
古い戸建て住宅をフルリフォームするには、外装や構造体なども含めてリフォームを考えなければならないため、1000万円でフルリフォームするのはハードルが高いことが多いです。しかし、決してできないわけではなく、条件によっては1000万円程度でフルリフォームが可能な場合もあります。
今回は予算1000万円でできる戸建てのフルリフォームについて解説し、事例や費用を抑えるポイントを紹介します。どのような条件ならフルリフォームが可能なのか詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.予算1000万円でできる戸建てフルリフォームとは?
そもそもフルリフォームとは、家全体をリフォームすることを言います。戸建て住宅の場合は、大きく分けて次の2パターンです。
- 内装のみフルリフォームする
- 内装・外装をフルリフォームする(骨組み以外を解体しスケルトン状態からリフォーム)
では、予算が1000万円と決まっている場合、どのようなフルリフォームができるのか見ていきましょう。
内装のみのフルリフォームなら1000万円でできる
戸建て住宅の内装のみをフルリフォームするのであれば、1000万円で収まる可能性があります。外壁や屋根といった外装部分はスケルトンにせず、塗装程度のメンテナンスにとどめるケースです。
<内装のみフルリフォームする場合の工事内容の例>
- 家全体のクロス(壁・天井)や床の張り替え
- 水回り4点(キッチン・浴室・洗面室・トイレ)の設備交換
- 配管交換
- 配線交換やコンセント移設・増設
- 間仕切り壁撤去など、軽微な間取り変更
ただし、上記の内容を1000万円で全て行うには、以下の条件をクリアしなければなりません。
- 外装・構造体に激しい傷みがない(適切にメンテナンスされている)
- 大掛かりな耐震補強工事が必要ない
- 建坪25坪程度まで
- 設備や内装のグレードを上げすぎない
外装+内装のフルリフォームは1000万円を超える
戸建て住宅の内装だけでなく、外装まですべて新築同然にするフルリフォームの場合、予算1000万円を超えます。屋根や外壁といった外壁の劣化が進行している場合、そのままでは雨漏りなどのリスクがあるため放置できません。
築40年以上の物件は、さまざまな箇所にダメージが及んでいる可能性があるため、外装を含めたスケルトンリフォームが推奨されることが多いです。
築40年の戸建てリフォームに関する詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。




大掛かりな耐震補強をすると1000万円を超える
そして、リフォーム費用が上がりやすいのが、耐震性が不足している戸建て住宅です。建物の規模や耐震補強の方法によっては1000万円でも収まりますが、大掛かりな補強工事になると予算オーバーすることもあるでしょう。
特に注意したいのが、2000年以前に建てられた戸建て住宅です。最新の耐震基準では建てられていないため、補強工事が必要になることが少なくありません。
耐震補強の 必要性 |
建築確認済証 発行日 |
耐震基準 | 耐震性 |
---|---|---|---|
高 | 〜1981年5月 | 旧耐震基準 | 大地震が考慮されていない可能性あり |
中 | 1981年6月〜 | 新耐震基準 | 壁配置バランスや接合部が不十分な可能性あり |
低 | 2000年6月〜 | 現行耐震基準 | 新耐震基準に加え、壁配置バランスや接合部の対策もされている |
耐震工事はこちらの記事で詳しく紹介しています。


