
あちこちに不具合がではじめ、古さを感じるようになってくる築30年の家。
内装や水回りの劣化が気になってくると同時に、外壁や配管など建物の重要な部分にも劣化が見られるようになります。
築30年の家で必要なリフォーム内容、費用感を知り、これから先も安全かつ快適に過ごせるリフォーム計画を立てましょう。
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▼築30年のマンションリフォームについてはこちらの記事でくわしく解説しています。


目次
1.築30年の家に必要なリフォームとは?
築30年の家は建て替えが必要なほど劣化しているケースはあまり見られません。しかし、見た目は問題がなくても、配管のサビや屋根の劣化など、普段見えない部分に問題を抱えていることも。
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/447(右上)/http://www.8044.co.jp/gallery/372(中)/https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=71(右下)
優先度が高いのは、配管・基礎・柱の腐食を補修したり、ボロボロになった外装を張り替えたりと、建物の安全性や耐久性に関わる工事。その上で、間取り変更や断熱リフォームなど、より快適な暮らしを実現するリフォームを計画しましょう。
1-1.優先的に行いたいリフォーム
住まいの安全性や耐久性に関わる部分は、優先的にリフォームを行いましょう。ここでは、築30年の家で優先的に検討したいリフォーム内容をご紹介します。
1-1-1.屋根・外壁のリフォーム【戸建て】
築30年経つと、スレート屋根の劣化、屋根瓦のずれ、外壁のひび割れなど、外装の劣化が目立ってきます。劣化を放置すると雨漏りなどのリスクがあるため、優先的に屋根・外壁のメンテナンスを行いましょう。
スレート屋根やガルバリウム屋根は、築30年程度でちょうど葺き替え(ふきかえ)のタイミング。瓦屋根はまだまだ使えますが、一度点検してもらい、割れたりずれたりしている部分があれば補修すると安心です。外壁の劣化も雨漏りの原因になるため、外壁も含めて点検してもらいましょう。
1-1-2.耐震リフォーム【戸建て】
築30年の家は1981年に定められた新耐震基準で建てられており、一定の耐震性能は確保されています。しかし、建物は年月とともに劣化していくもの。メンテナンス不足で柱や基礎が腐食していると、耐震性能は建てた当初に比べて下がっています。
また、2000年にも耐震基準は強化されており、接合部の金物の取り付けや耐力壁のバランスなどのルールが追加されています。長く安心して暮らすためにも、建物の状態をチェックしてもらい、必要に応じて補強することがおすすめです。
1-1-3.給排水管の交換・修繕【戸建て・マンション】
給排水管の寿命は材質によっても異なりますが、築30年程度で一度見直してみるとよいでしょう。経年劣化によってサビや腐食が発生すると、漏水や詰まり、水質悪化などのトラブルが引き起こされることがあります。
マンションの配管リフォームは床や壁を剥がす必要があるので、内装工事や間取り変更と同時に行うと効率的です。床下に潜って作業できる戸建て住宅の場合、床などを剥がす必要はありません。
給排水管の交換・修繕と同時に、水回りの設備もリフォームすることが多いです。「1-2-2.水回り設備の交換【戸建て・マンション】」もあわせてご確認ください。
1-2.より快適に過ごすために行いたいリフォーム
築年数が経ってくると、水回り設備の劣化が気になったり家族構成が変わって住みにくくなったりすることも。また、将来の生活を見据えたリフォームも必要になってきます。
生活のしづらさを感じている部分をリフォームして、将来にわたっても快適に過ごせる住まいづくりをしましょう。
1-2-1.断熱リフォーム【戸建て・マンション】
築30年の家は現代ほど断熱が意識されておらず、断熱性能が低いことがほとんど。なかには全く断熱について考えられていない「無断熱」の家もあります。寒さや暑さ、光熱費が気になる場合は、断熱リフォームの実施がおすすめです。
断熱リフォームには、壁や床などに断熱材を入れたり、内窓を設置したりする方法があります。
マンションの場合、屋外に面する窓を交換したり、建物の外側から断熱材を張ったりと、共用部分のリフォームは個人の判断で実施できません。そのため、各住戸で対応可能な内窓設置や、室内側から壁内や床下に断熱材を入れるなどの方法が通常採用されます。


1-2-2.水回り設備の交換【戸建て・マンション】
築30年経つと、洗面台の変色やトイレの水漏れ、キッチンの汚れ、浴室の寒さなど水回り設備にもさまざまなお悩みや不具合がでてくるように。
最新の水回り設備に交換することで、お掃除しやすく快適に使えるようになります。
おしゃれなオープンキッチンに交換すれば、解放感が生まれリビング全体の雰囲気が変わります。高効率な給湯器やトイレに変えると、光熱費の節約につながることもあります。




