「リフォーム」と「建て替え」で悩む人必見!お得な選び方を全て解説

築古の家にこれからも住もうとする時、
「大規模なリフォームをするなら、建て替えてしまったほうがいいのでは?」
「それともリフォームのほうがかなり安いのだろうか?」
という疑問にぶつかるのではないでしょうか。
一生に二度もない大きな決断ですので、判断は慎重になりますよね。
基本的には、リフォームのほうが解体費用や廃材処分費用がかからない分、建て替えるより安いです。
ただ、リフォームでは劣化部分をひとつひとつ修復していくため、作業効率が悪くなります。そのため家の状態によっては建て替えたほうが手っ取り早く、場合によっては安く済むこともあります。
この記事の前半では、築年数別にリフォームと建て替え、どちらがお得なのかを解説します。
また、リフォームか建て替えかは、どちらが安いかだけで判断できるものではありません。
例えば、「安いからという理由でリフォームをして、何十年後かに結局建て替えが必要になった」という場合や、「間取りの理想があったが、リフォームでは柱が動かせず、できなかった」などという場合があります。地盤からくる耐震性の不安は、地盤改良ができる建て替えが安心です。
この記事は、「あなたの場合はリフォームか建て替え、どっちがいいのか?」が分かるように構成されています。
あなたにとって最善な決定ができるはずですので、ぜひご一読下さい。
>>実際の見積もりデータから算出した「リフォームの費用と相場」をチェック!
目次
1.「リフォーム」と「建て替え」どっちがお得?2つの軸で考える
リフォームと建て替えの費用を比較する際、「今かかる費用」だけでなく、「今後かかる費用」も一緒に考える必要があります。
ここでは「築年数」と「あと何年住むのか」を軸に、リフォームか建て替え「今お得なのはどちらか」と「長い目でみて将来的にお得なのはどちらか」を解説します。
1-1. 築50年:基本は建て替えがお得、あと15年も住まないならリフォームも検討
築50年は基本建て替えがおすすめです。
築50年の住宅は、建築基準法が改正される前の「旧耐震基準」の建物であるため、大規模な耐震工事が必要になり、費用が高額になります。
また柱や基礎など建物の構造体部分まで老朽が進んでいる可能性が高いため、場合によっては建て替えのほうが安い場合もあります。
<築50年のリフォームと建て替え相場>
リフォームにした場合 | 建て替えにした場合 | |
築50年の費用相場 | 1800~3000万円 | 2500~3500万円 |
※リフォームはスケルトンリフォームの場合
(補足)
しかし築50年でも、今まで外壁塗装や床下のメンテナンスをこまめにしてきた、などの場合は、建物の状態が良く、リフォーム費用のほうがかなり安い場合もあります。
その場合は「あと何年住むのか」を考えましょう。
木造の寿命を65年とすると、あと15年も住まないのであれば、リフォームがおすすめです。
※期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について,国土交通省(12ページ参照)
1-2. 築40年:建て替えがおすすめ、あと25年も住まないならリフォームも検討
築40年は建て替えがおすすめです。
建築基準法が改正される前の「旧耐震基準」の建物であるため、大規模な耐震工事が必要になり、費用が高額になります。
また柱や基礎など建物の構造体部分まで老朽が進んでいる可能性が高いため、場合によっては建て替えのほうが安い場合もあります。
<築40年のリフォームと建て替え相場>
リフォームにした場合 | 建て替えにした場合 | |
築40年の費用相場 | 1500~2000万円 | 2500~3500万円 |
※リフォームはスケルトンリフォームの場合
(補足)
もし、今までメンテナンスをしてきて基礎がしっかりしている、外壁塗装をしてきたなどの場合は、リフォームも考えられます。
その場合は「あと何年住むのか」を考えましょう。
木造の寿命を65年とすると、あと25年も住まないのであれば、リフォームがおすすめです。
※期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について,国土交通省(12ページ参照)
1-3. 築30年:リフォームがおすすめ、あと35年以上住むなら建て替えがお得
築30年の住宅は、リフォームがおすすめです。
築30年の建物は、1981年に建築基準法が改正した後の「新耐震基準」(震度6~7の揺れでも倒壊は免れる程度)のものです。今リフォームをし、今後もメンテナンスをしながらであれば、あと50年住むことができます。
<築30年のリフォームと建て替え相場>
リフォームにした場合 | 建て替えにした場合 | |
築30年の費用相場 | 1500~2000万円 | 2500~3500万円 |
※リフォームはスケルトンリフォームの場合
(補足)
あと35年以上住むのであれば建て替えが賢明です。
例えば現在55歳で、今後ずっと住み続けていくのであれば、90歳頃に建て替えが必要になってしまうことになります。
※期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について,国土交通省(12ページ参照)
築年数別のリフォームについてはこちら:
>>成功事例付き!費用相場など築50年リフォームを完全解説
>>成功事例付き!費用相場など築40年リフォームを完全解説
>>成功事例付き!費用相場など築30年リフォームを完全解説
スケルトンリフォームについてはこちら:
>>スケルトンリフォームとは?費用・メリット・注意点など全解説
※スケルトンリフォームとは?
