外壁にコーキングが必要な理由や補修時期、費用、寿命を解説

コーキングとは、外壁のひび割れを補修したりサイディングの目地を埋めたりするゴム状の素材です。シーリングとも呼ばれ、外壁工事では欠かせない素材となっています。
この記事では、外壁工事でコーキングが必要な理由や、補修時期の見分けかたを紹介します。コーキングの補修を甘く見ていると雨漏りを引き起こします。手抜き工事を防止するためにもコーキングに関する知識を蓄えておきましょう。
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目次
1.外壁にコーキングが必要な理由を知ろう
外壁でコーキングが必要な理由は「下地の劣化を早めないため」と「雨漏りなどを防ぐため」です。特にサイディングの外壁工事では目地に隙間が生まれてしまいます。放置すれば雨水が内部に侵入してしまうでしょう。
目地などをコーキングで埋めないと、隙間は劣化しやすくなります。劣化は隙間から他の部位に広がり、外壁の寿命を短くしてしまうでしょう。コーキングは主にサイディングボードの目地や、窓のサッシ周辺、換気口周辺といった隙間を埋めるために利用します。他にも、モルタル外壁の小さなひび割れを補修するためにも使われています。
2.外壁のコーキングを補修する時期の見分けかたを解説
コーキングの補修時期の目安は5年〜10年です。ただし、年数を基準とするよりも劣化状況に応じて補修を行ったほうが無駄なく工事ができるでしょう。劣化状況には以下のような例があります。
- 外壁のコーキングがひび割れている
- 外壁とコーキングのあいだに隙間ができている
- コーキングの割れ目から下地が見えている
- コーキングが完全に剥がれ落ちている
- コーキング部分の塗装が黒くにじんでいる「ブリード現象」
上記の現象が確認できた場合はコーキングの補修が必要です。コーキングの専門業者に依頼して工事を行いましょう。
2-1.外壁のコーキングがひび割れている
外壁の隙間を埋めているコーキングは劣化するとひび割れを起こします。表面だけの浅いひび割れのほか、指が入るほどの大きな亀裂が生まれることもあります。コーキングに亀裂が生まれている場合、雨水が内部に侵入するおそれがあります。
また、コーキング内部から侵食が進むため、劣化が早まります。コーキングのひび割れを見つけたら補修の目安と考えましょう。
2-2.外壁とコーキングのあいだに隙間ができている
コーキングは外壁と密着することで効果を発揮します。しかし、劣化が進むとコーキングは外壁から剥がれやすくなります。全体的にはまだ密着していたとしても、部分的に隙間ができている場合は要注意です。隙間ができている部位から雨水が侵入するでしょう。
コーキングに隙間ができている場合、まだ剥がれていない他の部位も剥がれやすくなっています。放置すればボロボロと剥がれてくるため補修が必要です。
2-3.コーキングの割れ目から下地が見えている
コーキングのひび割れが悪化すると大きな亀裂が生まれ、外壁の下地が見えてしまう危険性があります。厳密にいえば、見えるのは下地ではなくコーキングの補助材ですが、隙間を保護する役割が失われていることに変わりはありません。劣化してコーキングの割れ目から別の素材が見えた場合は寿命を超えています。すぐに補修を行ってください。
2-4.コーキングが完全に剥がれ落ちている
コーキング全体が細長い固形物として外壁から剥がれ落ちている場合は危険な状態です。すぐに補修を行わなければ雨漏りの危険性を高めてしまいます。
コーキングが剥がれ落ちるほど劣化が進んでいる場合、他の外壁部分もボロボロになっている可能性が高いです。劣化が激しい場合は、コーキングの補修だけではなくサイディングの張り替えや外壁塗装を必要とします。
2-5.コーキング部が黒くにじんでいる「ブリード現象」
外壁の劣化というよりも業者の施工不良で起こる症状が「ブリード現象」です。コーキングで補修した部位に外壁塗装をした後に黒くにじむ症状です。ブリード現象は見栄えが悪くなるものの、致命的な問題は引き起こしません。補修がすぐに必要というわけではありませんが、外壁の見栄えを気にする場合は対処するとよいでしょう。
ブリード現象は、コーキングの成分が塗装を変色させるために起こります。「ノンブリードタイプ」というコーキング素材を使えば変色させずに塗装が可能です。