1-2-3.間取り変更リフォーム【戸建て・マンション】
30年暮らしていると、新築当時とはライフスタイルが変わっていることも。不要な子ども部屋を趣味の部屋に変えたり、高齢の両親と同居しやすい間取りに変えたりと、今の生活に合わせた間取り変更リフォームもおすすめです。
また、30年前にはスタンダードだった間取りが、現代の暮らしに合わなくなっているケースも。近年人気の開放的なLDKをつくったり、家事動線のよい水回りにしたりと、家族全員が使いやすく快適な家にしましょう。
1-2-4.バリアフリーリフォーム【戸建て・マンション】
一昔前に建てられた家は、部屋や浴室の入り口などに段差があることも。階段や浴室に手すりがなかったり床が滑りやすかったりと、高齢になったときに生活しづらい点が多く見られます。
リフォーム後さらに20〜30年住むと考えると、段差をなくす、手すりを付ける、床材を変更するなどのバリアフリーリフォームも必要となるでしょう。


2.築30年の家の問題はスケルトンリフォームですべて解決!
築30年になると、耐震性能や断熱性能の向上、配管交換、水回りや間取りの刷新まで、さまざまなリフォームが必要になってきます。
これらをまとめて実施できるのが、スケルトンリフォームです。建物の骨組みのみを残して床や壁・天井などを解体し、間取りや設備を一新することで、新築のような快適な住まいへと生まれ変わらせることができます。
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/381(外装・内装)


3.築30年の家の問題解決リフォーム方法と費用相場
ここからは、築30年の家に必要なリフォームの内容と費用相場をご紹介します。
3-1.スケルトンリフォームの費用相場
【坪数別・戸建てスケルトンリフォーム費用】
延べ坪(建物各階の床面積の合計) | 費用(単位:万円) |
|
---|---|---|
内装のみ スケルトンリフォーム |
内装・外装すべて スケルトンリフォーム |
|
20坪(66㎡) | 750~1150 | 1000~1400 |
25坪(82.5㎡) | 900~1300 | 1200~1600 |
30坪(99.9㎡) | 1000~1450 | 1350~1800 |
40坪(132㎡) | 1200~1700 | 1600~2100 |
50坪(165㎡) | 1400~2000 | 1900~2500 |
※木造軸組み工法の建物の場合
※税別
※時勢により相場は変動することがあります
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/381(右)
【㎡別・マンションのスケルトンリフォーム費用】
面積 | 費用相場 |
---|---|
50㎡ | 650~850万円 |
60㎡ | 750~990万円 |
70㎡ | 840~1120万円 |
80㎡ | 920~1240万円 |
90㎡ | 990~1350万円 |
100㎡ | 1050~1450万円 |
※㎡単価約12.5~15万円で計算(費用提供:あなぶき興産|実際のマンションスケルトンリフォーム施工例より)
出典:https://www.reform-guide.jp/topics/mansion-renovation-hiyou/


3-2.部分リフォームの費用相場
屋根・外壁のリフォーム
スレート屋根は築30年程度で葺き替え(ふきかえ)が検討されます。瓦は状態に応じて修繕を行いましょう。
外壁材のひび割れや剥がれがある場合、新しい外壁材へ張り替えたり、既存の外壁材の上から新しい外壁材を上張りすることができます。
外装や屋根をこれまで塗装メンテナンスをしてきた家で状態がよければ、張り替えまでしなくとも塗装ですむ場合もあります。
屋根・外壁リフォームの内容 | 費用相場 |
---|---|
スレート屋根の葺き替え | 70〜200万円 |
瓦の修繕(交換・漆喰の修理など) | 5千〜1万円/枚 |
外壁材の張り替え・上張り | 130〜290万円(30坪程度) |




耐震リフォーム
耐震リフォームは築年数が経っているほど、費用が上がる傾向にあります。築30年の場合、平均的な耐震補強工事費用は170万円程度です。ただし、補強工事の内容によっても、大きく費用は変動します。


給排水管の修繕
給排水管の交換自体は、多額の費用はかかりません。しかし、床や壁を剥がして工事する必要がある場合、解体や内装工事費がプラスでかかり、内装材のグレードなどで費用が大きく変わります。
給排水管の修繕内容 | 費用相場 |
---|---|
給排水管の交換 | 15万円〜 |
床・壁の解体・復旧 | +50万円〜 |
断熱リフォーム
断熱リフォームには、熱の出入りの多い窓をリフォームする方法や、壁や床・天井に断熱リフォームを行う方法があります。
断熱リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
内窓の設置 | 6~15万円 |
壁に断熱材を入れる | 内側:80~250万円 外側:350~500万円 |
床に断熱材を入れる | 20~30万円 |
天井に断熱材をいれる | 15~50万円 |


