
高額な費用がかかるイメージのキッチンリフォーム。「10万円の予算でもできるリフォームはあるのだろうか」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
システムキッチン全体を交換するリフォームは73~135万円が相場(※)ですが、交換する設備を限定し、費用を抑えるコツを活用すれば、10万円程の予算でできる工事もあります。
この記事では、10万円の予算でできるキッチンリフォームをテーマに、どのようなリフォームができるのかを解説します。費用を抑えるポイントも紹介するので、ぜひリフォームの参考にしてください。
※出典:リフォームガイド「データで見るキッチンリフォームの費用と相場」
目次
1.10万円以下でできるキッチンリフォームの工事内容
10万円以下でできるキッチンリフォームには、設備機器の交換、壁や床の部分リフォーム、収納の追加などがあります。
1-1.水栓の交換
水栓の交換費用は、商品代と工事費で約3〜15万円が目安になります。水栓の種類による違いは以下の通りです。
水栓の種類 | 商品代・工事費の目安 |
---|---|
一般的なシングルレバー水栓 (シャワー付きを含む) |
約3~5万円 |
浄水器内蔵型水栓 | 約4~6万円 |
タッチレス水栓 | 約8〜15万円 |
キッチン水栓は使用頻度が高く、パッキンや部品の劣化により約10年が耐用年数になります。水漏れなどのトラブルが起きる前に交換しましょう。
1-2.レンジフードの交換
レンジフードの交換費用は10万円以内でできる場合もありますが、機種によっては10万円を超える場合もあります。おおむね、商品代と工事費で約9〜14万円が目安となるでしょう。
ただし、自動洗浄機能を搭載した上位機種になると、20万円を超えることも少なくありません。
また、レンジフードの耐用年数は約10年といわれ、蓄積した油汚れによって排気能力が下がっていきます。異音や臭いの問題があれば、早めに交換を検討しましょう。


1-3.ビルトインコンロの交換
ビルトインガスコンロの交換費用は、約7〜22万円が目安です。ガスコンロにはグレードがあり、ローグレードからミドルグレードのガスコンロを選ぶと、10万円前後の費用で交換することができます。
ビルトインガスコンロのグレード | 商品代・工事費の目安 |
---|---|
ローグレード | 約7~9万円 |
ミドルグレード | 約9~15万円 |
ハイグレード | 約15〜22万円 |
ガスコンロの火が付きにくい、炎の色が通常と異なるなどのトラブルがある場合は、危険なこともあるので、まずはガス事業者に相談することが大切です。その上で、ガスコンロの交換も視野に検討しましょう。


1-4.壁紙の貼り替え・床の部分張り替え
予算10万円で可能なキッチンリフォームには、設備交換以外にも内装リフォームがあります。
■壁紙の貼り替え
壁紙の貼り替え費用は、キッチンがクローズタイプか、リビングまで一体となったタイプかによって変わります。クローズタイプであれば、壁4面と天井のクロス貼り替えで4万円前後からが費用の目安になります。
キッチンのレイアウトによって、壁紙の貼り替え費用は大きく変わるので、詳細な費用を知りたい場合はリフォーム会社に現地を見てもらい、見積もりを取ってみましょう。


■床の部分張り替え
キッチン部分の床の張り替え費用は、クッションフロアで4万円から、フロアタイルで6万円からが目安になります。フローリングの張り替えになると、17万円以上の費用がかかるでしょう(いずれも6畳の場合)。
また、床下地が傷んでいる場合は、下地の補修が必要です。その場合は、補修費用としてさらに10万円前後の費用がかかります。


1-5.収納の追加
カップボードの設置にかかる費用は20〜40万円が相場ですが、吊戸棚や扉のない造作収納であれば、10万円程度で設置できる場合があります。
■吊戸棚の設置
キッチンの壁面に空いているスペースがあれば、吊戸棚を設置することが可能です。
例えば、間口900~1200mmの吊戸棚の場合、商品代と工事費で10〜17万円が目安になります。
ただし、吊戸棚の台数やグレード、取付下地の追加などの条件によって費用は変動するので注意が必要です。
■造作収納の設置
扉の付いた収納は費用が高くなりがちですが、扉のない造作収納であれば、費用を抑えて設置できる場合があります。
サイズや材質にもよりますが、10万円前後の予算で設置できるでしょう。


