
外壁リフォームを適切な時期に実施することで、単に見た目が良くなるだけでなく、家の寿命を延ばすことにつながります。しかし外壁のリフォームをいつ、どのようにすべきか、また費用がどのくらいかかるのか分からないと悩んでいる方は少なくないでしょう。
今回は、外壁の劣化具合から分かる適切なリフォーム方法と、それぞれの費用相場を解説します。また失敗しない業者選びのポイントや外壁リフォームの注意点、お得にリフォームする方法まで詳しく解説します。
外壁リフォームを検討する上で、知っておきたい内容を分かりやすく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.外壁の状態に最適なリフォームを判断する
まずは、外壁の状態をチェックすることから始めてみましょう。外壁の劣化を示す症状を5つ紹介します。
チェック①チョーキング
外壁を優しく指で触れてチョークの粉のようなものが付いたら、「チョーキング(現象)」が起きている証拠です。これを「白亜化現象」ともいい、外壁の表面が紫外線や雨によって劣化し、塗料に含まれる顔料が粉状になることを意味します。
外壁表面の塗膜が劣化することで防水機能が低下し、水分を含みやすい状態になっています。また、その水分が長くとどまると、劣化がさらに進み、外壁自体や家の中にまで影響を及ぼす危険があります。外壁の内側まで影響する前に、外壁塗装を検討しましょう。
チェック②クラック(ひび割れ)
写真のように外壁に0.3mm以上のひび割れ(クラック)が発生している場合は、外壁の表面だけでなく内側まで雨水が入り込みやすい状況になっており、建物にとって危険な状態です。
他の症状とは異なり、雨漏りの原因になることもあるため、早急に補修しましょう。
もし、ひびが0.3mm以下の髪の毛ほどのひび割れ(ヘアークラック)であれば、塗装で対応できる可能性があります。いずれにせよ早めに対応しましょう。


チェック③はがれ
外壁の表面が紫外線や雨水によって劣化し、外壁の表面(塗膜)がはがれてくることがあります。そのまま放置すると広範囲にはがれてしまう可能性があるため、早めの対応が必要です。
塗膜がはがれた箇所は、紫外線や雨水が直接触れることになり、外壁の劣化をさらに進めてしまいます。外壁の劣化の状況にもよりますが、補修して塗装するか、カバー工法や外壁の交換を検討しましょう。
チェック④浮き・膨れ
外壁のひび割れから雨水が入り込み、塗膜と下地の間に水がたまることで、浮きや膨れが生じることがあります。浮きや膨れをそのまま放置すると、はがれの原因になることもあります。補修の上、塗装することを検討しましょう。
なお、塗装後に比較的早い段階で浮きや膨れが生じた場合は、施工不良が疑われます。既存の塗料との相性が悪い、もしくは十分に乾燥させずに上塗りしたことが原因かもしれません。なるべく早めに塗装業者に相談してください。
チェック⑤カビやコケ、さび
外壁表面の塗膜が紫外線や雨風にさらされることで防水機能が低下し、表面にカビやコケが生えたり、さびが出てくることがあります。
湿度が高く日当たりが悪い場所には、さびやコケが生えやすくなります。北側や家の裏側など普段目にしない箇所は、気付かないうちに劣化が進んでいることがあるので、注意してください。
カビやコケが生えたり、さびが出たりしても、すぐに塗装しなければならない状況とまではいえませんが、定期的にチェックすることをおすすめします。
【リフォームの緊急性と最適なリフォーム方法が分かるチャート】
ひび割れが多数あり、部分補修では対応できないような場合は、カバー工法や張替えが必要になる可能性があります。
また、塗装がはがれ下地まで傷んでしまっている場合も、カバー工法などで外壁を新しくする必要があります。
外壁工事について詳しくは下記記事で解説しています。


