
「築40年の戸建てを相続したが、どんなリフォームが必要か?」
「築40年の戸建てをリフォームしたら、どれくらい費用がかかるのか?」
「建て替えとリフォーム、どちらにするべき?」
築40年の戸建ては、内装も外装もボロボロになっており、耐震性や断熱性などの面で課題があります。耐震補強なども含めた全面リフォームが必要になり、その費用は1,000万円以上かかるのが一般的です。
この記事では築40年という状況を踏まえて、どんなリフォームが必要で、どれくらい費用がかかりそうかをご説明します。さらに、築40年の戸建てでも建て替えよりもリフォームがおすすめな理由もご説明します。
▼築40年のマンションリフォームについてはこちらの記事でくわしく解説しています。


目次
1.築40年では、スケルトンリフォームがおすすめ!
築40年の戸建てでは、内装・外装を全て解体してスケルトン状態(柱や基礎だけの状態)にし、一から作り直すスケルトンリフォームがおすすめです。
この章では、築40年の戸建てにはどのような課題があり、その課題をスケルトンリフォームでどのように解決するかをご説明します。
1-1.築40年の戸建てが抱える5つの課題
築40年の一戸建てでは次のような課題を抱えております。
- 屋根・外壁など外装の劣化がひどく、いつ雨漏りしてもおかしくない
- 給排水管がサビつき、いつ漏水してもおかしくない
- 壁で仕切った狭い部屋が多いなど、間取りが現在の家族構成やライフスタイルに合っていない
- 新耐震基準(1981年制定)以前の建築になるため、耐震性に問題がある可能性が高い
- 断熱材が入っておらず、夏は暑く、冬は寒い
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/372(左上)/https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=71(右上)/http://www.8044.co.jp/gallery/447(左下)
1-2.スケルトンリフォームで、築40年が抱える課題を全て解決!
スケルトンリフォームとは、耐震補強や断熱対策を行ったうえで、内装・外装を一から作り直すリフォームのことです。
そのため、築40年の戸建てが抱える課題を全て解決できます。
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/381(外装・内装)
1-3.中途半端なリフォームをすると大変なことに!
スケルトンリフォームは大がかりな工事となるため、1,000万円以上かかることも珍しくありません。予算の都合から水回りの設備交換やクロスの張り替えなど、表面的な内装リフォームにとどめたいという方も多いです。
ただしその場合、数年後に断熱性や耐震性などさまざまな面で思わぬ災難が発生しかねないことも考慮た上で、リフォームの方針を決定するべきでしょう。
築40年の住宅にリフォーム後も長期間住み続けるなら、ローンを組んででもスケルトンリフォームをすべきとリフォームガイドは考えます。
スケルトンリフォームについてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。


2.築40年のスケルトンリフォームの費用は1,000万以上
築40年の一戸建てでスケルトンリフォームを行った場合の費用相場は、以下の通りです。
費用の幅が大きい理由はさまざまですが、おもに以下の3つの要素が大きく影響しています。
- もともとの家の劣化度合い
- 水回りなどの設備や建材のグレード
- 施工業者 ※一般的に地元の工務店は安く、大手リフォーム会社は高い
3.築40年戸建てのリフォーム事例と実際にかかった費用
この章では、築40年の戸建てのリフォーム事例と実際にかかった費用をご紹介します。
実際の施工事例を見ることでリフォームの具体的なイメージが膨らみ、費用感もつかめます。
■築40年25坪の戸建てスケルトンリフォーム(1,470万円)
1階はLDKを広げ、ゆったり過ごせるように!もともと3部屋だった2階は2部屋にし、より開放感のある空間になりました。
全体的なデザインのコンセプトは、「ほんのり和モダンテイスト」。フローリングはチーク色にし、柱やキッチン、棚にアクセントカラーの濃いブラウンを使い、家具との調和を図りました。
照明はダウンライトやスポットライトを使い分けることで、シーンに応じた照明演出ができるようにしました。
出典:http://www.balleggs.com/portfolio/renovation059/
■築40年26坪の戸建てスケルトンリフォーム(1,650万円)
スケルトンリフォームでは施工前に耐震診断を行い、その結果に基づき柱や梁などの構造体を補強します。この事例では外装に軽くて丈夫なガルバリウム鋼板を採用し、地震に強い造りにしました。
デザインは外装・内装ともに白を基調とし、シンプルでスタイリッシュな空間づくりができました。
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/372
■築40年32坪の戸建てスケルトンリフォーム事例(1,854万円)
こちらの物件は、解体してみると基礎が建坪の半分程度にしか存在せず、土台もほとんど腐っている状態でした。
基礎の構築や土台の補修に当初の想定を超える追加費用がかかり、リフォーム費用が高額になりました。
出典:http://suikoubou.co.jp/works/home-renovation6417ktkm
■築40年33坪の戸建てスケルトンリフォーム(2,700万円)
中古物件を購入し、素材や設備にこだわりぬいてリフォームした事例です。本物志向のお客様だったため、リフォーム費用は相場よりもかなり高額になりました。
浴室はユニットバスにせず在来浴室のまま、お客様こだわりのタイルや浴槽を採用しました。
空間を有効活用するためロフトを設け、収納スペースとして利用できるようにしました。
出典:http://suikoubou.co.jp/works/home-renovation6417ktkm
▼こちらも築40年の木造戸建てを全面的にリフォームした事例です。