2.DIYでできるキッチンリフォームの範囲
部分的にはなりますが、DIYでキッチンリフォームをすることもできます。費用を抑えられるだけでなく、人によってはDIYを楽しめたり、自分で手をかけたキッチンに愛着が沸いたりすることも。DIYは時間がかかるので、まとまった時間を取れる方におすすめです。
2-1.DIYに挑戦できる工事
キッチンでDIYしやすい工事は、キッチン扉のリメイクや壁の模様替えなどが挙げられます。どちらも面積が大きいので、キッチンの印象を変えるのに効果的です。
①キッチン扉のリメイク
キッチン扉をリメイクすると、キッチンの印象がガラッと変わります。リメイクシートのバリエーションもたくさんあるので、お好みのデザインがきっと見つかるはずです。
シートを貼る際には取手を外す必要があるので、取手も扉のデザインに合わせて交換すると、新品のような仕上がりになります。
②壁紙の貼り替え
壁紙の貼り替えは、DIYで施工することも可能です。失敗しても貼り直しがしやすいので、DIYでチャレンジしやすいリフォームといえます。
また、糊が付いた壁紙は破れやすいので、1人で施工するのは困難な場面もあります。慣れていない場合は2人で行ったほうが安心です。
③収納スペースのリフォーム
収納スペースのDIYとして、オープン棚・ツールハンガー・キッチンカウンターをご紹介します。
棚板と棚受けで作るオープン棚
腰高より上に空きスペースがあれば、オープン棚のDIYがおすすめです。よく使うアイテムや映えるアイテムを飾る場所になります。棚受け(ブラケット)は、必ず下地のある箇所に固定しましょう。下地に固定されていないと、落下の原因になります。
壁にツールハンガーを取り付け
壁にツールハンガーを取り付けると、使用頻度の高いキッチンツールを吊り下げ収納することができます。
キッチンカウンターをDIY
カラーボックス2台を離して設置し、上部にカウンター材を渡して固定すれば、収納付きのキッチンカウンターになります。背面にベニヤ板を取り付けてリメイクシートを貼ると、おしゃれになるのでおすすめです。
キッチンのDIYについては、以下の記事もご参考ください。


2-2.必ずプロに依頼するべき工事
DIYが可能なキッチンリフォームは、内装工事を中心としたものです。電気・ガス・水道を扱う工事は、必ず専門の業者へ依頼しましょう。
①水栓の交換
水栓の交換は、配管接続を伴うため漏水リスクが高い工事です。水漏れが起きると、キッチン収納や床下にダメージを与えるだけでなく、階下に被害が及ぶことも。マンションの場合は、階下の住人から損害賠償を求められるケースもあるので注意が必要です。
②コンロの交換
ガスコンロ・IHヒーターいずれも電気とガスを取り扱うため、交換はプロに依頼する必要があります。ガスの場合は液化石油ガス設備士、電気の場合は電気工事士といった資格が必要です。
電気もガスも、不備があれば重大事故につながりかねません。自分で交換することは避け、業者に依頼しましょう。
③照明器具の交換
照明器具には、自分で交換できるものとできないものがあります。
例えば、天井に引掛けシーリングがある場合は、照明器具を引掛けシーリングに接続するだけなので電気工事は不要です。
一方、キッチンの吊戸棚に付いている棚下灯やダウンライトは、分電盤からの配線が直接つながっているため、感電の危険があります。必ず、電気工事士の資格をもつ業者に依頼しましょう。
④床の張り替え
床の張り替えはDIYで施工することも可能ですが、必要な工具が多く、廃材も多く出るので難易度が高い工事といえます。
また、下地が傷んでいれば補修工事も必要です。剥がしてみたら自分では手に負えなかった……といった事態になることも考えられるので、プロに依頼した方が無難といえるでしょう。
3.一般的なキッチンリフォームの費用相場
リフォームガイドの調査によると、キッチン全体を交換する一般的なキッチンリフォームの費用は、73~135万円が相場です。
また、平均費用は96万円となっており、100万円前後の費用をかけてリフォームするケースも多く見られます。
しかし、システムキッチンのグレードを下げるなどの工夫をすれば、60万円程度の予算でリフォームすることも可能です。
交換したい設備が複数箇所ある場合は、キッチン全体を交換したほうが長い目で見てコストダウンになるかもしれません。