水回り設備を交換するリフォーム
水回り設備の交換には、電気・水道・壁や床などの工事も含まれるため、個別に行うよりも一気にまとめて行った方が効率的に行うことができ、費用も抑えることができます。
断熱リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
洗面化粧台の交換 | 10~25万円 |
キッチンの交換 | 60~200万円 |
熱効率の高い給湯器の設置 | 35〜280万円 |
高断熱浴槽への交換 | 100~300万円 |
節水トイレへの交換 | 15~33万円 |


バリアフリーリフォーム
バリアフリーリフォームは、工事内容によって費用が異なります。身体や住まいの状態に合わせて工事項目を決めましょう。要介護者などがいる場合、介護保険を適用することで費用負担が抑えられることもあります。
バリアフリーリフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
手すりの設置 | 1万円~ |
段差をなくす | 1〜25万円 |
バリアフリーユニットバスへの変更 | 80~150万円 |
滑りにくい床材への変更 | 2~10万円/部屋 |


4.築30年以上の家のリフォーム事例
築30年以上経った住まいを、快適な空間へと生まれ変わらせた実例をご紹介します。
耐震性の向上や断熱性能の改善など、古い家ならではの課題を解決しながら、現代の暮らしに合わせた間取りや設備へと一新しています。
予算や工期を含めた具体的なリフォーム事例から、リノベーションのヒントが見えてくるはずです。
事例1:築30年マンション|間取り変更と段差解消のスケルトンリフォーム
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間取りの変更と水回りの更新を検討していた築30年のマンション。水回りの位置も変更するため、スケルトンリフォームを実施しました。
キッチン・浴室・洗面化粧台・トイレの水回り設備を一新。壁付けのキッチンを移動して、対面式キッチンへ。リビングの一角にある和室の段差解消も希望されていたため、和室をなくし、無駄がなく使いやすいLDKを実現しました。
築年数 | 30年 |
---|---|
工事期間 | 1.5カ月 |
リフォーム費用 | 700万円 |
リフォーム内容 | スケルトンリフォーム(間取り変更・水回りの更新・バリアフリー化・内装工事など) |
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/154
事例2:築37年戸建て|断熱・バリアフリーのフルリフォーム
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築30年を超える戸建て住宅で実施したフルリフォームの事例です。1階のシロアリ被害に対し、基礎補強と防蟻消毒を実施。断熱性向上のため、浴室・洗面室に断熱窓と換気乾燥暖房機を設置したほか、床の張り替えや折れ戸の採用でバリアフリー化も実現しました。
2階は対面キッチンへの変更やパントリーの造作で収納力を向上。屋根は金属屋根の重ね張り、外壁は塗装で耐久性と美観を向上させ、将来を見据えた快適な住まいへと生まれ変わりました。
築年数 | 37年 |
---|---|
工事期間 | 4カ月 |
リフォーム費用 | 1929万円 |
リフォーム内容 | 耐震補強・間取り変更・水回りの更新・バリアフリー化・内装工事・外装工事など |
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/338
事例3:築32年戸建て|バリアフリーや省エネを考えた水回りのリフォーム
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築32年を迎え、水回りに不具合が発生しはじめた戸建て住宅。キッチン、浴室、洗面室、トイレ、給湯設備を一新して、機能性や使い勝手を向上させました。
大きな間取り変更はしていませんが、柱を移動させることで一坪タイプの広々としたユニットバスを実現。トイレと廊下の段差解消も行い、バリアフリー化も実施しました。
築年数 | 32年 |
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工事期間 | 1カ月 |
リフォーム費用 | 429万円 |
リフォーム内容 | 水回りの更新・バリアフリー化・内装工事・外装工事など |
出典:https://www.8044.co.jp/gallery/473
5.まとめ
築30年の家は、表面的な劣化だけでなく、見えない部分にも問題が潜んでいることがあります。これらの問題を見つけ出し適切なリフォームを行うには、経験豊富な業者選びが重要です。
まずは複数の業者から見積もりを取得し、費用や工事内容を比較検討することがおすすめです。リフォームガイドの一括見積もりサービスを利用すれば、信頼できる業者を簡単に探すことができます。
省エネやバリアフリー、耐震、三世代同居のためなど、特定のリフォームをすると受けられる補助金・助成金制度や、減税制度があります。
くわしくは下記の記事をご覧ください。
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また、ローンを使ってリフォームを検討している場合は、こちらの記事も参考にしてください。

