
トイレのリフォームでは、節水やバリアフリーなどの条件を満たすと国や自治体の補助金制度を利用することができます。
補助金制度を使える可能性のあるトイレリフォーム
- バリアフリーのため和式トイレを洋式トイレに交換
- バリアフリーのため使いやすい洋式トイレに交換
- バリアフリーのためトイレの面積を広げるリフォームとそれに伴う便器の交換
- 節水トイレへ変更
- くみ取り式トイレから水洗トイレへ変更
- 三世代同居の場合のトイレ増設
ここでは、トイレリフォームで使える補助金の申請条件や申請手順、業者探しのポイントをお伝えします。
補助金を活用したトイレのリフォームを考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
また、2025年度も継続が見込まれている補助金がありますので、ご紹介します。
目次
1.トイレリフォームで使える補助金は4種類!申請条件を確認しよう
トイレリフォームで使える補助金は以下の4種類です。
どのようなトイレリフォームが補助対象なのか、自分は補助対象者なのか等申請条件を確認しましょう。
[1]介護保険の住宅改修費(バリアフリー)
介護保険の住宅改修とは
正式には、「居宅介護」(または「介護予防」)住宅改修費と呼ばれ、要支援・要介護認定を受けた利用者が住み慣れた自宅で安心して生活するため、また介護する側の負担も軽減するために必要な住宅改修費の一部を支給するサービスです。
介護保険の住宅改修費 |
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対象リフォーム • バリアフリーのため和式トイレを洋式トイレに交換 • バリアフリーのため使いやすい洋式トイレに交換 |
対象者条件 • 要支援または要介護認定されている • 改修する住宅で生活している |
申請者 ケアマネージャーと本人 |
申請受付期間 随時 |
補助額 上限20万円とした対象工事費用の7~9割、最大18万円の支給 |
注意点 • 工事前に事前申請が必要。 • 基本的に一度利用したことがある場合は二度目の利用はできない。(但し「転居した場合」、「要介護区分が重くなった場合(3段階上昇時)」は再度利用できる) |
[2]地方自治体の補助金・助成金制度(バリアフリー・節水・水洗トイレ)
地方自治体の補助金・助成金
地方自治体の住宅リフォーム補助金・助成金は、主に「耐震」、「バリアフリー」、「エコ・省エネ」に関連したリフォームに対して補助額が設定されています。
地方自治体の補助金・助成金制度 |
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対象リフォーム • バリアフリーのため和式トイレを洋式トイレに交換 • バリアフリーのため使いやすい洋式トイレに交換 • バリアフリーのためトイレの面積を広げるリフォームとそれに伴う便器の交換 • 節水トイレへ変更 • くみ取り式トイレから水洗トイレへ変更 (※自治体による) |
対象者条件 自治体による |
申請者 本人(施工業者等による代行が可能な場合も) |
申請受付期間 自治体による(申請受付期間があり、予算に達し次第終了する) |
補助額 自治体による |
注意点 • 基本的に工事前の事前申請が必要 • 施工業者を限定している場合がある • 応募受付期間あり • 予算に達し次第終了する • 申請してから補助金交付決定の通知があるまで1~2ヶ月かかる場合もある |
[3]子育てグリーン住宅支援事業(節水トイレ)
子育てグリーン住宅支援事業
「子育てグリーン住宅支援事業」は、2024年の「子育てエコホーム支援事業」の後継事業として設けられた事業。
新築やリフォームなどに補助金が支給され、リフォームは必須工事として「断熱改修」や「エコ住宅設備の設置」を行った場合に補助対象となります。
子育てグリーン住宅支援事業 |
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対象リフォーム 1.エコ住宅設備の導入(節水型トイレの導入) ※エコ住宅設備の導入のほかに、窓や玄関ドアの断熱リフォームや、外壁・床などの断熱改修を行う必要があります。 |
対象者条件 • リフォームする住宅の所有者(法人を含む)や居住者 • 管理組合・管理組合法人 |
申請者 施工業者 ※「子育てグリーン住宅支援事業」へ登録済の業者に限る |
申請受付期間 2025年3月31日から予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで) |
