
台風や大雨、ゲリラ豪雨後に「なかなか湿気が引かない」「天井にシミができている」などの症状があるときには、屋根の防水機能が低下している可能性があります。
また、屋根のメンテナンス時期が迫っていて、雨が降るたびに雨漏りを心配している方も多いでしょう。
しかし、屋根のリフォームは大がかりなイメージがあるので、費用面が心配ですよね。
そこで本記事では、屋根の防水リフォームが必要な状況や工事方法、費用などを解説します。費用を抑えるコツや業者選びのポイントも説明しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.屋根の防水構造のメンテナンスが必要な状況

屋根は住宅でもっとも雨風や紫外線の影響を受けやすく、見た目以上に劣化が進みやすい部分です。遠目には異常がなくとも、屋根材や防水シート(ルーフィング)の劣化によって防水機能が落ちていることも少なくありません。
そのため雨漏りを防ぐためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。ここでは、防水構造のメンテナンスが必要な状況を説明します。
1-1.前回のメンテナンスから一定期間経っている
屋根材の耐用年数はトタンが10年〜20年、ガルバリウム鋼板やスレートが20〜30年、日本瓦は50年以上といわれています。
しかし、その下に敷かれている防水シートの耐用年数は、もっとも普及しているアスファルト製では約10年と、屋根材より短い場合がほとんど。屋根材よりも早く、メンテナンス時期を迎えます。
前回のメンテナンスから10年以上経っているなら、一度業者に点検依頼をしたほうがよいでしょう。
1-2.家に劣化症状が現れた
雨が降ったあとに次のような症状がみられる場合は、屋根材と防水シートが劣化している可能性があります。
- 屋根材にズレ、ひび割れ、剥がれなどがある
- 天井や壁に雨染みが出ている
- 大雨のあとに雨漏りする
- 屋根裏の構造材が湿っている
屋根材の見た目の症状を除いて、下3つの症状がある場合はすでに雨漏りが進行しています。つまり、1次防水である屋根材だけではなく、2次防水の防水シートも劣化しているということです。
放置すると構造部分が腐朽して住宅寿命を縮める恐れがあるので、すぐに業者に修理・点検依頼をしましょう。


雨漏りの原因は屋根だけとは限らない!
雨漏りが発生したときには「屋根からだ」と思いがちですが、必ずしも屋根が原因とは限りません。ベランダや外壁、窓枠、天窓、雨どいなど、雨漏りの原因は多岐にわたります。
雨漏り箇所を突き止めるためには、専門業者による調査が必要です。


2.屋根の防水処置の主な工事内容

屋根の防水処置は、屋根材の『カバー工法(重ね葺き)』や『葺き替え(交換)』以外に、防水シートを交換する方法があります。
ここでは、屋根の防水処置の方法と費用を説明します。