2.外壁リフォームの施工方法と費用相場
外壁の状態から、必要なリフォームが分かったところで、詳しくリフォーム方法や費用相場を見ていきましょう。
外壁リフォームの施工方法は主に以下の4種類です。
リフォーム方法 | 費用相場 |
---|---|
部分補修(ひび割れ補修) | 約4,900円/1㎡ |
塗装 | 60万円〜150万円 |
カバー工法 | 150〜220万円 |
張り替え | 200万円〜260万円 |
リフォーム方法別に、外壁リフォームの費用相場を詳しく解説していきます。
2-1.部分補修|1㎡当たり約4,900円
このような場合は「部分補修」を行います。
部分補修が必要な外壁の劣化状態
- 外壁の一部が破損
- シーリング(コーキング)のひび割れ、劣化
- モルタル外壁のひび割れ
- タイルの目地補修
部分補修の方法としては、シーリング(コーキング)の補修や、外壁のモルタル補修、サイディングの部分張り替えなどが当てはまります。
費用は補修内容によりますが、コーキング工事を住宅全体(30坪の2階建て)で行った場合、約30万円がかかります。


■部分補修の事例(11万円)
リフォーム前の悩み:外壁の目地部分の劣化
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出典:https://www.8044.co.jp/gallery/133
外壁とサッシ周りの目地材、コーキングが劣化していたため、打ち替えをした事例です。既存のコーキング材を取り除き、新しいコーキングを充填する作業を行いました。
外壁のコーキング補修は、外壁内部への雨の浸入を防ぎ、地震や強風などで住宅が横揺れしたときに、ズレが起こらないようにするためにも重要です。
2-2.塗装|60〜150万円
このような場合は全面塗装で対応します。
塗装が適する外壁の劣化状態
- 塗装のはがれや膨れが見られる
- 下地の軽度なひび割れ
- モルタル外壁のひび割れ
外壁を全面塗装する費用相場は、60〜150万円です。
塗料の種類や、外壁の面積によって費用は大きく異なります。30坪の住宅で中グレードの塗料を使用した場合、70〜100万円が相場となります。
下地のひび割れがある場合はシーリング補修やセメント処理など補修工事が必要になります。
また、目立ったひび割れなどがなくても、カビやコケによって見た目が悪くなっていて汚れが気になるのなら塗装するとよいでしょう。
塗装は、カバー工法や張り替えよりも費用が安いですが、下地のひび割れが深かったり外壁が破損していたりする場合は対処できません。その場合は、カバー工法や張り替えで修理しましょう。


■塗装の事例(150~220万円)
リフォーム前の悩み:外壁の汚れ、痛み
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汚れや痛みが気になってきた外壁と屋根を同時に塗装リフォーム事例です。
2-3.カバー工法|150〜220万円
このような場合はカバー工法というリフォーム方法があります。
カバー工法が適する外壁の劣化状態
- 塗装では補修できない下地のひび割れ
- 外壁の軽度な破損
カバー工法は現在の外壁の上から新しい外壁材を重ね張りする工事方法です。
外壁カバー工法の費用相場は、150~220万円です。
カバー工法は塗装よりも重度の劣化症状を補修でき、張り替えよりも価格が安いですが、外壁が内部からボロボロになっている場合は対処できません。劣化が重度の場合は張り替えを行いましょう。


■カバー工法と塗装を併用した事例(178万円)
リフォーム前の悩み:外壁が老朽化してきた
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出典:http://www.8044.co.jp/gallery/387
モルタル部分はサイディングを上張り、サイディング部分は塗装でリフォーム。
2-4.張り替え|200〜260万円
このような場合は「張り替え」のリフォームをおすすめします。
張り替えが適する外壁の状態や状況
- 外壁がボロボロになっている
- モルタル外壁からサイディングに変更したい
- 外壁デザインを大きく変えたい
外壁の張り替えリフォームの費用相場は、200~260万円です。
張り替え工事は、現在の外壁を一度解体し、新しい外壁材を取り付けることで、外壁の破損や劣化にも対応できるのが特徴です。塗装やカバー工法では対処できないような劣化状態や、大幅なデザイン変更を希望する場合に向いています。
ただし、張り替え工事は費用が他の工法よりも高くなるため、劣化が軽微な場合は塗装やカバー工法といった比較的低コストな方法を検討しましょう。