補助額 節水型トイレ(掃除しやすい機能を有するもの)の設置:23,000円/台 節水型トイレ(上記以外)の設置:21,000円/台 その他補助対象リフォームと合わせ、上限40万円~60万円 |
注意点 • 工事の依頼先は「子育てグリーン住宅支援事業者」であること • 予算に達し次第終了する • 申請する補助額が合計5万円以上であること ※ただし、「先進的窓リノベ2025事業」「給湯省エネ2025事業」「賃貸集合省エネ2025事業」のいずれかで交付決定を受けている場合は、申請する補助額の合計が2万円以上であれば補助対象となる。 |
[4]長期優良住宅化リフォーム推進事業(三世代同居のためトイレ増設)
長期優良住宅化リフォーム推進事業とは
長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、中古住宅の質を高めたり、子育てしやすい生活環境を整えたりすることなどを目的に、既存住宅の性能を向上するためのリフォームに対して支援する国の事業です。
長期優良住宅化リフォーム推進事業 |
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対象リフォーム • トイレの増設(三世代同居対応) (リフォーム後に、キッチン・浴室・トイレ・玄関のうちいずれか2つが複数箇所にあることが条件) • 手すり設置など(バリアフリー改修) |
対象者条件 1. 階段部分を除く1階の床面積が40㎡以上かつ、延べ床面積が55㎡以上 2. 事前のインスペクションの実施、リフォーム履歴・維持保全計画の作成 3. リフォーム後の住宅が一定の性能基準を満たす |
申請者 施工業者 ※認定を受けた補助事業者に限る |
申請受付期間 受付期間:令和6年5月13日(月)~令和5年12月23日(月) ※受付期間は2025年1月31日(金)17:00まで、または予算上限に達するまでに延長しています。 |
補助額上限 80~210万円/戸 ※工事内容やリフォーム後の住宅性能等により変動 |
>>長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金申請フローはこちら
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2.トイレリフォームで補助金を受け取る手順
[1]介護保険の住宅改修費の申請フロー
便器の交換以外も対象となるリフォーム工事があります:
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 滑り防止等のための床材変更
- 引き戸等への扉の取替え
- 各工事に付帯して必要となる工事


[2]地方自治体の補助金申請フロー
自治体によりますが、基本的には以下のような流れで進めます。
それぞれの自治体によって内容や条件が異なるため、お住まいの役所に相談してみましょう。
以下のサイトはお住まいの地域の住宅リフォームに対する補助金・助成金制度を検索できます。
地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト|一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会
※予算に達し次第、助成金申請受付は終了しますので、最新の情報は各自治体のホームページや窓口で確認するようにしましょう。
[3]子育てグリーン住宅支援事業の補助金申請フロー
必須工事と以下のようなリフォームも同時におこなうと補助対象になります。
- 子育て対応改修(ビルトイン食洗器の設置・浴室乾燥機の設置・対面キッチンへの改修工事など)
- 防犯性向上改修(ガラス交換、外窓交換)
- バリアフリー改修(手すり設置・段差解消など)
- 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
- リフォーム瑕疵(かし)保険などへの加入


[4]長期優良住宅化リフォーム推進事業の申請フロー


3.トイレリフォームに関する地方自治体の補助金・助成金の事例
ここではトイレリフォームに関係する地方自治体の補助金や助成金の事例をご紹介します。
自治体の補助金や助成金は年度ごとに予算組みがされるため、毎年度実施されるとは限りません。年度が変われば実施を終了したり、補助対象工事の内容が変わることもありますので、必ず自治体のホームページや窓口で最新情報をチェックしてください。
①東京都台東区の例|住宅改修予防給付
