築50年の家はリフォームできる?判断基準や失敗しないポイントも紹介

「思い入れのある家を引き継げる」「今の住宅にはない趣がある」などの理由で築50年の家をリフォームしたいと思っている人も多いのではないでしょうか。

築50年の家は「床がきしむ」「夏は暑くて冬は寒い」などの問題を抱えていることが多く、リフォームするなら大規模なリフォームになります

リフォームで解決できるにしても、「築50年を過ぎた家をはたしてリフォームするべき?「建て替えや住み替えのほうがいいのでは?」と疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は築50年の家でリフォームをおすすめしないケースや、リフォームする場合の必要なリフォーム費用相場などを解説します。あわせて築50年の家をすてきにリフォームした事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。


1.築50年の家|リフォームをおすすめしないケース

築50年の家すべてがリフォームできるとは限りません。では、どのようなケースがリフォームに適していないのでしょうか。

【建物の状態】構造体に重大な欠陥が生じている

リフォームするのであれば、構造体に問題ないのが大前提です。もし欠陥があったとしても一部のみであったり、軽微な場合は補修してリフォームが可能になります。

しかし家全体に腐食が及んでいたり、シロアリ被害にあってボロボロになっていたりするとリフォームは難しくなるでしょう。特に長年点検をしていない家は補修できないほど欠陥が広がっている可能性が高くなります。

自分で住宅の状態を判断するのは難しいため、プロに建物の状態を詳しく見てもらう必要があります。

ホームインスペクション(住宅診断)やリフォーム会社の現地調査を受け、リフォームの可否を教えてもらいましょう。
回答

【居住年数】20~30年以上住む予定がある

建物の状態にもよりますが、築50年の木造住宅をリフォームした場合、その後の寿命は20~30年程度が目安です。この先住む年数が30年以内であればリフォームを検討するのもよいですが、この先30年以上暮らす予定があれば、建て替えのほうが適しています。

住む人の年齢や、子や孫に相続する予定があるのかといった今後を見据えて、リフォームを検討するのがおすすめです。

再建築不可物件はリフォームのみ!
※ただし2025年からリフォームもできなくなるかも

再建築不可物件とは、建築基準法により定められた接道義務(道幅4m以上の道路に2m以上接していないといけない)を果たしていない土地に建てられた家屋のことで、その名の通り建て直しができません。つまりリフォームしか方法がないのです。

ただし、2025年の建築基準法改正により、一部の住宅ではスケルトンリフォームなど大規模リフォームの許可が下りなくなる可能性があります。詳しい情報や対策方法はこちらをご覧ください。

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築50年の家をリフォームするか建て替えるか判断する際の情報が知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

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3.築50年の家に潜む問題点と必要なリフォーム

築50年の家には、以下の問題点が潜んでいます。

築50年住宅が抱える5つの課題

出典:http://www.8044.co.jp/gallery/381(左上)//https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=71(右上)/http://www.8044.co.jp/gallery/447(左下)

築50年の家は旧耐震基準も満たしていない可能性が高く、大地震で倒壊するリスクが高いことがなによりの懸念点です。

さらに当時の家には断熱という考えは広まっておらず、無断熱の家も多く見られます。

また50年も経過すれば配管が腐食し、水漏れの原因になります。定期的に点検していない家では、外壁の亀裂から雨水が染み込み、構造体が劣化していることも。

安全性とは別の観点になりますが、50年前と現代ではライフスタイルが異なるため、間取りが使いにくいといった部分も築50年の家の問題点としてあげられます。

これらの問題点を踏まえて、以下では築50年の家で行ったほうがいいリフォームを解説します。
回答

耐震・断熱リフォーム

30年以内に70~80%の確率で南海トラフ巨大地震が起こると言われていますし、そのほかの巨大地震にもいつ見舞われるか分かりません。旧耐震も満たしていない家は倒壊し、命を脅かすものになってしまうので、必ず耐震性を向上させましょう

