
「マンションに住んでいるけれど、最近部屋が寒くて過ごしにくい…」
「マンションでも断熱リフォームは可能なの?」
このようにお悩みではありませんか?
マンションにお住まいの場合でも、断熱リフォームは可能です。各マンションに定められた管理規約を守った工事であれば、床や壁・窓なども断熱リフォームすることができます。
こちらの記事では、マンションでできる断熱リフォームの工事内容やそれにかかる費用などを中心に解説していきます。また、リフォームの前にしておくべきこと・お得に工事するために活用できる補助金制度などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.マンションでも断熱リフォームは可能!2つの方法を解説
マンションは戸建てに比べるとできる工事は限られますが、断熱リフォームをすることが可能です。
ただし、マンションでは管理規約の範囲内かつ個人が所有している専有部分のみ工事が認められます。断熱リフォームの場合でもこのルールに従い、プランを検討する必要があります。
ここでは、以上のような条件の中でも可能な断熱工事を2つに分けてご紹介します。
すぐにできる工事から順に解説していきますので、ご自身の住まいの状態に合わせて最適なリフォームプランを検討してみてください。
1-1.窓の断熱リフォーム(内窓設置)
マンションの断熱リフォームで最も手軽にできる工事は、内窓の設置です。
内窓を設置することで断熱性を高められるほか、結露を防止することもできます。窓の内側は共用部分ではないため、リフォームできる場合が多いです
ただし取り付けには既存の窓枠に内窓を取り付けるだけの奥行き(約7cm)が必要です。事前に取り付けが可能かどうか確認しておきましょう。
マンションで二重窓を設置するリフォームについて、以下の記事も合わせて参考にしてください。


承認が下りれば窓の「カバー工法」も有効な断熱方法
既存の窓枠の上から新たな窓枠をかぶせる「カバー工法」という窓の交換も、断熱性能を上げるには有効な工事方法です。
こちらの工事はマンションの管理規約で認められることはまれですが、断熱性を高めるのはもちろん、内窓設置のように窓が複数枚にならないため開閉が楽になります。
リフォーム予定のマンションの規約を必ず確認し、カバー工法が認められている場合はこちらも工事方法として視野に入れてみましょう。
1-2.床・壁・天井の断熱リフォーム(内断熱)
窓の次にオーソドックスな断熱工事は、床・壁・天井のリフォームです。
内断熱工事はさらに乾式断熱・湿式断熱の2種類の方法があります。以下で、それぞれの工事方法について解説します。
乾式断熱
写真提供:あなぶき興産
乾式断熱は、木材で下地を造りボード状の断熱材をはめ込む方法です。
マンションの階数に関係なく施工ができ、使用できる断熱材も種類豊富です。
しかし、入り組んだ場所には施工が難しいほか、断熱材と木下地の間にわずかな隙間ができるため、気密性が低くなってしまうのがデメリットです。
湿式断熱
写真提供:あなぶき興産
湿式断熱は、木材で下地を造り泡状の断熱材を吹き付ける方法です。
複雑な形の壁でも隙間を作らず施工できるため、乾式断熱よりも気密性の高いリフォームが実現できます。
ただし、工事の際は泡状の断熱材をトラックに積んだ大型コンプレッサーからホースを通じて圧送する必要があるため、マンションの高層階には施工できないこともあります。また施工では専用の機械や断熱材を使用するため、専門技術のある業者に依頼する必要があります。
2.マンションの断熱リフォームにかかる費用・工事期間
ここからは、マンションの断熱リフォームにかかる費用・工期について解説していきます。
2-1.窓の断熱リフォーム(内窓設置)の費用・工事期間
窓の断熱リフォームの費用は6∼15万円です。費用は窓の大きさや設置する内窓に用いるガラスによって変動し、ガラスの断熱性は高ければ高いほど費用も高額になります。
工事は1∼2日とすぐに完了するケースがほとんどです。
内窓ガラスの種類 | 費用 | 工期 |
単層ガラス | 6~8万円 | 1~2日 |
複層ガラス | 7~11万円 | |
断熱複層ガラス | 9~15万円 |
2-2.床・壁・天井の断熱リフォーム(内断熱)にかかる費用・工事期間
3LDK(70㎡)のマンションで床・壁・天井すべての断熱工事をする費用は、70万円前後(10,000円/㎡)ほどです。これは床・壁・天井がコンクリートの地肌が見える状態(スケルトン状態)で断熱工事を行う場合の費用です。床・壁・天井を造りなおす工事は別途でかかります。
「古いマンションを一からリフォームしたい」、「間取りを大幅に変えるフルリノベーションをしたい」という場合はスケルトン状態にしてすべてリフォームし、同時に断熱工事を行うといいでしょう。
床・壁・天井の部分的な断熱リフォームの費用は、1㎡あたり3,000∼16,000円です。
以下で床・天井・壁それぞれの費用と工期をまとめていますので、参考にしてください。
工事内容 | 費用目安(㎡あたり) | 工期 |
床に断熱材を入れる | 3,000~4,500円 | 1∼2日 |
床下に断熱材を入れる +床材の張り替え |
13,000~20,000円 | 3~6日 |
工事内容 | 費用目安(㎡あたり) | 工期 |
天井に潜って断熱材を入れる | 2,000~7,500円 | 2∼4日 |
天井を剥がして断熱材を入れる +天井の張り替え |
8,000~13,000円 | 3~5日 |
工事内容 | 費用目安(㎡あたり) | 工期 |
大工だけで施工 | 8,000~12,000円 | 14∼21日 |
大工と専門の職人※が施工 | 10,000~16,000円 | 14~30日 |
※電気工事が必要になる場合
床・壁・天井の断熱リフォームは施工面積のほか、使用する断熱材の種類、工事方法によって費用が異なります。工事方法は、乾式断熱より湿式断熱の方が費用が高額になります。
加えて、断熱工事にともない床材・天井材などを張り替える場合は追加費用がかかります。
また、工期も1日∼最大1カ月と幅があります。これは施工面積のほか、断熱と同時に張り替えや電気工事を行うことで期間が長引くケースがあるからです。
3.マンションの断熱リフォームの注意点3つ【事前に知っておこう】
ここからは、マンションの断熱リフォームをする前にしておくべき3つのことについて解説していきます。
3-1.工事を行うマンションの管理規約を確認する
マンションの断熱リフォームを行う場合はマンションの管理規約を入念に確認しましょう。
全てのマンションにはそれぞれの管理規約があり、リフォームをする際は規約に則って工事を行わなければいけません。
1.冒頭で解説した「共用部分のリフォームは禁止されている」というルールはもちろん、床についても使用できる素材や工法に制限をつけているマンションは多くあります。
マンションで断熱リフォームを行う際はリフォーム会社や管理組合に相談し、自己判断で工事内容を決定しないようにしましょう。


