
「所有している賃貸マンションが古くなった。最近は空室が目立ってきたな…」
賃貸マンションの入居率を上げるためにリフォームを検討しているものの、費用や投資すべき場所がわからず悩んでいるオーナー様もいらっしゃるでしょう。
本記事では、入居率アップや家賃収入向上につながるリフォームや工事の費用相場を詳しく解説します。 賃貸マンションでのリフォーム施工事例やコストをおさえる3つのコツもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
効果的なリフォームで賃貸マンションの空室を解消し、安定した経営を目指しましょう。
目次
1.賃貸マンションの空室対策におすすめのリフォームと費用相場
賃貸マンションの空室対策におすすめのリフォームと費用相場は、以下のとおりです。
リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
水まわりの交換 | 20~138万円 |
内装改修 | 3.5万円~100万円 |
断熱工事(内窓) | 6~15万円/箇所 |
間取り変更(全面改修) | 20~860万円 |
入居者にとって魅力的なポイントを改善すれば、空室を減らして安定した家賃収入を得られます。それぞれを詳しく解説します。


1-1.水まわりの交換
賃貸マンションの空室対策には、水まわりの交換が効果的です。
築15~30年を超える物件の水まわり設備は、築年数の浅い物件よりも設備の見た目や機能がどうしても劣ってしまいます。水まわりが古いと「清潔感がない」「不便」といった印象になり、入居率が低下しやすくなります。
女性やファミリー層の入居率を上げるためにも、リフォームして清潔で使いやすい水まわり設備に一新するのがおすすめです。
また、ひとり暮らし向けの賃貸マンションの場合、トイレ・バス・洗面台が一緒になった「3点ユニットバス」になっていることもあります。この3点ユニットバスは入居者が避ける傾向がある設備なので、リフォームで分離しておくのがおすすめです。
以下に水まわりの費用相場をまとめています。ぜひ参考にしてください。
リフォーム内容 | 費用相場 |
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キッチン交換 | 64~114万円 (ミニキッチンなら28~50万) |
トイレ交換 | 21~33万円 (和式を洋式に変更:21~40万) |
浴室改修 | ユニットバス交換:63~138万円 浴槽交換:15~55万円 シート張替:10~20万円 |
3点ユニットバスの分離 | 20~180万円 |
洗面化粧台交換 | 21~36万円 |




1-2.内装改修
物件全体の雰囲気を一新したいなら、内装をリフォームするのが効果的です。壁紙や床などを張り替えれば、築年数が経った物件でも魅力的な印象に早変わりします。
大衆向けにしたいなら、明るい色の壁紙に張り替えて開放的な印象にするのがおすすめです。独り暮らしの若者をターゲットにするなら、コンクリート調の壁紙に張り替えて都会的な雰囲気を醸し出す方法もあります。
入居率をあげるためにも、リフォームする際はインテリアコーディネーターが在籍する会社を選びましょう。入居者にあわせて内装をコーディネートしてもらえますよ。
リフォーム内容 | 費用相場 |
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壁紙の張り替え | 1,000円~1,600円/㎡ (6畳:3.5万円程度~6万円程度) |
床張り替え | 5~18万円(6畳) |
和室を洋室に改修 | 9~100万円 |






1-3.断熱工事
寒い部屋を暖かくして快適にしたいなら、断熱工事を検討してみてください。以下は断熱工事の費用相場です。
リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
内窓 | 6~15万円/箇所 |
壁・床・天井に断熱材を施工 | 2千~2万円/㎡ |
内窓リフォームはとくに費用対効果が抜群なのでおすすめです。
窓は家の中でもっとも熱の出入りが激しい部分なので、内窓を設置するだけで光熱費は月に1,670円も節約できます(※1)。また内窓の設置は結露対策にもなるため、カビやダニの繁殖もおさえられる点も入居者にとって大きなメリットになります。
ただし、窓の工事はマンションの管理規約で制限されている場合があります。管理規約を確認したうえでリフォームを依頼しましょう。
※1出典:インプラス(内窓)の特長 – [断熱効果]をプラス


