
「外壁が少しひび割れてきた…」「外壁の表面が剥がれてぼろぼろ…」「外壁が浮いて隙間ができている…」
築年数が立つと外壁の劣化によって、さまざまなお悩みが出てきます。このようなお悩みを解決するには、適切な補修工事を適切な費用で行うことが大切です。
そこで今回は、劣化症状別の補修工事と費用相場、自身でできる補修方法(DIY)、失敗しない業者選びなど押さえるべきポイントをご紹介します。
目次
1.【劣化症状別】外壁補修・修理工事の種類と費用
外壁材は通常、10年程度で補修が必要になります。ただし、使用している外壁材の種類やお住まいの地域、日の当たり方によっては、もっと早い時期から劣化が始まることも。自宅の外壁が今どのような状態であるのかを、定期的に確認しましょう。
外壁の劣化には主に8つの症状があります。ここでは症状別に発生目安や原因、補修方法、費用などをご紹介します。
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1-1.ひび割れ(クラック)
- 発生目安:10~15年程度
- 原因:塗膜の劣化、外壁自体の乾燥などによる収縮、地震などの振動で圧力がかかった など
- 補修方法:塗装(初期段階)、ひび割れ箇所にシーリング材や樹脂を充填
ひび割れ(クラック)は、緊急性の低い「ヘアークラック」と、緊急性の高い「構造クラック・開口クラック」の2種類に分けられます。どの程度のひび割れが起こっているかを確認して適切な補修をしましょう。
種類 | ひび割れの程度 | 緊急性 | 補修方法 |
---|---|---|---|
ヘアークラック | 幅3㎜以下、 深さ4㎜以下 |
外壁表面だけがひび割れしている、 髪の毛程の細いクラック。 内部にすぐに影響しないため、緊急性は低い。 |
・シール充填 (コーキング) ・塗装 |
構造クラック 開口クラック |
幅3㎜以上 | 外壁内部から割れている状態。 構造に影響を及ぼす可能性が高く、早急に補修が必要。 |
・カット工法(Vカット、Uカット) ・樹脂注入工法 |
補修方法 | 費用相場 | 工期 |
---|---|---|
塗装 | 70~120万円(30坪) | 7~14日程度 |
シール充填(コーキング) | 300~1,500円/m | 半日~1日程度 |
カット工法 | 1,500~3,000円/m | 1~2日 |
樹脂注入工法 | 3000〜4000円/m | 1~3日 |
緊急性が低いヘアークラックでも、放置すると構造クラック・開口クラックに進行してしまうこともあります。ひび割れが小さいうちに、早めに対処することが大切です。
また、ひび割れの程度がひどい場合には、モルタルの全面塗り直しやサイディングの張り替えが必要なケースもあるため注意しましょう。
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1-2.目地(コーキング)の劣化
- 発生目安:5~10年程度
- 原因:雨や紫外線など
- 補修方法:打ち替え(新しく取り替える)、増し打ち(既存のコーキングの上から充填)
コーキング(目地)とは、外壁材の隙間に充填されるもので、「シーリング」と呼ばれることもあります。
コーキングの劣化によって隙間ができてしまうと、外壁内に水分が入り込み、内部の腐食につながってしまうことも。コーキングの肉痩せやひび割れなどを発見したら、早めに補修しておくことが大切です。
補修方法 | 費用相場 | 工期 |
---|---|---|
打ち換え | 約26.6~45万円(30坪) | 2日以上 |
増し打ち | 約22.6〜35万円(30坪) | 2日以上 |
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1-3.チョーキング
- 発生目安:10年程度
- 原因:雨風や紫外線などによる外壁塗装の劣化
- 補修方法:高圧洗浄による劣化した塗膜の除去+外壁の塗装
チョーキングとは、塗装の劣化で塗膜が粉状に浮き出てしまう現象のことです。外壁を触って手に粉が付くことで、劣化がわかります。
被膜が剝がれ防水性が低下しているというサインであるため、補修が必要です。
補修方法 | 費用相場 | 工期 |
---|---|---|
高圧洗浄 | 1.7~4万円(30坪) | 2~3日 |
塗装 | 70~120万円(30坪) | 7~14日程度 |
1-4.サビ
- 発生目安:5~10年程度
- 原因:塗装の劣化(金属サイディングやトタンなどの金属製の外壁)、もらいサビ(金属製以外の外壁)
- 補修方法:研磨(ケレン作業)+サビ止め塗料で塗装
サビを放置すると進行して広がっていき、穴が開くこともあります。サビを発見したら早めに取り除くなどの対処をしましょう。
研磨後にサビ止め塗料を塗装する方法で補修しますが、それでも対処できないようなひどい劣化の場合、外壁の張り替えが必要な場合もあります。
補修方法 | 費用相場 | 工期 |
---|---|---|
サビ除去 | 500~2,200円/㎡ | 半日~3日程度 |
1-5.藻、コケ、カビ
- 発生目安:5年程度
- 原因:日当たりや風通しの悪さ、外壁塗膜の劣化 など
- 補修方法:
- スポンジでの研磨、市販品を使用した高圧洗浄での除去(自身でする場合)
- 高圧洗浄、バイオ洗浄を使った除去(業者に依頼する場合)
藻、コケ、カビの発生は、見た目の悪化だけでなく、身体に悪影響を及ぼすこともあります。また、外壁の防水機能が低下しているサインでもあり、塗り替えが必要なことも。
日当たりや風通しの悪い場所などの発生しやすい場所を、定期的に確認しましょう。
補修方法 | 費用相場 | 工期 |
---|---|---|
高圧洗浄 | 100~300円/㎡ | 1日 |
バイオ洗浄 | 500〜800円/㎡ | 1日 |