3.外壁に使うコーキングの種類
外壁で利用するコーキングには以下のような種類があります。
- 1液型と2液型
- カートリッジ式と丸缶
「1液型」と「2液型」というのは、コーキングの配合方法の違いです。「カートリッジ式」と「丸缶」は、容器の違いです。工事をする際は「2液型」の「丸缶」タイプがオススメです。
また、「カートリッジ式」を使う業者は専門家ではないため依頼しないようにしましょう。1液型と2液型の特徴は以下のようになります。
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メリット |
デメリット |
1液型 |
2液型より作業の手間がかからない |
2液型より内部が乾燥しにくい |
2液型 |
1液型より内部の乾燥が早い |
1液型より作業の難易度が高い |
他にも、カートリッジ式と丸缶の特徴もチェックしましょう。
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メリット |
デメリット |
カートリッジ式
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丸缶より手軽に作業ができる |
広範囲の工事では丸缶より費用が高い
|
丸缶 |
広範囲の工事ではカートリッジ式より費用が安い |
カートリッジ式より作業の手間がかかる |
3-1.1液型と2液型
1液型とは、1種類の材料のみで利用できるコーキングです。2液型は、主剤と副材という2種類を混ぜ合わせることで性能を発揮するコーキングです。
1液型のメリット・デメリット
1液型のメリットは、混ぜる作業がないため短時間で作業ができます。1液型のデメリットは、乾燥が遅いことです。表面から乾燥していくため内部が完全に乾くまでに1週間はかかるでしょう。
2液型のメリット・デメリット
2液型のメリットは、内部の乾燥が早いことです。硬化剤を混ぜ合わせるため、化学反応によって内部から乾燥します。2液型のデメリットは作業難易度が高く、施工できない業者がいることです。コーキングの専門業者なら問題ありませんが、外壁塗装業者といった専門外の職人が工事をする場合は2液型を扱えないことが多いです。
外壁塗装業者は塗装専門のため、コーキングに対して専門的な知識や技術はありません。
1液型・2液型どちらが良いか
1液型と2液型の使い分けについては、補修部位が1箇所や2箇所だけなら1液型、多くの場所を直す場合は2液型が向いているでしょう。
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メリット |
デメリット |
1液型 |
作業性に優れる |
乾燥が遅い |
2液型 |
乾燥が早い |
作業難易度が高い |
3-2.カートリッジ式と丸缶の違い
カートリッジ式と丸缶は容器の違いです。カートリッジ式とは、ホームセンターで目にする細長い筒状の容器を指します。カートリッジは「ガン」と呼ばれる器具に装着して使います。容量は350cc程度の少量です。なお、カートリッジ式は原則として1液型しかありません。丸缶は6リットル程度の容量を持つ円柱状の缶容器です。
コーキングの専門家はカートリッジではなく丸缶を使います。丸缶は多くが2液型です。
カートリッジ式のメリット
カートリッジ式のメリットは、作業が簡単であることです。少量のため持ち運びがしやすく、カートリッジをガンに装着してすぐに使えるため作業性が高いです。
丸缶のメリット
丸缶のメリットは、コストパフォーマンスに優れている点です。丸缶は大量のコーキングをまとめて購入するため単価が安いという特徴があります。また、性能が高い2液型を利用できるのも丸缶のメリットでしょう。
ただし、2液型を混ぜる際は専用の機械が必要なため、コーキングの専門業者以外では丸缶を使うことは難しいでしょう。
カートリッジ式・丸缶どちらが良いか
カートリッジ式と丸缶の使い分けについては、1箇所や2箇所の補修の場合はカートリッジ式、広範囲の工事をする場合や高性能な2液型を使いたい場合は丸缶が適しているでしょう。
依頼主側にはデメリットがないため基本的には丸缶を使ってもらいましょう。
4.外壁のコーキング補修にかかる費用の目安は?
