築60年の家はリフォームできる?工事内容・費用・事例など徹底解説

長年住み続けた家の思い出や、古い日本家屋ならではの趣を残したい場合、リフォームが検討されます。しかし築60年ともなると、家のあちこちが古くなっており、耐震性なども気になるところ。リフォームで対応できるのか、建て替えるしかないのかと迷っている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は築60年の戸建て住宅がリフォームできるのかどうか、迷ったときの判断軸とともに解説します。優先的に実施したいリフォーム内容や費用、築60年以上の家のリフォーム事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。


1.築60年の戸建て住宅はリフォームできる?

そもそも築60年の戸建て住宅は、リフォームできるのでしょうか。リフォームが可能かどうかの判断は、元の家の状態によって大きく変わります。

建物の状態がよければリフォームできる

築60年の戸建て住宅は、建物の状態さえよければリフォーム可能です。内装や設備などの表面的な部分はリフォームすればいいので、家の骨組みとなる構造体の状態が重要になります。定期的にメンテナンスされていて、構造体の腐食なども少なければ、リフォームできるでしょう。

構造体の劣化がかなり進んでいるとリフォームできない

しかし構造体がボロボロになっている場合、高額な費用をかけて無理にリフォームをしたところで、一定以上に性能を回復させるのが難しくリフォームを断念せざるを得ないこともあります。

長い間人が住んでいなかった家や、点検や修理がほとんど行われていなかった家では、とくに注意が必要です。雨漏り・漏水・腐食・シロアリ被害などは、部分的な傷みであればそこを修繕すれば問題ありませんが、家全体に被害が及んでいる場合はリフォームが難しいこともあるでしょう。


2.築60年の戸建て住宅をリフォームするかどうかの判断軸

物理的にリフォーム可能であっても、建て替えとどちらを選ぶかは迷うところです。そんなときは「費用・今後の居住年数・再建築不可物件」の3つの判断軸で考えてみましょう。

関連記事:リフォームか建て替えか?どちらがいいか徹底比較|費用・寿命・工事制限など

[費用] 建て替えと変わらない費用がかかる場合も

まずは今の建物を調査して、リフォームと建て替えにどのくらいの費用がかかるのか、見積もりを出してもらうとよいでしょう。基本的にはリフォームの方が費用を抑えられますが、建物の状態が悪いと建て替えと同じくらい高額なリフォーム費用がかかることもあるので注意が必要です。

[今後の居住年数] あと20年以上住みたいなら建て替えも検討

リフォームや建て替えをした後、その家に何年くらい住みたいかも重要な判断軸になります。これから先10〜20年程度暮らせればいい、その後また改めて建て替えや住み替えを検討したいという場合、今回はリフォームでも十分かもしれません。20年以上住む予定がある方、そのまま子や孫へ引き継ぎたい方は、建て替えも検討したほうがよいでしょう。

[再建築不可物件] 建て替えができない住宅ならリフォームしかない

そもそも建て替えしようとしても建築確認申請が通らず、リフォームを選ぶしかないケースもあります。例えば、土地が幅4m以上の道路に2m以上接していない(接道義務を満たしていない)場合などは、原則として建て替えができません。

また2025年の建築基準法改正で、木造二階建ての大規模リフォームでも建築確認申請が必要になります。再建築不可物件で大規模リフォームを検討中の方は、改正前に済ませるのがおすすめです。

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3.築60年の戸建て住宅のリフォームにかかる費用

築60年の戸建て住宅では、内装や設備の交換だけでなく、耐震や断熱の問題を解決したり構造体の劣化部分を修繕したりと幅広いリフォームが必要になります。

スケルトンリフォームと呼ばれる、骨組みのみ残して内装・外装を解体してつくり直すような大規模なリフォームをすすめめられることも多いでしょう。スケルトンリフォームを行う場合、築60年をリフォームする費用は、30坪の家で2100~2700万円ほどになります。

スケルトンリフォームの費用は、建物の広さによって大きく変わってきます。

築60年の戸建て住宅のリフォームにかかる費用相場
述べ坪(建物の各階の床面積の合計)(単位:万円)
20坪
(66㎡)
30坪
(99㎡)
40坪
(132㎡)
50坪
(165㎡)
60坪
(198㎡)
1800~
2200
2100~
2700
2400~
3100
2800~
3600
3400~
4200

※内装・外装ともにスケルトンリフォームした場合の前提
※木造軸組み工法の建物の前提
※税別の前提


4.築60年の戸建て住宅で優先すべきリフォーム内容

リフォーム費用を抑えたい場合は、優先度の高いリフォームから実施しましょう。

まずは安全性等に関わる耐震・外装・断熱・配管などを優先させたうえで、余裕があれば水回り・間取り・内装・バリアフリーなどのリフォームを行うのがおすすめです。

・耐震リフォーム

【優先度:高】

築60年の戸建て住宅で一度も耐震改修が行われていない場合は、現在の耐震基準に適合していないことがほとんど。まずは耐震診断を受けて、適切な耐震リフォームをすることが大切です。