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また断熱性が低いと外気温の影響を受けやすく、夏は暑く冬は寒い家になります。過ごしにくいだけでなく、熱中症やヒートショックなど健康被害にもつながるので、リフォームの際に断熱性も高めましょう。

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配管や配線の交換

配管や配線など、普段は見えない部分も交換しましょう。先ほども触れたように、50年以上使用している配管は腐食している可能性が高く、そのままにしておくと水漏れの原因に。

また間取り変更に伴い、配線計画を見直し使いやすさを向上させたり、古い分電盤も交換するとよいでしょう。

外壁や屋根の補修

雨漏りを頻繁にする家であれば、屋根や外壁のリフォームは必須です。雨漏りはなくとも、外装のメンテナンスをこまめにしている家でなければ塗料の防水性能が落ちていたり、ひび割れが起きている可能性が高いです。

家の寿命を延ばすために、雨漏りをさせない家にすることはとても大切ですので、屋根や外壁の劣化は修復するようにしましょう。

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間取り変更

築50年の家は、部屋が細かく襖で仕切られている、台所が居間から離れているなど、昔ながらの間取りであることが多いでしょう。

例えばLDKをひと続きの空間にしたり、押し入れをクローゼットにしたりと間取りを使いやすくするリフォームも一緒に考えると良いでしょう。古い家でよくみられる段差の多さも、一緒に解決することができます。

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骨組みだけを残してすべて作り変える「スケルトンリフォーム」と呼ばれるリフォームを行えば、上記のリフォームを一気にでき、築50年の問題点はほとんど解決することができます。
次では、築50年の家のリフォームにかかる費用を具体的に見ていきましょう。
回答

3.築50年の家をリフォームする費用相場

築50年の家をリフォームするには、約1,500万円以上が必要です。

築50年の戸建て住宅のリフォームにかかる費用相場
述べ坪(建物の各階の床面積の合計)(単位:万円)
20坪
(66㎡)
30坪
(99㎡)
40坪
(132㎡)
50坪
(165㎡)
60坪
(198㎡)
1500~
2000
1800~
2500
2200~
3000
2600~
3400
3200~
4400

※内装・外装ともにスケルトンリフォームした場合の前提
※木造軸組み工法の建物の前提
※税別の前提

上記の費用は、スケルトンリフォームという骨組みだけを残し、あとは全部作り変える大規模なリフォームをする場合の費用です。

築50年の家は内装だけでなく、耐震、断熱、配管、電気系統などさまざまな箇所をリフォームせざるを得ないケースが多いため、スケルトンリフォームやそれに近い大規模なリフォームをすることが多くなります

また表の価格に開きがあるのは、以下の理由が考えられます。

  • 家の劣化度合い
  • 水回りなどの設備や建材のグレード
  • 施工業者 ※一般的に地元の工務店は安く、大手リフォーム会社は高い

建物内部の劣化が酷く、補修に時間がかかる場合は、新築よりもコストがかかってしまうことも。見積もり次第では、建て替えを検討してもいいかもしれません。

予算がないからと言って、内装だけなど部分的にリフォームしても、根本的な解決にはなりません。住む人の安全や健康を守るためにも、不足資金をローンで補うなどして、全面的にリフォームしたほうがよいでしょう。
回答
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4.築50年の家のリフォームを失敗しないためのポイント

築古物件は部分的な補修ではなく、家全体を見直す必要があります。多額の費用も必要となるため、失敗しないためのポイントを押さえておきましょう。

ホームインスペクションを受ける

私たちが家を見ただけでは、どこにどう問題があるのか分かりづらいもの。プロにホームインスペクション(住宅診断)を依頼し、家の欠陥部分を調査してもらいましょう。ホームインスペクションの費用は、簡易的なもので5~7万円全体をしっかり見てもらう場合は10~15万円ほど必要です。