3-2.仮住まいが必要な場合は手配しておく
マンションの断熱リフォームをする際は、仮住まいが必要かどうか確認しておきましょう。
床や壁・天井などを剥がしてリフォームする際、工期が長くなるほか住みながら工事ができない可能性があります。仮住まいが必要かどうかは事前にリフォーム業者に確認しましょう。仮住まいが必要であれば、引っ越しや物件を借りるための準備が必要です。


3-3.マンションの断熱リフォームの実績があるリフォーム会社を探す
マンションの断熱リフォームを行う際は、過去にマンションで断熱リフォームを行った実績のある会社を探すようにしましょう。
マンションの断熱リフォームは工事に専門的な知識を要するほか、水回りの移動や電気機器の取付・撤去を伴う場合はその工事に精通した職人を呼ばなければなりません。
事前にお近くのリフォーム会社のホームページなどで断熱リフォームの実績があるかどうか調べておくようにしましょう。
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4.マンションの断熱リフォームに活用できる補助金
ここからは、マンションの断熱リフォームに活用できる補助金について一部紹介します。各制度で条件を満たし期間内に申請することで工事費のうち一定額の補助が受けられますので、リフォームに際して費用に不安があるという方はぜひチェックしてみてください。
4-1.既存住宅における断熱リフォーム支援事業
既存住宅における断熱リフォーム支援事業は、断熱性能の高い建材を使用して、省エネ効果が見込める断熱リフォームを行った場合に、費用の一部が助成される事業です。
対象リフォーム内容
- 高性能建材(断熱材、窓、ガラス)を使用した既存住宅のトータル断熱リフォーム
- 居間(生活する時間が最も長い居室)を中心に高性能建材(窓)を用いた断熱リフォーム
申請条件
- 対象者は個人の所有者、個人の所有予定者、賃貸住宅の所有者(個人・法人どちらでも可)、管理組合等の代表者
- 常時居住する専用住宅であること
- 賃貸住宅(社宅を含む)も対象
- 店舗・事務所などとの併用でないこと
- 交付申請後に所有を予定している場合は、完了時に登記事項証明書の写しを提出すること
補助額
1住戸あたり15万円を上限とし、補助対象費用の3分の1以内が補助されます。


4-2.子育てグリーン住宅支援事業
子育てグリーン住宅支援事業(リフォーム)は、子育て・若者夫婦世帯による住宅の省エネ改修などのリフォームを補助する制度です。1.で紹介した窓や壁・床・天井、どの断熱リフォーム方法も補助対象ですが、同事業の事務局に登録された型番の製品を使用して工事を行う必要があります。
対象リフォーム内容
【下記3つのうち、2つ以上が必須】
- 開口部の断熱改修
- 外壁・屋根・天井または床の断熱改修
- エコ住宅設備の設置
【必須工事を実施すると対象】
- 子育て対応改修(ビルトイン食洗器・宅配ボックスなど)
- 防災性向上改修(防犯安全ガラスへの交換)
- バリアフリー改修(手すり設置・段差解消など)
- 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
- リフォーム瑕疵保険等への加入
申請条件
- 令和6年11月22日以降に着工したリフォーム
- 補助金額が5万円以上
補助額(上限)
- 必須工事3種類すべてを実施:最大60万円/戸
- 必須工事3種類のうち2種類を実施:最大40万円/戸


上記で紹介した制度は、断熱リフォームで活用できる制度の一部です。ほかにも窓の断熱リフォームで使える補助金など、断熱リフォームに関する補助金はたくさんあります。もっと詳しく知りたいという方は、以下の記事も参考にしてください。


5.まとめ
マンションの断熱リフォームは各物件の管理規約に従い、工事が認められている箇所のみリフォームしましょう。
マンションでできる主な工事は内窓設置(窓のリフォーム)のほか、内断熱工事(床・壁・天井のリフォーム)などがあります。
断熱リフォームは複数の工事を組み合わせることで効果を発揮しやすくなります。補助金制度も活用しながら、あなたの理想の空間を実現させてみてくださいね。