■張り替えの事例(390万円)
リフォーム前の悩み:台風で外壁・板金・波板が破損
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出典:https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=1605
台風で破損した外壁に加え、防水効果の弱まっている屋根もまとめて工事した事例です。耐久性や強度を重視し張り替え・塗装を施しました。
▼外壁リフォームの費用を詳しく知りたい場合はこちら




3.リフォームするときに知っておきたい外壁材の種類と特徴・選び方
日本の戸建て住宅における外壁材の約8割を占めるのは窯業系サイディングで、サイディング全体では約9割を占めます(日本サッシ協会調査/2023年3月版)。
モルタルからサイディングにリフォームするというケースも多く見られます。
しかし、サイディングでも「窯業(ようぎょう)系」や「金属系」などさまざまで、その違いを理解したり、自宅に合った外壁材を選んだりするのは難しいものです。
ここでは、それぞれの外壁材の特徴と、どの外壁材を選べばいいのかを解説します。
3-1.外壁材7種類の概要
外壁材は主に7種類があります。
- 金属系サイディング
- 木質系サイディング
- 樹脂系サイディング
- 塗り壁
- タイル
- ALC
それぞれの特徴は以下のとおりです。
種類 | 特徴 | 1㎡単価 | 工事費用 (30坪) |
耐用年数 |
---|---|---|---|---|
窯業系サイディング | 初期費用が比較的抑えられる | 4,000〜6,000円 | 150〜300万円 | 20~30年 |
金属系サイディング | 軽量で耐久性が高く、 初期費用も比較的低い |
3,500〜7,000円 | 150〜230万円 | 20〜40年 |
木質系サイディング | ぬくもりがあり断熱性に優れている | 6,000〜9,000円 | 170〜240万円 | 15〜30年 |
樹脂系サイディング | メンテナンスの必要がほとんどない | 7,000〜10,000円 | 150〜300万円 | 20~30年 |
モルタル(塗り壁) | セメントに砂を混ぜたもので 意匠性に優れている |
1,500〜5,000円 | 200万円~ (塗り壁は60〜120万円) |
約30年程度 (塗り壁は10〜20年程度) |
タイル | 生地によって特徴も変わる | 10,000円〜50,000円 | 150〜500万円 | 30~50年 |
ALC | 軽量で遮音性・耐久性が高い | 7,000〜15,000円 | 150〜270万円 | 60年~ |
3-2.耐用年数から分かるリフォーム時期の目安
今の外壁材の耐用年数を確認すると、リフォーム時期が概ねつかめます。
一般的な外壁材であるサイディングやモルタルの耐用年数は20〜30年です。それまでに塗装メンテナンスをしっかり行っている場合、耐用年数を過ぎても張り替えなどのリフォームが必要ないこともあります。
しかし20~30年経ち、外壁にひび割れや割れなどがみられるようになっていたらリフォームを検討しましょう。
リフォーム業者に外部点検を依頼し、外壁の状態や予算に応じて、見積もりを作成してもらってください。
3-3.新しい外壁材の選び方
外壁をカバー工法や張り替えでリフォームする際は、予算や目的に合わせて外壁材を選びましょう。
例えば、なるべく費用を抑えてリフォームしたい場合には、比較的安価で耐用年数も兼ね備えた「窯業系サイディング」や「金属系サイディング」がおすすめです。
外観のデザインをナチュラルな雰囲気にしたい方は「木質系サイディング」や「モルタル」、重厚感を演出したい方は、「タイル」や「ALC」が好みに合うでしょう。
他にも、耐震性を重視したい場合は外壁の中でも軽量な「金属系サイディング」、耐久性を重視する場合は「ALC」や「タイル」を検討してみてください。
目的 | 適した外壁 |
---|---|
コストを抑えたい | 窯業系サイディング・金属系サイディング |
ナチュラルな雰囲気にしたい | 木質系サイディング・モルタル |
外観に重厚感を出したい | タイル・ALC |
耐震性を重視 | 金属系サイディング |
耐久性を重視 | ALC・タイル |