▼こちらの記事では築年数別の優先リフォーム内容や、部分的なリフォーム費用を解説しています。


2.1000万円程度で戸建て住宅をフルリフォームした事例
予算1000万円程度で、具体的にどのようなリフォームができるのでしょうか。今回は実際に1000万円前後でフルリフォームした事例を4つご紹介します。
【872万円】内装や設備の入れ替え(築10年)
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1階と2階の内装をフルリフォームし、1000万円以内に収めた事例です。
116㎡とゆとりのある広さですが、築10年程度であったことと、大きな間取り変更を行わなかったことが1000万円以内で実施できた要因でしょう。水回りの設備も交換し、使い勝手がよくなりました。
LDKの隣にある和室は、折れ戸にして解放感を出せるようにしました。
費用 | 872万円 |
---|---|
築年数 | 10年 |
間取り | 4LDK |
面積 | 116㎡ |
リフォーム箇所 | LDK、浴室、洗面室、トイレ、洋室、玄関 |
新しくした設備 | キッチン、浴室、洗面化粧台、トイレ |
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/362
【1065万円】間取り変更とこだわりの内装(築25年)
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LDKを1階から2階に移設し、内装や設備も一新させたフルリフォームの事例です。キッチンの移動なども含みますが、80㎡とコンパクトな住まいのため、1000万円程度で実施できました。
屋根裏収納をロフトにするリフォームもしています。2階のLDKに吹き抜けを設けることができ、より明るさと開放感が生まれました。
リフォーム前は雨漏りも見られており、外壁や屋根の工事しています。
費用 | 1065万円 |
---|---|
築年数 | 25年 |
間取り | 2LDK |
面積 | 80㎡ |
リフォーム箇所 | 家全体 |
新しくした設備 | キッチン、浴室、洗面化粧台、トイレ |
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/1137
【940万円】狭小住宅|耐震補強と間取り変更(築30年)
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築30年で耐震性能に不安があったため、内装・外装のフルリフォームと同時に耐震補強も行った事例です。外装+耐震補強を伴う大掛かりなリフォームですが、延べ床面積が約65㎡とコンパクトなため1000万円以内で実施できました。
キッチンと浴室は位置を入れ替えており、家事動線の改善を図りました。
耐震補強のために追加した「筋交い」や柱を塗装することで、内装のアクセントとして利用しています。
費用 | 940万円 |
---|---|
築年数 | 30年 |
間取り | 3LDK→2LDK |
面積 | 64.9㎡ |
リフォーム箇所 | LDK、浴室、洗面室、トイレ、洋室、和室、外装、耐震補強 |
新しくした設備 | キッチン、浴室、洗面化粧台、トイレ、給湯器 |
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/380
3.戸建て住宅のフルリフォームの費用を抑えるポイント
戸建てはリフォーム箇所が多く、あちこち手を加えるとあっという間に予算オーバーします。費用を抑えるコツを抑えておくと、予算オーバーしにくくなるはずですので下記のポイントを確認しておきましょう。
[1] リフォーム箇所の優先順位を決める
まずは、家のどこを優先してリフォームすべきなのか考えてみましょう。もし外壁がボロボロで雨水がしみ込んでいる状況なのに、内装リフォームを優先させると、そう遠くないうちに構造体に深刻なダメージが及びます。
そのため、優先順位は「外装→設備交換→内装」の順に考えるのがおすすめです。築年数が古い場合は、安全面から耐震性能や断熱性能改善を優先するとよいでしょう。
▼築年数別の必要なリフォームはこちら










[2] 水回り・階段・大幅な間取りの変更を避ける
水回りや階段の移動、大幅な間取りの変更を伴うリフォームは、費用が高くなるため、費用を抑えたいのであれば避けた方がよいでしょう。水回り一式を1階から2階に移動させると、配管工事の関係で費用が高額になります。階段は架け替えで60~100万円、位置移動で150~300万円と高額です。そのため、今の間取りをできるだけ活かすことが、費用を抑えるポイントとなります。
[3] 補助金の活用により出費を削減
戸建てのフルリフォームは補助金を活用できる可能性があります。例えば、2025年に注目したいのが「住宅省エネ2025キャンペーン」。3つの事業から成り、「先進的窓リノベ事業」では窓や玄関の断熱リフォームで一戸あたり最大200万円、「子育てグリーン住宅支援事業」では外壁や床などの断熱改修や、省エネタイプのトイレや浴室などを導入することで最大40〜60万円の補助金が支給されます。
他にもバリアフリー化や省エネ化、耐震補強などのリフォームに関しては、国や自治体による補助金制度が豊富です。お住まいの地域やリフォームのタイミング、工事内容によって使える補助金は変わってくるので、ぜひ補助金に詳しいリフォーム会社に相談しましょう。
戸建てフルリフォームに関する補助金の詳しい情報は、下記記事で解説しています。
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4.まとめ
予算1000万円で戸建て住宅をフルリフォームできるのは、主に外装や構造体に問題がない場合です。外装や耐震性能に問題がある場合は、そちらの改修を優先させたいため、予算が1000万円だと不足する可能性が高くなります。予算内に収めるには、まずどこを優先してリフォームすべきか考えましょう。
「どこを優先すべきか分からない」「外装も直さないといけないけれど、内装もやっておきたい」など、リフォームに関する疑問や悩みがあれば、まずはリフォーム会社に相談することをおすすめします。リフォーム会社によって「耐震補強の実績が豊富」「インテリアコーディネーターが内装を提案してくれる」など、それぞれ特徴や得意分野があるため、ご自宅の状態やお悩み、要望に合わせた会社を選んで相談することも大切です。
ご自身にぴったりのリフォーム会社を見つけたい方は、リフォームガイドもご活用ください。お客様の希望をヒアリングし、最適なリフォーム会社を紹介してもらえます。