
3-1.価格が高くなりやすい
造作キッチンの最も顕著なデメリットは、価格が高くなりやすい点です。カスタムデザインの自由度が高い反面、すべてが一点ものになることから、大量生産された既製品と比較すると高価になる傾向にあります。
憧れのデザインや素材、設備をふんだんに盛り込んでしまうと、当初考えていた予算を大幅にオーバーしてしまうことも。高級システムキッチンよりも高くついてしまうケースも少なくないため、注意しなければいけません。
予算内で思い通りのキッチンをつくるためには、あらかじめ予算計画をしっかりと立てておくこと、そして必要な機能とデザインの優先順位決めておくことが大切です。
3-2.事前に完成形を確認できない
完全オリジナルで作り上げる造作キッチンは、事前に完成形を確認できない点もデメリットとなり得ます。
既製品のキッチンの場合、ショールームで実際の製品を見て触ることができます。それに対して造作キッチンは、完成するまで実際の仕上がりを見られないため、いざ完成したときに「イメージしていたのと違う」ということも考えられます。
希望するキッチンのイメージとの乖離を防ぐためには、事前の打ち合わせをしっかり行うことが大切です。
通常、打ち合わせでは納得のいくまで提案してもらい、確認することができますので、どのようなキッチンにしたいか、どのように使いたいかなど、具体的なイメージを伝えるようにすると良いでしょう。
3-3.リフォームを依頼してから完成までに時間がかかる
造作キッチンは、注文を受けてから製作発注するため、既製品と比べて製作に時間がかかります。設置に取り掛かるまで1か月近くかかることもあります。
また、どんなキッチンにするかの打ち合わせの時間も通常より長くなることが多いため、リフォームを依頼してから完成までの時間がかかります。
完成希望時期がある場合は、いつまでに完成できるかを事前に確認しましょう。
なお、施工(設置)にかかる期間は、1日~2日で済むことが多く、これはシステムキッチンと差はありません。
3-4.造作キッチンを扱う会社は限られる
すべてのリフォーム会社や工務店が、造作キッチンを扱っているとは限りません。造作キッチンを扱わない会社に依頼すると、対応できない、もしくはオーダーキッチンメーカーへ別注することになり、打ち合わせ窓口がメーカーと施工会社の二重になってしまう場合があります。
造作キッチンにしたい場合、もしくは検討している場合は、造作キッチンを扱うリフォーム会社や工務店に依頼しましょう。
4.造作キッチンを検討したいケース
メリットとデメリットの両方を踏まえて、造作キッチンに向いているのはこのようなケースです。
- デザインの好みがはっきりしていて、こんな設備を使いたいという要望がある
- カタログやショールームからでは希望のキッチンが見つからない
- 海外製の食洗器や水栓などを取り入れたい
- キッチンスペースにピッタリ入るキッチンが見つからない
なんでも自由にカスタマイズできる造作キッチンは、「天板はこんな色にしたい」「食洗器はここに置きたい」「作業台の高さはこれくらいがいい」など、心に決めたデザインがある場合に適しています。
市販のキッチンでは、上記のような細かな要望すべてを満たすことは難しく、自分だけのオリジナリティあふれるキッチンをつくることは容易ではないためです。
食洗器など機器類を海外製のものにしたい場合も、造作キッチンを検討しましょう。国内メーカーのシステムキッチンは、海外製の食洗器を導入できることもありますが、一般的には国産の機器類を標準仕様にしています。
また、「キッチンスペースが狭い」、「特殊な形でピッタリ入るシステムキッチンが見つからない」、「ピッタリ収まらず壁との間に余白ができてしまうのが気になる」場合にも、造作キッチンを検討できます。
>>理想的なキッチンの寸法とは?
>>使いやすいキッチンの高さとは?
>>使いやすいキッチンのレイアウトとは?
5.造作キッチンのリフォーム事例
造作キッチンでリフォームした事例を2つご紹介します。
大容量食洗機が入った造作キッチンにリフォーム
※横にスクロールできます


壁のタイルは残しつつ、造作キッチンで自分好みのキッチンに仕上げた事例です。
シンク下はゴミ箱を置けるようにフリースペースにしています。大容量の洗浄が可能な60㎝幅の海外製食洗機が入っています。
価格 | 178万円(カウンター枠開口工事は含まず) |
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工期 | 1日間 |
狭い空間にピッタリ入るよう造作キッチンにリフォーム
※横にスクロールできます