予算には余裕をもって契約する

壁や床を剥がしてはじめて欠陥部分が見つかるケースも少なくありません。着工後に見つかった欠陥部分は追加工事として請求されるため、予算に余裕を持っておく必要があります。

施工業者を選ぶ際は、契約前に追加工事の扱いについて丁寧に説明してくれる業者を選ぶとよいでしょう。
回答

5.築50年の家をリフォームした事例

ここからは築50年の家をステキにリフォームした事例を3つ紹介します。

趣を残しながら現代の生活に合った家にリフォーム(~2,000万円)

※横にスクロールできます

築50年のリフォーム事例①ビフォー
築50年のリフォーム事例①アフター
費用 1,000~2,000万円
間取り 8LDK→4LDK+書斎
面積
工期 3ヵ月
内容 外壁含むフルリフォーム

古い家のいいところは残しつつ、現代の生活に適した間取りや設備になるようフルリフォームした事例です。建具や梁を生かし、和とヴィンテージと北欧がほどよくミックスされたオシャレな内装に仕上がっています。

キッチンは、壁付けの独立キッチンを対面式のオープンキッチンに変更。家族ともコミュニケーションが取りやすくなり、開放的な空間の中で料理ができます。

広縁は、壁・床・天井に断熱材を施工することで隙間風を防ぎ、引き戸を2重サッシにすることで断熱効果もアップさせました。

間取りは大幅に変更せず、利用できる間取りや建具はそのままにすることで、費用を節約しました。

出典:https://www.artreform.com/example/882/

基礎から補強し安心して暮らせる家に(2,344万円)

※横にスクロールできます

築50年のリフォーム事例②ビフォー
築50年のリフォーム事例②アフター
費用 2,344万円
間取り 10DK→4LDK
面積 165㎡→122㎡+車2台分のガレージ
工期 3ヵ月
内容 スケルトンリフォーム(減築含む)

木造とブロック造の混合構造の建物をリフォームした事例です。

賃貸物件と併用していた家を、家族が暮らす間取りにするため、スケルトンリフォームを行い間取りを一新。たくさんあった部屋をまとめ、一部を収納スペースとして活用しました。

スケルトンリフォームで外観も一新。ブロック造側はモルタルと塗装仕上げ、塗装木造側をサイディング仕上げにしました。

耐震補強は、柱や梁のつなぎ目に耐震金物を施工し、必要に応じて布基礎を追加しています。

キッチンは、独立タイプからオープンキッチンに変更。オープンタイプですが、壁付けにすることで独立タイプのように調理に集中できる環境になりました。

出典:https://www.8044.co.jp/gallery/381

基礎・断熱・耐震補強&回遊できる便利な間取り(2,370万円)

築50年のリフォーム事例③ビフォー
築50年のリフォーム事例③アフター
費用 2,370万円
間取り 3DK→2LDK
面積 120㎡
工期 6ヵ月
内容 フルリフォーム

薄暗い部屋もあり、使いにくさを感じていた築50年を過ぎた家で、耐震性や断熱性にも不安がありました。

そこで家の中央に大きく回遊できるリビングを配置し、同じ空間にキッチンと書斎も追加。明るい光が差し込む、風通しのよいLDKになりました。

また基礎・耐震性・断熱性を見直し、家族の安全と健康を守れる家に生まれ変わっています。

出典:https://freshhouse.co.jp/case/17051/


6.まとめ

すべての築50年の家がリフォームできるわけではありません。構造体の状態や住む年数によって判断が分かれるからです。ただし私たちが家の状態を見てリフォームできるかどうか判断するのは難しいため、事前にホームインスペクションを依頼し、リフォームの可否を判断してもらうとよいでしょう。

リフォームガイドでは、スケルトンリフォームやフルリフォームを得意とする会社を紹介できます。厳しい審査を通過した優良業者のみ紹介するので、お気軽にご相談ください。

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