▼外壁材選びの際に、どのメーカーの外壁材がいいのか気になる方はこちら


4.外壁をおしゃれにリフォームする配色や材質|ビフォーアフター事例
せっかく外壁のリフォームをするのであれば、おしゃれな外壁にしたいですよね。
外壁をおしゃれにするポイントは、「色」と「材質」にあります。
施工事例も用いながら解説していきます。
ポイント①色のメリハリをつける
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濃い色を1階部分に塗装することで、どっしりとしたイメージに仕上がります。
出典:https://www.manaka-reform-chiba.com/works/paint/works-4/
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玄関側に濃い色を採用し、目を引く仕上がりになっています。
出典:https://www.manaka-reform-chiba.com/works/paint/works-12/
塗装で2色を塗り分けたり、屋根と外壁で色を分ける際、互いの色を引き立たせるようにメリハリをつけるとオシャレに見えます。
▼外壁の配色に関して詳しくはこちら




ポイント②異なる材質の外壁材を取り入れる
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外壁の一部にタイルを使用し立体的な仕上がりを実現。遠くから見ても高級感のある見た面になりました。
出典:https://freshhouse.co.jp/case/8584/
外壁の一部にタイルやタイル調のサイディングを使うことで、一気にオシャレになります。
また、コテを使って仕上げる塗り壁は、味のある唯一無二の壁になり、デザイン性が非常に高いです。
▼まだまだ外壁のイメージをみたい!という方は、こちらの記事で外壁リフォームのイメージを膨らませてみてください。


5.外壁リフォームをすべきタイミングと最適な季節
外壁リフォームをするタイミングと、1年の中で外壁リフォームに適した季節について解説します。
5-1.外壁リフォームをするタイミング
家の外壁は、新築から約10年たったら一度点検をしてください。新築時の外壁によく使われる塗料の耐用年数が約10年だからです。
新築時の外壁の表面には、外壁材そのものを雨水や紫外線から守る塗料が塗られており、この塗料の耐久性が失われるタイミングで、再塗装のリフォームをする必要があります。
塗料の耐用年数は、塗料の種類によって違いますが、新築時は安価な塗料が使われることが多く、10年ほどで塗料の耐久性が失われていきます。
既に一回目の外壁塗装を済ませている場合は、前回使用した塗料の耐用年数を目安に、再塗装の時期の目安を立てましょう。
以下は塗料の種類別、耐用年数の一覧です。
出典:https://www.reform-guide.jp/topics/gaihekitosou-taiyounensuu/
また、塗料や外壁材の劣化スピードは、以下のような外的要因によっても変わります。
-
- 建物の日当たり
- 天候・気候
- 海の近くかどうか
- 施工技術
- 地震など自然災害
「耐用年数が何年だから、まだ大丈夫」と思うのではなく、定期的に外壁を観察し、ひび割れやチョーキング現象などがないかを確認することが大切です。
5-2.外壁塗装のリフォームに適切な季節
外壁塗装には「乾燥させる」という作業があり、工事に向いていない季節が存在します。
以下の条件を1つでも満たしている状況では塗装工事はしない方がよいでしょう。
- 気温が5℃未満
- 湿度が85%以上
- 雨がわずかでも降っている
地域によって気候が異なるため、塗装に最適な季節は地域ごとに違います。
地域の特徴 | 最適な季節 | 避ける時期 |
---|---|---|
雪が降る | 夏 | 冬 |
梅雨がある | 春 | 梅雨の時期 |
台風が来る | 春 | 台風の時期 |
気温が35℃を超える | 春・秋 | 真夏 |
▼外壁リフォームの時期に関しては詳しくはこちら