キッチンスペースの寸法にちょうど合うメーカー品のシステムキッチンが少なかったため、オーダーメイドの造作キッチンにした事例です。
背面の壁付収納はメーカー品を取り入れてコストを抑えています。
価格 | 203万円(壁開口工事の費用含まない) |
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工期 | 2日間 |
(施工写真・情報提供:フアラホーム)
(参考)「システムキッチン+造作」という選択肢も
ここまでの説明を読んで、キッチン全体を造作にするのは、プランを立てる労力や費用面で難しいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
造作の雰囲気がつくるおしゃれなキッチンを目指す場合は、メインのキッチンはシステムキッチンにして、造作収納や腰壁(壁のうち、床上から腰の高さまでに施す装飾)を取り付けるということもできます。
「システムキッチン+造作」のリフォーム事例
キッチン全体を造作にしなくても、このようなおしゃれで個性豊かなキッチンをつくることも可能です。希望するデザインや使い勝手、予算に合わせて、自分に合った方法を見つけてみましょう。
■開放的ながら、手元を隠せるカウンターキッチン
システムキッチンの前に造作壁を設置することで、手元を隠しながら配膳もしやすいカウンターキッチンを実現しています。
出典:https://www.reform-guide.jp/topics/case/18nenkodate-zenmen-pet/
■白い室内に合わせた大型パントリーを増設
キッチンの背面に、大型のパントリーを増設。壁やキッチンの配色に合わせた造作で、統一感を出しています。
出典:https://www.aigisetsubi.com/works/works-013/
■収納付きの腰壁と壁面のニッチを造作
腰壁収納のあるシステムキッチンを取り入れるのに予算が足りなかったことから、予算に合うシステムキッチン+手元に収納のある腰壁を造作して希望を実現しました。合わせて壁面にも小さなスパイスニッチをつけて、使い勝手がさらに向上しています。
出典:https://www.aigisetsubi.com/works/works-011/
■システムキッチンに合わせた、おしゃれな造作棚
導入したシステムキッチンの面材に合わせた色合いのオープン棚を造作。統一感のあるキッチンになりました。
出典:https://www.ishome.ltd/mizu/reform/?key=254
■デッドスペースを活用する造作棚
キッチンとパイプスペースの間のデッドスペースに、背の高いワイングラスを収納できるような収納を造作しています。
出典:https://freshhouse.co.jp/case/32005/
カスタマイズ性の高いシステムキッチンもある
システムキッチンのなかにも、カスタマイズ性が高いものもあります。造作キッチンはコスト面でハードルが高いけれど、自分好みのキッチンに近づけたいという方は、カスタマイズ性の高いシステムキッチンを選ぶのがおすすめです。
キッチンリフォームが得意なリフォーム会社担当者から、カスタマイズ性をおすすめされているのがLIXIL社の「シエラ」です。

充実した機能を持ちながらリーズナブルである点が、シエラのおすすめポイントです。
シルクエンボスのステンレストップや食洗機、内引き出しが付いたトレーボード収納など、低価格でありながらキッチンに求めるお手入れのしやすさ・使い勝手の良さなどが充実しています。
多種多様なオプションを自分好みにカスタマイズすれば、費用を抑えて自分にぴったりの「無駄のないキッチン」を実現できると思います。
リーズナブルに自分に合ったキッチンを実現する選択肢として、LIXILシエラを軸に検討してみてはいかがでしょうか。
その他にも、各商品の特徴をプロの目線で解説していますので、ぜひこちらの記事を参考にしてください。


6.造作キッチンで後悔しないためには、実績のある会社に依頼しよう
造作キッチンはデザイン性・機能性のどちらにおいても自由度が高く、自分好みのおしゃれで使い勝手のいいキッチンにできることが大きな魅力です。
しかし一方で、こだわりすぎて予算オーバーしてしまったり、何を優先すべきかわからずプランがなかなか決まらなかったりすることも少なくありません。さらに工事後の仕上がりや耐久性は職人の腕にかかっていると言っても過言ではないため、いかに信頼のできるリフォーム会社に依頼するかが重要なカギを握ります。
造作工事の実績があるリフォーム会社を手軽に探したい方は、それぞれのリフォーム会社の特徴をよく知るリフォームガイドにぜひご相談ください。