2-1.屋根の防水を担う防水シート(防水紙)のメンテナンス
前章で説明したように、住宅では屋根材が1次防水、防水シートが2次防水の役割を担っています。たとえ屋根材の劣化や破損によって雨水が侵入してしまっても、防水シートの部分で防げば、雨漏りが発生することはありません。
しかし、防水シートが劣化して破れたり穴が空いたりすると、その奥にある野地板まで雨水が浸み込み、雨漏りを引き起こします。
雨漏り修理といえば屋根材の交換や破損した部分の修繕を考えるかもしれませんが、防水シートまで交換しなくては根本的な解決にはならないのです。
雨漏りしていないなら、防水シートだけ交換できる?
雨漏り対策としてメンテナンスでは、「費用を抑えるために防水シートだけを交換したい」との質問がよくあります。結論からお伝えすると、瓦屋根なら、防水シートのみの交換が可能です。これを『葺き直し』といって、既存の瓦を撤去してから防水シートや下地材を交換し、最後に瓦を戻します。瓦を再利用するため、屋根材の交換費用がかかりません。
一方で、ガルバリウム鋼板やスレート屋根は葺き直しができないため、防水シートの交換時には屋根の葺き替えが必要です。
2-2.防水シートの種類別費用と耐用年数
防水シートとひとくちに言っても、いろいろな種類があります。
日本の住宅でもっとも普及しているのは、防水紙にアスファルトを染み込ませた『アスファルトルーフィング』ですが、他にも以下のような種類があり、それぞれ特徴が異なります。
| 防水シートの種類 | 特徴 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| アスファルトルーフィング | 安価で止水性に優れているが、劣化が早い。 | 10年前後 |
| 改質アスファルトルーフィング | 止水性・耐久性に優れている。 | 30年前後 |
| 高分子系ルーフィング | 塩化ビニルが主流で、耐久性・耐候性に優れている。 主に陸屋根で採用される。 |
15年前後 |
| 不織布ルーフィング | 不織布でできていて、破れにくく耐久性に優れている。 | 30年前後 |
| 粘着ルーフィング | シートの裏面が粘着シートになっていて、屋根材の上から施工できる。 カバー工法で採用されることが多い。 |
30年前後 |
| 透湿ルーフィング | 防水性能に加え、湿気を外部に排出する機能がある。 濡れても乾燥しやすいので、高気密高断熱住宅で多く採用されている。 |
50年前後 |
続いて、それぞれの費用目安と耐用年数も見てみましょう。
| 防水シートの種類 | 費用目安(1㎡あたり) | 30坪の目安※ |
|---|---|---|
| アスファルトルーフィング | 200円~600円 | 2~6万円 |
| 改質アスファルトルーフィング | 350円~900円 | 3.5~9万円 |
| 高分子系ルーフィング | 500~1,000円 | 5~10万円 |
| 不織布ルーフィング | 700~1,000円 | 7~10万円 |
| 粘着ルーフィング | 600~900円 | 6~9万円 |
| 透湿ルーフィング | 500円~900円 | 5~9万円 |
※材料費のみ
防水シートは価格が高いものほど、耐久性や性能も高くなる傾向があります。
そのため、初期費用だけではなく耐用年数なども含めて素材を選ぶのが、ランニングコストを抑えるコツです。
なお、上記は材料費のみの費用目安なので、これらに加えて施工費と足場代がかかります。
足場代の目安1㎡あたり600〜1,000円と高額なので、外壁や屋根材のメンテナンスも同時に行ったほうが、結果的に費用を抑えられます。
3.屋根の防水処置の費用を抑えるための工夫
屋根の防水処置には、防水シートの材料費のほか、施工費や足場代などの費用がかかるため、リフォーム総額は意外と高額です。
ここでは、少しでも費用を抑えるためにできる工夫をお伝えします。
3-1.外壁塗装やベランダ防水と合わせて工事する
足場代にかかる費用は1㎡あたり600〜1,000円が目安なので、30坪程度の住宅なら15万円前後はかかる計算です。防水シートの交換費用の中でも、大きな割合を占めます。
防水処置自体の費用を抑えられるわけではありませんが、外壁やベランダのリフォームなどを同時に行ったほうが、個別に行うよりも足場代分の費用を抑えられます。
また、雨どいなど普段は確認できない場所の点検も依頼しておけば、点検費用のコストカットにもつながります。




3-2.火災保険や自治体の補助金を活用する
台風やゲリラ豪雨など、災害が原因で雨漏りした場合は、火災保険が適用される可能性があります。
ただし、経年劣化が原因だと判断されると保険は適用されないので、保険会社の窓口で相談してみるとよいでしょう。
また、省エネ性や耐震性を高めるリフォームに関しては、補助金が支給されることも。補助額は自治体ごとに異なりますが、3〜10万円程度が多いようです。
下記コラムを参考に、火災保険の適用条件や使えそうな保険補助金を探してみてください。