6.外壁リフォームで失敗しない業者選び7つのポイント
外壁リフォームの業者選びで覚えておきたいポイントは7つあります。
- 外壁リフォームの実績は豊富にあるか
- アフターサービスや保証内容が充実しているか
- 現地調査の対応や提案は専門的か
- 火災保険や補助金に詳しい業者か
- 資格や免許を持っているか
- 質問に分かりやすく親切に答えてくれるか
- 訪問営業で無理に契約を迫ることはないか
外壁や屋根のリフォーム工事で失敗しないためにも、信頼できる業者を選ぶことが大切です。依頼する前に、実績や保証内容を確認しましょう。
▼業者の選び方について、詳しくはこちらの記事で解説しています。


(補足)業者と契約後もコミュニケーションをしっかりとる
外壁リフォームにかかわらず、他のリフォームでも、業者との間の「コミュニケーション不足」によってトラブルが起こることもあります。
例えば、外壁リフォームで起こるトラブルには、以下のようなものがあります。
- 予想していたイメージと違った
- 業者に急に工事を延長すると言われ困った
- 口約束で言われたことが忘れられていた
これらは、施主と業者の間で、思い込みや勘違いが発生してしまうことが原因です。
トラブルが起きないためにも、業者任せにせず、工事中は業者とコミュニケーションを取りながら工事過程をこまめに確認しましょう。


7.外壁リフォームにかかる期間
外壁のリフォームにかかる期間は、方法によって異なります。
リフォーム方法 | 期間 |
---|---|
塗装 | 10日〜2週間程度 |
カバー工法 | 2〜3週間 |
張り替え | 3〜4週間 |
それぞれのリフォームの工程も一緒に解説します。
■塗装:10日〜2週間
- 足場組み立て、ネット養生「1日」
- 高圧洗浄、下地補修「3日」
- 下塗り、中塗り、上塗り「4〜8日」
- 小口処理「1日」
- 足場解体、清掃「1日」
■カバー工法:2〜3週間
- 足場組み立て「1日」
- 下地補修「3日」
- 下地材施工「3日」
- 新しい外壁材の張り付け「3〜10日」
- シーリング「3日」
- 足場解体、清掃「1日」
■張り替え:3〜4週間
- 足場組み立て、解体「1日」
- 既存外壁の撤去「2〜3日」
- 下地補修「3日」
- 防水シート施工「1日」
- 新しい外壁材の張り付け「7〜14日」
- 庇(ひさし)・サッシ回りの板金取り付け「3日」
- シーリング「3日」
- 足場解体、清掃「1日」