4.築40年の戸建ては、建て替えよりリフォームがおすすめ!
「築40年の戸建てをリフォームする際の費用感はわかった。でも、建て替えた方がいいのかしら?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
建て替えとスケルトンリフォームのどちらかを選ぶなら、原則としてはスケルトンリフォームがおすすめです。
なぜ築40年の戸建てではスケルトンリフォームがおすすめなのか、その理由をご説明します。
4-1.建て替えとくらべて3分の2程度に費用を抑えられる!
スケルトンリフォームは、ある程度の補強は必要であるものの、もともとある基礎や柱をそのまま利用します。そのため、建て替えよりも費用を抑えることができます。
さらに、建て替えの場合は住宅取得に伴う申請を司法書士に依頼する必要がありますが、スケルトンリフォームならそれも不要です。
4-2.建て替えると床面積減少の可能性あり!再建築不可の場合も!
建て替えでは現行の建築基準法に合わせて設計する必要があるため、床面積が大幅に減少する可能性があります。
たとえば現行の建築基準法では、家の敷地が幅4m以上の道路に2m以上接しないと建てられないという「接道義務」があります。しかし、古い住宅地では幅が4mに満たない道路も多いのです。
4m未満の道路に接する戸建てを建て替える場合、道路中心線から2mまで敷地を後退させる必要があり、建築可能な面積が大幅に減ってしまいます。
一方、スケルトンリフォームは現行の建築基準法の適用を受けません。そのため、もともとの大きさを保った家づくりが可能になります。
5.築40年戸建てでリフォームをおすすめしない場合は?
内装だけのフルリフォームや建て替えよりもメリットが多いスケルトンリフォームですが、おすすめできない場合もあります。
戸建てのスケルトンリフォームをするべきか避けるべきかは、以下の2つのポイントで判断します。
5-1.基礎や柱がボロボロで、建て替えた方が安く済む場合
解体してみると白アリの食害で柱がボロボロだったり、そもそも基礎がない…というケースがあります。建物がこのような状態では、通常の補強では安全を確保できません。安全性を確保できるまで対策した結果、結局建て替えた方が安かった・・・ということもありえます。
ただし、家屋の安全性を素人が判断することは難しいため、建築士など専門家のいるリフォーム会社に評価してもらう必要があります。
5-2. 2×4工法で間取り変更に制限がある場合
木造軸組立工法という工法で建てられた戸建ては比較的自由に間取り変更が可能ですが、2×4(ツーバイフォー)工法と呼ばれる工法で建てられた戸建てには抜けない壁や柱が多数あり、間取り変更に制限があります。
この場合も、スケルトンリフォームでどこまで間取り変更が可能か、建築士など専門家のいるリフォーム会社に確認してもらいましょう。


▼建て替えにするかどうか迷っている方は、こちらの記事で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。