3-3.定期的にメンテナンスを行う
防水シート自体の耐用年数を延ばすことはできませんが、定期的な点検や屋根材のメンテナンスが、雨漏り対策につながります。
とくに台風や強風、大雨後は必ず点検を行い、必要があれば塗装や破損部分の交換・補修などを行いましょう。
DIYでできる屋根の防水はあくまで応急処置
屋根材や防水シートを自分で交換すれば、大きく費用を抑えられます。
動画配信サイトにも屋根材を自分でメンテナンスする方法がアップされているので、平屋などで足場が必要なければ、「DIYしよう」と考える方も多いでしょう。
しかし、防水層の劣化状況の判断は素人には難しく、施工不良によって雨漏りをしてしまう可能性や、転落のリスクも伴うためおすすめできません。
また、雨漏り時には市販の防水テープや簡易塗料を使って応急処置する方法もありますが、これはあくまで一時的な対応です。すぐにリフォーム会社に点検・修繕依頼をしてください。
4.屋根の防水処置の事例
ここからは、屋根の防水処置の事例を紹介します。
ぜひ、リフォームの参考にしてください。
4-1.防水シートを二重貼りにした屋根葺き替え工事
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出典:https://www.yonekurasyouten.com/works/works-8953/
雨漏りしていた屋根を、修繕した事例です。
既存屋根を撤去し、既存の野地板と防水シートの上から、新しい防水シートを貼って二重貼りに。雨漏りが再発しないように、しっかりと防水処置を行いました。
雨漏り修理で屋根材のみを交換した場合は、再発するケースも少なくありません。費用は高くなってしまいますが、大切な建物を守るためにも、防水シートと下地材からしっかりと防水処置を行ったほうが安心です。
4-2.屋根軽量化時に防水シートを取り付け
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出典:https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=1778
住宅の耐震性を高めるために屋根を軽量化し、その際に防水シートも交換した事例です。
耐震リフォームのため雨漏りなどの症状はありませんでしたが、築49年の住宅ということもあり、防水シートも交換しました。
改質アスファルトルーフィングを採用したため、外的要因がない限りは30年間は交換不要です。安全性を高めるだけではなく、住宅寿命を延ばすリフォームになりました。
5.信頼できる屋根工事業者を選ぶためのチェックポイント
屋根は雨風から住宅を守るもっとも重要な部分であるにもかかわらず、点検詐欺や施工不良がとても多い部分です。
リフォーム後も安心して暮らせるように、業者選びにも注意しましょう。
5-1.訪問業者はトラブル事例が多いので避けた方が安心
屋根は外部にあるということもあり、点検詐欺によるトラブルが多発しています。
よくあるのが「屋根が傷んでいるので、このままでは雨漏りします」「今日契約したら安くします」といった、消費者の不安に漬け込む悪質な営業方法です。
悪質な業者にあたると、施工不良どころか、本来ならば不要な場所のリフォームも高額で契約させられることも。安易に契約しないよう注意しましょう。
すべての訪問業者が悪徳業者だとは限りませんが、自分で信頼できる会社を探したほうが安心です。


5-2.口コミやサイト上の情報を確認・比較して会社を選ぶ
屋根工事業者を探すときには、HPに掲載されている実績や有資格者情報のほか、ネット上の口コミにも目を通しましょう。リフォーム会社専用の口コミサイトや、Googleで検索した際に表示される会社情報にあるレビューが参考になります。
知人や友人からの口コミも頼りに、信頼できる会社を探してみてください。
5-3.相見積もりを取って、見積もりの項目や対応を比較する
相見積もりも、業者選びにおいてとても重要です。
見積もり内容に目を通せば、優良会社であるかがだいたいわかるからです。見積書をもらったら、まずは次のような部分をチェックしましょう。
- 見積もり価格が他の業者より高すぎる、または安すぎないか
- 工事内容や材料費などの詳細が書かれているか
- 保証やアフターフォローがあるか
上記に加えて、担当者が質問に対して真摯かつ的確に答えてくれるのかも、外せないチェックポイントです。丁寧に説明してくれる会社に依頼しましょう。


審査が厳しい紹介サイトを利用するのがおすすめ
屋根工事業者は、地域に対応している会社だけでも驚くほど数があります。
すべての会社のウェブサイトをチェックし、さらにその中から信頼できる業者を見つけるとなると、かなりの時間と手間を要します。そこでおすすめしたいのが、「リフォーム会社紹介サイト」の利用です。
たとえば『リフォームガイド』では、お客さまのお住まいの地域・希望のリフォーム・予算などから厳しい審査をクリアした優良会社のみを紹介し、相見積もりまでサポートいたします。無料で利用できますので、「悪質な業者を避けたい」という方は、ぜひご活用ください。

6.まとめ
屋根は、雨風から建物を守る大切な部分です。雨漏り修理と聞くと屋根材のメンテナンスを思い浮かべますが、防水シートの交換などの防水処置も欠かせません。
雨漏りが疑われるときや、防水シートの耐用年数が近づいたときには、専門業者に点検を依頼しましょう。こうした小まめなメンテナンスが、住宅寿命を延ばすことにつながります。
しかし、必要な防水工事や処置は、住宅の状態によって異なります。
必要なリフォームを適正価格で行うためにも、優良会社に点検依頼をすることが大切です。
その際には、ぜひリフォームガイドをご活用ください。専属のコンシェルジュがヒアリングをもとに、優良なリフォームを紹介いたします。








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