
マンションで床暖房の後付けリフォームを考えているものの「設置できるのだろうか」「どのくらいの費用がかかるのだろうか」と、疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。管理規約などによりますが、マンションでも床暖房を後付けできる可能性があります。
今回は、マンションに後付けリフォームできる床暖房の種類や設置費用を解説します。床暖房を設置するメリット・デメリットや設置する際のポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.マンションで後付けリフォームできる床暖房は2種類

マンションでは、おもに以下2種類の床暖房の後付けリフォームが可能です。
- 電気式床暖房
- 温水式床暖房
ただし、マンションによっては、管理規約で床暖房が禁止されていたりリフォーム内容が制限されていたりする可能性があるため注意が必要です。それでは、2種類の床暖房の概要を見ていきましょう。
1-1.電気式床暖房:マンションでの後付けリフォームに使いやすい
電気式床暖房は配管工事が不要で、マンションの後付けリフォームに採用しやすい方式の床暖房です。代表的な電気式床暖房2種類を、以下の表にまとめました。
| 電気式床暖房の種類 | 特徴 | 
|---|---|
| 電熱線ヒーター式 | 
 | 
| PTCヒーター式 | 
 | 
電気式床暖房は配管工事が不要で、施工がシンプルです。そのため、温水式床暖房と比較して短期間で設置できます。メンテナンスがほとんど不要で、故障時の部分交換がしやすいことも特徴です。
一方で、電気代が高くなるので広範囲や長時間の利用には向いていません。ただし、オール電化のマンションや深夜電力をうまく使える場合は、光熱費を抑えやすくなります。
1-2.温水式床暖房:温度ムラがなくランニングコストが抑えられる
温水式床暖房は、床下に設置した配管に電気やガスで温めた水を循環させる方式の床暖房です。おもに、以下の3種類があります。
| 温水式床暖房の種類 | 特徴 | 
|---|---|
| ガス温水式 | 
 | 
| ヒートポンプ式 | 
 | 
| ハイブリッド式 | 
 | 
温水式床暖房は、床をじんわりと暖めてくれます。電気式床暖房と比較して部屋の温度ムラが少なく、全体を暖められるので快適です。また、電気式床暖房よりもランニングコストを抑えられるため、長時間の使用や広い範囲に設置したい方におすすめです。
ただし、熱源機(給湯器)との相性やマンションの管理規約によっては設置できない可能性もあります。また、配管が必要で設置費用も高くなりがちです。
(参考)電気式と温水式の1ヶ月の光熱費
電気式と温水式の床暖房はそれぞれどのくらいの光熱費がかかるのかを、以下の表で比較しました。
| 床暖房の種類 | 1ヶ月あたりの光熱費の目安 | 
|---|---|
| 電気式床暖房 | 8,400円 ※1 | 
| 温水式床暖房 | 4,500円 ※2 | 
※1 Panasonic「フリーほっと」で床温約30℃に設定した場合
※2 Panasonic「フリーほっと温すいW」で床温約30℃に設定した場合
※10畳間での費用
2つを比較すると、温水式床暖房のほうが1ヶ月あたりの光熱費を抑えられます。
なお、同じ方式でもメーカーや製品によって光熱費は異なるため、あくまでも目安として捉えておきましょう。
2.マンションで床暖房を後付けリフォームする場合の費用・工期
床暖房の後付けリフォームには、おもに直張り(重ね張り)工法と張り替え工法の2つがあり、それぞれ費用が異なります。
<補足>
直張り(重ね張り)工法は、既存の床の上に床暖房を設置する方法です。床を剥がさずに施工できるため、工期が短く費用を抑えやすくなります。
張り替え工法は、既存の床材を剥がしてから床暖房を設置する方法です。段差ができずフラットに仕上がりますが、工期が長く費用が高くなりやすい傾向があります。
床暖房を設置する際の費用や工期を、床暖房の種類や施工方法別に表にまとめました。
| 床暖房の種類 | 施工方法 | 費用相場 (1畳あたり) | 工期の目安 | 
|---|---|---|---|
| 電気式 | 直張り(重ね張り) | 5~7万円 | 1~2日 | 
| 直張り(重ね張り) | 5~7万円 | 1~2日 | |
| 温水式 | 直張り(重ね張り) | 6~8万円 +熱源機 | 1~2日 | 
| 直張り(重ね張り) | 8~12万円 +熱源機 | 1~2日 | 
温水式床暖房は、別途で熱源機が必要になる場合があります。熱源機の費用は幅広く、25~100万円程度です。電気式と比較して大幅に高くなる可能性があるため、注意しましょう。