4.キッチンリフォーム費用を抑えるコツ
キッチンのリフォームは、工夫次第で費用を抑えることができます。10万円という限られた予算で、希望のリフォームを実現するためのポイントをご紹介します。
- 部分的な改修に絞る
- 必要最低限の機能の商品を選ぶ
- アウトレット品や中古品を活用する
- 使える補助金があれば活用する
- 相見積もりを取って費用を比較する
4-1.部分的な改修に絞る
キッチン全体のリフォームは安く見積もっても、60万円以上の費用がかかります。10万円の予算でリフォームするには、部分的な交換や改修に絞ることがポイントです。
また、DIYによる扉のリメイクや収納の追加であれば、10万円もかからずできることも。どこを改善したいのかよく検討しましょう。
4-2.必要最低限の機能の商品を選ぶ
最新のキッチン設備は、スマホから転送したメニューを自動で調理するガスコンロや、手をかざすだけで水が出る水栓など、高性能な機能を備えたものが多くあります。
しかし、高性能になるほど価格も高くなるので、自分にとって必要な機能なのかよく吟味することが大切です。
4-3.アウトレット品や中古品を活用する
展示品やアウトレット品を活用すると、商品代を安く抑えることができます。型落ち品や多少の傷があっても気にならない方は、検討する価値があります。こういった格安商品を使って費用を抑えることはできないか、リフォーム会社に予算を伝えながら相談してみましょう。
ただし、保証期間が短かったり、保証がなかったりする場合もあるので注意が必要です。購入前に保証やアフターサービスについても確認しておきましょう。
4-4.使える補助金があれば活用する
自治体によっては、キッチンリフォームに対して補助金を受けられる場合があります。条件は自治体によって異なり、予算上限に達すると終了するので、今回のリフォームで利用できそうかどうか、事前に確認しておきましょう。
また、介護保険による住宅改修は通年で申請できます。段差の解消や手すりの取り付け、滑りにくい床材への変更などが対象の工事になります。要支援・要介護認定を受けている場合は検討してみましょう。




4-5.相見積もりを取って費用を比較する
リフォームをどこに頼むかによって費用が変わるケースは少なくありません。それを判断できるのが「相見積もり」です。3社程度見積もりを比較すると、相場を把握できるでしょう。
見積もりを依頼する際には、商品のグレードや使用する部材・材質は、同等の条件に統一し、公平に比較することが重要です。
また、費用の比較が重要ではありますが、施工実績の豊富さや業者の対応など、総合的に判断するようにしましょう。


5.まとめ
10万円の予算でも、キッチンを部分的にリフォームすることは十分可能です。DIYに挑戦すれば、10万円もかからずにリフォームできる場合もあります。ただし、電気・水道・ガスに関連する工事は、資格を持つプロに任せましょう。
また、最新のキッチン設備には便利なものが増えていますが、本当に自分にとって必要なものなのか、取捨選択することもコストダウンのコツといえるでしょう。
リフォームガイドでは、専属のコンシェルジュがお客様のヒアリングを行い、ご要望にあった専門業者をご紹介しています。リフォーム費用を抑えるために欠かせない相見積もりも手間なくご手配可能です。キッチンリフォームをお考えなら、ぜひリフォームガイドをご活用ください。