1-4.間取り変更
幅広いターゲット層にアピールするためにも、間取りは時代に合ったものにリフォームするのがおすすめです。
たとえば、従来の2DKの間仕切りを撤去して1LDKにすると、単身者や若いカップルにも魅力的な物件になります。収納スペースを増やせば、より多くの入居希望者に訴求できる物件へと生まれ変わります。
空室リスクを避けるためにも、ターゲット層のニーズにあわせた今どきの間取りへリフォームするのが得策です。
以下は、間取り変更の費用相場の一例です。間取りを「リビングだけ変更するか」「大幅に全面改修するか」など変更範囲を迷われている方は、下記を参考に検討してみてください。
リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
2DK→1LDK | 20万円~ |
全面改修 | 450~860万円 |


2.【施工事例】賃貸マンション・アパートのリフォーム
ここでは、賃貸マンションやアパートをリフォームし、デザインや性能を一新した事例を2つ紹介します。
2-1.流行を取り入れた賃貸物件へリフォーム(290万円)
※横にスクロールできます


費用 | 290万円 |
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築年数 | 25年 |
施工面積 | 60㎡ |
施工内容 | キッチン/洗面台/ユニットバス/便座/和室の洋室化/内装 |
オーナーの交代を機に、賃貸アパートをリフォームした事例です。内装や設備を最新のトレンドを取り入れて一新し、全体的に明るい空間となりました。
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/240
2-2.2DKから1LDKにフルリフォーム(332万円)
※横にスクロールできます