直張り(重ね張り)工法の工期は1~2日、張り替え工法の工期は3~4日が一般的です。設置するまでの計画などを考慮すると、思い立ってから施工完了まで2ヶ月程度を想定しておいたほうがよいかもしれません。
工事中はその部屋が使用できなくなるため、生活への影響を考慮した計画も忘れずおこないましょう。とくに張り替え工法は工期が長くなるため、別の部屋で生活できるようにしておく必要があります。また、マンションの管理規約で工事時間が制限されている場合、工期が長引く可能性があるので注意してください。
3.床暖房を設置するメリット・デメリット
ここからは、床暖房を設置するメリットとデメリットを解説します。床暖房の設置費用はけっして安くはないため、自宅に適しているのかを把握しておきましょう。
3-1.メリット:安全性が高くスペースを取らない暖房
床暖房を後付けして他の暖房から切り替えるおもなメリットは、以下のとおりです。
- 空気が乾燥せず快適性が高い
- やけどの危険性が低い
- スペースを取らない
- 掃除の手間がかからない
- メンテナンス頻度が少ない
床暖房は床から直接伝わる熱(伝導熱)と、床から部屋全体に広がる熱(ふく射熱)によって足元から体全体を暖めます。エアコンのように風が発生せず空気が乾燥しないため、快適に過ごせることが最大のメリットです。ほこりが舞いにくく、アレルギー体質の方にも適しています。
また、暖房器具の出し入れが不要で省スペースを実現でき、基本的にメンテナンスが不要で長期間使用できます。
3-2.デメリット:初期費用やランニングコストがかかる
床暖房には、以下のようなデメリットもあります。
- 初期費用が高い
- 光熱費が高い
- 暖まるまで時間がかかる
- 床材が限られる
6畳だと設置費用が30~100万円程度と、設置費用が高いことがデメリットです。とくに温水式床暖房は、熱源機の費用に大きく左右されます。電気代やガス代などの光熱費も高く、広い部屋で長時間使用する場合は月々のランニングコストがかさみます。
また、床暖房は暖まるまで30分~1時間程度かかります。早く暖めたい場合は、立ち上げの際にエアコンを併用するなどの工夫が必要です。
4.マンションで床暖房を後付けリフォームする際のポイント
マンションで床暖房を後付けリフォームする際のポイントは、以下の5つです。
- マンションの管理規約を確認する
- 電気容量が足りているか確認する
- 設置場所を明確にする
- 床暖房の設置面積を床面積の60%~70%にする
- 既存の給湯器が床暖房に対応しているか確認する

4-1.マンションの管理規約を確認する
床暖房を設置したい場合、まずはマンションの管理規約を確認しましょう。マンションには多くの世帯が暮らしているため床の遮音性能の規約が厳しく、床暖房の設置が制限されていることもあります。また、温水式床暖房は配管の際に共有部分の工事が必要な場合があり、とくに制限されやすい傾向があります。
工事時間や施工業者の出入りに細かなルールが設けられているケースもあるので、床暖房を検討しはじめたときに管理規約をチェックしておきましょう。
不明点がある場合はマンションの管理会社や理事会に相談し、書面で承認を得てから工事を進めると安心です。
4-2.電気容量が足りているか確認する
電気式床暖房を検討している場合は、電気容量が足りているか確認しておきましょう。電気式床暖房は消費電力が大きく、容量が不足していると設置できないためです。電気容量が不足している場合は、容量をアップしなければなりません。
ただし、管理規約により電気容量が制限されている場合は、電気式床暖房を設置できないこともあるため注意してください。設置前に施工業者や電気工事業者に調査してもらい、必要に応じて電力の契約変更や追加工事をおこないましょう。
4-3.設置場所を精査する
床暖房を後付けリフォームする際は、設置場所を明確にしておきましょう。あまり考えずに設置すると暖めたい部分が温まらず、非効率になる可能性があります。
リビングやダイニングなど、使用頻度の高い場所を優先してください。ただし、家具やラグで覆われる部分は熱効率が悪くなるため、避けたほうがよいでしょう。間取りだけでなく、家具などの配置も考慮し、設置場所を細かく決めておくことがポイントです。
4-4.床暖房の設置面積を床面積の60~70%にする
床暖房の設置面積は、その部屋の床面積の60~70%をカバーできれば十分な温かさを得られます。コストを抑えたい場合や間取りによる制限があったとしても、 50%以上は確保しましょう。
施工範囲を広げすぎると、工事費用や光熱費が増えてしまいます。一方で、狭すぎると部屋に温度ムラが発生して快適性を損ないます。使用頻度やライフスタイルに合わせて、60~70%のなかで最適な面積を決めることが重要です。
