
外壁の汚れや劣化は、放置すると建物の耐久性に影響を与えます。そのため、外壁は定期的にリフォームをする必要がありますが、外壁の種類や劣化状態、季節的な要因によって適した時期やかかる期間が大きく異なるため、とりかかりのタイミングの見極めが重要です。
この記事では、外壁の種類別の適切なメンテナンス時期から、チョーキングやひび割れなどの劣化症状に応じた対応方法、工事に適した季節の選び方を解説します。適切な時期に必要なメンテナンスを行い、コストを抑えながら家を長持ちさせるために、ぜひ参考にしてください。
目次
1.外壁の種類から考えるリフォーム時期・タイミング
外壁材の種類によってメンテナンスの必要性は大きく異なります。適切な時期にメンテナンスすることで、建物を長く美しい状態で保つことができます。
リフォーム時期を知るため、メンテナンス周期と必要なメンテナンス方法を確認しましょう。外壁の種類ごとに表にまとめました。
メンテナンス周期 | 必要なメンテナンス | |
---|---|---|
窯業系サイディング | 7〜15年 | 塗装、張り替え、コーキング補修 |
金属系サイディング | 10〜15年 | 塗装、重ね張り、張り替え、コーキング補修 |
木質系サイディング |
3〜10年 | 塗装、張り替え |
樹脂系サイディング |
10〜20年 | 塗装、張り替え |
モルタル |
5〜10年 | 塗装、重ね張り、張り替え |
タイル | 8〜10年 | 張り替え、目地補修 |
ALC | 10年 | 塗装、コーキング補修 |
2.外壁の工事別リフォーム時期【劣化のサインから分かる】
外壁の劣化症状はさまざまで、その状態によって工事方法が異なります。早く見つけることで、建物の耐久性を維持し、大規模な工事を防ぐことができます。
ここでは、外壁のリフォーム工事の種類と、それぞれの工事が必要な劣化のサインを解説します。
2-1.外壁塗装
塗膜の劣化がある場合は、外壁塗装のメンテナンスがおすすめです。早い段階で見つけて対策することで、補修費用を抑えられます。塗装を行う主な外壁の劣化症状は、次のとおりです。
■チョーキング現象
【劣化時期の目安】新築や前回のリフォームから5〜10年
外壁に触れると白い粉が付く現象で、塗料の劣化を示す重要なサインです。これは塗膜が粉状化している状態で、外壁を守る機能が低下しているときに発生します。
放置すると外壁素材自体の劣化が進行するため、早めの塗装工事がおすすめです。特に日当たりの良い南面や西面では、紫外線の影響で劣化が早まります。
■塗膜のはがれやひび割れ
【劣化時期の目安】新築や前回のリフォームから15〜20年
塗膜のはがれやひび割れは、外壁の防水性能が著しく低下している状態です。この状態では雨水が塗膜と外壁の間に入り、さらなる剥離や外壁材の劣化を引き起こす可能性があります。
塗装工事により、建物への深刻なダメージを防ぐことができるでしょう。特に、雨がかかりやすい部分は注意が必要です。
■カビ・コケ・汚れ
【劣化時期の目安】新築や前回のリフォームから8〜13年
外壁の汚れやカビ、コケの発生は、塗膜の防水性能が低下しているサインです。特にカビやコケは、繁殖すると通常の洗浄では除去が難しくなるため、早めの対応がおすすめです。
塗装工事の際は、バイオ高圧洗浄による殺菌処理と、防カビ・防藻効果のある塗料の使用を検討しましょう。また、北面など日当たりの悪い場所は特に注意が必要で、定期的な点検が欠かせません。
■コーキング破損
【劣化時期の目安】新築や前回のリフォームから10年
サイディングの目地に使用されるコーキング(シーリング)の劣化は、建物内部への雨水浸入の原因となります。
亀裂や剥離が見られた場合は、早めの補修が必要です。外壁塗装時に合わせて打ち替えることで、効率的なメンテナンスができます。目地の幅や深さに応じた補修方法を選択してください。
2-2.部分補修
ひび割れなど、外壁の一部分のみに損傷が見られる場合は、部分的な補修で対応できます。早めに対処して、劣化している範囲が広がる前に修理することが大切です。
■ひび割れ
【劣化時期の目安】新築や前回のリフォームから15〜20年
外壁のひび割れ(クラック)は、幅によって危険度が異なります。0.3mm未満の微細なひび割れはそのままでも問題ないケースもありますが、大きなクラックは早急な補修が必要です。放置すると雨水の浸入や虫害の原因となり、建物の構造に影響を与える可能性があります。
特に躯体(くたい)に達するような深いひび割れは、外壁の下地や柱や壁、土台など構造体に問題がある場合もあるため、専門家に診断してもらう必要があるでしょう。


2-3.重ね張り
外壁材自体の劣化は見られるものの、下地が健全な場合に選択できる工法です。既存の外壁の上から新しい外壁材を重ねて施工することで、工期の短縮とコストの削減ができます。
ただし、下地の状態や建物の構造的な制限を考慮しなければならないため、専門家による事前診断を依頼しましょう。また、開口部周りの納まりや、重くならないかについても検討が必要です。