柱など骨組み部分のみを残し、一旦スケルトン状態にするリフォーム方法です。築30年以上の住宅は共通して「耐震が心配」、「間取りが古く使いにくい」、「夏暑くて冬寒い」などの悩みがあります。リフォームでこれらを解決するには、スケルトンリフォームがおすすめです。
2.自分の家はリフォームと建て替えどっちがいい?メリット・デメリットで比較
リフォーム | 建て替え | |
メリット |
□基本的に建て替えよりも安くできる □ まだ使える部分は残すことで、資源的にも費用的にもムダを抑えられる □ 優先順位をつけて改修箇所を決められるので、予算に合わせてプランを組める □ 建て替えると「家が小さくなる」、「そもそも建て替えができない」など、法律による制限を受けない □ 各種税金や登記費用など諸費用が少なくて済む □ 施工中も住み続けることができる場合も |
□ 費用の目安がつきやすく、資金計画を立てやすい □ 現在の構造に制約を受けず、間取りを一から自由に作れる □ 築年数がリセットできるため、メンテナンス次第では80年住める □ 相続する場合は、状態が良いまま受け継がれるため継承者が負担を受けにくい □ 地盤からの耐震工事ができる □ 保証が引き渡しから10年間ついている |
デメリット |
□ 間取りが理想通りに変更できない場合も □ 大がかりな修繕や間取り変更、耐震、バリアフリー工事などがある場合は建て替えより高くなる場合も □ 既存の部分を残すため、建て替えより寿命が短い □ 地盤による耐震性の問題は解決できない □ 保証制度が施工会社によってバラバラ、リフォーム瑕疵保険に自分で加入する必要がある場合も |
□ 新築と同じ手続きが必要で、手間と諸費用がかかる □ 法律上、敷地面積が小さくなり、「今より家が小さくなる」、「再建築ができない」場合もある □ まだ十分に使える部分まで解体破棄してしまうため、資源的にも費用的にもムダが発生する □ 固定資産税や不動産取得税など各種税金がかかる □ 確実に引っ越しが必要なため、引っ越し費用と半年~1年近くの仮住まい費用が別途で必要 |
リフォームに向いている場合:
・予算が2000万円以内の場合
・間取りにこだわりがない場合
・相続予定がない場合
・再建築不可や建て替えると敷地面積を小さくしなくてはいけない住宅の場合
(※どんな住宅なのかは、4. で詳しく説明しています)
建て替えに向いている場合:
・これから30年以上住み続ける、または相続する場合
・間取りにこだわりたい場合
・地盤から耐震工事をしたい場合
3.事例からみる、リフォームでできる内容と実際にかかった費用
ここでは、築年数別のリフォーム事例を紹介します。
築40年以上は本来建て替えがおすすめですが、リフォームにした場合、どのくらいのリフォームがどのくらいの費用でできるのかが分かるので紹介します。
3-1. 築50年のリフォーム事例
《リフォーム内容》
- もともと賃貸物件と併設した構造だったものを、一つの戸建てへ改築。新築のように1から間取り設計。
- スケルトンリフォームに伴い、駐車スペースを確保するために減築、2台分の駐車スペースを確保。
- 基礎部分は新たに布基礎を施工し補強。
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/381
3-2. 築40年のリフォーム事例
《リフォーム内容》
- 柱や梁(はり)などの構造体を補強、外装も軽くて丈夫なガルバリウム鋼板を用いて、地震に強い造りに。
- 屋根や壁には断熱材を施工し、窓ガラスも断熱性のあるものを採用。夏も冬も快適に過ごせる空間に。
- もともと光が入りづらかったLDKを2階に移動。
http://www.8044.co.jp/gallery/372
3-3. 築30年のリフォーム事例
《リフォーム内容》
- スケルトンリフォームで耐震補強、断熱材の入れ直し、外壁や屋根の一新。
- LDK空間を広くとるため、細かく区切られた間取りを大きく変更。
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/372
4.そもそもリフォームができない、建て替えができないケースがある?!