8.外壁リフォームの注意点
これから外壁リフォームを検討、もしくは近々予定している方のために、注意すべきポイントを4つ紹介します。
8-1.工事前に近所にあいさつする
外壁の工事は、騒音や臭気が発生したり、大きなトラックや作業員が出入りします。例えば高圧洗浄する日は洗濯物を干せなかったり、車の通行に支障が出たりするなど、近所に少なからず迷惑をかけることになります。
足場を設置する1週間前くらい前に、向かいの3軒や両隣、裏側の家など、迷惑がかかりそうなお宅にあいさつをしておくと安心です。数百円程度の粗品(タオルや洗剤など)を用意し、工期や工事内容を簡単に伝えておくようにしましょう。
8-2.洗濯物が干せない期間がある
洗濯物を汚してしまう恐れがあるため、高圧洗浄や塗装する日や、ベランダの防水工事をする日などは洗濯物が干せません。
洗濯物が干せない日ををあらかじめ聞いておく方法もありますが、天候によってスケジュールが変動する可能性もあります。シーツ類や乾きにくい大物は工事前に洗濯しておき、基本的には室内干しするか、コインランドリーを利用することも想定しておきましょう。
8-3.窓を開けられない期間がある
外壁を塗装する際は、窓やドアが汚れないように養生用のビニールシートやテープで覆うことになります。
換気をしたい場合は作業員と相談し、メッシュ素材のような養生シートを利用してもらうか、開けたい箇所(窓)を優先して仕上げてもらうなどして工事中も換気ができるように工夫をしてもらいましょう。
ただし窓を養生していない場合でも、タイミングによっては身体に有害なシンナーやほこりが室内に入り込んでしまうため、工事期間中は思うように換気できないと考えておいた方がよいでしょう。
窓を開ける際は作業員に一言声をかけるようにし、窓を開けて置いても問題ないか確認するようにしてください。
8-4.エアコンが使用できない期間がある
エアコンの室外機についても、汚れないように養生用のビニールシートで覆い、工事することがあります。
外壁塗装工事中にエアコンを使用する可能性があるなら、室外機の吸い込み口や吹き出し口を塞がないように養生してもらうか、メッシュシートで養生してもらうようにしましょう。室外機をビニールシートで養生したまま使用すると、故障の原因になるので注意が必要です。
8-5.防犯意識をいつもより高める
外壁リフォーム中は、職人がよく出入りするため、家の敷地内に見知らぬ人がいても気にかけなくなりがちです。
また、工事中は足場をかけるため、夜中に足場を上って室内を盗撮されたり、窓から侵入される危険性も高まります。
いつもより「カーテンを閉める」、「窓を施錠する」など防犯を意識しましょう。


9.外壁リフォームをお得にする4つのポイント
外壁リフォームは100万円規模の大規模工事のため、少しでもお得にリフォームしたいですよね。
ここでは、外壁リフォームで節約する方法と、活用できる保険、補助金、減税について解説します。
9-1.外壁と屋根を同時にリフォームする
外壁塗装をするのであれば、屋根も同時に塗装しましょう。屋根の塗装費用が上乗せされますが、一度に施工することで足場代を節約できます。
足場代は、一般的な30坪程度の住宅でも15万円程度かかります。例えば雨樋の交換や、屋根の葺き替えなどする場合も同様です。足場が必要な工事をする際は、なるべく一度に実施することで、足場代を二重に払わなくて済みます。
一緒に行うとよい組み合わせ例
- 外壁塗装+屋根のカバー工法+雨樋修理
- 外壁張り替え+屋根の葺き替え+雨樋交換
上記はあくまでも一例です。リフォーム業者に相談し、屋根や外壁、雨樋の劣化具合や、予算に応じて計画しましょう。
9-2.保険が適用できるか確認する
外壁の工事で利用できる保険は「火災保険」と「地震保険」です。自然災害により外壁が損傷した場合、保険金を受け取ることができる可能性があります。
ただし単純な塗装だと保険金は適用されないことが多いです。
保険の種類と適用できる範囲は、それぞれ以下のようになります。
ケース | 住宅火災保険 | 住宅総合保険 | 地震保険 |
---|---|---|---|
火災 | 〇 | 〇 | × |
落雷 | 〇 | 〇 | × |
破裂 | 〇 | 〇 | × |
爆発 | 〇 | 〇 | × |
風災 | 〇 | 〇 | × |
雪・ひょう | 〇 | 〇 | × |
水害 | × | 〇 | × |
水漏れ | ×(消防活動による水ぬれは適用) | 〇 | × |
暴行 | × | 〇 | × |
盗難 | × | 〇 | × |
物体の衝突 | × | 〇 | × |
地震 | × | × | 〇 |
■火災保険の適用例
外壁は、屋根に比べて火災保険の適用例が少ないです。
ひょうや雪、風などで外壁が崩れているケースであれば適用しやすいでしょう。
- 雪の重みによって雨樋が破損
- ひょうでサイディング外壁がへこんだ など
雨樋(あまどい)とは、屋根から地面へ雨水を逃がすためのパイプです。雨樋が破損すると雨漏りを引き起こしかねません。雪の重みや台風によって雨樋は壊れる場合があります。そういったケースであれば風災や雪災が適用されるでしょう。
ひょうによる被害は直径5cm以上でなければ対象とならないことが多いです。もし大きなひょうが降ってきてサイディングやモルタル外壁をへこませたのなら、保険がおりる可能性があります。
■地震保険の適用例
地震保険の適用範囲としては以下があります。
- 地震の振動による被害
- 地震によって起こった津波・火災の被害
- 噴火の被害
上記が原因で被害を受けた場合、建物の他に家財も補償内容に含まれます。また、地震による火災は地震保険でなくては補償されません。
なお、住宅火災保険や住宅総合保険、地震保険の補償内容は、保険会社によって異なるケースがあります。詳細については、保険会社に相談するようにしてください。