東京都台東区|住宅改修予防給付 |
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対象リフォーム 和式から洋式トイレへ取り替え |
申請条件 介護保険で「非該当」と判定された日常生活の動作に困難がある在宅高齢者 |
補助額 限度額あり。詳細は窓口へお問い合わせください。 |
注意点 ・工事前に事前申請が必要。工事後の申請は不可。 ・区からの給付決定前の工事は給付不可。 |
②東京都足立区の例|住宅改良助成制度
東京都足立区|住宅改良助成制度 |
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対象リフォーム 和式トイレから洋式トイレへの変更 |
申請条件 ・「65歳未満」の方のみの世帯 ・自身の居住する住宅に工事を実施する方 ・この助成を受けた方のいない世帯 ・区民税を滞納していない方 ・施工者は区内業者であること |
補助額 ・和式トイレから洋式トイレへの変更 8万円/箇所(※据え置き型の場合は、2万円/箇所) ・工事箇所別の上限額の合計、または実際の工事費用の20%いずれか安価な方(最大30万円) |
注意点 工事前に事前申請が必要。工事後の申請は不可。 |
③北海道札幌市の例|札幌市住宅エコリフォーム補助制度
札幌市住宅エコリフォーム補助制度 |
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対象リフォーム ・便器の取替え (いずれかに該当する工事:①和式便器を洋式便器に変更する、②節水型便器にする、③便所内寸床面積の増加に附帯して便器を取り替える、④段差解消工事に附帯して便器を取り替える) ・便器の増設(節水型便器) ・トイレ床面積の増加 |
申請条件 ・補助金額の合計が3万円以上になり、かつ、総工事費(税抜)が30万円以上になる工事 ・市・道民税及び固定資産税・都市計画税を滞納していない ・業者は市内に主たる営業所を有する事業者 |
補助額 ・便器の取替え・便器の増設:29,000円/か所 ・床面積の増加:21,000円/か所 総工事費の10%、または一戸当たり50万円のいずれか少ない額が上限 |
注意点 施工業者は、建設業許可を受け、札幌市内に主たる営業所を有する事業者に限る |
④神奈川県横浜市の例|横浜市水洗便所設備資金助成・貸付制度
横浜市水洗便所設備資金助成・貸付制度 |
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対象リフォーム ・くみ取り式トイレを水洗トイレに改修 ・浄化槽を使用したトイレは浄化槽の廃止 |
申請条件 ・下水道処理区域内において、原則として処理区域となった日から3年以内に、上記の工事を行う建築物 ・業者は市が指定する排水設備工事事業者 |
補助額 2,500~10,000円/台 |
⑤兵庫県明石市の例|明石市住宅リフォーム助成事業
明石市住宅リフォーム助成事業 |
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対象リフォーム ・節水型トイレに改修 ・トイレ周りのバリアフリー化に伴う工事 |
申請条件 ・明石市内のリフォーム対象住宅に住んでいる人が申請すること ・明石市内の施工業者を利用すること ・2009~2023年度の間に一度もこの事業を利用していないこと ・工事経費が20万円以上(税込)であること |
補助額 工事費の10%(最高10万円) |
※令和6年度の募集は終了しています。
4.トイレのリフォームで補助金を使う時の3つの注意点
ここまでお読みいただくとわかるかと思いますが、トイレのリフォームで補助金制度を受けるためには、様々な手続きや準備が必要になります。
各制度ごとに細かい内容が異なるので、見落としのないように注意しておくべきポイントをしっかり押さえておきましょう。
4-1.申請条件やタイミングを確認する
国や自治体が設けている補助金制度には、それぞれ申請条件が定められています。
当然、申請条件を満たすことができなければ補助金制度を利用することはできませんので、事前に必ず申請条件を確認しましょう。
申請条件を満たしていることが確認できたら、申請のタイミングを確認します。
基本的に「施工前」に申請を行う補助金制度がほとんどで、すでに工事を進めている、もしくは完了している場合は後から申請できないため注意してください。
4-2.申請後も提出物などの期限は必ず確認する
補助金制度は施工前に申請して終わりではありません。