そもそもリフォームができないケース、建て替えができないケースがあります。これらを知っておくことによって、どちらかを決断した後「予想外だった・・・」という事態を未然に防ぐことができます。
4-1.法令によって「再建築不可」な場合も
古い住宅の中には、建て替えようと思ったら「敷地面積を小さくしないといけない」、「そもそも建て替えが不可能」という制限がある場合があります。これは建築基準法が改正し、現在の基準に合わなくなった家が当てはまります。
現在の法律には、火災など災害時に消防車・救助車が通れる必要があるため、住宅の敷地が「幅4m以上の道路に2m以上接していないといけない」という規定があります。
①建て替えられるが敷地面積を小さくしないといけない場合
・接している道路が幅4m未満
②そもそも建て替え不可能の場合
・2m以上の接道義務を満たしていない
4-2.構造・工法によって「間取り変更リフォーム」ができない場合も
リフォームで間取り変更を考えているのであれば、木造の「ツーバイフォー(2×4)工法」という工法でつくられた建物は注意が必要です。
この工法でつくられた建物は、壁で家全体を支える構造のため、壁を動かすことができません。よって、壁を取り除くような大規模な間取り変更はリフォームではできないという制限があります。
<構造・工法別、間取り変更の自由度>
構造 |
工法 | 間取り変更の自由度 |
木造 | 在来軸組み工法 | ◎ |
ツーバイフォー工法 | △ | |
鉄骨造 | 軽量・不燃パネル工法 | △ |
重量・ラーメン工法 | ◎ | |
RC造 | ラーメン工法 | ◎ |
壁式工法 | △ |
ツーバイフォー工法の住宅のリフォームについてはこちらの記事を参考にしてください。
>>【完全解説】ツーバイフォー住宅のリフォーム
5.リフォームと建て替え、完成までの流れと日数
リフォーム、建て替え、いずれの場合も工務店に見積もりを取るところから始まります。見積もりを取るということは、リフォームや建て替えの費用を知るためだけでなく、本当に信頼できる会社かどうかを見定めるためでもあります。
以下の記事では、リフォームの見積もりの取り方を基本からあまり知られていないことまで解説しています。ぜひ参考にしてください。
>>【プロ直伝】リフォームの見積り5つの鉄則!流れもすぐわかる
6.まとめ
築年数が古い建物は、リフォームにするか建て替えにするか迷いどころです。今の建物の状態、地盤の状態、予算、今後のライフプランなどを総合的に考える必要があります。
ただ、建物内部の状態については自分だけでは判断が難しいです。専門業者に住宅診断や地盤診断をしてもらう、もしくはリフォームも建て替えもできる工務店に調査に来てもらうのがおすすめです。
リフォームガイドでは、リフォームにも建て替えにも対応できる優良施工店をご紹介しています。無料でお見積り取得までサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
また多くの自治体では、1981年以前の旧耐震基準の木造住宅を対象に、無料の耐震診断を実施しています。耐震補強工事の費用を一部補助する自治体もあります。一度、最寄りの自治体に問い合わせてみましょう。
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