4-5.既存の給湯器が床暖房に対応しているか確認する
温水式床暖房を選ぶ場合は、既存の熱源機(給湯器など)が床暖房に対応しているかを確認しましょう。対応していない場合は熱源機の交換が必要で、25~100万円程度の追加費用が発生します。なお、マンションでは熱源機の設置場所に制約があるケースが多いため、事前に管理規約や管理会社へ熱源機の設置可否も確認しておきましょう。
5.マンションの床暖房リフォームの費用を抑える方法
マンションの床暖房リフォームの費用を抑える方法には、以下のようなものがあります。
- 補助金制度を活用する
- 複数のリフォーム会社に見積もりを依頼する
5-1.補助金制度を活用する
床暖房の後付けリフォームの際にほかの工事を絡めることで、補助金制度を活用できる可能性があります。活用できる可能性のある国の補助金制度を、以下の表にまとめました。
| 制度名 | 補助金額(上限) | 申請期間 | おもな対象工事 | 
|---|---|---|---|
| 子育てグリーン 住宅支援事業 | 最大60万円/戸 | 2025年3月31日~2025年12月31日 ※予算上限に達し次第終了 | ・断熱改修 ・エコ住宅設備設置 など | 
| 先進的窓リノベ 2025事業 | 最大200万円/戸 | 2025年3月31日~2025年12月31日 ※予算上限に達し次第終了 | ・窓やガラス交換 ・内窓設置 など | 
| 給湯省エネ2025事業 | 6万円~/台 (共同住宅は1台まで) | 2025年3月31日~2025年12月31日 ※予算上限に達し次第終了 | 高効率給湯器の設置 | 
| 既存住宅における 断熱リフォーム支援事業 | 最大15万円/戸 (集合住宅の場合) | 2025年9月2日~2025年12月12日 ※予算上限に達し次第終了 | 高性能建材を用いた 断熱リフォームなど (窓、床、壁、ドアなど) | 
| 長期優良住宅化 リフォーム推進事業 | 評価基準型:80万円/戸 | Ⅰ期:2025年6月27日~2025年9月30日 Ⅱ期:Ⅰ期終了後~2025年12月22日 | 性能向上リフォーム (省エネ、耐久性、断熱改修、劣化対策) など | 
国だけでなく、各自治体の補助金制度を活用できる場合もあります。一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」で検索してみてください。検索エンジンに「自治体名 床暖房 補助金」などを入力しても検索できます。
床暖房だけでなく、断熱リフォームや高効率給湯器の設置を検討している場合は、補助金制度を活用しましょう。部屋の断熱性能を高めると床暖房の効率がよくなるため、とくに断熱リフォームがおすすめです。


5-2.複数のリフォーム会社に見積もりを依頼する
床暖房を設置する際は、複数のリフォーム会社に見積もりを依頼しましょう。比較することで床暖房リフォームの適正価格を理解でき、結果的に費用を抑えられる可能性が高まります。総額だけでなく内訳も確認しておくと、適正価格を把握しやすくなります。
また、リフォーム会社の施工実績や口コミを確認し、保証内容やアフターサービスの充実度も確認しておきましょう。床暖房は、故障した際の修理やメンテナンスに手間がかかるためです。
自分で一つ一つの会社の情報を確認するのが難しい場合は、優良会社を紹介してくれる一括見積サービスを利用すると手間がかかりません。
リフォームガイドならプロのコンシェルジュが丁寧にヒアリングし、ご要望に沿ったリフォーム会社を複数紹介できます。自社調査をおこなって審査基準をクリアした優良リフォーム会社のみを紹介するので、安心して利用いただけます。床暖房の設置を検討している場合は、ぜひ活用してみてください。
6.まとめ
今回は、マンションで後付けリフォームが可能な床暖房の種類や設置費用、費用を抑える方法などを紹介しました。
マンションでも管理規約や設置条件を満たせば、床暖房の後付けリフォームが可能です。電気式は工事が比較的簡単で初期費用を抑えやすい一方で、光熱費が高くなります。温水式は設置費用が高いもののランニングコストを抑えられ、広範囲・長時間の使用に適しています。
床暖房の施工方法は「直張り(重ね張り)」と「張り替え」の2種類があり、工期や費用が異なります。導入前には管理規約や電気容量、給湯器の対応可否を確認し、設置面積や場所も計画的に決めることが大切です。
なお、床暖房を設置する際は、補助金制度の活用や複数業者への見積もり依頼で費用を抑えられる可能性があります。ぜひ本記事を参考にして床暖房を設置し、快適な毎日を過ごしてください。




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