1-6.傷、へこみ、欠け、穴あき
- 発生目安:―
- 原因:物がぶつかる など
- 補修方法:パテなどによる穴や傷の補修+塗装、部分的な張り替え
外壁に傷やへこみ、欠け、穴が開いている場合には早めに補修をしましょう。雨水などが内部に侵入すると、雨漏りや内部の腐食につながることがあります。
補修方法 | 費用相場 | 工期 |
---|---|---|
パテで埋めた後に塗装 | 1箇所1~6万円程度 | 半日 |
1-7.塗装の浮き、剥がれ
- 発生目安:10年程度
- 原因:塗装の経年劣化
- 補修方法:部分的な塗装、全面塗装(下地補修が必要な場合もある)
塗装の浮きとは、壁から塗膜が剥がれてしまい、水膨れのようになって浮いている状態を指します。防水機能が低下してしまうため、発見次第対処することが必要です。
また、築2~3年以内に症状が現れた場合は施工不良の可能性が高いので、依頼した業者へ相談しましょう。
補修方法 | 費用相場 | 工期 |
---|---|---|
塗装 | 70~120万円(30坪) | 7~14日程度 |


1-8.外壁(サイディング)の反り、浮き
- 発生目安:7年程度、塗り替え後10年程度
- 原因:塗装の経年劣化、メンテナンスを怠ったことによる被膜の劣化
- 補修方法:
- 軽度(手で押して戻る程度)の場合、ビスや釘によるサイディングの固定
- 重度の場合、部分的または全面の張り替え
サイディングの耐用年数は15~50年ですが、ほとんどのサイディングでは10年前後でメンテナンスが必要です。
メンテナンスを怠り被膜が劣化すると、サイディングが雨水を吸収し、後に反りや浮きの症状が現れます。一度反ったり浮いたりすると完全に元には戻らず、雨漏りや内部の腐食につながることもあるため、早めに補修しましょう。
補修方法 | 費用相場 | 工期 |
---|---|---|
ビス・釘による固定 | 1~2万円 | 1日程度 |
部分張り替え | 5000〜1万円/1枚 | 1~3日 |
全面張り替え | 150~300万円以上 | 2週間前後 |


2.外壁の補修・修理はDIYできる?
外壁の補修をDIYして費用を抑えたいと考える方もいるのではないでしょうか。
DIYができる可能性があるのは、症状が軽度の初期段階のみ。例えば、ヘアークラックにコーキング剤を充填する、一部塗膜の剥がれに塗装をする、コケを高圧洗浄機で除去するなどです。
しかし高所で作業する場合に危険が伴うことや、不適切な補修によって状態を悪化させてしまう可能性があり、あまりおすすめはできません。
業者に依頼し、症状をしっかりと見極め、適切な工事を行ったほうが良いでしょう。


3.外壁の補修・修理工事で押さえておきたいポイント
ここでは外壁の補修工事を成功させるための、押さえておくべきポイントを紹介します。
3-1.火災・地震保険が使えるか確認する
地震や台風などの自然災害が原因で外壁補修が必要になった場合、火災保険や地震保険が適用され、自己負担額を抑えて補修できる可能性があります。
業者によっては保険会社への連絡や手続きをサポートをしてくれることもあるため、確認してみましょう。


3-2.補助金が利用できるか確認する
外壁補修の工事内容によっては、国や自治体の補助金制度が使える場合があります。
条件や申請時期が制度によって違うため、よく確認して利用しましょう。


3-3.実績が豊富な優良業者を見極めて依頼する
外壁補修に不慣れな業者や信頼できないような業者に依頼してしまうと、適切な工事がされず劣化の症状が改善できない場合があります。また、相場とかけ離れた費用を請求される可能性も。
以下の点を確認して、信頼できる優良な業者を選びましょう。
〈優良業者を見極めるポイント〉
- 実績が豊富であるかどうか
実績を知る方法のひとつとして、ホームページに施工事例がどのくらい掲載されているかを見てみましょう。もちろんホームページに掲載しない会社もあるので一概には言えませんが、施工事例が多いということは実績も多く、さらに工事に自信がある可能性があります。 - 見積もりの内容が詳細かつ金額が適切かどうか
見積もりを確認する際は、総額だけでなく詳細もチェックすることが大切です。工事内容に対して金額が大きくずれていないかを、この記事の費用目安を参考にして確認してください。また、2~3社の相見積もりをとることで、他社と比較して極端に安かったり高かったりしないかを見ることもできます。 - アフターフォロー体制(工事後の保証)があるかどうか
優良業者は仕事に自信と責任を持っているため、アフターフォロー体制が整っていることも特徴です。特に外壁は定期的なメンテナンスが必要になるため、継続的なフォロー体制が整っている業者を選ぶことが大切。ホームページを見たり、実際に説明を受けたりして保証内容を確認しましょう。


4.まとめ
外壁の劣化症状は大きく分けて8種類あります。外壁の状態を見極めて、症状に応じた適切な補修工事をすることが必要です。そのため、外壁の補修工事を成功させるには業者選びが重要。実績豊富で優良な業者をきちんと選んで依頼しましょう。
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