費用 | 332万円 |
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築年数 | 25年 |
施工面積 | ー |
施工内容 | 間取り変更/キッチン/ユニットバス/トイレ/洗面/内装 |
空き室が続いていた賃貸を、2DKから需要の高い1LDKにフルリフォームした事例です。内装はモノトーン調にして、男女共に受け入れやすい仕上がりになっています。
出典:https://www.yutoriform.com/products/full/remodeling/case/renthouse/07/
3.賃貸マンションのリフォーム費用をおさえる3つのコツ
賃貸マンションのリフォーム費用をおさえるには、下記が効果的です。
- 設備グレードを調整する
- 複数の業者から見積もりをとる
- 地元の優良工務店に依頼する
コツを押さえて、賢くリフォームしましょう。
3-1.設備グレードを調整する
設備機器のグレードは賃貸向けに最適化しましょう。
キッチンやお風呂などの設備機器は、グレードが大きく3段階に分かれているのが一般的で、賃料が低い物件には一番下のグレードのものが採用される傾向があります。
賃貸物件に設置する設備は、なにも分譲マンションのように高級仕様である必要はありません。費用をおさえるためにも、設備グレードは家賃にあわせて選びましょう。
3-2.複数の業者から相見積もりをとる
リフォーム工事を検討する際は、複数の業者から見積もりをとって金額や提案内容を比較しましょう。
リフォーム工事の費用や施工品質はリフォーム業者によって差があります。適正価格で質の高いリフォームを行うにも、相見積もりをとって価格と品質のバランスを見極めることが必要不可欠です。
複数の業者から見積もりをとるには、無料で一括依頼ができる見積もり比較サイトがおすすめです。適正価格でリフォームをするためにも、見積もり比較サイトを有効活用しましょう。
3-3.地元の優良工務店に依頼する
地元業者と大手リフォーム会社なら、費用は地元業者のほうが断然安くなります。
下請け業者を使う大手リフォーム会社に依頼すると中間マージンが発生しますが、自社施工を行う地元の工務店ならその費用は必要ありません。費用をおさえつつ高品質な施工をのぞむなら、リフォームは地元の優良工務店に依頼するのが得策です。
「リフォームガイド」は、数ある見積もり比較サイトの中でも厳選された優良工務店が多く加盟しています。無料なのでぜひご利用くださいね。
4.賃貸マンションのリフォームにつかえる補助金・ローンの紹介
ここでは補助金やローンなど、賃貸マンションのリフォーム費用調達法を紹介します。
4-1.賃貸物件に利用できる補助金や減税制度
賃貸マンションのリフォームでも、補助金や減税制度は利用できます。
■補助金
補助金制度 | 主な対象工事 | 補助額 |
---|---|---|
賃貸集合給湯省エネ2025事業 | エコジョーズなどへの給湯器取替 | 5~10万円/台 |
先進的窓リノベ2025事業 | 高断熱窓へリフォーム | 窓性能グレードに応じて一定額(上限200万円/戸) |
子育てグリーン住宅支援事業 | 開口部の断熱改修・エコ住宅設備の設置・バリアフリー改修など | 工事に応じて上限40~60万円/戸 |
既存住宅における断熱リフォーム支援事業 | 高性能建材に断熱リフォーム・熱交換型換気設備設置 | 補助対象経費の3分の1以内(上限5~15万円/戸) |
※2025年2月時点の情報です
国や自治体の補助制度は、国土交通省のホームページ「住宅リフォームの支援制度」に一覧で掲載されています。制度ごとに適用条件や申請時期が異なりますので、リフォーム契約を結ぶ前に確認しておきましょう。
■減税制度
賃貸リフォームでも、特定の条件を満たせば「投資減税制度」の適用が受けられます。投資減税制度は、耐震性や省エネ性能の向上を目的としたリフォームが対象で、工事にかかる費用の一部を所得税から最大65万円控除できます。(※2025年2月時点の情報です)
リフォーム費用の負担を軽減するためにも、減税制度を有効に活用しましょう。
4-2.賃貸向けのリフォームローン
「現金が不足している」「現金を残したい」と悩んでいるなら、金融機関や住宅金融支援機構が提供しているリフォームローンを検討するのがおすすめです。
住宅ローンやリフォームローンは対象が自宅に限定されるため、賃貸アパートには利用できません。しかし、アパートリフォームローンであれば、投資物件でも融資が可能です。
以下に、代表的なアパートリフォームローンとその詳細をまとめました。
ローン | 詳細 |
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セゾンファンデックス 「リフォームローン(不動産担保)」 |
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SBIエステートファイナンス 「不動産投資ローン」 |
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クレディセゾン 「セゾンのリフォームローン」 |
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独立行政法人住宅金融支援機構 「賃貸住宅リフォ-ム融資(省エネ住宅)」 |
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基本的にローンの金利は、公的な金融機関の方が低めに設定されています。しかし、改修工事の内容に細かな条件が課されているケースが多いため、所有している物件が条件を満たしているか確認してみましょう。
上記以外の金融機関でもアパートリフォームローンは取り扱っています。それぞれの違いを把握して自分にあったローンを選択しましょう。
5.賃貸マンションリフォームの注意点
賃貸マンションをリフォームする際の注意点は、3つあります。
- 管理規約を確認する
- 減価償却の対象にならない場合がある
- 借主がリフォームしたい場合は大家の許可が必要になる
後悔しないためにも、注意点をふまえてリフォームを進めていきましょう。