2-4.張り替え
下地まで補修が必要な場合には張り替え工事を行います。費用は高くなりますが、既存の外壁を新しくするため、見た目も美しくなり耐久性も向上する方法です。
張り替えが必要になる可能性のある外壁の劣化症状には、「反りかえり」や「雨漏り」があります。
■反り返り
【劣化時期の目安】新築や前回のリフォームから10年
サイディングの反り返りは、雨水が浸入する可能性のある深刻な症状です。特に継ぎ目部分の反りは、防水性能が低下してしまうため、カビの発生やシロアリのリスクが高くなります。
反りの原因には、施工不良や経年劣化、建物の変形などさまざまな要因があるため、状況に応じた対策が必要です。部分的な張り替えで対応できる場合もありますが、全面的に張り替えなければならないこともあります。
■雨漏り
雨漏りは外壁や屋根の重大な不具合を示すサインです。原因としては、防水シートの劣化や外壁の損傷、コーキング劣化などが考えられます。
放置すると内装材の損傷だけではなく、建物の構造材にまで悪影響を及ぼす可能性があります。雨漏りが確認された場合は、原因の特定と補修方法の選択が重要です。場合によっては、外壁の全面的な張り替えが必要なケースもあります。


3.外壁塗装のリフォーム時期に関するよくある質問
外壁のリフォームの中でもとくに多いのは、外壁塗装です。外壁塗装のリフォーム時期について、さまざまな疑問が出てくることもありでしょう。
ここでは、外壁を塗装でリフォームする際に気になる質問をまとめました。
3-1.症状が現れているのに、外壁塗装をせず放置しておくとどうなる?
チョーキングやクラックなどの症状が出ているのに塗装をしないで放置していると、外壁の表面が紫外線や雨などによって侵食されて、劣化が進んでいきます。
やがて外壁の内部まで侵されコーキングの目地やモルタルに亀裂が入ることもあるでしょう。
外壁素材そのものが破損すると、建物内部にまで雨水が入り込み、カビやシロアリの発生などの被害が出ることも考えられます。劣化が進む前に、定期的に外壁の状態をチェックし、塗装のメンテナンスが大切です。


3-2.塗装業者への依頼時期(繁忙期)に依頼すると費用が変わる?
塗装業者の繁忙期は春と秋です。塗装業者が忙しい時期にリフォームを依頼すると、人件費の影響で費用が高くなることがあります。
また、業者のスケジュールを確保できずに工事が数カ月も先になる可能性があります。
あらかじめ自宅のメンテナンス時期を把握し、外壁塗装工事を計画的に進めましょう。
4.何月がいい?1年の中で外壁リフォームに適切な時期
外壁のリフォームは天候によって作業が中断されることがあることから、1年のなかで適切な時期があります。
4-1.外壁塗装に最適な季節
外壁リフォームの中でも、とくに外壁塗装には「乾燥させる」という作業があるため、天候が良い時期を選ぶことが、仕上がりを良くするためにも大切です。
外壁塗装が向いていない気候条件
- 気温が5度未満
- 湿度が85%以上
- 雨がわずかでも降っている
上記の条件を1つでも満たしている状況では、塗装工事は延期するのが望ましいです。
また地域によって塗装に最適な時期は異なります。
地域の特徴 | 最適な季節 | 避ける時期 |
---|---|---|
雪が降る | 夏 | 冬 |
梅雨がある | 春 | 梅雨の時期 |
台風が来る | 春 | 台風の時期 |
夏の気温が35℃を超える | 春・秋 | 真夏 |
雪が降る地域では最低気温が5度を下回るため、冬は塗装にはあまり向きません。
梅雨がある地域では雨の頻度が高くなるため夏は避け、梅雨の前に塗装工事が終わるようにするとよいでしょう。
台風が来る地域では、雨と風の危険性があるので夏は向いていません。風が強いと足場が崩れて危険があるため、工事が中止されるためです。
また、塗料は屋根や外壁の温度が高過ぎると早く乾燥してしまい、仕上がりが悪くなることがあります。外壁以上に屋根は高温になりやすいため、外壁と屋根の塗装を一緒に行うときには特に注意が必要です。
気温が35度を頻繁に超える地域では、真夏の屋根塗装は避けた方がよいでしょう。


4-2.外壁の重ね張り・張り替えに最適な季節
外壁の重ね張りと張り替えも、気候が安定している春や秋がおすすめです。雨が続く梅雨のサイディングの施工は向かないとされており、業者が作業を中断する可能性があるためです。
また、サイディングの重ね張り・張り替えで欠かせないコーキング剤は、梅雨の時期や冬は固まりにくく、コーキング剤の影響でも工期が延びることがあります。
地域特有の気候によっても適切な時期は変わるため、お近くのリフォーム業者に相談してみましょう。


5.まとめ
外壁のリフォーム時期は、外壁材の種類や劣化状態によって適切なタイミングが異なります。
劣化のサインとしては、チョーキング現象、塗膜のはがれ、ひび割れ、カビやコケの発生などがあります。
特に雨漏りや大きなクラックなど、建物の耐久性に関わる症状は、早めにリフォームを検討しましょう。
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