6.築40年リフォームを行うときのローンの組み方
築40年のリフォームでは費用の総額が1,000万円を超えることも少なくないため、ローンを組む人も多いかと思います。
この章では、築40年のスケルトンリフォームでローンを組む際に知っておくべきことをご説明します。
6-1.利用できるローンについて
築40年の戸建てのリフォームに利用できるローンは、以下の2種類です。(※金利は2022年度4月時点の相場)
- リフォームローン(金利1.5~2.8%、無担保)
- 住宅ローン(金利0.4~1.4%、有担保)
築40年を超える戸建てのリフォームは1,000万円を超えることも多いため、住宅ローンを活用しましょう。手続きはリフォームローンよりも煩雑ですが金利が低く、支払総額の差は歴然としています。
リフォームローンと住宅ローンの違いのまとめ
リフォームローン (担保なし) |
住宅ローン (担保あり) |
|
---|---|---|
初期費用 | なしの場合が多い | 借り入れ金額の2.2%※2 |
金利相場 | 1.5~2.8% | 0.4~1.4% |
借入限度 | 500万or1000万が多い | 1億円が多い |
借入期限 | 最長5年or10年が多い | 最長35年が多い |
団体信用保険※1 | 原則なし | 原則あり |
手続き | ・簡単 ・審査短い(当日~2日) |
・煩雑 ・審査長い(4~7日) |
※1 契約者が死亡した時にローン残高を保険金で賄える保険
※2 事務手数料や保証料
6-2.金利や返済期間の違いによる支払額シミュレーション
毎月の支払額や支払利息は、金利や返済期間によって大きく変動します。返済期限を決める際は、以下の一覧を参考にしてください。
6-3.ローン申請には見積もりが必要!早めに現地調査を依頼しよう!
ローンの申請の際にはリフォームの見積もり書が必要になります。
業者の選定から見積もりを確定させるまでには、現地調査から最低1か月ほどかかるので注意が必要です。とくに中古住宅の購入にともなうリフォームでは、物件の候補が決まったら早めにリフォーム会社に現地調査を依頼しましょう。
リフォームローンの詳細は以下の記事でもまとめています。あわせてご確認ください。


7.築40年リフォームで使える減税制度などのお得情報
リフォーム範囲が多岐にわたり費用も高額になる築40年の戸建てのリフォームには、減税制度や補助金などを有効に活用しましょう。
7-1.築40年リフォームで使える減税制度はこれだ!
リフォームに利用できる減税制度はいくつかありますが、ここではその中でも対象範囲が広く、減税額が大きい所得税の減税についてまとめました。
対象工事 | 最大控除額 (対象工事) |
|||
---|---|---|---|---|
対象工事(いずれか実施) | 対象工事限度額 | 控除率 | ||
耐震 | 250万円 | 10%※ | 25万円 | |
バリアフリー | 200万円 | 20万円 | ||
省エネ | 250万円(350万円) | 25万円(35万円) | ||
三世代同居 | 250万円 | 25万円 | ||
長期優良住宅化 | 耐震+省エネ+耐久性 | 500万円(600万円) | 50万円(60万円) | |
耐震or省エネ+耐久性 | 250万円(350万円) | 25万円(35万円) | ||
子育て | 250万円 | 25万円 |
※()内の金額は、太陽光発電設備を設置する場合
※ 対象工事の限度額超過分、およびその他リフォーム工事についても一定の範囲まで控除率5%で控除対象となる
出典:国土交通省「令和6年度 国土交通省税制改正概要(21頁)」
所得税のほか、リフォーム内容によっては固定資産税や贈与税でも減税措置を受けられる場合があります。
各種減税制度の詳細は以下の記事でも取り上げています。ぜひご一読ください。


7-2.築40年リフォームで使える補助金制度はこれだ!
減税制度と同様に、補助金制度でも耐震、省エネ、バリアフリーのリフォームで国や自治体の補助金を利用できる場合があります。
また、耐震補強や断熱対策など家の長寿命化につながるリフォームで利用できる補助金制度もあります。リフォームをお考えの際は、一度リフォームの補助金制度も把握しておくことをおすすめします。こちらの記事にリフォームで使える補助金・助成金制度をまとめていますので参考にしてください。
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8.まとめ
いかがだったでしょうか。築40年も経過すると、経年劣化で内装も状態も劣化が進んでいるため、リフォーム費用も1,000万円を越えることも珍しくありません。
リフォーム費用が高額になるため、業者選びも慎重になる方が多いかと思います。
リフォームガイドは、業者選びのプロフェッショナルです。業者選びで迷った際はぜひリフォームガイドをご活用ください。
「費用は抑えたいけど、せっかくリフォームするのだからとことんこだわりたい」という欲張りな要望にもお応えできるリフォーム会社をご紹介します。
▼中古住宅を購入してリフォームする場合、こちらに流れをまとめていますので参考にしてください。


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