5-1.管理規約を確認する
住戸のオーナーが賃貸マンションのリフォームを行うときは、管理規約を確認し、許可が必要な工事や申請手続きの流れを把握しておきましょう。
リフォームできる範囲や手続き方法、工事できる時間帯は、マンションごとに異なります。管理規約を確認せずにリフォームを進めると、クレームになるだけでなく、原状回復をもとめられる可能性もあります。
管理規約は事前に必ず確認し、トラブルにならないよう工事を進めましょう。
5-2.減価償却の対象にならない場合がある
リフォーム費用は、必ずしも減価償却の対象になるわけではありません。リフォーム費用が減価償却の対象となるかどうかは、費用が「資本的支出」と「修繕費」のどちらに分類されるかで決まります。
資本的支出は資産価値を高めるための支出であり、減価償却が必要です。一方、修繕費は原状回復や維持管理を目的とした支出であり、発生した年度に一括で経費計上されます。
税制面で損をしないためにも、費用がどの項目に分類されるか、リフォーム前に税理士に相談しておくと安心です。
出典:国税庁「No.2107 資本的支出を行った場合の減価償却」/国税庁「No.5402 修繕費とならないものの判定」URL
5-3.借主がリフォームしたい場合は大家の許可が必要になる
賃貸マンションを借主側がリフォームしたい場合は、費用負担の有無にかかわらず、大家の許可なしに工事を進めてはいけません。借主がリフォームを希望する場合は、大家さんや管理会社に相談し、必ず事前に許可を得るようにしましょう。
築年数が古い場合、リフォームを許可してもらえるケースもあります。しかし賃貸マンションの資産価値を下げないことが条件になる場合がほとんどです。
借主側がリフォームを検討している場合は、大家の許可をもらってからリフォーム業者を探しましょう。
6.賃貸マンション・アパートのリフォームを成功させる3つのポイント
賃貸マンションやアパートのリフォームを成功させるには、3つのポイントがあります。
- リフォームの目的を明確にする
- ターゲット層のニーズを調査する
- 費用回収期間を確認する
成功のためのポイントをおさえて、賃貸物件に効果的なリフォームを行いましょう。
6-1.リフォームの目的を明確にする
リフォームをする前に、目的を明確にしましょう。「空室対策」「賃料アップ」「資産価値の維持」など、目的を明確にすると満足度や費用対効果の高い工事になりやすいです。
たとえば空室率が高い場合、ターゲット層にあわせて内装を改修したり間取りを変更したりすると、入居者の関心を引きやすくなります。賃料アップを狙うなら、設備グレードを上げるのもひとつの手です。
リフォームの成功率を上げるためにも、リフォーム業者には目的にあわせてプランを提案してもらいましょう。
6-2.ターゲット層のニーズを調査する
市場競争力を高め、長期的な入居率向上を狙うためには、ターゲット層のニーズを正確に把握しなければなりません。
たとえば、単身者向けならコンパクトで機能的な設備、ファミリー層なら収納やキッチンの広さを重視するなど、ターゲットによって重視しているポイントは異なります。
リフォームの成功率を高めるためにも、地域の賃貸市場の動向をリサーチし、どの層の需要が高いかを事前に分析しておきましょう。
6-3.費用回収期間を確認する
賃貸物件のリフォームを検討する際は、費用の回収計画をたてて、長期的な視点で投資対効果を測っておくことが肝心です。
リフォーム費用を家賃収入でどれくらいの期間で回収できるかは、「回収期間=工事費÷年間家賃収入」の計算式で試算できます。たとえば、工事費が400万円で年間家賃収入が144万円である場合、回収期間は約2.8年となります。
リフォームする際に費用の回収期間まで考慮しておけば、どの部分を優先して工事すべきかの判断もつきやすいです。
費用対効果の高いリフォームをするためにも、リフォーム前には回収シミュレーションを必ず行っておきましょう。
7.賃貸リフォームの時期・タイミング
賃貸物件をリフォームするなら、下記のタイミングがベストです。
- 空室が目立つとき
- 設備交換時期
設備機器や内装のメンテナンスサイクルの目安は、下記の表のとおりです。
部位 | メンテナンスサイクルの目安 |
---|---|
キッチン | ビルトインコンロ/レンジフード:10年~ キッチン水栓:10年~ ビルトイン食洗器:12年~ システムキッチン:15年~ ディスポーザー:7年前後 |
浴室 | 給湯器:10年~ 浴室水栓:12年~ 浴室暖房:13年~ ユニットバス:15年~ |
トイレ | 温水洗浄便座:12年~ 便座:15年~ |
洗面化粧台 | 15年~ |
フローリング | コーティング:10年~ |
壁紙 | 色あせ・破れなどによる張り替え:8年~ |
参考:住まいのメンテナンスサイクル(株式会社あなぶきハウジングサービス)
8.アパート・マンションリフォームに必要な工事期間の目安
以下の表は、アパートやマンションのリフォームに必要な工事期間をまとめたものです。
リフォーム内容 | 工事期間の目安 |
---|---|
キッチン交換 | 2~3日 |
浴室改修 | ユニットバス交換:4日 タイル風呂からユニットバスにリフォーム:4~7日 |
トイレ | 1~2日 |
洗面化粧台交換 | 1~2日 |
壁紙張り替え | 1~3日 |
間取り変更 | 1~3週間 |
全面リフォーム | 2週間~数か月 |
上記は一般的な工期期間ですが、劣化状態や工事範囲によって工期が長くなる可能性があります。物件探しハイシーズンの1〜3月までに工事を完了させたい場合は、準備期間も含め8月までに見積もりを依頼しましょう。


9.まとめ
賃貸マンションの入居率アップ&家賃収入向上のためには、リフォームが不可欠です。記事を参考に効果的なリフォームを行い、安定した賃貸経営を目指しましょう。
とはいえ、リフォームの仕上がり品質や費用は、業者によってバラツキがあるので不安になりますよね。リフォームで失敗しないためにも、確実に優良業者に出会える「リフォームガイド」をぜひご利用ください。
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