施工後には、補助金を受け取るためにリフォームをしたことを証明する報告書やリフォーム箇所の写真、省エネ性能が向上したことを示す書類などの提出が求められます。
施工前の申請が通って補助金交付対象になったとしても、施工後の書類提出に不備があったり、提出期限を守れなかったりした場合は補助金を受け取ることができないのです。
もちろん利用する補助金制度によって必要な書類は変わりますので、こちらもしっかり確認しておきましょう。
4-3.予算に達すると終了するので、申請は早めに行う
国や自治体の設けている補助金制度は、期間内であっても用意している予算の上限に達すると交付を終了してしまいます。
また、補助金制度は年度ごとに対象工事や予算などが変わるため、来年度も同じ条件で補助金制度を利用できるとは限りません。
各制度の受付状況はホームページに記載されていますので、利用を考えている制度が終了になる前にこまめにホームページをチェックして早めに申請を行いましょう。
5.補助金を使ったトイレリフォームの業者選びで注意すべき3つのポイント
申請条件のひとつとして、業者を指定している補助金制度は少なくありません。
制度によって市内の業者、補助金制度に登録のある事業者などさまざまですが、この章では補助金を使ったトイレリフォームの業者選びで注意すべきポイントを3つ解説します。
5-1.バリアフリーリフォームは実績のある業者を選ぶ
バリアフリーリフォームの場合、バリアフリー工事の実績のある業者に依頼しましょう。
便器交換やトイレ内の手すり設置、段差を解消する工事は、どの業者も言えばやってくれますが、手すりの位置ひとつ取っても、要介護者や介護者の動きを想定して取り付ける必要があります。
介護保険を利用する場合は、ケアマネージャーに相談しましょう。
ご自身で業者を探す必要がある場合は、地域包括支援センターに相談したり、HPで会社の実績や得意分野を確認しましょう。
福祉住環境コーディネーターが在籍するリフォーム会社・工務店であれば尚安心です。
5-2.レスポンスが早い業者を選ぶ
補助金を使ってリフォームをする場合、役所とのやり取りに合わせ業者とも工事の日程などを調整するなど、業者とは密に連絡が取れるようにしておく必要があります。
そのため業者選びの際はレスポンスの速さも見ておくとよいでしょう。
5-3.自治体の補助金・助成金はまず業者の要件を確認
自治体によっては、施工業者の要件が「市内の業者に限る」などと定められている場合があります。
業者を探す前に確認し、要件に合った業者を探すようにしましょう。
6.負担額が50万円相当を超える場合は減税制度も活用できる
バリアフリーや省エネ目的のリフォームでは、ある一定の工事を行い、工事費用相当額から補助金額を除いた後の金額が50万円を超える場合は、改修後1年間の所得税が工事費用等の10%控除されます。
トイレリフォームでは、和式から洋式トイレへ変更、出入口の拡張、開き戸から引き戸への交換で698,600円の工事費用相当額になります。
ここから補助金として受け取った金額を除いて50万円を超える場合、控除の対象になります。
その他住宅要件等も満たしていれば、忘れずに確定申告を行いましょう。
また固定資産税の控除も併用できます。
詳しくはこちらでご確認ください。
住宅リフォームの減税制度についてはこちらでまとめています。より詳しく知りたい場合はこちらもご覧ください。


7.まとめ
ここではトイレリフォームで使える補助金を紹介しました。
要支援・要介護認定がある方は、バリアフリーのためのトイレリフォームであれば、介護保険を利用して最大18万円まで住宅改修費を受け取ることができます。
自治体の補助金はバリアフリー、エコ、公共下水道の普及に伴うくみ取り式トイレから水洗トイレへの移行等が対象となります。
自治体のバリアフリーリフォームに対する補助金は「介護保険の補助役」のような場合が多く、要支援・要介護認定はないが、日常生活の中で必要と思われるリフォームであったり、介護保険の対象工事に該当しないリフォーム等に対して補助がでるというケースが多いです。
まずは役所に相談したりホームページ等でお住まいの自治体の補助金・助成金制度をチェックしましょう。
リフォームガイドでは優良リフォーム会社のみをご案内しています。「なかなかいいリフォーム会社が見つからない」という場合は、お気軽にお問い合わせください。
その他リフォームの補助金・助成金に関してはこちらの記事も参考にしてください。
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