9-3.補助金や助成金が使えるか確認する
外壁リフォームで補助金や助成金が使えるのは、省エネ目的のリフォームが一般的です。
- 外壁に断熱材を施すリフォーム
- 断熱塗料を使った外壁塗装
- 外張り断熱工法などで外壁を改修するリフォーム
地方自治体独自の助成金制度となるため、お住まいの市区町村の窓口やホームページで助成制度があるかどうかや内容を確認しましょう。


9-4.減税制度が使えるか確認する
一定のリフォームと同時に外壁リフォームを行った場合や、外壁の断熱工事を行った場合には、所得税の控除が受けられる制度があります。
ここでは、所得税の控除を受けられる制度として、リフォーム促進税制と住宅ローン減税について解説します。
■リフォーム促進税制
下記のリフォームのうちいずれかを行った場合に、所得税の減額控除を受けられる制度です。
- 耐震リフォーム
- バリアフリーリフォーム
- 省エネリフォーム
- 同居対応リフォーム
- 長期優良住宅化リフォーム
- 子育て対応リフォーム
控除期間は1年、最大控除額は130万円、住宅ローンの利用にかかわらず適応されます。リフォーム工事の種類によって対象になる工事や控除額が異なるため、詳しくは国土交通省のホームページで確認してください。
参照:住宅リフォームにおける減税制度について|国土交通省
■住宅ローン減税
中古住宅の購入時などで、住宅ローンを借り入れる際に、外壁のリフォーム費用も組み入れると、住宅ローン減税が適用されます。
住宅ローン減税とは、10年以上の長期ローンにすることで、年末時点のローン残高の0.7%に相当する額が所得税から減額できる制度です。
住宅ローン減税を適用するための条件は以下の7つです。
- リフォーム後の住宅の床面積が50㎡以上であること
- リフォームに際して10年以上のローンを組んでいること
- 建物の所有者であり居住していること
- 中古住宅の場合は耐震性能を満たしていること
- その年の合計所得金額が2,000万円以下であること
- 対象となる工事費が100万円(税込み)超であること
- 工事から半年以内に居住し、各年の12月31日までに居住していること
なお、住宅ローン控除は改正により、要件や控除率が変更になることがあります。住宅ローン控除を受けようとする際には、その年度の要件や控除率を確認するようにしてください。
▼詳しい条件の内容や申請手続きについては、こちらで解説しています。


10.まとめ
外壁リフォームを検討する上で、知っておきたい内容について解説してきました。まずは外壁の状態をチェックして、費用相場から実際にかかる工事費用を想定しましょう。
外壁リフォームが高額になる場合は、リフォームローンを利用することも検討してみてください。
外壁リフォームも、工事内容によっては補助金や助成金が利用できるケースがあります。また、自治体独自の補助制度がある場合もあるので、住んでいる自治体のホームページなどを確認することをおすすめします。
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