サイディング外壁のコーキング補修をする場合にかかる費用の目安は30〜50万円です。目地が無いモルタル外壁で一部を補修するだけなら、10万円程度で工事をすることも可能でしょう。コーキングは1m単価で計算されるケースと、「一式」とまとめられる場合の2つがあります。
他にも足場費用がかかりますし、打ち替えの場合は既存コーキングの撤去費用もかかるでしょう。
コーキング補修にかかる費用の主な内訳は以下のようになります。
- 材料費 5〜20万円
- 足場費用 10〜20万円
- 既存コーキング撤去 3〜5万円
- 諸経費など 3〜10万円
ただし、上記は目安でしかありません。住宅の構造や補修状況によっては価格が変動します。
5.外壁のコーキングを補修する際の注意点
外壁のコーキングを補修する際、注意しなくてはいけない3つの要素があります。知っておくだけで費用を安くできるため依頼前にチェックしておきましょう。
5-1.DIYでコーキング補修は危険
費用を安くするためにコーキングをDIYで行おうと考える人がいます。しかし、コーキング工事をDIYで行うと失敗するでしょう。コーキングは国家資格があるほど専門性が高い技術です。
素人が行ったとしても高確率で失敗するため、最終的には業者に依頼し直すことになってDIYをした費用が無駄になるでしょう。
5-2.必ずコーキング専門業者に依頼する
コーキングには専門業者が存在します。コーキング業者は外壁塗装業者とは別物です。間違えて外壁塗装業者に依頼しないように気をつけましょう。
業者を選別する際には「シーリング専門業者かどうか」 を必ず確認してから依頼してください。探しかたとしては、インターネットや電話帳からシーリング専門業者や防水専門業者を探すとよいでしょう。
5-3.相見積もりを取得する
1社だけから見積もりを取得すると高額な請求をされても気づけません。そのため複数の会社 から見積もりを取得する「相見積もり」を行ってください。業者の数は多すぎると対応が大変なため、3社程度が望ましいでしょう。
1社だけ飛び抜けて安い場合は、手抜き工事をされる可能性があります。高い場合には必要ない作業を入れ価格を釣り上げています。それらは3社以上で比較することで明らかになるでしょう。工事内容がおかしい会社や、ボッタクリ価格で請求してきた業者は相見積もりで見抜きやすくなります。
工事内容がおかしい会社とは、シーリングの工事数量が「一式」となっている業者や、そもそも作業内容を1つや2つにまとめてしまっている場合です。シーリング工事は、足場、養生、シーリング、諸経費といったように作業を細かく分けられます。優良業者であれば具体的に見積書を書いてくれるでしょう。
相見積もりで3社程度を比較をすれば1社だけ費用が高すぎたり低すぎたりするケースがあります。こういった場合、価格が離れている1社は悪徳業者の危険性があるため避けたほうがよいでしょう。相見積もりは、費用を安くするために欠かせない手法です。
6.まとめ
サイディング外壁の全体的なコーキング補修でかかる費用の目安は30〜50万円程度です。モルタル外壁の場合はひび割れの補修といった小規模な工事になることが多く、10万円程度の費用で収まる可能性があります。モルタル外壁におけるコーキングの活用方法については「外壁のひび割れ補修にかかる費用やDIYできるかをチェック」で紹介しています。
ひび割れが大きい場合はコーキングだけでは対処ができないため、上記の記事を確認しましょう。これらとは別に工事費がかかるかと思いますが、単価で算出されるとピンと来にくいので、工事費を含めた内訳のほうがわかりやすいかと思いました。
こうした業者はどうやって見つければ良いでしょうか?何社程度がいいでしょうか?これは何を見ればわかりますか?注目すべき項目があれば入れていただければと思います。
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