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・外装リフォーム

【優先度:高】

屋根や外壁などの外装も、優先度の高い箇所です。外装の劣化を放置していると、雨水が入って構造体の腐食につながるリスクがあります。必要に応じて屋根の葺き替えや外壁の張り替え、塗装などを行いましょう。

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・断熱リフォーム

【優先度:高】

築60年で今まで断熱改修をしたことがない場合は、家に断熱材が一切入っていないことも。特に冬場の底冷えや隙間風は深刻です。断熱効果の高い窓に交換する、内窓をつける、天井・床下・壁に断熱材を敷き詰めるなどすると、快適に過ごせます。

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・配管の更新

【優先度:高】

水やお湯を供給したり、外に排水したりする配管。古くなると内部が錆びてサビ水が出たり、水漏れしたりすることがあるので交換が必要です。床や壁の工事が必要だったり、間取り変更で配管の位置が変わったりすることもあるので、大きなリフォームと同時に検討すると効率がよいでしょう。

・水回りリフォーム

【優先度:中】

築60年の家では、寒くて掃除が大変なタイル張りの在来浴室、足腰に負担がかかる和式トイレなどが使われていることも。新しいシステムバス、洋式トイレ、システムキッチン、洗面台などに交換すると、衛生的で使い勝手がよく、掃除も楽になります。

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・間取り変更

【優先度:中】

築60年の家の間取りは「小さな和室が連なっている」「台所から居間が遠い」「脱衣所がない」など、現代の暮らしに合っていないことも。開放的なLDKをつくったり、水回りの動線を見直したりと、間取りを変えるのもおすすめです。

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・内装リフォーム

【優先度:中】

余裕があれば、クロスの張り替えや床材の交換などの内装リフォームをすると、快適で心地いい空間になります。すべての部屋をリフォームできない場合、よく過ごす部屋や劣化の激しい部分から取り組みましょう。

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・バリアフリーリフォーム

【優先度:中】

土間から座敷へと上がる段差が大きかったり、階段が急すぎたりすると、小さなお子様や高齢の方にとっては住みづらいことも。バリアフリーリフォームを行うと、安全で住みやすくなるでしょう。

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5.築60年のリフォーム事例

築60年超の日本家屋の趣を活かしたリフォーム

城下町の築60年超の日本家屋を、趣を残しながらリフォームした事例です。
耐震補強や断熱リフォームを施したうえで、レトロな空間に現代の暮らしやすさをミックスしました。

出典:https://freshhouse.co.jp/case/11757/

リビングは和室のまま、ダイニングとキッチンは無垢床に。貴重な型ガラスや飾り格子の障子などは残しながら内装リフォームしました。

日本家屋らしい縁側は残して、サンルームのように使用。屋外側のガラス戸は断熱・防犯面で不安があるため、室内側に断熱サッシを設置しました。

リフォーム費用 500〜800万円
リフォーム面積 約100㎡
工事期間 約2ヶ月
築年数 築60年超

築60年で増築を重ねた家を耐震補強リフォーム

築60年の歴史のなかで、増築を重ねていた戸建て住宅。
老朽化した配管や土台を新しくして、梁の補強や耐震金物の設置などの耐震補強を実施。家の内部は、水回りを中心にリフォームしました。

※横にスクロールできます

出典:https://www.8044.co.jp/gallery/265

和室とDKをつなげて洋室化し、広々としたLDKに。壁付けキッチンは、リビングやダイニングが見渡せる対面キッチンに変更しました。

タイル張りで寒々しかった在来工法の浴室。新しいシステムバスを設置して、浴槽も大きくなりました。洗面脱衣所との段差も解消しています。

リフォーム費用 734万円
リフォーム面積 約186㎡
工事期間 約3ヶ月
築年数 築60年

6.まとめ

築60年の家では、耐震・外装・断熱・配管などのリフォームが必要です。予算に合わせて、水回り・間取り変更・内装・バリアフリーなどのリフォームも実施します。建物の状態によっても必要な工事や費用が変わってくるので、まずはリフォーム会社に現場調査を依頼するとよいでしょう。

築年数が経っているからこそ、安全面に大きな問題を抱えていることも。構造体に大きな問題があれば、高額なリフォーム費用がかかったり、リフォームができなかったりすることもあります。今後も安全かつ快適に住みつづけるためには、建物の劣化状態や構造を把握して、必要なリフォームを見極めることが大切です。

築60年の家のリフォームを成功させるには、リフォーム選びがキーポイントになります。同様のリフォーム実績が豊富で、高い知識や技術を持った会社であれば、耐震や断熱についても適切なプランを提案してもらえるでしょう。

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